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炎を宿しその眼は何を見る—REBORN— —第一章—
日時: 2010/07/01 22:02
名前: 冷却 (ID: X9/3/8Rv)

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左目に炎を宿すツナの実の妹の物語。
切なく、ギャグ多少、シリアス・・・。






・目次
—登場人物紹介—
第零話 —序章—
《第一章》
第一話 —無題— 題名が無い事。
第二話 —忘却— すっかり忘れてしまう事。
第三話 —無為— なるようにならない事。
第四話
第五話

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Re: 炎を宿しその眼は何を見る—REBORN— —第一章— ( No.3 )
日時: 2010/07/01 16:55
名前: 冷却 (ID: X9/3/8Rv)

第一話 —無題—


「任務終わったのかい?」
「・・・あぁ・・・」

バサッと音を立ててマントを部屋のソファーに脱ぎ去った。
ドサッと音を立てて俺はソファーに座り込む。
「まただ・・・」
「『また』・・・って事はまた、顔を晒してしまったのかい?」
マーモンがフワフワと寄って来てそういった。
俺は頷く。
「最近腕が鈍ってきてない?」
「・・・そうかもしれんな・・・」
「それと屋敷内なんだからキャラ崩してもいいと思うよ」
「・・・」
俺はスッと顔立ちを楽にさせる。
キャラ作り・・・初代ボンゴレをモデルとした所謂偽物の人格だ。
血が付いたグローブを取る。

あれから一年。
俺は殺し屋として名を上げていた。
ボンゴレ特殊暗殺部隊に所属している事もあってか・・・。

「ボスからの伝言だよ。明日日本に出発だってさ」
「・・・何で?」

リング争奪戦は終わったしな・・・。
だとしたら何だ?
「・・・さぁね、後はボスに聞きなよ」
「判った」
すると部屋の外から、大音量の声が響き渡った。

「ヴォォォォオオオイ!ジョットォ!今直ぐ来いィィィ!」
「・・・聞こえてるのに・・・」

俺は立ち上がって部屋を後にする。





「何ですかスクアーロ作戦隊長・・・」
「やる気無さそうにするなぁ!しゃきっとしろしゃきっとォ!」
俺は背伸びをした。
スクアーロは満足らしい。
「よォォォし・・・。明日の事だがなァ・・・」
「そのことで質問」
「何だぁ?」
「何で態々日本に行かなきゃいけないの?俺絶対嫌なんだけど」

「そんな事いわれても困るぞォ・・・実はなぁ・・・日本に居るお前の兄貴・・・いや、沢田綱吉の監視と護衛をしろと九代目から言われてんだァ・・・」

「・・・」

九代目か。
多分、超直感で俺の生存を確認したのだろう。

—吐き気がする。

俺も同じ血が流れている事に。
「・・・それで何故俺が?」
「お前が一番この中で平凡だろぉ・・・」
「そういう理由で俺を日本にかよ・・・」
「仕方ねぇだろぉが!沢田綱吉に知られてねぇのはお前だけなんだからよぉ・・・」
「・・・判ったよ・・・行けばいいんだろ」
「・・・わりぃなぁ・・・」
「謝られても困る」
俺は笑って見せた。
スクアーロは悲しげに表情を染めた。
「・・・ボスも、苦しんでたぞぉ・・・」
「俺を日本に向かすことに?それとも沢田綱吉と再会させることに?」
「どちらもだぁ・・・」
俺はハッと、鼻で笑う。

「一番悪いのは九代目だっつーの」





「ザンザス」
「・・・なんだ」

俺はザンザスの自室に入る。
普段ならグラスやら何やらが飛んでくるが今日は飛んでこなかった。
俺は苦笑する。
「今まで有難うな、ザンザス」
「・・・また戻って来い」
「・・・了解ボス」

俺のボスはザンザスだけだ。

兄はスクアーロ。
弟がフランとマーモン。
友達はベルだった。
これからも、多分そうだろう。

「ザンザス、最後に一つ」
「・・・なんだ」
「行って来ます」
「・・・カスが・・・」

ボソッと呟いたその声は、凄く寂しそうに、つらそうに。
また、心配そうに聞こえた。

「ザンザス、それに俺は綱吉・・・ボンゴレ十代目をもう、他人としてしか扱わないって決め込んだんだよ」

ソレが、覚悟。

俺の覚悟だから。

—バタンッ

Re: 炎を宿しその眼は何を見る—REBORN— —第一章— ( No.4 )
日時: 2010/07/01 17:41
名前: 冷却 (ID: X9/3/8Rv)

2、

「・・・日本到着・・・っと」

黒い隊服は今、脱いでいる。

流石にアレじゃ目立つし。
今は普通の私服で、と言うかせめてスーツ姿。
多少は視線を感じるが気にしない方向で行こう。

「さぁ、行こうか」





「・・・久しぶりだな・・・」

俺は懐かしみながら歩く。
懐かしんだ所でどうにも成らないけども。
そう思いたいだけだけども。
看板を見る。

《並盛町》。

「・・・」

(マズイな・・・吐き気がしてきた)

俺はそんな増悪を感じながらも、町に足を踏み入れる。





「ハァ・・・」

ドサッと、マンションに腰を掛ける。

—疲れた。

任務よりも疲れる感じがする。
俺は左眼の眼帯に触れながら、呟く。
「・・・死ぬ気の炎か・・・」
無表情で呟いた。
手の平を開いて、何もないその手の平を見つめる。

《死ぬ気の炎》・・・。

確かに、俺には出せない代物だ。
だけど、
「・・・」

スルッと、眼帯を外す。
鏡を見据えて、俺は忌々しげに呟いた。

「大嫌いな大嫌いな家庭教師・・・俺は、許せない、許さない・・・」


—復讐なんて意味が無い。

—だけども、復讐すると言う事はその原因を作り出した方にも罪というのはある。


「・・・ッ・・・」





「んあ・・・」

俺は眼を覚ます。
「何してんだツナ、さっさと宿題しやがれ」
「・・・うん、」
「・・・?どうしたんだ?」
「いや・・・」
俺は頭を何とか覚醒させる。
夢を見た。

その夢には、とても《愛しい存在》があったような気がする。

だけど、同時に。
「罪悪感・・・?」
「何言ってやがんだツナ」
「・・・いや、夢に、さ・・・」
「・・・夢?」
「あ・・・何でもないよ」


俺は、《大嫌い》な存在を頭から消去した。

対義語矛盾となる二つの言葉。

Re: 炎を宿しその眼は何を見る—REBORN— —第一章— ( No.5 )
日時: 2010/07/01 18:16
名前: 冷却 (ID: X9/3/8Rv)

第二話 —忘却—


「・・・久しぶりだな・・・並中・・・」

現在並中前。
ザンザスが転入手続きをしてくれていたらしく、俺は無事並中に帰還・・・いや、転入する事が出来る。
今のところ、何も起こっていない。
計算外な事は起きない。

「・・・何か拍子抜けだよなぁ・・・」

もっと、期待してたのに。
俺は並中へと、足を踏み入れた。





「失礼します、あの、山田先生は・・・」
「あぁ、キミが転校生か・・・」

山田先生は立ち上がった。
実は俺は今正体を知られないように幻術で姿を変えている。
黒いロングの髪を一つに結び、眼の色は赤色。

イメージはザンザス。

まぁ・・・流石に眼とかの形は変えなかったけども。

「じゃあ付いて来なさい」
「ハイ」
しばらく歩いた所に教室はあった。
「(また、戻ってくるとはな・・・)」
「じゃあ、合図したら入ってきて」
「ハイ」
山田先生は教室に入って行った。
俺は左目の眼帯に触れる。

—ズキンッ

左目が疼く。

「・・・」
「じゃあ入って来なさい」

俺は教室に脚を一歩、踏み入れた。





「どんな奴なんでしょうね、転校生って」
クラス中がその話題で盛り上がっていた。
教師が生徒達の声を止める。
「じゃあ入ってきなさい」

—ガラッ


—ドクンッ


「・・・(あれ・・・?)」

「始めまして、ジョットと言います。今までイタリアに居たので、良く判らない所もありますが、宜しく御願いします」

《ジョット》と言う《少年》は頭を下げた。

「じゃあ席は・・・っと、一番後ろが開いてるな」
ジョットさんはスタスタと歩いて、開いた席へ座った。
「・・・山本」
「何だ?」
「・・・あの人と、会ったこと無い・・・?」
「いや?無いと思うけど」


—無い。


「・・・」

(なら、いいんだけど)





授業が終わり、休み時間になった瞬間生徒が俺に詰め寄ってきた。
質問を全て返す。
ようやく収まった時、獄寺が目の前に現れた。

「オイお前、何処かのファミリーじゃねぇんだろうな」

「ちょ、獄寺君・・・」
「・・・ファミリー?」
勿論おどけてみせる。
「・・・惚けんじゃねぇ・・・」
「・・・俺、普通にイタリア育ちなだけだけど」
「獄寺君ッ・・・」
綱吉が制して獄寺は静まった。
俺は視線を後ろへと合わす。

笹川京子に、黒川花。


—俺を拒絶した人間・・・。


「・・・」
「どうしたの?凄い剣幕だけど・・・」
「え、あ、ゴメン・・・えっと・・・」
「あ、えっとね、俺と、何処か出会ったこと——」
そこで、綱吉の声は遮られる。
「チャオッス」
「・・・」
「リボーン!?」

目の前に大嫌いな家庭教師が現れた。
俺は唇をかみ締める。

「お前、俺達のファミリーにはいらねぇか?」
「なっ・・・リボーンさん!?」
「・・・ファミリー?それって俗に言うマフィアの?」
俺はおどけて見せた。
「・・・そうだぞ。(コイツ、全然心の中がみえねぇ)」
読心術を使おうとしているけど、俺の心は見透かせないはずだ。


—俺の心は、生半可なほどの憎しみは募ってないからな。


「・・・ゴメン、考えておくよ」
「そうか」

俺は、苦笑した。





「・・・ジョット・・・ね・・・」

誰も居ない応接室で、雲雀は静かに呟いた。
手にはファイル。
その中には、ジョットと書かれた個人情報の載った用紙が挟まれていた。
「・・・」

個人情報ともに、不明。

明らかに・・・細工している。

雲雀は目を細める。
「・・・」

雲雀は面白そうに唇の端を吊り上げた。





—真実を忘れた天候達。

—大空は夜空の存在を忘却し、天候達も忘却している。

—夜空は、復讐だけに動かない。

—大空を護衛する為にも動き出す。

Re: 炎を宿しその眼は何を見る—REBORN— —第一章— ( No.6 )
日時: 2010/07/01 22:02
名前: 冷却 (ID: X9/3/8Rv)

第三話 —無為—


放課後、雨が降っていた。
「・・・」

雨空を見上げながら、ジョット——・・・刹那は、一人呟く。

「・・・大嫌いだ、雨なんか大嫌いだ、青空も、嫌いだ、」

ブツブツと、一人呟く。

「・・・」
刹那は一歩、足を前に出す。
雨が体に当たり始めた。


—パシッ


誰かが、腕を掴む。
ゆっくりと振り向くとそこには沢田綱吉が居た。

「ジョット君、雨に濡れるよ!?傘無いなら俺のに入れてあげるから・・・」


—雨に濡れるよ。ホラ、傘。


「・・・」

同じ言葉。
左目が疼く。

「・・・いや、いい」
「え・・・でも、風邪とか引くよ・・・?」
「・・・ねぇ、沢田君」
「何・・・?」
「俺ね、兄が居るんだ」

俺は切なげな表情をする。

沢田綱吉は俺の言葉を静かに聴いていた。
「だけど、俺の兄さん、俺が嫌いなんだ」
「何で・・・」
「『嫌いだ』って、言ってたから」
俺は笑って言う。


—大嫌いだよ、刹那。


「『嫌い』・・・」
「うん、キッパリと」
「・・・お兄さん、本当は、」

沢田綱吉は、苦しげに言った。

「本当は、好きなんじゃ、ないのかな・・・」
「何で・・・?」
「だって、嫌いって事は、好きって事を隠してるかもしれないし、本当は好き、かもしれない」

「なんてね」、と言って視線を逸らす。
俺は考えるようにしてから、雨空を歩き出す。

「ジョット君、明日」
「あぁ・・・明日」

俺は、雨空の下を歩く。



—悲しみの涙のソラのしたを歩き出す。





マンションについて、俺は濡れた髪を乾かす。

「・・・上手く、出来ないな・・・」


—任務をこなす事がこんなに辛いと思ったのは、久しぶりだ。


雨空を窓から見ながら、忌々しげに呟く。

Re: 炎を宿しその眼は何を見る—REBORN— —第一章— ( No.7 )
日時: 2010/07/01 22:15
名前: 冷却 (ID: X9/3/8Rv)

2、


家に帰って俺はすぐさま自分の部屋に駆け寄った。
ベッドにうつぶせになる。
「・・・」
「ツナ、どうしたんだ?」
リボーンが俺に尋ねてきた。
俺は少しだけ眼を細めて、
「・・・ジョット君見てると・・・何か、懐かしい気がするんだよな・・・」
「・・・懐かしい?」
「うん、まるで、刹那、みたいな——・・・」

—ツナ、俺と帰ろう。

「・・・」
「錯覚、かもしれないけど——・・・」

—それが、本当なら。

「俺は、絶対《後悔》、するだろうなぁ・・・」
「・・・刹那の事はもう忘れろ」
「・・・」
リボーンがせつなの事を嫌っているのはわかる。
だけど、刹那はやっぱり俺の唯一の妹だから。

俺は、《死んだ》妹の顔を思い浮かべていた。

「・・・——」

だけど、俺も少なからずアイツを今でも憎んでいる。
恨んで、嫌って、傷つける。
多分、壊す。


理由なんてわからない。—本当に?

 傷つけるしか出来ない。—守る事は?

  謝れない。—・・・何故?


「・・・そんなの、判らない・・・」


—『    』だよ。


俺がアイツを嫌う理由になった言葉。
俺は、布団を深く被った。


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