二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【REBORN】 浮遊した上辺の偽善 【二話更新】
日時: 2012/11/04 18:55
名前: ゆずり ◆qXlC6lTe92 (ID: gwrG8cb2)





 彼女の金髪はとてもよく目立つ。







(!) attention

∟当スレは二次小説を執筆し投稿する場です。二次小説が嫌いだという方はプラウザバックを。
∟当小説にはオリキャラが出てきます。オリキャラはできるだけ最小限に抑えますが、それでも嫌だという方は、プラウザバックをお願いします。
∟作者はWJ関係者様、原作者様、その関係者様とは何の関係もございません。当スレは自己満足の産物です。
∟荒らしや中傷など他の人の気分を害されるようなコメントは受け付けておりません。

(!) outline

∟金髪がよく似合う不良少女と沢田やその仲間たちがゆっくりと仲良くなっていくお話。

(!) cast

∟折笠いずみ(おりかさいずみ)/主人公。双子の姉に劣等感を抱いている。
∟折笠いずも(おりかさいずも)/主人公の双子の姉。才色兼備。

(!) contents

第一幕/>>1
第二幕/>>2

(!) thanks

 TITLESITE / 名前がない様



 〆...11/3

Page:1



第一幕 ( No.1 )
日時: 2012/11/04 16:40
名前: ゆずり ◆qXlC6lTe92 (ID: gwrG8cb2)

 彼女の金髪はとてもよく目立つ。

 そんな彼女の名を折笠いずみ。いつもいつだって、太陽に照らされぎらぎらと光る金色の頭に、シルバーアクセサリーが彼女の耳や指や首を飾っていた。

 彼女を知らない人から見れば、彼女は“不良”にしか見えないのであろう。確かに彼女は外見こそ“不良”だが、彼女は“不良”のように喧嘩などすることはなかったし、先生に反抗したこともなかった。言うならば彼女は“見かけだけの無害な不良”であったのだ。

 授業にはしっかりとでて、頬杖をつきつつ窓の外をぼんやりと眺め、先生に当てられてはきちんと正しい回答を答える。休み時間のたびにふらりと教室からいなくなり、屋上へと足を運ぶ。

 彼女はいつだって一人だった。彼女はきっと一人が好きなのだろう、周りは誰だってそう思った。それは、明らかに不良としかとれない外見をする彼女になど関わりたくもないという、愚かな人々の言い訳でもあった。

 けれど、違った。彼女は一人が好きなのではない。孤高でもない。“孤独”だったのだ。しかし周りはそれに気づかずに、どんどん彼女から遠ざかっていくのだ。


 彼女の金髪はよく目立つ。けれど誰も気づかない。彼女の金髪の意味を。


——“ねえ。髪を金色にしたら、きっと気づいてくれるよね。私はここにいるって、わかってくれるよね”


 人々は、気づかない。







    浮遊した上辺の偽善
 







「聞いた?折笠いずみ、また喧嘩して勝ったんだって。次はここら一帯の不良のボスをボコボコにしたらしーよ」
「えーマジ?折笠いずみって凄いよね。なんか喧嘩負けなしって感じで。関わりたくないよねー」
「うんうん。喧嘩ばっかしてて、恐いよねー」



 ——誤解だ。と、私は溜息をついた。私の視線の先には、きゃぴきゃぴとどこから得たのかもわからない噂を楽しそうに話すクラスメイトの姿があった。

 またありもしない事実が学校中へ広まり、私の評判が悪くなるのか。もう散々だ。私はもう一度深く息を吐いた。

 教室の中にエアコンなどという素晴らしい機械は設置されていないので、息を吐くたびにそれは白く染まる。今は冬。私はブレザーの袖から見える指に小さく息を吹きかける。



「うっわ折笠いずみと目があったんだけど!ちょー恐い!」
「え、マジで!?折笠いずみと目があったら事故にあうっていうジンクスあるらしーよ?」
「きゃーっ!ちょっとやめてよ!恐いじゃんかー!」



 甲高い声をあげ、きゃぴきゃぴと女の子らしく騒ぐその姿に、私は顔を顰めた。どこをどうしたらあんなに高い声がでるのだろうと、逆に不思議である。冷えた指先で、自らの喉を押さえて声を小さく出してみるが、やはり高い声は出そうにない。諦めて、ポケットに手を突っ込んだ。


「折笠さんおはよう」


 そこに、可愛らしい女の子の声。振り向けば、クラスメイトの笹川京子がその声に似合う可愛らしい笑顔を浮かべ、私を見つめていた。


「…………おはよ」


 低く、小さい挨拶を返せば、笹川さんはにっこりと微笑んで「またね」と自らの席に帰っていった。

 すると、いつも笹川さんと一緒に学校に来ている黒川さんが笹川さんにこそこそと耳打ちをしているのが見えた。会話の節々に、私の名前が小さく出ているのを聞いて、ああ私のことかと思う。

 多分、「折笠いずみと関わるな」といっているのだろう。笹川さんは、不思議そうな顔で終始黒川さんを見つめていた。


「…………あほらし、」


 私がそう呟いて机に伏せると、隣の席から「ヒィッ!折笠さんが喋った!」と情けない叫び声が聞こえた。沢田の声だった。

 

第二幕 ( No.2 )
日時: 2012/11/04 18:56
名前: ゆずり ◆qXlC6lTe92 (ID: gwrG8cb2)

 憎たらしいほどに真っ青で爽快な世界が、私の頭上には広がっていた。ひんやりと冷たい風が私の身体を撫でるけれど、屋上という大好きな場所にいる私には何の障害でもなかった。

 休み時間のたびに私は屋上に来ていた。雨の日も雪の日も。学校がある日は絶対に屋上に来ていた。何度も何度も来ているうちに、屋上へは誰も近寄らなくなった。「屋上は折笠いずみという不良の領地」という意味不明な噂が流れていたからだ。

 好都合ではあった。誰もいないほうが自由に過ごせるから。けれど、不都合なこともあった。それは、風紀委員長の存在だった。

 彼は、基本的に人が群れている場所には姿を現さない。屋上には彼がいると聞いたことはあったが、人がいる確立が高い休み時間には彼が姿を現すことはなかった。

 けれど、私の噂のせいで誰もいなくなった屋上に、彼は頻繁に足を運ぶようになったのだ。



「また君かい?」
「そっちこそ」



 黒い学ランを身に纏った彼は、ムッとしたような表情で言った。私は怠惰の念を隠そうともせずに、めんどくさげに彼に目を配る。それにますます苛立ちを覚えた彼は、私の近くまで来て、いつのまにか出していたトンファーで私の頭を殴った。

 そのまま私は吹っ飛ばされて、屋上のフェンスに受け止められる。危ないところだった。すこし間違えば屋上から落ちていたのだから。

 つーっと頭から垂れてくる血を乱暴に拭うと、私はそのままフェンスを背にして地べたに腰を下ろした。私の血がこびりついたトンファーを片手でくるくると弄びながら、彼は私を見下ろしていた。



「何するんですか。痛いじゃないですか」
「痛い?」


 
 彼が、全てを悟ったように私を嘲った。ふざけるな。お前は私の何を知っているんだ。そうは思っても、口に出すことはできなかった。ただ彼に口答えすることを許されない弱い私には、彼の紡ぐであろう言葉を待っていることしかできなかったのだから。



「君には“痛覚”というものがないんだろ」



 私は小さい頃、交通事故にあったことがある。そのとき、私は痛覚を失ったのだ。虫に刺されようと鉛筆を刺されようと包丁を刺されようと車に轢かれようと、私は痛みを感じない。

 痛みを感じないというのは何も知らない人間から見れば多少うらやましいのかもしれない。けれど、痛覚がないと私は怪我をした事実さえも知ることはできないのだ。

 それは、つまり私は死ぬ瀬戸際であろうと、その事実を確認することはできないのだ。なぜなら私は、どんな重傷を負おうと痛みを感じないのだから。



「……どうしてそれを」
「僕を誰だと思ってるんだい?」



 彼が微笑を浮かべた途端に、授業開始のベルが鳴った。「——遅刻だね。校則違反だよ。あと、その金色の頭もね」と今更なことを言いながら、彼はトンファーを私に振り下ろした。また赤い血が頭から流れたが、痛くはない。けれど殴られた衝撃で地に伏した私を、彼はつまらなさそうに見下ろしていた。



「屋上は、君の逃げ道なんかじゃないよ」
「……逃げて、ない」
「君は逃げてるのさ。孤独であるという寂しさから、ひとりぼっちの恐怖から」
「逃げてなんかいない!」


 
 私は即座に立ち上がると、彼の懐をくぐり抜けて屋上のドアから飛び出した。きらい、だ。あいつのことが、何よりも。嫌いな奴になら何を言われても気にならないはずなのに、なぜか悲しいのはきっと、彼の言ったことが事実だからだ。

 けれど、私には彼の言葉を否定するしかなかった。多分、今の私には最良の選択であった。

 痛覚がないというのに、この心臓の痛みはいったい何なのだろうと、もう答えがわかりきった疑問を繰り返す。

 これは、ひとりぼっちの運命なのだ。

Re: 【REBORN】 浮遊した上辺の偽善 【二話更新】 ( No.3 )
日時: 2012/11/09 18:43
名前: 未桜 ◆5vJ2t2Cxzg (ID: 3ZIdEbTb)

ゆずり様

初めまして、未桜(みおう)と申します。私も、【REBORN】をやっています。
正直な感想を言わせていただきますと、なんですかこれ、私の好みど直球じゃないですか!!
主人公の折笠 いずみちゃんは、金髪が似合う子なんですか。凄いなぁなんて思いました。痛覚が無いなんて・・・・・・無茶はしないで、何かあったらこの駄作者が喚き散らしてやばい事になります。(←オイ)

長々とすみませんでした。
これからもちょくちょく来ても宜しいでしょうか?
ファンになってしまったのでww
では、更新頑張って下さい


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