二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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とある世界の重力掌握
日時: 2012/11/02 07:15
名前: 将軍 (ID: 8nwOCftz)

「さて、あと10分で実験開始だ!みんな気を引き締めろ!」

『はい!!』ここは東京郊外のとある会社の秘密研究所。

ここで今まさに試作品のテストが行われようとしていた。

この会社が開発していたのは、新型の小型原子力エンジンだ。もしこれが実用化できれば一般車や小型舟艇なんどにも搭載可能になるということで、おおいに儲けが期待できるのだ。

なので、今回のテストではもちろん細心の注意を払い万が一にも事故が起こらないように配慮して事前に何度もシュミレートを繰り返した。

だが、この世に100パーセントの安全などあるはずがないのだ。

「ん・・・・・なんだ、あの子は?!」

「馬鹿なすでに実験は始まっているんだぞ!」

「どこから入った!?」

「早くあの子を外に出せ!」

怒声が研究所内に響く。

監視塔にいる男の眼に映るのは、年のころ16歳くらいの少年。

「くそ!どうなってるんだよ!?なんだよ!?不良どもから逃げるためにこの廃墟に逃げ込んだのに・・・・なんで今日に限って人がいるんだよ?」

少年、古門護は自分の運のなさを呪っていた。

「そこの君!はやくそこから離れなさい!危険だ!」

そう後ろから言われても、ここで止まったらいかにも重要そうな施設には無断侵入したことをとがめられ、多分退学になる・・・・

「そんなの、ご免だ!!」

そのままフルダッシュして南門から出ようとする護だったのだが.......

「うそ!こっちにも?」

すでに門の前には、『捕獲準備完了』とでも言わんばかりに捕まえる気満々でネットを構えたごッつい男たちが待ち受けていた。

「くそ!こうなりゃあ、あの手だ!」

護は踵を返し、研究所の中央にある小屋を目指す。

その小屋が外に通じていることを彼は知っていた。

だが彼はあくまで部外者である。

その小屋が持つ意味までは分かるはずがなかった。

「おい!あの子。例のものが置いてある小屋に入ったぞ!」

監視塔にいる研究者の言葉に焦りの色が混じる。

「はやく、テストを中止するんだ!」

「はい!ただちに!」あわてて助手らしき男が装置をいじる。


だが・・・・事態はすでに悪化していた。

「大変ですチーフ!原子力エンジンが暴走を起こしています!このままでは私たちごと......いや敷地ごと吹っ飛んでしまいます!」

研究チーフの顔が真っ青になった。

「ただちに施設から避難するよう指示を出せ!すぐにだ!」

「あの少年はどうするんです!」

助手の言葉に研究チーフは振り向きもせず言った。

「放っとけ!」

小屋に飛び込んだ護は、ドアの外で急に足音が遠のいていくことを不思議に思った。

「いったいなにが?・・・・・にしても、なんか熱すぎないかこの小屋・・・・ん?!」

次の瞬間、彼の視界は突如莫大な光に包まれた。

「これは・・・・いったい・・・」

それが彼の最後の意識だった。

彼は忽然とこの世界から存在を『消した』のである。

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Re: とある世界の重力掌握 9話目 ( No.10 )
日時: 2012/11/02 13:14
名前: 将軍 (ID: 6Z5x02.Q)

「ここが、セブンスミストですよ 」

佐天と会った場所から20分もしないうちにセブンスミストについた。どんな建物かと思っていた護だったが、想像以上にでかい建物に圧倒されていた。

「ここって、デパート?」

「そうですよ?あれ、護さんは知らないんですか? 」

「僕は、まだここにきて4日だしねえ。それに過去にもこの街にいたらしいんだけど記憶がなくてね..... 」

後半は嘘であるが、確かに護は散策のときもここには寄らずにきたので、このデパートのことはさっぱり知らなかった。

「え?護さん。記憶喪失だったんですか?! 」
驚く佐天。だが次には怪訝そうな表情になった。

「でも、そう言えば私の名前は知ってましたよね? 」

うっと詰まる護。昨日のあの時、うっかり『佐天さん』と語りかけてしまったのを忘れていた。

「じゃあ、護さんと私ってどこかで知り合ったことがあるんでしょうか? 」

佐天の問いに即答できない護。知り合いといえば知り合いと呼べるかもしれないが、直接話すタイプの知り合いではなく、雑誌という媒体を通しての一方的な顔見知りというほうがあっている気がする。

「ううん.....記憶がないからよく分かんないけどそうかもね.......って向こうからやってくるの君が言ってた人たちじゃないの? 」

「あ、本当だ。初春〜、御坂さん〜こっちです!」

なんとか話をそらすことに成功した護だったが、一難去ってまた一難、おそらくこの後待っているであろう、質問タイムと電気姫(みさかみこと)のビリビリショーを予想して一段と冷え込む思いをする護だった。

その後、やはり初春と美琴からは質問攻めにされたが、電気ビリビリショーだけは免れた。(佐天が必死に説得してくれたことが大きい)

というわけで、護は現在、佐天や美琴たちとは離れて、書店に入っている。佐天たちは向かいの服屋で品定めをしている。

「ねえ、初春?なんで、ジャジメントのワッペン付けてるわけ? 」

「最近、ちょっと事件があって警戒してるからですよ 」

「ふーん....仕事熱心だねえ......でもせめてここに来た時ぐらいゆったりしなさいよ!」「ああ!佐天さん、何するんですか、ワッペン返してください!」

ほのぼのとしていていいなと感じる護だったが直前に、ふと違和感を感じた。

(まてよ.....このメンツでデパートでってなんか覚えがある場面だぞ......まてよ、たしか初春が狙われた時は『セブンスミスト』にいるとき........)

その時だった、プルルルル!と携帯の着信音が前方から聞こえてきた。ここからでは誰の携帯が鳴ったのかは分からない。だが護には確信めいたものがあった。いまこの状況でかかってくるとすれば.......それは黒子からの初春への電話だ。

「どうした。だれからの電話だったんだ。」書店から出てきた護の質問に初春は緊張した面持ちを向ける。

「落ち付いて聞いてください。実はここ最近、あちらこちらで爆発事件が起きてるんです。そして今、このアパート内に犯人がいる可能性があります。だからお客さんたちを外に避難誘導しなきゃなりません。佐合さんは外に避難を、御坂さん、護さん、誘導を手伝っていただけませんか?」

「ちょっとまってよ。せっかくだから佐天さんにも手伝ってもらおう 」

護の思わぬ言葉に3人は戸惑った表情を見せる。

「ほんとは佐天さんも初春さんの手助けしたいいんじゃないのか?自分には素直が一番だよ? 」

嬉しそうにうなずく佐天。だが初春は首を振った。

「万が一の時に、民間人である佐天さんが巻き込まれたら大変なんです。あきらめてもらうしか.....


「じゃあ、僕が一緒に付いているってのはどう? 僕の能力『重力掌握』ならたぶん爆発が起こっても佐天さんを守れると思うけど? 」

この言葉に初春はしばらく悩むそぶりを見せたが、けっきょく了解した。

「じゃあ、みんなで手分けしてお客さんを誘導しよう。」そういうわけであちこちで手分けしてお客さんの避難誘導を行うこと15分ほどで、大体の客は外に避難が完了した。

(しかし.....まだどこかにいるはずだ.....たしか、あのウラナリは女の子にカエルの人形を渡して、それを爆弾として利用して、初春を爆死させようとしていたはず......なら今は初春のところに向かわなきゃな.......)

今、もっとも危険なのは初春だ、なんだか上条さんも見かけなかったし(学校で補習うけていたから当たり前なのだが)やけに連続虚空爆破事件が起きるのも早い。

(僕が原作に介入したことで、少しずつ本来の話とのずれが出てきているってことか........)

護は後ろで残っているお客がいないかの確認をしている佐天のほうに向きなおった。

「佐天さん。ちょっと気になることがあるから初春さんのところに行ってくる。そこを動かないで確認を続けてて!」

「わかりました。任せてください!」

なんだかやる気満々な佐天に安堵しながら、護は広い通路を初春がいるであろう地点へと急いだ。

「おにいちゃんがこれをお姉ちゃんにこれを渡してって。」

護が初春を見つけた時、ちょうど女の子が初春にカエル人形を渡そうとしている時だった。

「初春さん!それを受け取っちゃいけない!それが爆弾だ!」

護の叫びに驚き、人形をあわてて子供から取り上げ、放り投げる初春。その人形がゆがみ、爆発が起きようとする。

「くそ!間に合わない! 」いまからイメージしては時間が足りない。このままでは初春は爆死してしまう。

「くそお!!」

もはや、絶望か、そう思ったその時、ビュン!!という空気を切り裂く音とともにオレンジ色の光線が人形を貫き、粉々にした。

「これは.......超電磁砲(レールガン)!? 」

「危機一髪だったわね、大丈夫?初春さん 」

おかしい.....と護の本能が告げていた。これで終わるはずがない......と、本来美琴に起こるはずだったイレギュラーな事態は起きなかった。本来ならあそこで美琴はコインを落としてレールガンを撃てなかったはずなのだ。

(いったい、なにが引っかかってるんだ?)そこが分からない護はとりあえず周りを見渡してみて、そしてはっと気づいた。

(あのウラナリは風紀委員をターゲットにしてる。初春は今、風紀委員のワッペンをしていないのに狙われた。ということは奴はそとから初春をつけてたってことだ......そして女の子に人形を渡して行かせたってことは中にもいたはず......その時にもし、佐天さんが避難誘導をしているところを見て、彼女も風紀委員だと認識していたら.......)

「御坂さん。初春さんとこの子を連れてはやく外に避難してください。それから外の路地裏でぶつぶつ言いながら歩いているウラナリメガネ男を探してください。ぼくはちょっと用事があるんで失礼します! 」

「ちょっとあんた、何言って....... 」美琴が何か言う前に全力でダッシュし佐天さんのもとに向かう護。

(僕が馬鹿だった......昨日、この世界を自分の現実にすると決めておきながら、まだ元の世界の知識に頼って、完全にこちらの世界を受け入れていなかったんだ。その結果がこれだ.......絶対に佐天さんは死なせない!)決意を胸に護は通路を走っていく。

「ふう......もうさすがに逃げ遅れた人はいないよね。にしても護さん遅いなあ。自分から私を守るっていったくせに....... 」

ぶうぶう言いながらも護を待つ佐天。その前方にある非常階段から男の子がてくてくと出てきた。

「おねえちゃん。 」

前から聞こえた声に顔を上げる佐天は、こちらに大きな猫の人形を持って走り寄ってくる男の子を見つけた。

「あれ、まだ逃げ遅れた子がいたんだ......ボク、そうしたの?迷子?」

「ううん。あのねメガネのお兄ちゃんがこれをお姉ちゃんに渡してくれって 」

男の子が差し出した人形を佐天が取ろうとした瞬間だった。

「とっちゃだめだ!佐天さん!」突如響いた護の声に思わず人形から手を話す佐天。その人形はふわりと空中に浮かんだと思ったらすさまじい速度で後ろにすっ飛んで行く、その先に立ち右手で人形をつかんだのは......

「護....さん.... 」

「ごめんね、守るはずだったのがこんな目に会わせちゃって。でも大丈夫。責任は僕が負う。こいつは僕が何とかしてみる。だから佐天ははやく逃げろ。」

「いやですよ!なんですかその死亡フラグみたいな言い方は!やめてください!」

佐天は自分が死ぬことになろうともここに残るつもりだった。自分に力がないからこの事態に何も出来なくて人が死ぬなんて、佐天はいやだった。だが.........

「え?...... 」気づいた時には佐天は子供を抱いたまま非常階段のところまで流されていた。

「ほんとにごめん、佐天さん。でも僕は......君だけには傷ついてほしくなかった。そのために僕が傷ついても君だけは......じゃあ、またあとでね。」護は横に設置されているシャッターの開閉ボタンを押す。

護と、佐天を隔てる厚いシャッターは佐天の叫びもむなしく間をふさいだ。

その日、セブンスミストは爆破された。だがその効果はひとフロアだけにとどまり全壊だころか半壊にもならなかった。

救助隊により佐天は救出された、だが佐天が供述したフロアに残った少年、古門 護は発見されなかった。

護は忽然とセブンスミストより姿を消したのだった。

Re: とある世界の重力掌握 作品紹介 ( No.11 )
日時: 2012/11/02 13:06
名前: 将軍 (ID: 6Z5x02.Q)

大変遅まきながら作品紹介させていただきますσ(^_^;)

<概要>
とある魔術の禁書目録、とある科学の超電磁砲の2次創作作品です。
タイトルが「とある世界の重力掌握」であるとおり主人公の能力は「重力を操る力」です。
いわゆる異世界転移もののジャンルの作品で、主人公が若干チートでオリジナルキャラクターも多数登場させる予定でいます。読者の方でこんな能力を持つオリキャラ登場させて欲しいというアイディアがあったらどしどし投稿お願いします。

<主人公紹介>
名前 古門 護
性別 男
年齢 17
身長 172センチ
体重 71キロ
能力名「重力掌握グラビティマスター
階級 学園都市レベル5の第4位
性格 他人を見捨てたり見殺しにできない良く言えば優しく悪く言えば甘い性格

Re: とある世界の重力掌握10話目 ( No.12 )
日時: 2012/11/02 13:08
名前: 将軍 (ID: 6Z5x02.Q)

護は、あれはてた廃墟に佇んでいた。ここになぜいるのかを護は知っていた。

向こうから、化け物達が迫ってくるのが見える。その後ろには、兵隊達まで。

佇む護の横に立つ少女はいう。

『自分にはどうしても出来なかった 』

護がなにかをいう前に、少女は黒い空をバックに飛び上がる。

止めようと必死に伸ばす手を少女は、届くのに握らなかった。

そして、敵の群れに正面から突っ込む直前、護の方にゆっくり振り返り言った。

いつもと同じ、悲しげな微笑みを浮かべながら、こう言った。

「忘れないで、生きていればかならずまた会える。だから、私のこと忘れないで 」

止める間も無かった。

彼女は、敵の群れに正面から突っ込み、そして.........護の意識はそこで途切れた。


「う........ここは......? 」護の眼に最初に入ったのは、天井に無数に張り巡らされたパイプ。

「いったい........僕は.......... 」

セブンスミストで佐天を無理やり逃がし、爆発物である人形を真上からからかけたGで覆うように地面に押さえ込んだ護だったが、いきなり力を使い過ぎた反動か.........

頭を激痛が走り、力のイメージを最後まで保てず、結果的に僅かながら爆発エネルギーを逃してしまい、その時のエネルギーをモロにくらった護は吹き飛ばされ意識を失った。

そして、気がついたらここにいる。暗くて不気味な部屋。体を起こし見渡してみて、この部屋がなんなのかを理解する護。

「ここは.......そうだ。だけどどうして....... 」

「興味深いな。ここの事も知っているのか、少年」

広い空間全体に均等に広がるような声。その声を放ったのは.......

「学園都市、統括理事長.......アレイスター・クロウリー...... 」

「ほう、やはり知っているか........さすがは『異世界』の人間だよ護くん 」

アレイスターの言葉に護は思わず身を震わせた。

「私が君の存在に気づいていないとでも、思っていたのかね。分かっていたさ、君が最初に現れた時から今まで私は君を見ていた」

護はすっかり失念していた。この世界に入り込んだ不確定要素を、アレイスターが放っておくはずがなかった。

「プランの障害になる可能性がある僕を、消すつもりなんですか」

護の言葉に、アレイスターは苦笑したようだった、すこし含み笑いの入った口調で続けた。

「それなら、わざわざ君をここには呼ばない。暗部組織に君を殺させてたよ。ましてやレベル5になど任命しない。」

「じゃあ、何故!」

「魔術、この言葉を君は知っているはずだ」

護の中で時が止まった。

「いや、悪いけど知らないです」

「嘘は良くない」

即座に否定された護。だが、そこで折れる護ではない。

「なにを、根拠に魔術を知ってるというんですか!」

「土御門..........彼の名を見たときの反応は、面白かった。 」

「さらに、君は意識していたか知らないが『幻想殺し(イマジンブレイカー)』。これついても君はなにか知っている素振りを見せている。それが根拠だ」

護は自分の能天気さを呪った。あまりにも不用心すぎた、だがアレイスターは何をさせるつもりなのだれう。

「納得して、もらえたかな?」

護はかなわない事を悟った。

「ええ、確かに僕は魔術の事は知っています。そして、この後、起こる事も」

「在るていど予言できる.......だね」

「はい........」

護には、アレイスターの考えが理解出来なかった。いったいなにをさせる気なのか.....

「君には、してほしい事がある。まずは私の指揮下で、新たな暗部組織を動かすリーダーになる事。そして、もう1つは........ 」

ここで、アレイスターは一度区切り、強調するようにこう言った。

「幻想殺しの監視、及び守護をしてもらいたい。未来を知る君なら、彼に起こることもわかるはずだ.......」

「それを断ったら........」

「あまり、お勧め出来ないね。君のためにも、そして君が守ろうとした少女のためにも」

守ろうとした少女。それが誰をさしているかは明白だ。

「佐天さんを人質にするのか.......」

「君が素直に動けば、なにも起きない。それだけのことだよ」

アレイスターは、もう1つ。思い出したように付け加えた。

「そうそう、君が率いる暗部組織にやってもらうのは、街の中、外での外部組織の討伐だよ。チーム名は『ウォール』。壁という意味だ」

アレイスターは、目の前で唇を噛む護に最後の問いをかける。

「さあ、どうする?『重力掌握』」





佐天は、護のアパートの側を歩いていた。こうしていればそのうちに彼が帰ってくると信じたかったのだ。セブンスミストで護が消えてから1週間。

護の行方はまったく分からず、初春が教えてくれた、アパート前にきてみても、護は帰ってこない。

こうして、毎日通って、落胆して帰る。それが日課となりつつあった。

「なんで、なんで、あの人が残ったんだろう......力がある護さんだけなら逃げられたのに、どうしてあんな終わり方にしちゃうのよ!後で会おうっていったのに、どうして消えてしまったの? お願い、姿を見せてよ........」

下を向き、涙を流す佐天。つい先日知り合ったばかりの相手に涙を流す不思議さを思いながらも、佐天は涙を止められなかった。

「佐天さん!」ビクッと佐天の肩が上がった。この声は、そして自分を『佐天さん』と呼ぶ男性は1人しかいない。

「護さん!」向こうから走ってきた護は、息をぜいぜい切らせつつも、佐天のほうを真っ直ぐ見つめた。

「ごめん、心配かけて......2度とあんな思いはさせない」

「私のことばかり考えないでください。自分のことも考えてくださいよ。護さんが傷付くのは、私は嫌です.......」

佐天の言葉に頷きつつも、心の中で手を合わせる護。

(ごめん。佐天さん。僕が傷付くのは避けられないかもしれない。だけど.......)

護は心に決める。

(たとえ、どんな闇に落ちようと、佐天さんだけは守り通す)

護は、学園都市の闇に飲み込まれながら、自分の意思を貫きとおすことを決めたのだった。

その結果。たとえ、この世界で死ぬこととなっても.......










Re: とある世界の重力掌握 11話目 ( No.13 )
日時: 2012/11/02 16:54
名前: 将軍 (ID: 6Z5x02.Q)

「えっと.....よし。取り敢えずここまででウォールメンバーにはこの2人は決定っと」

アレイスターと取引することで佐天涙子を守る決断をしてから数日後、護は自室に送られて来た複数のコピー用紙に目を通していた。

そこには学園都市の裏側で暗躍する暗部所属の能力者、あるいは暗部に含む予定らしい能力者のデータが顔写真付きで羅列されていた。

アレイスターから護に提示された佐天を守るための条件「上条当麻の監視、及び守護、加えて学園都市の中、外での敵対外部組織の討伐」を遵守するためには、そうとう力があるメンバーによるチームをつくる必要がある。

かといって護にそんなメンバーの当てなどない。さらに暗部の人間から選ぶならなおさらだ。そんなわけで頭を抱えていた護だったわけだがアレイスターは宣告承知だったらしく今朝方資料が送られて来たのだ。

それから資料とにらめっこすること2時間、膨大な人員の中からようやく2人のメンバー候補者を選び出したのだ。

「念の為見直そう。えっと.....1人目が『高杉宗兵』、国籍は日本、父親がイギリス人のハーフ、能力名は『無限移動インフィニティ』、瞬間移動系のレベル4、担保による暗部加入組.....よし、間違いない 」

「2人目が『クリス・エバーフレイヤ』、国籍はアイルランド、両親ともアイルランド人、能力名は『念動妖精サイクフェアリ 』、念動力系の頂点に立つが諸事情によりレベル4、担保による暗部加入組......うん。こっちも間違いない 」

メンバー候補者を選定するにあたって護はある基準を設けていた。それは自分と同じくアレイスターに何らかの担保を握られ、それがゆえに暗部に所属していることである。その上で高レベルの能力者を探したのだ。

そうなると必然的に人数は絞られるが、それでもかなりの数がある。護はけっこう神経をすり減らす作業を続けていた。何しろ資料の中には護がよく知る人物達、すなわち作品に登場した暗部組織、『グループ』『ブロック』『アイテム』などのデータも載ったりしているわけで間違ってもそれを選ばないように気をつける必要があったのだ。

そんなわけでようやく2人を選んで護は一息ついた。

瞬間移動能力者の高杉はメンバーにいればとても戦力になる。それは土御門やのちにはアクセラレータが所属することになる『グループ』の活躍を見れば明らかだ。

次に念動力者のクリスについてはこちらも貴重な戦力になる。実質的なレベル5であり、資料を信じる限り自ら暗部に入ったわけでないのなら友好的な関係を築ける可能性が高く。実現すれば『ウォール』はレベル5を2人保有する他に例をみない強力な暗部組織になることができるだろう。

問題は他に誰をメンバーにするかである。

「少なくともあと2人はメンバーが欲しいんだよな....... 」

別に暗部組織の人員に制約などない。端的な話一人で「今日から暗部!」と名乗ることも可能だ。

だが護のイメージにある暗部組織というのは4人から5人のメンバーで構成されているイメージが強いのだ。実際作品で話の中核を担っていた『グループ』や『アイテム』はそういった構成をしていた。

従って護もそれに倣うことにしたのだが、2人以降なかなか条件に合致する能力者が見つからないのだ。

「ダメだ、キリがない......方向性変えて『暗部引き入れ予定者』の欄を見てみよう 」

そう言って護が目を移したのはさっきとは別の封筒で送られて来た資料である。そこには現在暗部には加入していないものの引き入れを検討中な能力保持者のデータが記されている。

「さすがにこの辺りになると僕じゃ全然分からない人ばっかりになるな........って、ん? 」

資料の一箇所を護は思わず凝視してしまった。なぜならそこに見知った顔を見つけてしまったからである。

「御坂美琴!?.......いや、違うか 」

驚愕の声をあげてしまってから、なんとか違いに護は気づくことができた。確かに美琴にうり二つであるがデータにのる少女は黒のロングヘアなのだ。

「えっと......名は『ミサカ00000号』!?別名『フルチェーニング』!?待てよじゅあこの子は! 」

護の驚きも最もである。この『とある』の世界には御坂美琴の遺伝子情報を元に製造されたクローン人間達、通称『妹達シスターズ』が存在する。それは作品のファンであれば誰もがしっているが、それに関連してある本編に一度も姿を現さない存在が語られていた。

それが妹達を生み出した『能力者量産計画』のもっとも初期に生み出されとされる御坂美琴の完全な複製を目指した個体『ミサカ00000号』である。

読者間ではもし実験が成功していたなら、責任者であった天井が失脚するはずないので失敗した個体なのだろうと予想されていたのだが、引き入れ予定リストに入っている以上、失敗作だとは考えにくい。

「もしこの子が本当にあの実験の成功体なら、御坂美琴の能力を完全に受け継いでいるはず。つまり潜在的なレベル5ってことに.......でもじゃあどうやって天井の手から逃れたんだ? 」

疑問が尽きないところなわけだが、護からすればもしメンバーに引き入れられるならぜひとも欲しい人材には間違いなかった。

「詳しい事情を知らなきゃ、なんとも言えないけど、一応候補者リストに載せておこう....... 」

てなわけで3人は決まった。護を含めて、いよいよ残すはあと1人となったわけだが。

「ん? 」

その最後の1人は予想外に早く護の目に止まった。

「『竜崎哀歌』.......能力名『人外変化ドラコニア』、『肉体変化メタモルフォーゼ』の中でももっとも強力かつ異色ながら諸事情によりレベル4と認定..........現在都市内某所に監禁中、要警戒を必要とする........こいつはヤバそうだな.......でも..... 」

資料のデータからかなり危ないものを感じた護だったが同時に付属している彼女の写真に別のものを感じていた。

写真に映る黒のロングヘアーの美少女の瞳や表情はその名、『哀歌』が示すとおり深い悲しみや困惑を抱いているように感じたのだ。そして護はそういった相手を放ってはおけない性質たちである。

「この子も事情を調べて.....可能なら仲間に入れよう。肉体変化系の能力者は貴重な戦力になるけど、それ以前にこんな悲しげにしてる子を放っておくわけにはいかないしね 」

暗部に関わることになっても護は相変わらずお人好しであった。

Re: とある世界の重力掌握 12話目 ( No.14 )
日時: 2012/11/02 17:33
名前: 将軍 (ID: YJQDmsfX)

メンバー候補者4人を決めた護はさっそくその選抜したメンバーの名を封筒に入れられていた連絡用の小型無線装置で担当者に伝えた。

担当者はデータを検討し、事後結果を送ると伝え通信を切った。

それから30分後再び来た担当者からの報告は候補者の内、『高杉宗兵』、『クリス・エバーフレイヤ』とはすぐにコンタクトが取れ今すぐ会うことが可能だが『ミサカ00000号』及び『竜崎哀歌』に関しては各種調整が必要な為会うには時間がかかるというものだった。

「2人とは会えるなら会わない手はないよな.....行くか! 」

というわけで担当者に確認を取り場所を聞いて護はアパートを出た。因みに表向きここ数日の不登校は『セブンスミストでの事件での後遺症を癒す為の療養』となっており行動に制約はない。

護が向かった先は学園都市第19学区。なんらかの理由により再開発に失敗しさびれてしまった活気がない学区である。

指定されたのはその学区内にある『真空管研究所』と呼ばれる建物だった。

「真空管研究所って......名前からして未来未来な学園都市のイメージと会わない気がするんだよな..... 」

そんな事を呟きながら護が研究所のドアを開けた次な瞬間だった。

突然目の前から複数の鉄骨が突っ込んできた。

「な!? 」

驚愕しながらもとっさに護は横向きに重力を操作し鉄骨にぶち当てた。

瞬間向かってきた複数の鉄骨は勢いよくへしゃげ吹き飛ばされる。

「へえ、やるじゃねえか。なら、これはどうだ! 」

突如響いた声に真上を見上げた護は思わず目を疑った。

「爆弾!? 」

そう真上から爆弾が落下してきていたのだそれも複数。

「こいつは燃料気化爆弾だ!早くしないと消し炭になっちまうぜ? 」

また何処からか聞こえてきた正体不明の声に護は状況を悟った。

「(恐らくさっきからの声の主が高杉宗兵。最初の鉄骨攻撃を浴びせてきたのがクリス・エバーフレイヤだろう........僕の実力を試す気なのか?) 」

そう思考を巡らせている間にも上空の気化爆弾は確実に距離を詰める。

「(いったいどこからあれだけの爆弾を.....?とにかくこれだけの爆弾を超重力砲で吹き飛ばすことはさすがに無理だ.......なら!) 」

護は迫り来る数10発の気化爆弾の周囲の重力を操作する。

そう、少し前、セブンスミストでやろうとしたことの拡大版を護は実行しようとしているのだ。

「今度こそは抑えて見せる!『重力牢獄グラビティッグギルティ 』! 」

護の叫びと一定高度に達した気化爆弾が炸裂したのは同時だった。

一種周りを閃光が包み、そして消えた。

それだけだった。地表にはなんの変化もなく護も生きている。

「なんとか、いったか...... 」

意識を集中させながら護は深いため息をついた。

先ほどまで爆弾が迫っていた空中にはゆらゆらと蜃気楼のように揺れる透明な球体があった。

護が行ったのは基本的にはセブンスミストの時と同様で、爆発した瞬間の気化爆弾から発せられた猛烈な爆発エネルギー、爆風を360度全方向からかける強力な重力で押さえつけるというものである。

ただ前回の時は佐天を失うかどうかで精神集中が不完全だった為に完全に抑えきれず、余波をくらって意識を失ってしまったが今回はうまく行った。

「さて、後はこのエネルギーを上向きにっと! 」

重力を操作しエネルギーを真上に逃がす護。もちろん余波を喰らわないように重力操作により垂直に道を作った上での行為である。

刹那、腹の底まで響くような音と共に開放された爆風は真上の雲を蹴散らし天高く昇っていった。

「はあ.....助かった 」

再び本気で安堵のため息をついた護の肩を誰かが叩いた。

「!?誰!? 」

「ごめん!驚かせちゃって。私がクリス・エバーフレイヤ。あなたが会う予定の2人の1人よ 」

振り向いて確認した護は思わず息を呑んだ。

護の後ろに立っていたのは金髪碧眼の外国人少女だった。顔立ちは明らかに欧米系で出るところは出て引っ込んでるところは引っ込んでる少女として理想的な体格をしている。幼さの残る顔立ちもあいまってまるで妖精のようなイメージを与える少女である。

「あ、ああ.....よろしく..... 」

そんな美少女に近くから見つめられドギマギしてしまう護。そんな様子にクスッと可憐に笑いながら少女、クリスは真空管研究所の屋上の一箇所を指差した。

「あそこで座ってるのが、護くんが会う予定のもう1人。高杉宗兵よ 」

そうクリスが言い終わらない内にくだんの高杉が一瞬で護の前まで移動した。

「わ!? 」

「いちいち驚くんじゃねえよ。気には喰わないが確かにてめえは俺の能力による攻撃もクリスによる攻撃も防いで見せた。だから交渉のテーブルには座ってやる 」

「そういう事なのよ護くん。だから聞かせてあなたが私達を求めた訳を 」

2人の言葉に護は頷いた。

「分かったよ。隠さず話す。僕がなぜ2人を必要としてるのか........ 」










オリキャラ紹介

『高杉宗兵』
暗部組織の構成員。父親譲りの銀髪を持ち、イギリス人の父と日本人の母を持つ。
学園都市の学生であり、長点上機学園に書類上は通っていることになっている。
所有する能力は空間移動系のレベル4『無限移動インフィニティ


『クリス・エバーフレイヤ』
アイルランド人の両親の間に生まれた金髪碧眼の少女。
暗部組織『ウォール』の構成員の1人で書類上は霧ヶ丘女学院に通っていることになっている。
能力は念動能力系のレベル5『念動妖精サイコフェアリ』。

念動系最強の能力を持つが、とある事情により書類上はレベル4とされている。

『ミサカ00000号』
御坂美琴のクローン体である『妹達(シスターズ)』の1人で、『量産能力者計画(レディオノイズ)』により最初に作られた『00000号(フルチューニング)』。
オリジナルの御坂美琴に瓜二つだが、髪は黒で染めている。
能力は、オリジナルと同じレベル5の『超電磁砲』かは不明。

『竜崎 哀歌』
肉体変化系の実質的な頂点に立つ能力『人外変化ドラコニア』を保持する少女。強力かつ異色な能力を持つとされその危険性故に現在学園都市某所に監禁中。






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