二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- HUNTER×HUNTER 【因縁】
- 日時: 2011/09/01 17:58
- 名前: クー (ID: Mjm32rxv)
初めまして、クーと言います!
今回は自分の好きな漫画のHUTER×HUNTERの小説を書きたいと思いました
*注意*
・オリジナルキャラクターが登場します
・グロ注意
・初めての小説なので所々ミスがあるかもしれません
・煽りや荒らしはなしでお願いします
以上の事がOK!っていう方々はどうぞ、お進みください
*登場キャラクター*
(元作品より登場のキャラクター達の説明は割愛させて頂きます。「説明必要だろ!」と思う方がいらっしゃったら御遠慮なく書きこんでください)
・ゴン=フリークス
・キルア=ゾルディック
・ヒソカ
オリジナル
・ネロ=ネビオン
年齢 12
身長 158㎝
容姿 黒髪、赤眼。 白のパーカーに黒の長ズボンを着用し、その上から黒のマントを羽織っている。
能力 『鋼鉄の鎧』(アイアンメイル):触れた物を硬化させる
・リオ=ネビオン
年齢 54
身長 182cm
容姿 黒いタンクトップに白の長ズボン。金髪で赤目。
- Re: HUNTER×HUNTER 【因縁】 ( No.7 )
- 日時: 2011/09/01 17:59
- 名前: クー (ID: Mjm32rxv)
第5話「再会×親父×鋼鉄の一撃」
持っていた物を燃やして明かりにし、キルアとネロはただ延々と自分たちの家の事や今まで自分が遭遇してきた出来事について話していた。
「そんれじゃ何? 暗殺一家はお菓子なんか食べないと思ってたわけ?」
「ウチは誰も菓子なんか食べてなかったからな。太るから食べないのかと思ってたけど」
「オレの兄貴はブクブクでガマガエルみたいだけどな!」
楽しげに喋るキルア。それを見てネロが羨ましそうに言う。
「いいな、お前の家は。オレの兄貴達はみんな無口だったり無表情だったりでさ。悪口言おうがイタズラしようが全然相手にしてくれないし」
「そーでもねェよ。オレだって家にいた時は誰一人友達はいなかったし、遊べなかったし暇っだったぜ。オレ達、結構似た者同士なのかもな。殺し屋なんか止めてオレ達と旅に出ないか?」
その時のキルアの目はとても綺麗で、それは嘘をいう人間の目ではなかった。まっすぐで曇りのない彼の目を見ていると、何とも言えない虚しさに襲われる。ネロはキルアから目をそらし、呟く。
「本当に羨ましいよ……。オレもお前みたいな自由気ままな旅をしてみたい……」
え?とキルアが聞き返そうとした瞬間、この場所に駆けこんでくる一つの影があった。それはキルアの姿を確認して飛び上がって喜んでいる。
「あいつはオレの連れのゴン。スッゲェ良い奴だよ。バカだけど」
ゴンはキルアの言葉にムスッとしながら彼の隣に腰を下ろす。キルアはネロの事をゴンに簡単に説明する。
「へえ、よかったじゃんキルア! また友達が増えて!」
「誰が友達なんて……」
「へへー良いだろ〜」
ネロの言葉を遮り、キルアが自慢げにゴンに言う。だがそれと同時に玄関のシャンデリアの明かりが灯った時と同じ、あの禍々しい念を感じた。
さっきゴンが入って来た場所にヒソカが立っていた。だがもう一人、彼の後ろにもう一つ人影が見えた。それを見てその場にいた誰よりも最初にネロが反応し、岩壁に背中が当たるまで距離を離す。
「ネロ、お前の友人はオレが処分していたことくらい知ってたよな?」
洞窟の闇で顔がよく見えなかったその人物が焚火の明かりによって姿がさらされる。
服はタンクトップと長ズボンで筋肉質なその体には幾多の傷跡が見える。
「ヒソカ……何のつもりだ? 親父なんか連れてきてよ……」
「フフ……君は騙されているんだよ」
ヒソカが不気味な笑みを浮かべたかと思うと、煙のように消えていった。
「き、消えた!?」
キルアとゴンが声を揃えて驚愕の声を上げる。
「アンタの能力か……。いつからだ?」
「順を追って説明してやろう」
***
まず、ネロが家を出た理由はゾルディック家随一の才能を持つキルアと闘う事。この時点でネロは「キルア=ゾルディック」と言う名も姿もまだ知らないし当然何処にいるのかも知りはしない。
そこでネロの父親、リオ=ネビオンは何度か連絡を取ったことのあったヒソカと連絡を取り、旅団に関する情報を提供する代わりにネロを家に連れ戻す手伝いをするという交換条件を持ち出した。リオの独自のネットワークでネロの位置を知り、ヒソカはネロに近づき、彼に餌を垂らす。「キルアの居場所を教えてあげる」と。何の情報網も持たないネロは明らかに怪しいそんな餌に食いついてしまう。
こうしてネロをリオが待機していた山奥のこの館で待たせ、ヒソカはネビオン家特製の瞬間移動プログラムをメールに添付し、キルアとゴンをここまで誘導した。
***
「ゾルディック家のガキを殺すあたりまでは見守っておいてやろうかと思ったが、今のお前には無理だろう?」
ゆっくりとリオはネロに近づいていく。
「あの人……凄い殺気……」
「そうか? あれくらならオレでも楽勝な気がするけど」
ネロの目の前でリオが止まり、彼の耳元で囁く。
「それになぁ、オレ達ネビオン家を裏切った連中は始末しなきゃいけないって決まりがあるの覚えてんだろ? それが家族でもよォ!!」
一気に溢れだした凄まじい殺意。それはキルアとゴンを一瞬で竦めさせる程の物だった。リオはネロの腕を掴み、宙に放り投げる。彼が体制を立て直し、着地をする前にリオは一瞬で放り投げられたネロに追いつき、地面に打ち下ろす。
ほんの一瞬の出来事でキルアとゴンが助けに入る暇すらなかった。地面に叩きつけられたネロは頭から大量の血を流していたものの、何とか立ちあがった。
「動けないだろう? 硬を使ってガードしたのは見事だったがまだまだ力不足だ」
視界がグラグラする。額を棒につけて数十回まわった後のようだ。吐き気もする。さっきの衝撃が脳に伝わってしまったようだ。
「やばい、あれじゃアイツが殺される!」
キルアとゴンが一斉にリオに飛びかかる。だが彼はその場から動く事もなくゴンには顔面に左手で裏拳を、キルアには腹部に右手で正拳を入れる。二人はまるで糸の切れた操り人形のように吹き飛び、壁に激突したことでようやく止まった。
「そっちの黒髪の坊主は今日は動けないぜ。衝撃が脳に行っちまってるかr……」
リオが喋り終わらない内に頬を思いっきり鈍器のような物で殴られた感覚に襲われた。ネロの方を見ると、どうやら彼のマントが直撃したらしい。
「お前の能力だったな。『鋼鉄の鎧』だったか?」
- Re: HUNTER×HUNTER 【因縁】 ( No.8 )
- 日時: 2011/09/17 20:17
- 名前: クー (ID: JOS6d.XR)
第6話「楯×崩壊×謎」
ネロの能力「鋼鉄の鎧」。彼が触れた物をダイヤモンド以上の硬度に変化させる。ただし、生き物の皮膚や液体など一部硬化出来ない物もある。ロープのような物を硬化させることで遠くの敵に強烈な打撃を与えることや、人が包める程の布や紙などで鋼鉄の壁を作ることもできる。
「オレの拳とお前のその楯。どっちが強いか試してみるか!?」
恐ろしい速度でレオが突っ込んでくる。ネロはよろめきながらもマントを広げ、念を流す。硬の念を加えたネロのマントはレオの一撃を物ともせず受け止めた。だが、その後ろに立っていたネロだけが吹き飛び、壁に激突した。
「拳だけ受けきれたようだが衝撃波までは無理だったみたいだな、えェ?」
力を加えていた主が消えマントはただの布に戻り、ヒラヒラと地に落ちる。それを踏みつけ、リオはゆっくりと動かなくなったネロに近づく。
「ネビオン家から簡単に逃げられると思ったお前が間違いだったな」
リオが拳を振り上げとどめを刺そうとした時、突然彼の肩の皮膚が裂け、大量に血が噴水のように噴き上げる。流石に動揺したリオはネロから距離を取る。ゆっくりと立ち上がるネロは風に当たっているかのように髪や服を靡かせている。
「お前……もう一つ能力を……!!」
体力も残りわずかだったネロの視界はぼやけ始め、リオの姿が2つにも4つにも見えていた。
「……裂け……風……」
ネロが擦り切れそうな声で呟くと同時に洞内の壁に裂け目が生じ、崩れ始める。
***
「あーあ。崩れちゃった」
双眼鏡を手にヒソカが呟く。山奥の館が今砂煙を立てながら崩れ始めていた。
「ゴンだけでも助けに行かなきゃ」
双眼鏡を放り投げてヒソカは山を登っていく。
***
崩壊した館の跡地。辺りは瓦礫だらけだったが瓦礫が全く転がっていない箇所があった。
「キルア……大丈夫……?」
「大丈夫……それよりネロは……?」
洞内が崩壊し始めた時、ゴンは持ち前の気力で何とか降り注ぐ岩を砕いたのだった。ネロはと言うと、二人から少し離れた位置で瓦礫に埋もれずぐったりとしていた。
「アイツ、行ったのかな?」
「いや、まだ嫌な念を感じる」
次第にその念は近づき、ゴンとキルアは戦闘態勢に入る。ビリビリと緊張感が奔る。
「おやァ? 瓦礫を退ける手間が省けたね」
「ヒソカ!?」
嬉しそうに近づいてくるヒソカだが、ゴン達は逆に距離を離す。
「そんなにボクの事が嫌いかい……ゴン……」
悲しそうな表情でヒソカが呟く。背筋がゾワゾワするのを堪えながらゴンは戦闘態勢を保ち続ける。
「ゴン、こいつを連れて何処までいけるか分かんないけど、逃げよう」
「うん、それじゃあオレが隙を作るからその間に逃げて」
「お前はどうするんだよ?」
「オレは大丈夫。だからネロと一緒に全速力でこの山を下りて」
こうなるとゴンはもう止まらない事は長く付き合ってきたキルアには分かっていた。
「あ、ちょっと、今彼に触れない方が……」
ヒソカが何か言いかけたが、ゴンが飛びかかって来たため、言いきれなかった。その間にネロをおぶり、髪の毛の質が変わったと思ったらその場から消えてしまった。
(あれ……おかしいな?)
そっちに気を取られていたヒソカの頬にゴンの蹴りが直撃する。
「イタタ……別にボクは戦いに来たわけじゃないのにな〜」
今度は逆にヒソカの拳がゴンの顔面に直撃した。
- Re: HUNTER×HUNTER 【因縁】 ( No.9 )
- 日時: 2011/10/03 17:40
- 名前: クー (ID: wV8NmXkW)
第7話「食欲×退院×新たな目標」
ネロは目が覚めると同時に激しい頭痛に襲われた。それでも何とか意識を保ち、上半身を置きあげる。
「あ、目が覚めましたね?」
食事の乗ったお盆を手に、20代であろう男医師が入室してくる。一度食事をベッドの近くのテーブルに置くと、自己紹介を始める。
「ボクはミロ。念使い専門の医者さ」
「何でオレはこんなところに?」
「キルアって子がここまで運んできてくれたんだよ。いや〜それにしても三週間も寝っぱなしだったから彼とその友人が心配してたよ」
それを聞いてネロは少し疑問そうに首をかしげた後、ミロが手に巻いている包帯を見て表情を暗くする。
「それ……オレのせいだよね……?」
「ええ、硬の念を両手に集中させていたのに血が出たのは初めてですよ。恐らく、アナタの念が私を敵と判別し、意識の無いアナタの代わりに身を守っていたのですね」
「……運んできたって事はキルアも……」
「いえ、彼はどこにもアナタの念による傷は負ってはいなかった」
またネロが首をかしげる。ネロの念は彼が身動きが取れないときに自動で敵の攻撃から身を守るようになる。と言う事はキルアを敵と認識していなかったということなのだろうか。はたまたキルアの流した念がネロの周りを覆っていた念と相殺したか。どちらにせよ、家族以外の人間には発動していた念が通用しなかったのはキルアが初めてであった。
「さて、このご飯は食べて良いからね。ボクは仕事に戻るよ」
そう言ってミロは盆をネロに差し出して部屋を後にした。よく考えてみれば三週間寝ていたと言うことはその間ずっと飲まず食わずしていたのだろう。突然湧いてきた食欲をネロは抑えられず、食事に手をつける。
***
さらに三日後。無事リハビリも終了し、回復したネロは退院することができた。と言っても彼のせいで食料が不足し、病院側が退院を無理矢理命じたようなものだが。
まだ若干ふら付きながらもネロは歩く。この後やることはもう決まっている。ネビオン家からの邪魔が入らないように首謀の父を殺す事。キルアとの決着はその後だ。
しばらく歩き、地図で現在地を把握すると、いよいよ町から発とうと思ったら思いもよらぬ人物と出くわす。
「よ、元気?」
「お前……まだ居たのか」
ネロの前に立っていたのはキルアとゴン。2人は町の出口で待ち伏せしていたのだった。
- Re: HUNTER×HUNTER 【因縁】 ( No.10 )
- 日時: 2011/10/17 11:51
- 名前: クー (ID: .gL4F0bF)
第8話「裏通り×兄×再会」
「悪いがこれから忙しいんだ。決着はまた今度な」
それだけさらりと言ってから二人を通り過ぎる。
「待ってよ、一人じゃ危ないしオレ達もついてくよ」
「邪魔だから」
振り向きもせずゴンにそう答えた。目指すはネビオン家。
***
町から数十キロ離れた港町。到着したころには日が傾き、空は茜色に染まっていた。裏通りに入り、次第に人が少なくなる。周囲に民間人がいない事を確認し、ネロは空に向かって声を出した。
「おーい、分かってんぞー。そこにいるんだろー?」
裏通りに並ぶ建物に反射して声が響き渡る。何者かが近づいてくる気配を感じる。ところがそれはネロの予想した頭上ではなく、背後からだった。
「あれ、そっちだった?」
突如現れた人物は頭から足の先まで青い布で包また異様な姿をしている。
「まったく頓珍漢なやつだ。円の練習を怠るなと言っただろうが」
「いいじゃん、兄貴の『隠れ蓑』だって見破れるんだぜ?」
「それはお前が慣れたからだろう。初見の敵にそれは通用しない」
彼の名はトロア=ネビオン。ネロの一つ上の兄に該当する。彼の能力『隠れ蓑』は服や布、包帯などを巻いている部分を透明にすることができる。
「親父に監視でも頼まれた?」
「そんな所ではあるな」
必要なこと以外話さないように教え込まれたいるせいか、なかなか会話が続かない。
「じゃ、監視御苦労さん」
ここで必要以上に時間を取っている暇はないネロはさっさと退散しようと船場に向か向かおうとする。だがいつの間に現れたのか、トロアと同じような格好をした人物が五人ほど彼の行く手を阻んでいた。
「てっきりあの落石で死んだのかと思っていたがな。自分から人気のない場所に入ってくれたおかげで手間が省けた」
「なあ兄貴? 邪魔しないんだったらオレ、兄貴だけは殺さないでおこうと思ってたんだけど。オレに念を教えてくれたこともあったし」
「裏切り者に情けをかけてもらう必要などない。お前達、死体の処理も頼んだぞ。オレは父上に連絡に戻る」
トロアは新たに彼の背後から現れた者達にそう命じると、風景に溶け込んで消えてしまった。
「覚悟……」
全員懐から小型の刀を取り出し、一斉に飛びかかる。
「全員、バラバラだな」
心地の良かった潮風が突然牙を光らせた。ネロの周囲を囲むように発生した風は飛びかかって来た全員を粉々になるまで切り刻んでいった。血液は風に運ばれ周囲の建物に飛び散る。
残っていた数名の者達もネロの『鋼鉄の鎧』と念によって鋭く硬化したマントによって切り裂かれていった。
「さっさと逃げりゃいいのに……って時間がない!」
***
裏通りを抜け、ギリギリ最終便の船に乗り合わせる事が出来た。今は午後六時。到着は午前七時になるらしい。
宿泊もできる部屋もあり、ネロは部屋を一つ取って休むことにした。ところが、運悪く女性乗務員からこんな事を告げられる。
「ごめんなさいね、坊や。君と同じくらいの子が二人部屋を取りたいらしいんだけど一緒にこの部屋に入れてあげてくれないかしら?」
「あ、別に大丈夫ですよ」
ソファの上に寝転んで本を読んでいたネロは愛想笑いをしてそう言ったがすぐにそれは呆れた表情に変わる。
「スゲェ良い部屋じゃん! 奮発した甲斐があったな」
「よろしくね〜」
予想外のゴンとキルアの登場にネロは憤りを通り越して呆れて言葉も出なかった。
(こいつら……金なんか持ってないと思ってたんだけど……)
その夜、この部屋は嵐が来たように騒がしかったと言う。
- Re: HUNTER×HUNTER 【因縁】 ( No.11 )
- 日時: 2011/10/17 11:50
- 名前: クー (ID: .gL4F0bF)
第9話「到着×影×頑固」
時間通り午前7時、とある港に到着したネロ……とゴンとキルア。
「じゃ、オレはキュリー街から家帰るから」
「あ〜オレ達もキューリ街に用あるんだよね、キルア!」
「バカ、キュリーだろ! ちゃんと打ち合わせ通りに話を合わせ……ってもういないし」
***
キュリー街は美しい山々に囲まれた自然との共存を目指す街だ。排気ガスを出すためタクシーやバスすら置いていない。何でも、電線を立てると街の風景が汚くなるとのことで発電所や電線も全て地下に置かれているとか。また、この街のどこかに住むネビオン家の影響もあって滅多に犯罪は起こらないと言う。
「ありゃ、誰もいない……と言うよりなんか歓迎されてない感じ?」
街に踏み行った時から数多くの殺気を感じていた二人は道中で見失ってしまったネロを追い掛ける。しばらく大通りを歩いていると大きな広場に辿り着くが、背の低い建物が寂しく佇んでいるだけで人影が全く見当たらなかった。
「ゴン、構えろよ」
「うん、分かってる」
今までより大きな殺気を感じ取った二人は身を構え、その正体を探る。
「ネロが世話になったみたいだね」
突然背後から声を掛けられ、二人は背後に立つ男から素早く距離を取る。
「私はデュエ=ネビオン。君たちの事は部下達からの報告で聞いていますよ。特に、キルア=ゾルディック」
「名前を覚えてもらえて光栄だよ」
黒い帽子に黒のロングコートと、全身黒ずくめのデュエは表情を変えることなく話を続ける。
「子供とは言えこの街の風景を見た者を生かして帰すわけ何はいかない。ここで死んでいただくよ」
そう言うと同時に近くの影の中に沈むように姿を消していった。それから数秒後、キルアの影から現れたデュエが耳元で囁く。
「私の念能力、『影の暗殺者』をとくと御堪能するといい」
回避しようと動くも、間に合わずデュエの投げたナイフがキルアの左肩を貫通する。
「次は外さない……」
再び近くの影にもぐりこみ、姿を消す。
恐らく念で強化されたナイフだったのだろう、普通にナイフが刺さるよりもかなり傷口が大きい。止まることなく血が溢れ、キルアは膝をつく。
「キルア! 大丈……」
「余所見しちゃダメだよ」
キルアに気を取られていたゴンはデュエの背後からの攻撃を回避する余裕はもう残っていなかった。
一瞬死を覚悟したゴンだったが、逆にデュエのナイフを握っていた方の腕が吹きとんでいる事に気がついた。
「何してんだよ、お前……!!」
ゴン達から50メートル程離れた位置にネロが立っていた。
ほんの一瞬の出来事だったため、何故デュエの腕が無くなっているのかは分からない。ただ、デュエ本人は腕が切られたのをそこまで気にしている様子もなかった。
「ネロ、お前の能力か? 『風神の衣』、応用が利くようになったな。念を込めた投げた石が風圧で腕を持って行ったか」
ネロはデュエの言葉など耳を傾けもせずに落ちていた石を拾ってデュエに向かって投げつける。今度は地面をも抉り、ながら凄まじいスピードで投げられた石はデュエに避けられ、その先にあった建物を真っ二つに切り裂いて地に落ちた。
「良い情報が入った。オレはここで逃げさせてもらうよ」
影に入り込み、その場で彼は姿を消した。それと同時にネロを取り巻く風もおさまっていった。
「サンキュ、ネロ」
キルアの傷口にネロが包帯を巻き、ようやく流血が止まった。
「この街から今すぐ出て行け。お前と決着つける前に死なれちゃ困るし、邪魔だからな」
「オレも決着つける前に相手がいなくなったらつまんねえよ」
「オレ達、勝手についてきちゃっただけだし、帰るときは勝手に帰るよ。でも、まだ付いていきないな、オレは」
ゴンもキルアもこの街から離れないと言って動かなかった。困り果てたネロは仕方なく言う。
「頑固な奴らだな。好きにしろ。オレは忠告したからな」
「やっぱりオレの友達は話しが分かる良い奴ばっかりだよ! な、ゴン!」
さっきは死ぬ寸前まで追いやられていたと言うのに今はこんなにの元気に話している。ネロも心の隅では付いてきてくれていたのは嬉しかったのかもしれない。
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