二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 舞駕流〜マイガール〜
- 日時: 2010/10/28 08:36
- 名前: 加比原 りら (ID: sb4c5jj4)
嵐の『マイガール』のPVに登場する舞駕家の5人兄弟に、歳の離れた妹をプラスして、日常生活とエピソードを綴っています。
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- Re: 舞駕流〜マイガール〜 ( No.1 )
- 日時: 2010/10/29 07:53
- 名前: 加比原 りら (ID: sb4c5jj4)
序章=嵐の前の静けさ=
1999年9月15日
長男一郎:18歳 社会人1年目
次男次郎:17歳 高校3年生
三男三郎:16歳 高校2年生
四男四郎:15歳 高校1年生
五男五郎:14歳 中学3年生
北関東のとある都市のとある総合病院の待合室。
舞駕家の6番目の子供の誕生を控えて、舞駕家の兄弟たちが勢ぞろい。
待合室のはしっこの椅子に座り、ぶつぶつと祈る一郎。
エレベータを降りて、乗って、上がって、下がって、また降りて、乗ってを繰り返す次郎。
分娩室のドアの前をぐるぐると、落ち着きなく歩きまわる三郎
夜明け前の待合室にゲーム音をピコピコ響かせているのは、四郎。
夜間通用口と書かれた扉の外で、携帯で話をしている五郎。
「とうさん、今、どこだよ!まだかよ!」
西の空が、一瞬光り、ほどなく、雷鳴が追いかけてくる。
「だめだよ・・・おおちゃんは、ビビッちゃって、使い物にならない。
ああ、そうだよ。まともなのは、俺と四郎だけ。
もっとも、四郎だって、わかんねえけどな。
ゲームで、冷静なふりしてるけど、実際のところは・・・
あ!先生、出てきた!また、電話する。
とにかく、急いで、気を付けて、来て!」
白衣の女性が足早に歩いてくる。
「先生!どうなんだよ!どうなってるんだよ!」
傍らで声を荒げてる三郎には、目もくれず、一郎の前で、立ち止まる。
あわてて、立ち上がる一郎。
その周囲を、ほかの4人が取り囲む。
「お父さんは、まだ、到着されませんか?」
「今、電話をしたら、集中豪雨で、高速通行止めだって・・・」と五郎。
「集中豪雨?雨なんか、降ってねえだろ?」と三郎
「いや、西の方、降ってる・・・雷も・・・」
「まじかよ?どのぐらいかかるんだよ」
「わからないって・・・」
「わからないって、なんだよ!」
白衣の女性が、静かに口を開いた。
「これ以上は、おかあさんの体力が持ちません。
帝王切開に切り替えます。よろしいですね?」
自分への問いかけだとは、気付かず、ただ、ぽかんとしている一郎。
「ちょっと、待ってください。先生。俺たちみんな、未成年で・・・」次郎が答える。
「おかあさんだけじゃなくて、おなかの赤ちゃんだって、危険なんですよ」
「危険・・・って・・・。危険って、なんだよ!」女性に詰め寄る三郎。
引き止める五郎。女性と三郎の間に、四郎が割り込む。
「わかりました。先生。もう一度、父に連絡を取ります。五分だけ待ってください。
その間に、準備を」
「準備は、すでに整ってます。あとは、この同意書にサインさえいただければ」
「わかりました。五郎、おやじに電話。一郎、サインしろ。次郎、一郎についててくれ。
みんな、急げよ!おい、三郎、おまえはここにいろ!ここで、おとなしくしてろ!」
携帯を握り締め、外に飛び出す五郎。
西の空に雷光と雷鳴が、近づいてきていた。
春・・・桜の頃、
陽だまりの縁側で、赤ん坊を抱く花子の姿があった。
- Re: 舞駕流〜マイガール〜 ( No.2 )
- 日時: 2010/11/02 10:34
- 名前: 加比原 りら (ID: ee0/u/0t)
第一章=Everything=
2006年9月15日
長男一郎:25歳 社会人8年目
次男次郎:24歳 社会人3年目
三男三郎:23歳 社会人6年目
四男四郎:22歳 社会人1年目
五男五郎:20歳 大学4年目
長女六子:7歳 小学1年生
今日は、六子の7回目のお誕生日。
でも、ちっともおめでたくなんかない。
だって、今日は、六子のお母さんが亡くなった日でもあるから。
サンゴノヒダチガワルカッタ・・・とかで、
六子を生んだ、ちょうど一年後に死んじゃったんだって。
シチカイキ・・・とかで、この前の日曜日に、
パパが帰ってきていて、
おじさんとかおばさんとか、いっぱい人が集まったんだけど、
今日は、ホンメイニチ・・・とかで、
また、お客さんが来るからって、
おおちゃんはお休みをもらったんだって。
だから、まっすぐ帰っておいで・・・って。
「ただいま〜〜」
学校から帰ったら、家中がお線香のニオイでいっぱい。
お仏壇の前には、お菓子やら、果物やらが並んでいる。
(ああ・・・このうち、一個か二個、むっちゃんのプレゼントでもいいんじゃない?)
そんな不謹慎なことをつい思ってしまうのも、無理はない。
六子の知ってる母親は、写真とビデオの中だけ。
いっしょに映ってるのも、いくつかあるけど、
みんな、おうちの中か、おうちの庭だけ。
大きなランドセルを背負ったまま、お仏壇に飾られた写真に手を合わせる。
「おかあさん、ただいま」
「むっちゃん、おかえり」
日に焼けたおおちゃんの笑顔が、のれんの間から出てきた。
「おおちゃん、ただいま」
ランドセルから、お弁当と連絡帳と連絡袋を取り出し、おおちゃんに手渡す。
「お!全部食べたな」
「えへへ」
「着替えたら、宿題持って降りておいで」
「はーい」
2階へと上がり、着替えてたら、下から、ごしょごしょと人の声。
そして・・・「チンチーン」鐘の音。
「どうも、わざわざ、ありがとうございます」おおちゃんの声。
ちょっとだけ小さなため息をついて、
脱いだブラウスと靴下と、宿題とペンケースを両手に抱えて、階段を降りる。
お線香のニオイが強くなっている。
「また、お客さん?」
「うん・・・。三郎の友達のお母さん」
「おおちゃんも大変だね。有休あんまり残ってないのにね」
「でも、今日は留守にできないから」
「そうだね。」
「しいちゃんが、フレックスで上がるから、ケーキ買ってくるってさ」
「わーい、じゃ、宿題早くやっつけちゃおう」
「終わったら、こっち手伝ってね」
「はーい」
- Re: 舞駕流〜マイガール〜 ( No.3 )
- 日時: 2010/11/02 10:35
- 名前: 加比原 りら (ID: ee0/u/0t)
『ぴんぽ〜ん』。
また、チャイムが鳴った。
「イチロー!上がるぞ!」
(あれは、おおちゃんのお友達の・・・だれだっけ?)
六子より、ひとまわり小さな女の子を連れた、
コンビニの上着を着たおじさんが、リビングに顔を出す。
「線香、上げさせてくれ」
「ハル、来てくれたんだ〜。わりいな」
おおちゃんが、エプロンで手を拭きながら、台所から出てきた。
「いや、世話になったからな。ほら、おじちゃんとおねえちゃんにコンニチハは」
「コンニチハ」
傍らの女の子が、チョコンと頭を下げる。
「コンニチハ」
「こんにちは。え〜〜っと、何ちゃんだっけ?」
「2番目のミキ。年長さん」
ふたり並んで仏壇に手を合わせると、ダイニングテーブルの椅子に座った。
お茶と、ジュースを運んできたおおちゃんも、そのまま椅子に座った。
(・・宿題できないな・・・)
「あの、いっしょに遊んでいいですか?」おじさんに声をかけてみた。
「お!よかったな、ミキ。おねえちゃんが遊んでくれるって!」
「折り紙する?」
六子の分と、ミキちゃんの分のジュースを持って、リビングテーブルに移動する。
「何、折ろうか〜〜?」
大人の会話が、きこえてくる。
「お迎えか?めずらしいな。アキちゃんは、どうした?」
「3人目が、できてさ、今実家!」
「おぉ!おめでとう!」
「い〜〜や、でも、母親代わりも大変でさ。
コンビニにして、よかったよ。
前の酒屋だったら、バイトなんか、来ないって!
店番は、バイトでもできるけどさ、
保育園のお迎えは、バイトじゃ、できねえもんな!
イチロー。おまえ、父親代わりだけじゃなくて、
母親代わりも、ちゃんとやってんのか?」
「え?誰の?」
「お〜まえ!何言ってんだよ!六子ちゃんに決まってんだろ。
おやじさんだって、あんまり帰んないんだから、
おまえが、父親にも母親にもなんなきゃ、だめだろ〜が!
おまえ!まさか、かぎっこなんかに、してねえだろな?」
「いや・・・学校終わったら、親方んとこ帰って、
三郎が仕事終わったら、連れて帰ってきてるから・・・
今日は、俺が有休とったから、まっすぐうちに帰ってきたけど」
「そうか・・・じゃ、いいけどな。
いつまでも、頼りにできると思うなよ。
おっと・・じゃ、リカのお稽古終わる時間だから、行くわ」
「いそがしいな・・・」
「また、そのうち、飲みにでも行こうぜ。
ほら、ミキ、おねえちゃんにありがとうして。
おじちゃんに、ごちそうさまして。
じゃ、またな」
ミキちゃんを抱っこして、あわてて帰って行った。
「おじちゃんかよ〜〜」
おおちゃんが、ぼそっとつぶやいた。
おおちゃんが、おかあさんのかわり???
それは、ないかなぁ〜〜?
あ!宿題、やんなきゃ!
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