二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】
- 日時: 2011/11/17 22:22
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21031
夢は一時の願いを膨らませるのでした。
.
@ ご挨拶、
どうも、知ってる方は知ってるでしょう蟻です。
今回は私のスレッド、[ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた]からのリクエストで人柱アリスがあったのでこうして作らせていただきました。
長くなりますが、できるだけ詰め込みますので、宜しくお願いします。
この解釈が気にいった方は、上記のスレッドも見ていただけると嬉しいです。
ちなみに、更新は参照を優先させるので、こちらの更新は遅めになりますがご了承ください。
では、ルールを守ってゆっくりしていってね!
@ お客様、
ウォーカーさん
@ 目次、
#00 - 願望 ( 初めの少女と全ての原因 )
>>1 >>2
#01 - 正義 ( 正しいモノは案外脆い )
>>7 >>8 >>9 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16
.
( 人柱にされたアリスは今頃何を想う? )
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.19 )
- 日時: 2011/12/16 19:04
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: うきゃーここでのお客様とかいつぶりだようきゃー
>>18
どうもどうも! こんなところまで来てくれてありがとうございます!
そろそろお客様の欄消そうかなーとか考えていました。
うっそうそんなこと言われたら…私…ッ! 頑張るしかないじゃない……! とか言ってみます本当に厨二病ですねサーセン。
人柱アリスは私の出会いの曲でありますから、なんとか気力で持ち応えようと思ってます。未だに1番目アリス終わんないけど!(グピャー
世界観とかはすきなんだけど私の解釈で大変なことになってないかなーと思ってたのですが、褒め言葉をもらってちょっと嬉しくなりました。あざす^p^
基本的ボカロ曲解釈してみたの方中心なんで、ここはちょくちょく更新させていただきます。かたつむりより遅いのですが、首が空にいくほど長く待ってくださればありがたいです。
ではではありがとうございました!
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.20 )
- 日時: 2012/04/15 21:30
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
「所詮、人間のくせに」
高らかに哂う化け物の声。もう全て終わったと勘違いして、大きく哂う。
ただの木材の塊と化した家だったものに隠れて、少女は怯えていた。このままでは殺されてしまうと。しかし、動いてしまえば余計と危なくなる。化け物たちがこのまま、自分の姿に気付かず帰ってくれる事を願っていた。
「あと一人、そういやあここらへんに居たよなぁ?」
「そこらへん潰したら死ぬんじゃないか?」
——不幸な事に、化け物は少女の存在を覚えていたのだった。
物凄い速さで、化け物は触手を振り下ろす。その横でげらげらと、下劣な哂いを空に飛ばす、ハリネズミの様な化け物。
「ちょっと、待ちなさいよ!」
辺りに響く勇ましい声。その声と同時に、化け物の触手は止まった。隠れていた少女はほう、と安堵の溜息を吐く。
化け物は愕然としていた。それもそうだろう。『完全に殺した』と思っていた人間が、それも今にも死にそうだった少女が、普通に立っているのだから。何事も無かった様に。——いや、今からが始まりだとでも言う様に。
にこり、と。メイコはリセットボタンを押したかの様に、また挑発しているのか、余裕綽々といった笑みを見せる。
「さようなら」
いつの間にやら、剣は白から赤色に染まっていた。
唖然とする化け物たちは、一気に崩れ落ちた。煩わしい絶叫がそこに響く。木材に隠れたままの少女は、耳を塞いでいる。メイコはただ平然とした様子で、化け物の横を剣を引き摺って通り過ぎ、崩れた家に向かった。
ばらばらの木材を手でどかし、少女を見つけて手を差し伸べる。少女は呆然としつつも、その手をとって立ち上がった。
化け物を無視して、二人はその場から離れた。化け物の悲鳴はどれだけ遠くへ行っても二人の耳に響く。
メイコはいつも通りの顔を見せる。
「うるさいね」
笑うメイコに、少女はどう接しればいいのか正直分からなかった。いや。怖くて、接することができなかった。
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.21 )
- 日時: 2012/05/27 10:38
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 長編は苦手だー(全力)
————化け物を倒した。
メイコはそれを実感していたが、達成感はなかった。と言うより、メイコが化け物を倒した事は分かるが、その時の意識がない、と言う方が正しかった。
不思議な感覚にメイコが首を傾げていると、目の前の少女が、こちらを振り向いて言った。
「お腹、空いてない?」
その問いを聞いて、メイコはそういえば、と思い出す。
そう、メイコは森に入ってから食事という食事を摂っていないのである。森から抜け出たと思ったら、その場で気絶してしまい、気がついたら一日が過ぎていた。その後、軽く断食した状態で、化け物と戦ったのだ。よく化け物に勝ったな、とメイコは心の中で、自画自賛した。
「空腹ではありますが、まだ大丈夫です」
自分より年上の少女に微笑み、自分を保った。
と、思えば。メイコはふらふらと体を揺らし、その場に倒れこんだ。
少女はメイコの倒れる姿を見て、少し驚き、そして小さく笑った。化け物に向かった勇ましい彼女を、そして、よく見れば自分より幼い顔をするこの少女を、助けなければと頭の中で思ったのである。
「さて、命の恩人ちゃんにたらふく食事をさせないと」
寝ている相手に苦戦しながらも、メイコをなんとかおんぶさせて、少女は歩みを進めた。
「ここ、は……?」
またもやメイコは、どこだか知らないところで目を覚ました。少し古びたベッドの上でメイコは部屋を見回す、その部屋には老父が机に向かって椅子に座っていた。
老父が気付き、メイコが眠っていたベッドに椅子を寄せて、また座った。
「やっと起きたか。お前さん、そんな状態でよく化け物と戦えたのう」
「あー、ええっと。ここはどこなんですか?」
「ここは病院じゃよ。わしは村医者をやっておる」
「……そっか、森を抜けたんだ」
安堵してほっと溜息を吐くメイコ。すると、最早家の中にベッドを三つ置いた、あまりにも設備の足りない病院の扉が開く。
「あのー、二日前から寝込んだ女の子は居ますか?」
「おお、クレナーデか! その少女なら今起きたとこじゃ」
「それは良かった……」
先ほどのメイコのように安心したのか、クレナーデと呼ばれた少女は表情に笑みを浮かべた。
「さっきの人……!」
「ああ。まだ混乱しているようだけど、あなたの言う『さっき』はもう既に『二日前』よ」
「…………え?」
優しい笑顔で言われた言葉に、唖然とするメイコだった。
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.22 )
- 日時: 2012/04/27 21:44
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 心情じゃないけど視点はメイコ。基本は。
「あ、それよりお腹空いてるでしょ。はい、これ食べていいわよ」
差し出されたのは、布に包まれた何か。
メイコは丁寧に布を解き、中身を見つめる。皿の上に乗り、煌いているそれは、林檎を煮詰めて作ったコンポートだった。
「あんまり上手じゃあないけどね……喉を通るものの方が一応いいかなって思って」
若干照れ臭そうに視線を逸らしながら、クレナーデは言う。
皿の上に付けられていた銀のスプーンを手に取り、メイコは久々に食事を食べる。そして、口に入れると顔を悦ばせた。
「美味しい……」
「それはよかった」
メイコがコンポートを食べるのを見て、クレナーデは横で微笑んでいた。医者である老人も「美味しそうじゃなあ」と言葉を漏らすが、クレナーデに「あげないわよ?」と一蹴されていた。そんな光景を見て、メイコはこのゲームに誘われる前の、優しい笑顔を浮かべた。
しばらくすると、メイコは皿に乗っていたコンポートを全てたいらげた。満腹そうなメイコの顔を見て、再びクレナーデは笑う。
「ふうううううっ……ところで、さっきの話は?」
「ああ。別に大したことではないのよ。ただ、あなたが二日間も眠っていたってお話。それだけよ。たったそれだけ」
クレナーデは、へらへらと笑いながら説明する。しかしメイコは、笑わなかった。
「二日間の間に、何か化け物は?」
「そんなことあったら、私は林檎のコンポートなんて作れてないわよ」
「っは……!?」
————視界が、歪む。
何かがメイコを襲う。空腹でも、苦痛でもない。ただ、違和感。一瞬の違和感はすぐに消え去り、目の前には不思議そうな表情をしたクレナーデが居た。
「大丈夫?」
——また。まただ。
また違和感がメイコの前に現れた。そして、くしゃくしゃになった空間にまたじわじわと滲み出て来る影。ぽつり、ぽつりと囁いているような小さな声が、耳に響く。そして、耳に残る。
だんだん、だんだん。その声は大きくなっていく。
——おねがい、おねがいおねがいおねがい。
————ここまで、きてよ。
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.23 )
- 日時: 2012/05/27 11:19
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: やっと転。これからはじまる
————僕の光に、なってよ。
顔をしかめるメイコに、囁き続ける黒い影。
恐怖が押し寄せて、メイコの体を震わせる。挙動不審になって、辺りを見る。自分の横に置かれている、ひとつの、剣。あのウサギがくれた『スペード』のアイテム。
何を思いついたのか、メイコはとっさに剣をとって黒い影を切り裂いた。
黒い影がもやになって消えるのを見ると、メイコは安堵した。しかし、すぐに目を疑った。
「はあ…………え?」
目の前にあったのは、血を噴出して倒れている、恩人。医者である老人も、一緒に血を大量に流して倒れている。白目を剥き出して、固まっている。
「なに、これ」
メイコはその場に立ち尽くしていた。
ベッドのシーツも自身の服も、血で真っ赤に染まっている。おそるおそる剣に目をやると、まだついたばっかりの赤い血がついていた。
————私が、殺した?
そんな事実から逃げ出すように、メイコは勢いよくドアを開けて駆け出した。
村の中を走り抜ける。血のついた剣と、血で染まった服を纏って。住民の目は大したものじゃなかった。きっとまた化け物でも倒したんだろうと、逆に安心しているのだろう。
全速力で走って、逃げるメイコ。影を消したら、恩人が消えた。私が消した。頭の中で理解しているが、その事実を受け入れたくない。
ひんやりと冷たい森の空気が、メイコの頬を撫でる。
「勢いでここまで来ちゃったなあ……」
もう戻れない。それは分かってる。戻ったらもう進めない。
もうむりいいいほりゅう
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