二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- そこに空があるから [inzm]
- 日時: 2014/02/11 13:27
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
---祈りましょう
全ては誰のために?
---信じましょう
全ては何のために?
---癒しましょう
全ては貴方のために?
---始めましょう
全ては自分のために?
---集いましょう
全ては皆のために?
*
はい!皆様、夜桜です
ずっと、魔法ものが書きたかったんです!
そして、気が付いたら…新スレを立ててしまいました
はっきり言って好きなジャンルだけど…苦手なジャンルです
もしかしたら、魔法関係無しに日常だけになるかもです
注意事項
・挫折大!!!←重要
・更新スピードは物凄く遅いです!!!!
・内容は考えてません(設定だけは考えたよ)
・オリキャラ出します
・あくまで、主スレは「心に灯る星」なのでこれは…続くかどうか不安ですね
・悪口、荒らしはご遠慮ください
・本人これでも真剣なので、温かく見守ってくれるとうれしいです!
・パクリ禁止!!!
・原作のキャラ無視でオリキャラが目立つこと、多いです←
-----目次-----
プロローグ>>1
1話「世界を蘇らせた巫女」>>9
2話「風の使い」>>16
3話「日常と“気”」>>21
4話「氷の戦慄」>>29
5話「白い少年と少女」>>33
6話「氷の使者」>>35
7話「いるはずのない魔物」>>40
8話「狂嵐と京嵐の姫君」>>49
9話「インランスの“王代理”と“王”」>>54
10話「インランスの加護」>>60
11話「北へ」>>65
12話「北にいる南の魔物」>>68
13話「スインルーグの加護」>>73
14話「南の魔物を放した男」>>77
15話「ウィンフールの次期王」>>94
16話「ウィンフールの加護」>>111
17話「来客」>>113
18話「ヒーファイトゥの加護」>>117
「パンドラ」>>124
19話「笑う事を忘れた少女」>>130
20話「セントラルへの道のりで」>>136
21話「霧の中」>>138
22話「無邪気さの裏」>>142
23話「守った者」>>144
24話「大切な絆」>>147
25話「報告」>>151
26話「笑うことを決めた少女」>>153
27話「潜む影」>>161
28話「憎み羨み、そして」>>166
29話「苦しさを失くした少女」>>170
30話「森に響く声」>>173
31話「双子---姉と兄」>>179
32話「双子---妹と妹」>>185
33話「狂い咲く華」>>189
34話「傷み」>>192
35話「銀色の少女」>>201
36話「双子---兄と妹」>>205
37話「ターナとルーナ」>>209
38話「重要」>>213
39話「泣くことを忘れた少女」>>218
40話「響」>>220
41話「捨てるのは“自分”」>>230
42話「姉弟」>>233
43話「真」>>237
44話「嘘と本当」>>242
45話「災いの魔法」>>246
46話「“声”」>>249
47話「確かめ」>>253
48話「5年前の『終焉』」>>256
49話「眠り」>>260
50話「漆黒の幻想」>>263
51話「真とマコト」>>267
52話「黒キ想イ」>>268
53話「2人の弟」>>274
54話「夜の帰還」>>277
55話「自分を偽り続けた少女」>>286
56話「青髪の少年」>>292
57話「歴史の眠り」>>297
58話「純白の紅」>>300
59話「紅の道化師」>>303
60話「“ミユ”」>>305
61話「自分すらも失くした少女」>>312
62話「闇をとらえる」>>315
63話「冷たいの旋律」>>319
64話「幼き声」>>324
65話「“ルイ”」>>326
66話「凍りつく鈴蘭」>>332
67話「儚く」>>335
68話「ゲーム」>>338
69話「空に舞う雪のごとし」>>341
「キセキ」>>348
70話「聖令会」>>349
71話「5年前の行方不明者」>>354
72話「罪人」>>359
73話「攻め込み」>>360
74話「戦争」>>365
75話「月神」>>368
76話「多すぎる敵」>>371
77話「アンデッド」>>374
78話「冥界からの戦人」>>379
79話「最高のタイミング」>>383
80話「炎の天使姫」>>388
81話「戦人は夜に消え」>>391
82話「帝王」>>398
83話「欠けた石版」>>407
84話「手掛かり」>>410
85話「記憶を探しに」>>414
86話「それぞれの地」>>417
87話「仕掛け扉」>>420
88話「集いの巫女の聖地」>>423
89話「試練」>>426
90話「操縦者」>>429
91話「すべては今から…」>>432
92話「言っておきたいこと」>>435
93話「前夜」>>439
94話「シャズンズ城」>442
95話「分かれた先に」>>445
96話「それぞれの戦い」>>448
97話「迷い」>>451
98話「彼女の思い」>>454
99話「心が流すモノ」>>457
100話「無機質な涙」>>460
101話「流れるは透明な」>>463
102話「過去」>>466
103話「黒の言葉」>>469
104話「雷帝」>>474
105話「銀色の涙」>>479
106話「レオンという少年」>>487
107話「氷」>>490
108話「ひとこと」>>493
109話「進む」>>498
110話「異変」>>501
111話「対面」>>502
112話「兄」>>503
113話「私の声」>>506
114話「レオン」>>511
115話「氷裏」>>513
116話「ラスト・ブレッド」>>514
117話「地下」>>516
118話「終わりの巫女」>>517
119話「だって貴方は」>>523
120話「集い」>>525
121話「目指す場所」>>526
心時計メモワール
【私と貴方と運命論】>>521
-----オリキャラ&設定-----
星宮そら>>7
月風かがり
優樹つらら
凪原ゆうり
神田舞衣香
神田菜乃香
朱里澪>>95
真・マコト>>291
朱里心結>>296
天音美月>>364
姫佳様オリキャラ
ラティア・クラリス>>13
ティアラ・クラリス
おーかみ様オリキャラ
リオン>>382
設定紹介>>5
登場人物>>10
登場人物・敵version>>139 >>169 >>289 >>309 >>358 >>403
頂き物
風風様より 《悪逆と極悪な言葉と思い》>>477
☆来てくださったお客様(読者様)
・天音様
・姫佳様
・桜花火様
・おかゆ様
・紅闇様
・桃咲 梨莉様
・玲奈様
・雪姫様
・さくら様
・海穹様
・風風様
・甘楽様
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- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.526 )
- 日時: 2014/02/11 13:13
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
121話「目指す場所」
嗚呼。ああ。アア。
もうすぐ、もうすぐで、世界が終わる
そしたら今度こそ
いまから創造し作られた世界でなら
「俺も君も、笑って生きていける」
*
「闇が、溢れている」
「あぁ。この城の中心部。地下の、深き場所。アイツはそこにいる」
ティアラに対しレオンが言う
「此処よりも?」
「嗚呼。千年前、その場所でシオンと、ゼレフは全てを失った」
「とにかく、この先へ行きましょう。中心部に向かって、できるだけ近くに。そしたら、自然と皆集まる」
そらが言う
“この先が一寸の光もない闇だけのセカイだとして、どれだけの希望が存在できるのか…”
*
破壊された最上階
「氷裏。どこ」
開いた穴を見つめルーナが言う
「行くか…。氷裏はきっと、彼奴から離れるような事はしない」
それはターナが知る真実
「なら、探さないと」
「「氷裏の大切な人を救うの」」
*
封印されし、我が肉体
此処で我らは別れた
別れるしかなかった
だか、違う
今は違う
「俺には、お前を守るための力がある」
願ったのは
簡単な事
祈ったのは
普通の事
なのに、すれ違い
なのに、歪み
想像とは違う現在
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.527 )
- 日時: 2014/02/11 16:34
- 名前: 姫佳 (ID: aw3qwL.x)
- 参照: お久しぶりです。ダイヤのエースにどハマリ中の姫佳です
お久しぶりです。さらに、かなーり遅いですが明けましておめでとうございm((ラティア「えぇ、本当に遅いわね。」
ラティア、という名前自体久しぶりに打った(・ω・`)
そろそろこの物語も終わりに近づいてきたね!巫女も全員そろったし!
色々あって大変だと思うけど、更新楽しみにしています^ω^ノシ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.528 )
- 日時: 2014/02/11 19:59
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
- 参照: ハイキューで小説書きたい
姫佳
キャアアアっ!!!
お久しぶりですー!
かがり「煩い」
あ、すみません
明けましておめでとうございました
物語も最終章、です!
4月になるまでに終われば良いな
目指せ、最終話
ティアラちゃんとそらの出会いとか
ラティアちゃんと美月のエピソードとか
短編を考えてます
楽しみにしてて
コメ、ありがとう!
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.529 )
- 日時: 2014/02/12 19:20
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
122話「集う仲間」
頭が痛い
そう言ったのは誰だったか
それすらも判らなくなるほどに
闇が強く
光を保つことが難しくなる
「これは…」
「結界」
かがりとラティアが目の前に広がる黒い“何か”を見て言う
何か。
壁というには薄く
シールドやバリアというには異質なもの
その何かが物語っている
その先に全てがあるのだと
「ラティア姫様。闇が、溢れ出ています。危険です!」
リオンが震える声で告げる
彼女の震えは目の前の闇に対してか
それとも今まで体験したことのない状態や環境に対してからか
「そうね。でも、行くしかないのよ。時間はもう、残されていない」
強くラティアが言う
彼女の強い声もいつもより力がないように聴こえる
「アンタは平気なの」
かがりがその結界を見つめる氷裏に尋ねる
「恐怖感がないと言えば嘘だけど。飛び込めば、帰ってこれる保障はなわね」
本音を混ぜつつ仮説を言う
「…それより、簡単に入れるものなの?かなり高度なモノだけど」
「さぁ。入ってみればわかるんじゃない?」
「乗り込むには人材が足りないわ」
かがりは言う
ここにはいるべき人がいない
まだ、揃っていない
「柱がある。これは…」
ラティアは異質な結界の外
それを囲むように存在する城を支えているものとは違う柱を見つける
その数は4つ
ラティアは近づく
柱に触れれば青く輝く
ラティア、かがりの声
「これは?」
ラティアが離れれば柱は輝きを失う
試すようにかがりが触れる
柱は再び青く輝く
だが、リオンが触れても何も起こらない
それどころか、他の柱には誰が触れても反応がない
其々が思考を巡らせていると声が響いた
「かがり!」
声の主はアフロディだ
役者がまた集まった
「遅い」
「ごめんよ。ちょっと色々あって」
同じタイミングでその場に来たそらがアフロディと共に現状の確認をラティア、かがりにしている
「レオン」
氷裏の声
「氷裏。リオン」
「お兄ちゃん!」
リオンはレオンの元まで走る
良かった、リオンは言う
「お兄ちゃんが無事で、良かった」
「リオン…。すまない、心配をかけた。氷裏は、大丈夫なのか」
申し訳なそうに、合わせる顔がないかのようにレオンが尋ねれば
遠い記憶にあった優しい笑みを浮かべ当たり前よ、と告げる
後ろから疲れた、と言う声
もたれるように近くの柱によしかかる
すると、柱は赤く輝く
「えっ?!さっきは…」
「青だった」
驚きの声
「どういう事?」
「え?何、何?私何かしたの?!」
ティアラが慌てて離れる
それと同時に赤い輝きが消える
ラティアとかがりが頷く
「照美!そっちの柱に触れて!!」
かがりが言う
「え?これかい?」
アフロディが触れる
すると柱は白く輝く
「これは…」
その輝きを見てアフロディが言う
「さっき、私とかがりが触れた時は青かったわ」
「え?私は赤だったよ」
「青、赤だったんだよね?そして次は白色…。属性?」
そらが言う
「恐らく。でも、何に使われるものなの」
「それは多分。闇を抑え込むためのモノだ」
「闇を?」
レオンを見てそらは聞き返す
「ああ。多分だけど。それの本当の力を引き出せるの巫女。4人の巫女がその力で闇を抑え、光が中心部で全てを終わらせる。それが千年前に巫女たちが行った事だ」
「どうして貴方がそれを」
ティアラが問う
「…僕はゼレフにいままで使われていた。あいつの記憶が残っている。千年前、この先で全てを失った彼奴の無念を、僕は見ていたかのように知っている」
「いいわ。守たちを待ちましょう。きっと、此処に向かってきている」
ラティアは言う
先ほどとは違い確信と自信のある声
皆がその声に頷く
*
どうして。
どうして裏切ったの?!
…シオンっ!!
私は何も知らずに彼女を追い詰めて傷つけて
彼女の心を見ていなかった
誰よりも優しい彼女だから
誰よりも弱くて、誰よりも強い彼女だから
どれだけの言葉で貴方を傷つけてしまったの?
私の浅はかだった言葉
私の愚かだった行動
ぜんぶ、ぜんぶ
謝りたいの
貴方に。
でも、出来ないから、この先は現在(いま)を生きるもの達に
私は、私の意志をもつ彼女に、彼女たちにすべてを託す
彼女が真実(ほんとう)に辿り着くには、もう少し時間がいるかもしれない
だけど、極限状態で答えを出せた貴方だから
きっとみつけてくれると信じている
あの時とは違う結末へと導いてくれると
*
暗く冷たい床を叩くような足音
沢山の足音
嗚呼、ようやくか
誰かが言う
「遅いわ」
「わりぃって!ラティア」
笑いながら円堂が言う
「つらら達は大丈夫?」
「まぁどうにか」
「あれ〜1人多いよ?」
ティアラがユノを指し言う
ルイが何かを言うより早く春奈が言う
「新しい仲間だよ!…ね!」
屈託のない笑顔でユノに尋ねる
それを見てユノも淡い笑みを浮かべ
「はい」
応えるのだった
「あたしたちが一番最後?!」
「そうみたいだな」
「あー!もう、イクトのせいだぁ!!」
澪はイクトに文句を言う
「なんでそうなんだよっ!」
「馬鹿だからよ!」
「澪、違うでしょう」
心結に言われしぶしぶ引き下がる
「無事だったのね。心結」
長い間すみませんでした。素直に頭を下げる心結
わいわいとお互いの無事を確かめ合う
レオン、氷裏は己の仲間たちを見る
そしてある事に気が付く
「ターナと、ルーナは」
「何処だ」
一瞬の沈黙
「ターナたちは氷裏さんを助けると」
「先に行かせた。どうしていないの」
菜乃香、舞衣香が困惑する
一同は姿の見えないターナとルーナの身を案ずる
それだけじゃない、ラティアは口には出さず考えていた
まだ、美月が来ていない事
美月は今まで、ラティアに嘘をついたことがない
初めて会った時でさえ、自分自身を嫌い、小さくなっていた頃でさえ
ラティアにまっすぐ告げたことはどれも本当だった
なのに、まだ美月は姿をみせない
迷いがラティアに頭の中をぐるぐると廻る
あの時、無理をしてでも誰かを一緒にさせるべきだったのではないか
もしくは自分が一緒にいるべきだったのではないか
私は、間違いを犯したのか
ラティアの顔が下を向き誰からも表情が伺えなくなったとき風を切る音がした
それに気づき音のする方、上を見上げる
天井から地下まで、空いている穴
否、先ほどまで天井。空を見る事は出来ていなかったはずだ
上の階は見えても最上階は塞がっていたはずだ
少なくとも、自分たちがここに来たときは
だが今は星すらもないため暗いが確かに空を見ることが出来る
風を切る音は段々と大きくなる
そしてそれは視界に入る
「うわぁぁあああ!」
「ストぉっプ!ストップ!いやぁあああ!!」
響く幼い声の絶叫
「ラティア姫!!」
見覚えのある顔と明るい声
「キャハハハ!ちょっと黙りなさいな!」
此処にいるはずのない者
落下している
重力のまま、上から下へ落ちている
誰もが危ないと思った
それと同時に美月が、アンが、言う
「《ムーン・プロテクト》」「《バルーン》」
月色の輝き
赤と黒の大きな風船
4人の落下速度は下がる
ゆっくりとその場に着地する
アンに抱えられていたターナが肩で息をする
美月にしがみついていたルーナが涙目でにらむ
「速い!!速いけどやぁぁぁあ!!」
「そんな事言わないで。最短距離だったでしょう?」
美月は言う
「ちゃんと着けたじゃない。怪我もしなかったし、文句は受け付けないわ」
アンも問う
「寿命は縮んだよ」
「ラティア姫。天音美月、只今合流いたしました」
綺麗な笑みで敬礼をしてみせながら美月が告げる
「遅いわ。すぐって言ったじゃない」
すみません、と美月が謝る
「まぁ…とにかく、全員揃ったね!」
明るい声が全員の無事と全員の意思を確認していた
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.530 )
- 日時: 2014/02/20 03:40
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
223話「支え」
私は今、何処にいるの
彼の味方でいて
彼女の味方でもいて
どうしたいの
私は、どうしたいの
*
「以上よ」
ラティアがこれからの事を話す
巫女がこの場で闇を抑える
そのうちに中へと入りゼレフを、闇を終わらせる
「誰が行くんだ」
風丸が真剣な表情をして尋ねる
「私達が行くわ」
ラティアが言うとティアラが手を上げる
「あたしも行くよ。シオンの言葉を、伝えないといけない」
「私も…行く。きっと出来る事があるから」
かがり、そらが言う
「俺は行かないといけない。俺には責任がある」
「アンタを独りにしないって決めたのよ。責任は、あたしにもある」
レオン、氷裏が告げた
「なら、俺たちだって」
円堂が言うがそれは却下される
「駄目よ。貴方たちには、巫女の護衛をしてもらわないといけない。それに、此処に被害が来ない保障はないの」
「その時に備えてもらわないと」
ラティア、そらは言う
「私も、行きたいよ。お兄ちゃん」
リオンは言う
レオンは首を横に振る
「駄目だ。お前は此処にいてくれ。お前は、帰る場所でいてくれ」
「あたしたちは、帰る場所なんてないの。貴方は今まで、レオンの心の支えであった。だからね」
“あたしたちの帰る場所として待っていてほしい”
「そら」
「なぁに。一郎太」
そらに話しかける風丸
「行くんだな」
「行くよ。本当は怖いけど、だけど。私にも出来る事がある」
“行かないといけない。過去と向き合うためにも”
「帰ってこいよ。生きて」
「当たり前。私は、皆いるあの場所に、一郎太のところに、ちゃんと…帰ってくるよ」
“待っていてくれる。そう、それが約束になる”
「かがり。帰ってきたら、聴いてほしい事がある」
「何、ソレ。フラグ」
ふざけるように笑う
「そうだね。なら、今言おうかな」
アフロディが柔らかく告げる
「僕は、君の事が」
言いかけて言葉が止まる
かがりがアフロディの口元に人差し指を立て言葉を制する
「聴かない。その話は聞きたくない」
「かがり」
それに、かがりは言葉を続けた
“フラグはへし折るものでしょ”
「ラティア姫。そんな顔をなさらず、いつもの貴女でいてください」
ラティアの正面に立ち、凛とした顔つきをいつになく崩し柔らかい笑みで美月は告げた
彼女は知っている
ラティアの心を。確かに、彼女がラティアと出会ったのは他よりも遅い
付き人ではあるものの、それ以上ではない
だが、美月はラティアを知り、理解し、感じている
それは美月がラティアと出会ってから4年。共に過ごすようになって3年、その月日が得たもの
「貴女がそんな顔をしていてはいけません。貴女は姫なのだから」
諭すような優しい声
「貴女に言われる日が来るなんて。私も弱くなったのかしら」
呟くような弱い声
いつだって、美月の前では凛とした姫であったのに。美月に手を伸ばした者として
弱くなった、ラティアは言う
だがそのようなことはない。弱いだなんて誰も思っていない
「そうじゃ、ないんです。ラティア姫…。私は貴女を見てきました」
出会ってからずっと、美月は言う
私に道を示してくれたのは他でもない貴女。そんな貴女がそんな自信のない表情を
していては困ります。私が気づくのですからティアラ姫やかがりさん、そらさんも
気づいているのでしょう。でも、だからなんです?
気づく人にだけ、弱さを見せてもいい。いつも“姫”でいなくてもいいのです
「いつもの貴女でいてください。姫でなくても、ただの、ラティア様でも、私は構いません」
だから、そんな顔はしないで
「貴女の一言が私たちにどれだけのモノを与えてくれるか、知っていますか?」
知らないのでしょう、美月は困ったような笑みを浮かべた
「私は、貴女の一言で変わったのです。だから、また…言ってください。貴女の言葉で」
ラティアはその言葉を頭の中でリフレインさせた
美月が告げたもの
美月の言葉
ラティアはこの現状を良いものなどと思っていない
遅かれ早かれ、時は来てしまう
国を守る立場が、気が付けば世界を守る立場へと変わってしまっている
責任が重い
今まで感じたことのない重圧。闇の中へ入るという不安
たくさんのものに押しつぶされそうになる
いつになく弱気になっていることはラティア自身気が付いている
「私は…」
言葉が途切れる
「私は普通に弱さのある貴女でも良いと思います。ラティア様、独りじゃないのです」
晴れやかな笑み。それは再び出会ったころに見せたものによく似ていた
そうね、ラティアは言う
美月に声をかけたのも、手をさしのばしたのも、前へ進むことを教えたのは
ラティアだ。だからこそ、彼女の期待をラティアは裏切ることはできない
それが、彼女が付き人となったときにラティア自身が取り決めた小さな決意
「ごめんなさい。美月、心配をかけたわ」
吹っ切れたような明るい声
「もう大丈夫よ。私は、進めるわ」
“道を示したのは、私なのだから”
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