二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- グッドルーザー球磨川
- 日時: 2012/01/30 23:28
- 名前: 朝鴎 ◆kwRrYa1ZoM (ID: 4CT2wXi/)
どうも球磨川が大好きな僕です。
オリキャラとかバンバン出すので嫌な人はバックブラウザ推奨です。
この物語は球磨川無双といってもいいぐらいに球磨川君推しです。キャラが崩れていたりしたら申し訳ありません。
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- Re: グッドルーザー球磨川 ( No.1 )
- 日時: 2012/01/31 00:08
- 名前: 朝鴎 ◆kwRrYa1ZoM (ID: 4CT2wXi/)
『勿論だよ』
「封印高校と生徒交換?」
人吉善吉が黒神めだかが対立している時、空気を読まずに封印高校が箱庭学園に生徒を一ヶ月の間、一名交換して欲しい、という話を持ちかけた。学校側はそれを了承し、生徒会執行部の中から一名を封印高校に送ることにしたようだ。
だが、現在この生徒会から一人でも抜ければバランスが崩れてしまう。『主人公』黒神めだかに勝つため、人吉善吉は『フラスコ計画』を利用して修行をしている。そのためこの二人が箱庭学園から一ヶ月も居なくなることはありえない。阿久根高貴も人吉善吉のサポートに回っているし、喜界島もがなと球磨川禊はめだかと人吉の争いを妨害するため、『裸エプロン同盟』を作っている。そのため、今一人でも学園から抜けるのは非常に不味い。いや、球磨川ともがなが居なくなれば『裸エプロン同盟』の戦力は大幅に下がるため、安心院なじみと人吉にとっては有利になるだろうが。
「封印高校に行きたい者はいないか?」というめだかの問いに対して、生徒会の面々は誰も答えることが出来ない。沈黙が続き、ついにめだかが「自分が行く」と言おうとした時、その男は動いた。
『あ、めだかちゃん。誰も行かないのなら僕が行かせて貰うね?』
(((一番行かせちゃまずい奴が立候補してきた!?)))
そんな人吉達の叫びとは他所にめだかはジッと球磨川の目を見つめる。
球磨川禊。−13組のリーダーにして生徒会執行部副会長。最悪最低、最凶最弱の過負荷(マイナス)にして『不完全』。誰に対しても負けていて、生まれながらの敗北者。だからこそ、誰よりも強いその男は『人類最弱』だった。
夏休みに行われた生徒会戦挙で圧倒的な敗北(マイナス)を見せ付けた球磨川だが、生徒会戦に黒神めだかに敗れて改心し、現在は仲間になっている。
だがしかし。彼は生まれながらにして過負荷(マイナス)で、全世界の過負荷(マイナス)の底辺(ちょうてん)に立ち、誰よりも敗北者(マイナス)だ。彼の持つ欠点(マイナス)の『却本作り(ブックメーカー)』は力の大半を失ったとはいえ今だ最悪な欠点(マイナス)で、さらに『手のひら孵し(ハンドレッドガントレッド)』を下敷きにして作られた欠点(マイナス)、『大嘘憑き(オールフィクション)』に至っては取り返しの付かない。安心院に『却本作り』と取り替えてもらって消滅したと思われたが、球磨川は死の間際に欠片をかき集めてきて『大嘘憑き(オールフィクション)』を再び取り戻した。幾分か力が落ちているとはいえ、やはり十分に最悪な欠点(マイナス)であることには代わり無いのだ。
彼は箱庭学園に転校してくる前、名門校水槽高校を初めとした多くの高校を廃校に追いやっている。いくら改心した所で球磨川(マイナス)は球磨川(マイナス)だ。封印高校で何をやらかすのか分かったものではない。
だが、それでも人吉と阿久根は何も言えなかった。今、彼らはこの箱庭学園を離れるわけにも行かないし、めだかを離れさせるわけにも行かないのだから。
もがなは球磨川の耳元でこっそりと耳打ちする。
(み、禊ちゃん、『裸エプロン同盟』はどうなるのっ?)
『それについては心配要らないぜ喜界島さん。今は委員長連合に下に付くことで戦力には不足無いし、候補生五人には僕が居ない間にやってもらいたい事は伝えておいたから。それに——おそらく、これは僕を一ヶ月の間箱庭学園から追い出すために安心院さんが仕掛けてきた物だろうぜ。主人公であるめだかちゃんは勿論、善吉ちゃん、高貴ちゃんは絶対に出て行かないような「シナリオ」になっているんだと思う。だからここは僕が出て行くことにするよ。案外、僕が居なかった方が上手くいくかもしれないしね』
そういって何のことも無いように笑う球磨川をもがなは不安そうに見つめたが、結局それ以上の事は言わなかった。
「球磨川……。お前に任せていいんだな?」
めだかが難しい顔をしながら球磨川にそういう。
『勿論だよめだかちゃん。僕がキッチリと封印高校のみんなに箱庭学園がいかに素晴らしいかを教えてきてあげるからね!』
満面の笑みを浮かべてそういう球磨川にめだかは頭痛でも堪える様に頭を抑えるのだった。『化け物』であるめだかにも『過負荷(マイナス)』である球磨川の事を完全に理解することは出来ていないのだ。
いや、もしかすれば、世界中の誰一人として球磨川が何を考えているか分かる人間は居ないかもしれない。
- Re: グッドルーザー球磨川 ( No.2 )
- 日時: 2012/02/02 22:40
- 名前: 朝鴎 ◆kwRrYa1ZoM (ID: 4CT2wXi/)
『封印高校の皆さんこんにちは! 箱庭学園からやって来ました3年−13組、球磨川禊でーす』
封印高校第一体育館。球磨川はステージの上で全校生徒の前に立ち、挨拶をしていた。と言ってもそれを聞いているのはごく一部だけで、他の生徒は好き勝手に隣に座っている者と雑談をしている。最前列に座っている生徒が球磨川を指差して「なんだあいつの喋り方。気持ち悪っ!」「つーか−13組ってなんだよ」「何でも全国の無能を集めた無能なクラスらしいよ」など、馬鹿にするような笑みを浮かべている。
『…………』
それでも球磨川はいつも通りの笑みを崩さず、ポケットに両手を“突っ込んだ”。両手をポケットから取り出す、ほんの一瞬前、球磨川の後ろに立っていた眼鏡を掛けた長身の男がステージの前に出て来た。それだけで今まで騒いでいた生徒達は静まり、眼鏡の男を黙って見つめる。
彼の名前は土岐啄木鳥(とききつつき)。封印高校生徒会執行部生徒会長だ。彼が出てきただけでこの静まりよう。めだかに劣らない人望を持っているのかもしれない。
「みんな。せっかく箱庭学園から来ていただいたんだ。球磨川さんの話はしっかり聞いて欲しい」
土岐はそれだけ言うと球磨川に頭を下げ、再びステージの後ろのほうに歩いていった。その様子を見ていた球磨川はしばらく黙っていたがステージの下の生徒達が静かにこっちを見てくるため、挨拶を続けた。球磨川は挨拶の言葉を自分で考えていたのだが、めだかが勝手に文を作ってしまったためそれを読まなければならなかった。
過負荷(マイナス)の彼にしてはまともな挨拶が終了し、全校集会は終了した。球磨川はこのあとこの学校の生徒会と話し合いをした後、自分が一ヶ月お世話になる3年B組に挨拶しに行かなければならない。
「先ほどはすいません。球磨川さん」
『いえいえ。みんな元気があって良いと思いますよ』
生徒会室にやってきた球磨川は役員達に出迎えられ椅子に座っている。
生徒会長、土岐啄木鳥。
副会長、多摩川不要(たまがわふよう)。
会計、富田林もなか(とんだばやしもなか)。
書記、天王寺水無月(てんのうじみなずき)。
庶務、名古屋多々良実(なごやたたらみ)。
球磨川の眼前に座っている生徒会役員達。この地域一帯で色々な意味で有名な者ばかりだった。球磨川の出す雰囲気にも飲まれず、普通に会話をする事が出来ている。
「では球磨川さん。両校にとって実のある生徒交換にしましょうね」
土岐が伸ばしてきた手を球磨川は握り返し、
『ええ。僕もそうなるように尽力させてもらうよ』
と言ったのだった。
『「封鎖空間の掌握(クローズド・エンペラー)」土岐啄木鳥に
「才禁爆弾」多摩川不要、
「回るお姫様(シリーゴーランド)」富田林まなか、
「葬神麗人」天王寺水無月、
「心奇一転(ランダムボックス)」名古屋多々良実。
こりゃまたとんでもないエリートばっかだなあ。土岐さんなんて箱庭学園に来る前に何度か聞いたことがあるし』
『まあいいや。僕は箱庭学園の良さを、過負荷(マイナス)の良さをみんなに伝えるだけだからね。その結果廃校になっても』
『僕は悪くない』
- Re: グッドルーザー球磨川 ( No.3 )
- 日時: 2012/02/25 00:31
- 名前: 朝鴎 ◆kwRrYa1ZoM (ID: 4CT2wXi/)
『最後まで聞けよ』
封印高校には大きく分けて二種類の人間が存在している。普通と天才だ。それら二つの人間は、お互いに影響を与えあうために同じクラスに入れられている。
確かに、普通と天才はお互いに大きな影響を与えあった。マイナスな方向に。
天才は普通を見下し、貶し、虐げた。普通は自分よりも下の人間を捜し、見下し、貶し、虐げた。
下は下を虐げその下は更に下を探し虐げる。
封印高校ではそんなマイナスの連鎖が起こっていた。
その最底辺に位置する生徒、加茂阿比留(かもあひる)は三年C組に所属している。
彼女は勉強、スポーツ両方とも不得意で、要領が悪く引っ込み事案だ。自分の意見をハッキリと言えない、気弱な少女だ。
そんな彼女はクラスメイトから陰湿な苛めを受けていた。靴が隠されるなんて当たり前、教科書が無くなるなんて日常茶飯事。時には暴力を振られることもあった。それでも彼女は折れずに毎日学校に登校してきている。そんな様子に苛立つ生徒達はより苛めを激しくしていく。まさにマイナスの連鎖。
加茂は大量の落書きで汚れた自分の席に突っ伏し、二現が始まるのをまっていた。今日はこのクラスに生徒交換でやってきた、何とか君という男の人がやってくる。
−13組とか言う、ふざけたクラス所属らしい。−。誰よりも劣っている。
加茂はまさに自分の事じゃないか、と自嘲した。
ガラガラと音を立てて扉が開き、教師が中に入ってきた。
「えっと、じゃあ今日は箱庭学園から生徒交換でやってきた球磨川禊君の自己紹介などを行う。球磨川君、入ってきて」
『はい』
教師に呼ばれ、学ランを着た小柄な男子生徒が教室の中に入ってくる。
球磨川って言うのか、と加茂は興味なさげに男子生徒を見つめる。
彼は背伸びしながら黒板に自分の名前を書いていく。その様子をクラスメイト達は何も言わずに見つめている。−13組、なんてふざけたクラスの生徒は恐らくこの学校では苛められる。同類が一人増えるのか、と加茂は頭の片隅でそんな事を考えた。
『箱庭学園からやって来ました球磨川禊でーす。一ヶ月の間、よろしくお願いします』
そのふざけたような口調に、クラスメイト達が苛立つのが分かった。天才と自身とのコンプレックスだけで毎日気を荒立てているのに加えて、今は受験シーズンだ。クラスメイトは少しのことでも目の敵にして攻撃する。
ああ、球磨川君は不幸だな、なんて考えていると、教師が彼に何か質問はないか、と言い出した。クラスメイトの一人が手を挙げた。
「−13組って何ですかぁ? なんか屑の集まりって聞いたんですけどぉ」
嘲笑を浮かべた彼の質問に、クラスメイト達は笑う。その様子に球磨川は憤慨した様子もなく、笑みを浮かべて答えた。
『うん。そうだよ。僕達−13組は欠点だらけの堕落者ばかりなんだ』
それを聞いたクラスメイト達は大きな声で笑い出す。不愉快な笑い声だと思った。
『人の話は最後まで聞けよ』
次の瞬間、球磨川が螺子を取り出して私を除いたクラスメイトになげつけた。先端が彼らを突き刺した。——ような気がした。
次の瞬間には螺子は消え去っており、彼らの傷口は最初から無かったかのように消失していた。
その不気味さにクラスメイトは黙り、球磨川を不気味そうに見る。
『えーっと、まあそれだけなんだけどね。これで僕の話は終わり。改めてよろしくね!』
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