二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【黒バス】溺れてく、【赤黒♀】
日時: 2012/09/21 23:57
名前: 朽葉 (ID: ICkQIVcb)

窓から控えめな風が髪を揺らした。
雨上がりの空のようなその髪と瞳。長い髪は一つに束ねてある。いわゆるポニーテール。
彼女、黒子テツナは図書室で窓の外を眺めていた。
彼女の他には誰もいない。この学校の図書室は大きいのに、滅多に利用されないので勿体ない。
しかし、黒子にはここが一番好きな場所だ。
静かで集中しやすいし、滅多に人が来ないので、会話で疲れなくてすむ。黒子は影が薄い子で、話しかけるととてもびっくりされる。わざとではないと思うのだが、やっぱり不服ではある。

(…………眠くなってきました)

季節は初夏。少しずつだが、気温も上がってきた。
暑いのはあまり好きじゃないですね、汗かきですし、と思考を巡らす。

「テツナ」
「!」

声。
黒子には、振り向かなくてもすぐに分かった。
「すまない、わざわざ待たせてしまって」
「い、いえ。大丈夫です」
「じゃ、いこうか」
黒子より高い身長。赤い髪、深紅と密色のオッドアイ。
彼が黒子の彼氏、赤司征十郎だった。

* * *

「好きだ。付き合ってくれないか」
そう告げられたのは、2か月前でした。
そのとき、実は自分は赤司くんが好きではなかったのです。正直、苦手でした。
きっと、それは赤司くんも察していたと思います。
「別に無理にとは言わないよ。これは命令じゃないしね」
赤司くんはそう言いました。でも、私は赤司くんは真っ直ぐ私のことを見つめていて、それで何故か動けなくなって、「じゃあ無理です」とは言えなかったんです。
「私は、恋愛感情が分かりません」
「知ってる」
あっさり。
「だから、僕が黒子に教えてあげたいんだ」
その時は分かりませんでしたが、きっとあの瞬間、私は恋におちていたのでしょう。
「………では、よろしくお願いします」

* * *

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【黒バス】溺れてく、【赤黒♀】2 ( No.1 )
日時: 2012/10/09 20:05
名前: 朽葉 (ID: Ad3Viu3K)

「テツナ、また本を借りるのかい?」「いえ、まだ読み終わっていない本があるので」
「そうか」
そんな他愛もない話をして図書室を出る。
赤司くんは身長を気にしているようですが、私よりはやっぱり大きくて、男の子なんだなあと感じてしまいます。それに平均身長はあるんですからそんなに神経質にはならなくていいと思うんですけど、これだけは言えません。
私は赤司くんの斜め後ろで、揺れる赤い髪の毛を見つめていました。
さらさらさら。
そんな音が聞こえてきそうな。

「……………あ、」
「?」
どうした、と言う前に、赤司くんも気付いたようです。
「あ、いたいた!征ぴょん、先生が呼んでるよー!!!!!!」
前にいたのは、赤司くんのクラスの副委員長さんらしいです。というか、赤司くんが委員長で、この人が副委員長だと集会で認証されたので、間違いないでしょう。
「先生が?今日はもう会議は終わったはずだが」
「なんか委員長と副委員長で書いてほしい書類があるんだってー!!」
赤司くんが、少し顔をしかめました。これは副委員長さんが嫌いとかではなく、仕事を今更追加されたことに対してでしょう。
「そんな急ぎのものなのか」
「さあ?そうなんじゃない?」
「……」
あ、と思った。
赤司くんが行ってしまうんだな、と。
「赤司くん、早く行ってあげないと、先生も困ってしまいますよ」
「…………あぁ」
赤司くんは鞄を廊下の隅に置きました。そしてそこから筆入れを出しました。
「藍塚、先に行っててくれ」
「え?いやいいよ待ってるよ?」
「行ってろ」
「うーんそこまで言うなら…………じゃあ征ぴょん早く来てね!!!」
藍色の髪を揺らして走り去る副委員長さん。
「すまないな黒子、せっかく待っててもらったのに」
「いえ、仕方ありませんよ」
けれども、赤司くんはそれでも立ち去らず、私と向き合ったままでした。
「…あの、赤司くん?」
「あ、ああ。また待たせるのも悪いし、今日はもう先に帰っててくれ。また夜、メールするから」
ポン、と頭を手で触れて、赤司くんは立ち去りました。
頭の上に熱が集中していくような感覚。それと一緒に、少しだけの寂しさ。

「…………征十郎」

ポツリと、本名を呟いてみた。

【黒バス】溺れてく、【赤黒♀】3 ( No.2 )
日時: 2012/10/09 20:25
名前: 朽葉 (ID: Ad3Viu3K)

夜。
赤司くんが隣にいない帰り道は久しぶりでした。
少し前までは、これが当たり前だったのに、可笑しいですね。
私は英語の課題と向き合っています。
英語って、単語が変化したりするからややこしいんですよね。英語はあまり得意ではないかもしれません。




メール。
ケータイを開くと、赤司くんから。

『何もなかったか?大丈夫か?』

そんな一人で帰っただけで大袈裟な………と思いつつも、なんだか胸がほっこりして。

『大丈夫です。今は課題をやっています』

…これでいいのでしょうか。
いつも送信するときは緊張してしまう。
若干震える指先でボタンを押してから、私は課題に再び向き合いました。



返信早くないですか。

『そうか、がんばれ』

赤司くんらしいというかなんと言うか………
私は『はい、ありがとうございます』と返して、そこでメールは途絶えた。

* * *

「テツ、おはよう」
「おはようございます、青峰くん」
生徒玄関で青峰くんとバッタリ会いました。別に誘ったわけでも誘われたわけでもないのですが、自然と隣を歩いて一緒に教室に向かいました。
「あー…ねみー………」
「また君は………昨日も授業中居眠りしてましたよね?」
「んあー?バレてた?」
「隣の席なんですから分かりますよ」
最も、青峰くんの存在感だとみんな気づいていたと思いますが。
「先生にコッテリ起こされたけどな」
「当然でしょう」
そこから無言。
階段を登り、廊下を曲がると、教室が5つある。3つめが私の教室、もう一つ先の4つめが赤司くんの教室。
そして、教室の入り口付近で、何やら人が固まっていた。
「…?」
「あ?」
なんでしょう、と言おうとすると、中央に赤い髪が見えた。

赤司くん。

成績もよく、スポーツも万能、リーダー性もある赤司くんはみんなの頼れる存在だ。
何やらみんなで集まって談笑しているらしい。
赤司くんは基本無表情で、時おり微笑むくらいだったが、それでも楽しそうだった。
私の彼氏は、みんなの人気者ですね。
ちょっとした自慢です。赤司くん。


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