二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- fortissimo Akkord:参戦者募集
- 日時: 2011/11/27 12:58
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
- 参照: http://lacryma.info/fortissimo/top_b.php
ととものが詰まってしまいもう新しいもんでも書いて詰まるのを解決しようと言うとんでもない理由で作られた小説がこれでございます。
はじめましてみなさんこんにちわ。気まぐれ初心者痛い子こと冒険者というます。なんでか詰まるたびに新しいもんを作りまくる俺ですが、これはお気に入りの世界観なんで多分飽きないかな……。というわけで、今回はフォルテシモアコルドビーサスフィーアというパソコンのギャルゲーを基にしたオリジナルの小説を気まぐれで書こうと思います。
簡単にいえば、知ってる方は知ってるかと思いますが、フェイト・ステイナイトのようなゲームです。13人の召喚せし者(マホウツカイ)が舞台でバトルロワイヤルをするというお話です。といっても俺は友達の話をのぞいてふむふむ言ってただけなんで詳しくは知りません。原作破壊覚悟してますw。URLにそのホームページを乗っけときましたので行ってみると読みやすくなるかな……できるだけわかりやすく書くつもりですが!用語集はそこにありますのでそこを参考にして下さい。
基本キャラは別行動で、オリジナルの主人公が適当に観戦したり乱入したり遊んでたり特定のキャラに味方したりと色々壊れます。シナリオも後で分岐します。しかも主人公最強伝説を顕現してみたり!というある意味もう暴挙のような小説ですが、それでもよければ読んで下さい。文章力は紙です。雑魚です。底辺です。
ってなわけで、オリジナルの参戦者もう募集しちゃえと。5名ほど。
多少強くてもまぁそういう話なんでもうおk。原作を無視しない程度なら俺の腕で頑張って小説内で暴れて……もとい、活躍してもらいます。
じゃあ早速募集の紙を…。能力とかもHP参考にお願いします。強すぎは制限をかけさせてもらいます。ちなみに死ぬときは死にます。殺されます。それでもよければお進み下さい。
名前/読み
性別
年齢
外見
性格
基本ステータス Sが一番高いが全てSは理論上無理。
破壊力
スピード
射程距離
持続力
精密動作性
魔力総量
成長性
基本能力 詳しく説明。多少現実をぶち壊してくれた方が分かりやすいっす。ですが度が過ぎないように。
アビリティ 特殊な能力がある場合、ここに明記してください。
必殺技 切り札の名前。これも必須に明記頼みます。
戦略破壊魔術兵器 簡単に言うと武器。必ず召喚せし者には存在するので必須。
詳細 その他、用語集などに載っていることで追加したいことがあれば。後はどういういきさつでこれに参加した、などは必要なのでお願いします。
一人称
人間関係 これもあると助かります。必須ではありません。
死んでもいいですか? 死んでも生きてもどちらでも。
サンプルボイス
最後に。ここに参加する方は大体舞台の学校で過ごしている方か、何か用事でこの島に訪れている方になります。主人公はここにすむ家族のところに着ている設定っす。それでは、まずは主人公紹介と行きましょう。
- Re: fortissimo Akkord:参戦者募集 ( No.31 )
- 日時: 2011/12/14 15:11
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
ゲーム最強の兄妹
だだだだだだだだだだだだだだだだだだだ————
汰癒の手に持たれたバチがゲームのコントローラーである和太鼓を連打する。最早早すぎて音が連続して聞こえる。彼女は楽しそうに連打を繰り返す。当夜はその光景に唖然としていた。
「……汰癒?」
「えー!?なにお兄ちゃんうるさいよー!」
「……」
ゲームに夢中で当夜の声を叫び声で返す。元々ゲーセンはうるさいのでなおさらだ。画面では和太鼓のキャラが「この曲をフルコンボ!?あ、ありえないどん!?」とか言っている。真由も当夜の傍らにたって、無言で汰癒のプレイを眺めていた。
「ふーっ……すっきりした!」
満足そうにバチを入れ物に戻してニコニコ笑う汰癒。ほんとに楽しそうだ。またまた画面ではキャラが「ランクインだどん!……って全国NO1!?ど、どうなってんだどん!?」とまだ叫んでいた。
「んで、どうかした?」
「……いや、上手いな。お前」
「そりゃもう玄人レベルだもん私。伊達に上位プレイヤー名乗ってないよ?」
「マジか」
「ほんと。汰癒も私も上位プレイヤーに入ってる。この「和太鼓の達人オンライン」では日本でも5本指に入る」
「嘘だろ!?」
ゲームのタイトル画面のあと、表示されたランキング一覧が凄かった。全プレイヤーは数万にも至るらしい。二人が「これが私のなまえ」と指差したのがひらがなでたゆ、まゆ、と書かれたネーム。
全国3位と1位だった。
「おまっ……」
「凄いでしょー!」
「ちょっとした自慢なんだよ」
汰癒が胸を張り、真由も誇らしげに言った。
散り散りになった後輩たちも騒ぎを聞きつけてやってきた。
「先輩たちの実力ってすごいですよね?!これ、今すごい人気のゲームなんですよ!」
「へえ……」
「最強の双子さんって言う通り名まであるんですから!」
「……」
ゲームにかんしては当夜は素人だがどうやらスケールがすごいみたいだ。
「当夜さんもやってみればいいんじゃないですか?」
「俺?確かに自信はあるけど……素人」
「だったら砕けてみるのもありですって!」
後輩さんたちに押され、当夜もやることになった。名前は取り合えずお気に入りの言葉を平仮名で。
「いさな……?」
「古い言葉でね、鯨って意味の言葉」
というわけで、当夜こといさなはゲームの世界に果敢に突っ込んでいった。
「えええええええええええ!?」
「た、汰癒ちゃん先輩を超えた!?」
「しかも実質上の最高得点……け、桁が違いすぎる……」
「んー……」
戦慄する後輩さんたちを尻目にバチを戻してさらりと一言。
「思ったより簡単だったね。タイミングさえあえば誰でも出来そうかな」
「……」
その言葉に後輩一同言葉を失う。
結果、当夜こといさなは汰癒以上のコンボをいとも簡単にたたき出し、ケロリとした顔でランキングを塗り替えた。さすがの汰癒もびっくりしている。
「う、嘘……お兄ちゃん、こんなことまで出来たの?」
「すごすぎる……」
真由ですら褒めるその実力はのちのこの世界に「彗星の如き勢いで現れた伝説の星いさな」として名を馳せることになるのはしばらく後の話である。
- Re: fortissimo Akkord:参戦者募集 ( No.32 )
- 日時: 2011/12/16 16:53
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
新しいキャラ追加っす。多分オリジナルはこれでおしまいかな…?
名前/読み 如月天/きさらぎ あまつ
性別 男
年齢 18
外見 空色の右目、黄土色の左目のオッドアイ、灰色の髪の毛、首に傷跡のあるだけのごく普通の少年
性格 臆病で、常に戦いを回避しようとする。当夜と似たような性格だがこちらは冷静な部分も持ち合わせる。邪魔をするなら罪だって犯しても気にしない。
基本ステータス Sが一番高いが全てSは理論上無理。
破壊力 F
スピード F
射程距離 F
持続力 F
精密動作性 F
魔力総量 A
成長性 EX(測定不能)
基本能力 色を纏った記憶たち(オールカラーメモリーズ)
自分の失った記憶が復活するたび能力が上がっていく不思議な能力。散らばった記憶を思い出すたび桁が違うほど強くなる。覚醒の条件は不明。
最初は無色であり、戦略破壊魔術兵装の形状も無いのだが、覚醒するとどんどん強くなる。ただし一度に一個しか使えない。
使用する能力によって容姿が変貌する。
アビリティ
『無色の思い出』(セピアメモリー)最初から所持している能力。自分の回復能力を劇的にあげ、致命傷をも瞬時に完治させる。ただし体が消し飛んだり再生不能レベルまで破壊されると無効。
『気高き黒の翼』(メモリアルブラック) 気高き黒髪の少女の思い出を思い出すたびに強化する能力。身体能力が劇的にあがり、高い知能も同時に得る。短期決戦用に普段天が使用する能力の一つ。
『白い雪兎』(メモリアルホワイト) 白髪の若草色と藍色の瞳を持つ少女との思い出を思い出すたび強化する。脚力と聴力をを爆発的にあげ、更に雪と氷を自在に操る能力を得る。
『優しく紅い柊の木』(メモリアルバーニング) 優しい煉獄を纏うの少女との思い出を思い出すたび強化する。炎や熱、光などを自在に操る能力を得る。
『踊る翠の楓の葉』(メモリアルエメラルド) 唯我独尊の翠の瞳の少女の思い出を思い出すたび強化する。翠の風を纏い鎧や剣、はたまた暴風など汎用性の高い能力を発現する。
『大きな銀色の月』(メモリアルシルバー) 慕ってくれた銀髪の後輩の少女のことを思い出すたび強化する。他者に対しての能力の強力な減衰能力を与える。最終的には一時的に全ての召喚せし者の力を抑えることが可能になる。
『みんな大切だから』(メモリアルセレクト)
現状で使っている能力を切り替える能力。特に目立った効果はなく単なる補佐的能力。
必殺技 『天に浮かぶ霞む夜』(メモリーズリライトゼロ)
自分の一番大切な人との思い出を完全に思い出し、なおかつそれを砕くことで発動する能力。全部の戦略破壊魔術兵装、召喚せし者、その他その系統のことを『なかったことにする』概念魔術。ただし使うには全ての能力を元に戻すことが前提。そしてそれを砕く覚悟がないと効果が消える。
戦略破壊魔術兵器 写真立て。中にはセピア色の写真が入っている。この写真は見るたびに写っている光景が変わる。それが記憶を探す手掛かりとなり、他のと違い常時所持している。
詳細 突如現れた少年。記憶が無くどこに住んでいるかすら覚えてないとか。ふらふらといつも彷徨い戦場にふらりと出てくるたび能力が劇的に跳ね上がっており、手に負えないほどの成長率を誇る。失った記憶を探してここまで来た。本人曰く『最終戦争』には関係ないらしい。かつて、何か大きな戦争に巻き込まれたとか言っている。そこで失くした大切な親友たちと記憶を無くして今は……。
一人称 俺
人間関係 彷徨う幽霊
死んでもいいですか? 多分死ぬ
サンプルボイス
「あ、ここは……」
「大丈夫だよ、椎名。思い出した」
「霞夜……戦おうか。一緒に」
「煉……ごめん……燃やし方、忘れちゃったよ、俺」
「楓、力を貸してね」
「琥那雪の思いは……ここで……」
「銀花……あいつらに、痛みをくれて上げて」
「みんなの思い出、絶対思い出すから……」
「俺はに関係ない。俺は俺の思い出とみんなの思いを探してるだけだ。邪魔するなら退いて貰う」
- Re: fortissimo Akkord:参戦者募集 ( No.33 )
- 日時: 2011/12/16 15:21
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
彷徨い続ける少年
「あの、すいません」
「ん?」
ゲーセンで汰癒たちがみんなと一緒に何処かに遊びに出かけてるときだった。不意に声をかけられた。みると少年だった。
「高嶺病院ってところを探してるんですけど……何処か分かりますか?」
「あー……」
どうやら道を尋ねたいらしい。しかし当夜もこの島にきて日が浅いので分からない。高嶺病院は確かこの島で一番大きい総合病院だったか。
「すんません、俺もまだ日が浅いんでよく分かんないんですよ。妹たちが知ってるかもしれませんが……」
「そうなんですか……」
少年が困ったように天井を見上げた。変わった少年だった。
瞳の色が空色の右目、黄土色の左目なのだ。オッドアイというのだということを当夜は思い出す。先天的、あるいは後天的に発病する瞳の色彩が壊れて再生しなくなるものだったか。灰色の髪の毛はどこかバッテリー液のような色。澱んだ灰色というのだろうか、表現が難しい。
お洒落でカラコンを入れてるわけじゃ無さそうだ。
「すいません、力になれなくて……」
「いえ。俺もこの島の地形とかあんまり覚えてなくて……。すいません、ありがとうございました」
少年が踵を返して去っていった。その様子を、怪しい光を宿す双眸が睨んでいたのにすぐに当夜は気付く。振り返ると、伊織だった。
「あの人、新しい人ですね」
「は?」
唐突に彼女は言う。
「彼、『召喚せし者』ですよ。でも、珍しいですね。『最終戦争』に無関係っぽいですよ」
「……」
こんな大っぴらなところで話したくない話題だ。だが伊織は続ける。
「大丈夫ですよ。私がいる限りみんなは帰ってきません。そういう風に振舞ってますから、私」
にっこり笑うその笑顔は人によっては魅了されるが当夜には壊れた機械にしか見えない。感情がイカれてる。
「まぁ……何かを探してるみたいでしたね。こちらの殺気に気付く素振りすら見せませんでした。どうやらアウトオブ眼中みたいですね、私」
「……無関係なら、それでいいだろ?」
「ダメですよ。ほっといたら襲ってくる可能性だってあるでしょう?」
そんなことはない、と言いたかった。が、彼女に何を言っても無駄だ。
単純に彼女は戦いたいだけなのだ。その大義名分が欲しいだけ。襲われる可能性があるから先手を打つというこの言い分だって後付に過ぎない。
「もし、さっきのひとに襲い掛かったら俺が伊織さんを殺すよ」
「出来るんですか?私達は同族でしか殺せないと言うのに?」
小声で彼女が言う。くっくと鳩のように笑うのが癪に障った。
「『死なない』だけであって半殺しは出来る。そして、俺にはNO15っていう『召喚せし者』がいる。その結果は……分かるよな?」
「ええ。長夜さん、でしたか。あの人は厄介そうでしたね。龍一先輩とかと同類のにおいがします」
「におい?」
「他者のために戦う人のにおいです。偽善といえば分かりやすいですか」
伊織は真面目な顔で続ける。
「長夜さんは間違いなく貴方のために戦うと思います。ですが、そういう人を虐げるのが私の趣味なので」
「サディストな考えだな」
「嗜虐思考?違いますよ当夜さん」
再び満面の笑み。だが目だけは笑ってない。
「あれは私なりの友好の形です。埒外同士、停戦を結んでいる以上、敵対行動はとりません」
「その理念がおかしいと思わない?」
「全然。これが当たり前です」
きっぱりと伊織が告げた。そしてその言葉に迷いは微塵もない。
「そう」
やはり彼女は人格が壊れている。それが浮上してこないのは親しい仲がいないからか。
「当夜さんは全ての参加者と戦う約束でしたよね?ということは私とも戦うわけですよね?」
「そうだね。一応君と戦う理由はあるわけだ」
「じゃあそのときに私なりの友好の証を見せてあげます。割と気に入りましたよ、当夜さんは」
「……光栄なのか?」
「光栄ですよ。ただ、私の友好の証は少々痛みを伴いますが」
「おぉ怖い」
「大丈夫です。不死身、なんでしょう?」
苦笑する当夜。どうやら彼女は一筋縄ではいかないようだ。
- Re: fortissimo Akkord:参戦者募集 ( No.34 )
- 日時: 2011/12/17 11:22
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
戦いのゴング
「……?」
不意に、昼間の違和感を感じた。
「ああ、どうやらまた新しい戦いが開始されるみたいですね」
伊織が嬉しそうに言った。
「……頻繁だな、このごろ」
「脱落者がそれだけ少ないんじゃないですか?」
どうやら『悠久の幻影』がまた展開されているらしい。今日だけで2回目。場所時間選ばずに展開されるのは何故だろう?
「どうします?当夜さん、私と戦いますか?」
「今はそのときじゃないだろ。俺は優先して戦う相手を見つけた」
「ほぉ、それは?」
「芳野零二っていうあの人型の武器を使ってる人。あの人に少し興味が湧いた。あれはもしかしたら主催者本人かもしれない」
「……なる程。当夜さん、こう考えているんですね。
この戦いは何時終わるか、しかも勝利条件が見えない。
何せ現状は手を組んでいるものが殆どで、私達埒外ですら互いに戦うおうとしない。なら、この条件を上手く利用して主催者のあの人を倒してしまえば、これ以上の被害を出さすに済む……と」
「……そうだね。それに近いことは考えてたかな」
伊織の指摘も間違ってはいない。こういう、バトルロワイヤル方式とはいえ、勝利条件がはっきりしない状況では誰も闇雲に戦うつもりはないだろう。
だったら、この状況を利用して、説得するのはどうだろうか?
まだ顔合わせしていない参加者もいるだろうが、それはまぁ戦って自分がわざと負けて、それで説得すればいい。終わりのない戦争など、疲弊と憎しみを増やすだけだ。
だた、主催者を倒してしまえば、この茶番が終わる可能性が少なからずある。ならやることは簡単だ。
オーディンと名乗った姿の見えない男性を見つけ出し——あるいは紛れている可能性も否定できない——それを倒す。
そうすればこれ以上の悲劇は終わる。
「……俺はそのオーディンと名乗った存在を視認してるわけじゃない。ただ男性で、莫大な魔力を持ってることは確かだ。この空間だって、彼が作ってるんだろ?」
「そうですね。そう推察するのが妥当でしょう」
「……で、そこで俺たちを伺ってる奴、出て来いよ。いるのはバレバレだぞ」
「?」
当夜が振り返らずに強い口調で言った。
だがそこには誰もいない。静寂が支配しているだけだ。
「……俺を召喚せし者と勘違いしてるのか、あるいは伺ってるだけか……どっちだか分からないけど。伊織さん、いい?」
「共闘ですか?いいですよ。共通の敵がいるなら殺すだけです」
「汰癒、真由!長夜!」
伊織がキーホルダーに手を伸ばし、当夜は虚空に名前を叫ぶ。
「分かってるよ、お兄ちゃん!でも何でお姉ちゃんまで呼んでるの?」
「汰癒、忘れた?姉さんは学校サボって遊びに来てるって」
「そうっすよー!汰癒ちゃん、真由ちゃん久し振りっすー!」
現れる3人は何故か長夜に抱きつかれた形で。汰癒はくすぐったそうな顔で、真由は仕方無さそうな顔で。長夜は嬉しそうに。
「って、さっきの人!えーと」
「桐凪伊織です。名前覚えてください」
「そうっす。仲間の伊織っすね!りょーかいっす!」
「絶対了解してないから無視していいよ」
途端に騒がしくなった空気に、対立者は困惑しているようだ。
「長夜、攻撃。適当に」
「わかったっす!」
「今回は水面神としての能力だけで戦ってみろ。たまには地力を鍛えておかないとダメだから」
「りょーかいっす!」
笑いながら構えを取る長夜。彼女の基本は白兵戦だ。
「『魔術兵装』」
「いくっすよ二人とも!」
「うん!『呼ばれ呼ばるる物を纏え』」
「分かってる。『呼ばれ流れる物を従え』」
『眠れる万象、おいでませ』
3人の声がシンクロする。真由と汰癒の体が透けて粒子に変わり、長夜に吸い込まれていく。その様子に伊織が唖然としていた。
「うわぁ……召喚せし者じゃないのに、あんな力があったんですね……先輩たち」
「水面神っていうのは少なからず変な力を持っている一族なんだよ」
と苦笑しながら言った。
「そういう君も、やっぱり異常だね」
「そうですか?」
彼女の背後に浮かぶ微かなシルエット。かの拷問器具としてゲームや物語に出てくる有名なものばかり。鉄の処女(アイアンメイデン)をはじめ、断頭台、磔刑用の十字架、不死身の吸血鬼を殺したと言われる木の杭まで。何か一個だけチャッカマンがあるのがシュールだ。
「……早く出て来いよ」
「じゃないとこっちからいくっすよ!」
「動揺してるみたい」
「真由、相手は何人くらい?」
「どうでもいいですよ。じゃあ、馴れ合いと言う拷問処刑を始めましょうか」
- Re: fortissimo Akkord:参戦者募集 ( No.35 )
- 日時: 2011/12/17 16:22
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
見習い術士(マジシャン)
「あぁ……なるほど。そういうことですか」
「なんだ、拍子抜けっす。格下じゃないっすか」
「……」
出てきたのは20代前半と思われる男女6人。全員がラフな格好をしている。
「召喚せし者じゃなくて、『見習い術士』(マジシャン)ですか。雑魚ですね」
「……なんだそれ?」
当夜が尋ねた。
「簡単に言えば、長夜たちと違って能力しか持ってない格下の相手っす。武器がない分弱いっすね」
「弱いかどうかは戦ってから決めろよ、化け物が!」
一人が懐から大型拳銃を取り出す。容赦ない発砲。だが。
「通常兵器じゃ俺たちは死なないぞ」
当夜の一言で空間がぐにゃりと捻じ曲がる。
「!?」
息を飲んだ。空間で、いや空中で弾丸が静止している。
「忘れたか?お前等が拳銃を平気なように、俺たちもその程度の攻撃どうってことないんだよ」
ポケットに手を突っ込んだまま続ける。
「いいこと教えてやる。ここにいる二人の召喚せし者はすごく優秀だぞ。逃げんなら早く逃げな。死ぬぜ?」
ぴゅん!と弾丸を跳ね返した。相手の足元に着弾する。
「伊織さん」
「好き勝手にやりますよ?それでは威嚇射撃と行きましょう」
一個、キーホルダーを取り出し、巨大化させた。チャッカマンだ。
「それ、武器?」
「武器ですよ。こうして使います。まぁ、普段は磔刑(グランドクロス)とセットですけど。格下ですから。——魔女狩り(ペインフレイム)」
と。当夜の疑問に答えつつ、かちっ、と引き金(?)を引いた。
————ごぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
その先端から爆炎ともいえる炎が噴出し、相手を襲う!
火炎放射器顔負けの炎の強さだ。なんちゅう火力だこれは。目の前の視界が炎で埋め尽くされてしまった。
「……すげえっすね」
「怖っ……」
「……」
驚きの声を上げたが、それも刹那。長夜に一人の男性が高速で近付いてきていた。手には電動ナイフ。それを逆手に首狙って斬りつけようと——
「はい無駄っす」
長夜が突如消えたことで刃は空を切るだけだった。迷う男性。
「『召喚』!」
当夜ですら追いつけない速度で空中で飛翔、その手には得物が。
「壺切りっすか!懐かしいっすね!」
刃に帯電させた小太刀を握り、体勢を泳ぐように変えて切りかかる。
「ちっ!」
それを受け止める男性。電気を纏った刀身がばちばち爆ぜて火花を散らす。
「どうしたっすか?小生は武器すら呼び出してないっすよ!」
「クソッ!なんなんだお前等は!」
「神を屠って闇に墜とす、神殺しの一族っすよ!」
ばちっ!と一際大きい音がした。
二人の距離が離れる。警戒を解かない。
「『召喚』」
真由の声が虚空に響く。真由が『召喚』を使うのは極めて珍しい。普段は自分の制御できる能力しか使わないのに。
「おいで、野槌」
「!?真由、やめろ!」
びくりとした顔で当夜が長夜を見る。違う、あれは『召喚』じゃない!
「って真由ちゃんいけないっすよ!?百鬼夜行はここで使えば」
「一掃する」
冷静に真由は言った。
びたん、びたんと陸に上がった魚のように動く巨大なシルエット。
黒い塊にもみえるそれは裂けた口しかないような、ツチノコに似た形をしている。目もなくあけた口から擂り鉢みたいな細かい歯が見えた。のたまうそれらは、約3匹。
「いけ!野槌!食い殺せ!」
「ダメっすよ真由ちゃん!」
「真由!ダメ!」
野槌は迷うことなく男に向かう。それどころか伊織にも、当夜にも。
百鬼夜行。それは夜に数多の妖怪が道を歩くことを示す。
だが長夜のもつ「百鬼夜行」はそれに準じて違う。
確かに数多の妖怪を出す。だがそれを己の意思で道具のように扱うことを示すのだ。それを使役して戦わせる。鬼の側面を持つからこそ出来る技であり、憑依している真由が無理やり使えば今のように暴走する。
今呼び出した野槌は、食い意地しかない巨大なツチノコの一種だ。
何でも食いつき、何でも喰う。空間だろうが、時間だろうが、食いつく。そして当夜に襲い掛かる巨大なツチノコ。気味悪いその巨体が、目の前の視界を一杯に展開される。人によってはトラウマものである。
「……」
伊織のほうは多分平気だと思う。彼女は強い。だから目の前の化け物を処理するべく、当夜も武器を取り出した。
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