二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.3 )
- 日時: 2009/12/04 21:02
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 高杉は俺の嫁なんだすまない( ´・ω・) 更新速度が亀だよ!
■━━・・・壱
「お願いしますッ!! 俺、昔から攘夷志士に憧れてて!! 皆さんと一緒に、この国を立て直したいんですッ!!」
彼の名前は山崎退。
真選組の密偵であり、只今隠密任務を遂行中だ。
過激派攘夷浪士達の中心組織、鬼兵隊に潜入し、次のテロ内容を炙り出すというもの。
「いきなりンな事言われてもよォ…、高杉様や武市様に聞いてみねェと・・・」
「その前に攘夷志士なんててめーみてェな甘っちょろい若造になれるわきゃァねんだよ! 帰れ帰れ!」
しかし、任務遂行といっても潜入できなきゃ意味が無い。
鬼兵隊宙船(そらふね)の門番2人は、なかなか山崎を通してくれないのだ。
桂の時と違ってさすが過激派攘夷衆というところか、簡単には潜入できいのである。
必死で頭を下げても、そう簡単に入れない事は山崎も承知の上で望んだつもりだったが、予想以上に疲れるものだ。
「頼みます、俺、雑用でもなんでもしますから…」
何分かが経過し、山崎がブンッと大きく頭を下げた、その時だった。
『ねぇ、何してんのお前等』
甲板の柵から身を乗り出した、1人の少年らしき人物が、ニヤニヤとした顔つきで山崎達を見下ろしていた。
「りょっ、稜弥様ァア!!」
「危ないですゥゥ! またそんな事してェェ!! 降りてきてくださいィィイ!!」
すると、門番の志士達は今までと血相を変えて、その青年に大声で言った。
『えー、降りるのー?』と不満げな口調の青年は、グッと足に力を入れ。
次の瞬間。
掴んでいた柵の柱を放し。
ピョンッと甲板から、なんと飛び降りたのだ。
「あ゛あ゛あ゛ァ゛ァ゛!!! 稜弥様ァァァア!!」
「何してんすかアンタはァアアア!!」
志士達はあんぐりと口を開け、もう海に落ちる寸前の青年に向かって叫んだ。
山崎もただポカンとしているだけであった。
しかしだ。
ザバアアア!! と大きな音を立てて上がった水飛沫と波が、門番達と山崎にかかったせいか。
なかなかその稜弥と呼ばれた青年の姿が見えず、ついには見失ってしまったのである。
海を見やっても、稜弥はなかなかあがってこず、ついには5分が経過した。
「ちょ、ちょっと、これあの人沈んじゃったんじゃ…」
山崎は不安そうに門番の1人に話しかける。
「お、俺ァ知らねェ、稜弥様が勝手に…」
門番のうちの1人は冷や汗をダラダラと流し、動揺を隠し切れずにいる。
その目はもう泳いでいるどころかクロールを始めそうな勢いだ。
「おいテメェ!! 一人だけ逃げようってんのか!? これが高杉様にバレたら、俺ら打ち首どころか惨殺刑に…」
もう1人の志士が言い終わらないうちに。
『えー? いくら兄貴でも惨殺刑にはしねーと思うよ? だって、俺の兄貴だもん』
またあの稜弥の声が、どこからともなく聞こえてきた。
2人の門番は、
「「うわァァァァア!! 稜弥様が化けてでたァァァアア!!!」」
と涙をザァザァと滝のように流しながら、船内へと全速力で逃げていった。
『んー? 行っちゃったなーオイ』
稜弥の声はその呟くと、
『おい、そこの、お前は何しに来たの? ま、聞いてたけどね』
と小憎らしく山崎に言い放った。
山崎はどこから声が聞こえてくるのか分からず、ただキョロキョロと周りを見渡していた。
「(何だアイツ、海に沈んだんじゃないのか!?)」
山崎の頭はただそれだけで、少し混乱していた。
下や上、左右もよくよく見回したが、さっきの青年の姿は見られない。
ヤバイ、どうしよう、山崎の頭はただただ混乱するだけだった。
『おまっ、こんだけ近づいても気付かねーなんて志士としては致命的よ? すぐ殺されちゃうよ? ほら、首元見てみろよ』
その声にハッと我に返った山崎は、首元をそっと見てみた。
山崎の背筋は凍るようにゾッとした。
山崎程の手練(てだれ)は、自分の後ろに相手がいれば即気付き、武器を当てられよう物なら即座に反撃するのだが。
山崎の首元には、紫色に妖しく光る弓矢の刃が突きつけられていた。
「お、お前は…」
『あー大丈夫だから、殺さないって。それよりさー』
稜弥は山崎の首元とから弓矢を放した。
そして、山崎の前に出て来た。
『さっきの聞いてたよっと。ここに入りたいんだってね。別にいいぜ? あー因みに俺の部下だけどね』
その容姿は、体が華奢で、美しい紫の髪をした、青年じゃなく、女だった。
山崎は目を丸くして稜弥を見つめる。
『山崎っていったっけ? これから宜しくな。俺の名前は高杉稜弥。高杉晋助兄貴の妹だよ。一応、運動神経には自信あるからさ、お前が着いてこれるか心配だけどさ』
稜弥はニコッと微笑んだ。
山崎は無事に潜入捜査を遂行出来ることができるのか。
山崎は、これから不安でいっぱいである。
■━━━・・・・・・・・・
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.4 )
- 日時: 2009/12/04 21:02
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 高杉は俺の嫁なんだすまない( ´・ω・) 更新速度が亀だよ!
■━━・・・技術説明
ここではこの小説内の稜弥や泉菟が使う技術の事を背姪します。
実際に言えば絶対ありえない事です(^q^)
少し説明致しますが、断固有り得ない事なので、絶対に真似しないで下さい( ´・ω・)
第壱話━━
稜弥の運動神経は、攘夷一と謳われています。
剣の腕も随一で、下手すれば沖田より強いかも、という設定です。
稜弥が船から飛び降りた瞬間、稜弥は背か35~50本ぐらいの弓矢を取り出し、一気に海へ打ちました。
そのせいで水飛沫というか、大きな波が起こります。
それで出来た水の穴を利用し、今度は先ほど打った弓を足場代わりにして、山崎達が立っている所に飛び移ります。気合と根性で。
稜弥私用の弓矢はとことん長いです。
海に突き刺さります。
■━━・・・用語説明
ここでは俺が作った用語を説明致します
鬼兵隊宙船…
鬼兵隊の軍艦です。
ただググったりしても名前が出てこなかったので、俺が命名しました( ´・ω・)
意味は、宙も飛べるから、という理由です( ´・ω・)
水陸両用ですね!!
まだとことん増えていくかも。
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.5 )
- 日時: 2009/12/04 21:02
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 高杉は俺の嫁なんだすまない( ´・ω・) 更新速度が亀だよ!
■━━・・・弐
『で、ここが会議室で、あっちが甲板な。船の中は大体これくらいだからよ、今日は俺が呼ぶまで屋帰ってろ。さっき教えただろ?』
大体船の中を山崎に案内してやった俺は、そう言って休むように促した。
部下が出来たのが始めてで、凄く今嬉しいんだ。
俺に任せると滅茶苦茶にされていけないって、武市とか俺に部隊任せてくんなかったからさ。
まぁ現に山崎を部下にしたっての内緒だからな。
山崎は元気よく「はいっ」って言って、俺がさっき教えた自分の部屋に行った。
上司になったからには、とりあえず部下に好かれて尊敬されるようになりてーな!
あー嬉しい!
ここでリンボーダンス踊れるくれェ嬉しいよ!
踊ろうか? もうここで踊っちまうか?
アハハー・・・テンション上がりすぎて怖いわ俺・・・
こんな昼間からこんな気持ち悪いテンションでいいのか?
『これでやっと兄貴に馬鹿にされずにすむぞー!!』
俺は大きく手を広げて、万歳の格好になった。
しかし。
「ククク…、随分と妙に騒がしいじゃねェか、稜」
後ろから、俺が随分と聞きなれてる腹立たしい声が聞こえてきた。
俺は思わず『げっ!!』と阿呆みてーな声を出す。
俺が振り返ると、そこには。
女物の着物着て、煙管を吹かして、妙にエロスオーラが出てる。
『兄貴・・・』
俺の兄貴、
高杉晋助が、ニヤニヤとしながら俺を見てた。
『い、いつから見てた?』
「見かけねェ顔の奴が返事した所から」
『ほとんど全部じゃねーか!!』
ビシッと突っ込む俺に、兄貴は冷ややかな目をした。
うわ、傷つくよ、俺。
ククク、と笑った後、兄貴は煙管を吹かした。
「テメェに部下なんて必要ねェだろ? 何故俺の了解も得ずに勝手な事してやがる」
紫色の煙をフーッと吐いて、俺に低い声で言った。
『必要ない事はねェよ! また子や似蔵はたくさん部下持って、その上部隊だって任されてるじゃんか!』
「お前は鬼兵隊の副首領だ。腐るほど部下持ってんじゃねェか」
『それは兄貴もだろ! 俺は、俺だけの部下が欲しいんだ! それに、他の奴等は・・・』
はっ、と我に返った俺。
今、ここで兄貴にいろいろぶつけても、何もなんねェし。
俺は一旦心を落ち着かせた。
『・・・いや、別にいいよ。でもアイツは、山崎は俺が一番に見つけたんだ。俺がアイツの上になる』
兄貴にそう言うと、俺は兄貴の横を通って、奥の扉を開けて甲板に入ってった。
■━━・・・
兄貴が俺の事、信用してくれてるのは分かってる。
俺に部下なんて持たせなくても、一人でなんでもやってのけるって、信用してくれてるとは思ってるよ。
でも。俺は。
兄貴みたいに、人に頼られたことが一度もない。
兄貴は皆に頼られるけど、俺は「鬼兵隊の副首領」とか「高杉晋助の妹」って、名前だけで飾られる。
それで皆、俺の実力も知らないくせに、余所余所しく敬語使ったりするんだ。
俺はそれが嫌だ。確かに学なんて俺には無いよ。
兄貴みたいに作戦なんて立てられないし、武市やまた子みたいに大勢の人間を纏められる能力も無い。
けどさ。俺だって強いよ。
皆に頼られるような、凄い人間になる素質はあるはずなんだ。きっと。
人を、部隊を、任せられないのは何故なんだろう。
何回も思ったけど、答えは見つからないし。
でもさ。1人の人間ぐらいに、頼られたい。
尊敬されたい。歓心されたい。
俺は憎いほどの青空を仰ぎ見て、深すぎるため息を吐いた。
■━━・・・・・・
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.6 )
- 日時: 2009/12/04 21:03
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 高杉は俺の嫁なんだすまない( ´・ω・) 更新速度が亀だよ!
■━━・・・参
『…武市さ、もーちょい分かりやすいように説明してくれたら俺嬉しいんだけど』
「それもう5回目ですよ。これでも私頑張って分かりやすくしてます」
鬼兵隊幹部会議中、稜弥はぐむむと不満げな声を上げた。
『だって何喋ってるか分からないんだもんー!! 何!? 拡散!? カクサンって何!? 薬!?』
「兵を拡散させる」の意味がもはや分かっていない稜弥。
今度行うテロの事で、鬼兵隊内の重要義務を任されている幹部達が集まって会議しているのだが。
稜弥のせいで一向に進まないのである。
夜な夜な繰り返される会議に対してストレスが溜まっているであろう幹部達にとって、使えない副首領はストレスの権化である。
「稜弥様、あとで俺達が分かりやすくうさちゃんとかでお教えしますから、今日のところは部屋帰ってください」
隊士の一人が稜弥に優しく言うと、稜弥は
『うさちゃんって何だアアア!! 何さ! 俺だって頑張って理解しようとしてるのに! 皆俺の事邪魔者扱いしやがって! いーもん! あとでまた子にねこちゃんで教えてもらうもんンン!!』
と言いながら会議室を飛び出してった。
「稜弥様ァァア!?」と来島また子は稜弥を追おうとするが、武市に止められた。
「・・・結局、ねこちゃんじゃないスか・・・」
先の隊士の一言のあと、辺りはシンと静まり返ったが。
「……で、続きは」
という高杉の一声で、また会議は開始されたのである。
▼
「(…なんだこの会議、むちゃくちゃじゃないか)」
そう思うのは屋根裏で捜査をしていた山崎だった。
黒い忍服に身を包んだ姿は、さながらどこかの痔忍者を彷彿とさせる。
天上に1,2㎝ぐらいの穴を開け、そっと見ていた。
「(攘夷一と謳われているなんて聞かされてたから、凄い奴に着けたと思ったのに何一つ出来ていないじゃん、あの人)」
あの人とは言わずもがな稜弥の事である。
嗚呼、こんな過激派攘夷集団にも平和ボケしてたのが居たんだ。
山崎は少し馬鹿馬鹿しくなってくる。
ため息を吐いたあと、山崎は捜査に戻った。
そして、驚くべきことを耳にしたのである。
「では来週、真選組屯所爆破テロ、実行に移すことにしましょう」
■━━・・・・・・
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.7 )
- 日時: 2009/12/04 21:03
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 高杉は俺の嫁なんだすまない( ´・ω・) 更新速度が亀だよ!
■━━・・・四
『やーまーざーきー!! 聞いてよー!! 俺会議室追い出されてー………、って、あれ?』
山崎の部屋の扉を、ノックもせずガラァッと開けた半ば涙目の稜弥。
しかし、そこはもぬけのから。
辺りは山崎の影も形も見えず、ただシンとしていた。
『なんだアイツ、どっかに行ったのか……?』
今日は俺が呼ぶまで部屋にいろ、と言ったのに。
稜弥は少しイラッとくるが、頭を振ってその思考を掻っ消した。
稜弥は戸を閉め、ボウッとしたまま歩き出した。
そうだ、俺一人で真選組を潰しに行こうかな。
そんな馬鹿げた事考えて。
『(いや、マジで潰そうかな)』
■━━・・・・・・
「!!?」
山崎は思わず目を見開く。
そんな計画を練っていたのか。
今までの会話から、そんな事は一切感じ取れなかった。
真選組屯所爆破テロ。
大胆すぎる強行、いや、狂行。
こんなのがあの町中にある屯所なんかにされてしまったら、江戸一帯はパニックになる。
「(これは大変な事だ、これは早く、局長に知らせないと・・・)」
山崎は屋根裏からそっと出ようとした。
しかし。
運が悪かったのだろう。
ガタタッと山崎の肘が、ある柱に強めに当たってしまい。
大きく目立つ音が、会議室に鳴り響いた。
「でけェ鼠がいるようだなァ…、ククク」
高杉がそう笑う声が聞こえた。
「……ヤバい」
山崎はそう言うしかなかった。
「曲者だァ!!」
「捕まえろォ!!」
会議室に居た者の大半は、天上に向かって攻撃を繰り出した。
来島は1発、また1発と銃弾をガンガン天上に撃ち続けていた。
山崎は屋根裏の片隅に寄り、何とか事なきを得て居た。
さて、その銃の音や刀が出す音が一気に鳴り止むのは、この一言の2秒後である。
ダダダッと廊下を1人の隊士が走ってきた。
「た、高杉様ァ! 皆さん! 大変です!!」
その顔は青く、冷や汗と思える水滴を額いっぱいに滴らせ、とても重大な事が伺える。
「どうしたんですか、そんなに騒ぎ立てて」
武市が力ある目でその隊士を見つめると、隊士は切れ切れとした息を整えながら言った。
「稜弥様がッ! 稜弥様が、今から真選組を1人で壊滅させに行くって、俺らの言う事なんて気にも留めずに、ついさっき一人で出て行ってしまったんです!!」
さて、先に言ったように、先ほどまで鳴り響いていた騒音は、この一言の2秒後、ピタリと鳴り止んだ。
■━━・・・・・・
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.8 )
- 日時: 2009/12/04 21:04
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 高杉は俺の嫁なんだすまない( ´・ω・) 更新速度が亀だよ!
■━━・・・伍
ザッ、とアスファルトを鳴らした。
今宵は肌寒く、稜弥は白いマフラーを巻いていたが、それでもまだ寒かった。
『・・・夜に出てくるんじゃなかったなァ、すげェ寒い』
稜弥はボソッと呟いてみるが、もう夜もとっぷりと更け(ふけ)、灯り一つ着いていない状態のこの町。
皆寝静まってるんだろう。
『昼間に出てくるべきだったわコレ、いやでも明日は・・・、あー帰りたい』
〝俺ちょっと真選組に殴りこみ行ってくるわ"
〝ちょ、何言ってんですか稜弥様、駄目に決まってるでしょ!!"
〝何だよテメェ、俺が信用できねェってのか!!"
〝そうじゃなくて、どのみち俺らと行くんですから・・・"
〝お前等と一緒じゃ意味ねーの! 安心しろ、ちゃんと戻ってくるから!"
なんてやり取りがあった為、今から戻るのは何かこう…恥ずかしい?
俺は悪くないのに、俺が恥ずかしくなるのは嫌だ。
と、意味の分からない考えが頭にボンッと浮かぶ。
気温がどんどんと下っていく中、稜弥は難しい事で頭をいっぱいにしながら、真選組屯所へと歩んでいった。
■━━…
「まったく、おてんばにも程がありますねェ稜弥さんは。まァそこがどこかの猪女と違って可愛いんですけど」
「何言ってんスかロリ先輩、稜弥様はロリっていう程小さくありませんッスよ」
「ロリじゃありませんフェミです、貴女と違って明るく優しいと私は言いたいのですよ。私は蕾だけでなく、開いた花も愛でるのです」
「ていうか、今はそういう問題じゃ無いッス!」
稜弥様どこ行ったんですかー!! とか叫びながら、ドタドタを走り回る隊士達。
とりあえず稜弥様を探せ、と命が出たので、必死になって探している最中である。
埃を立て、床が抜ける程に大きな音を立て、会議室からドンドン出て行く隊士達を見つめながら、上官2人は呟いていた。
「稜弥様、最近悩んでた様で、ずっとイライラしてたッス」
来島は心配そうにうつむきながら呟く。
「そうですねェ、私も何度か甲板に一人で居るのを見ました」
武市は力ある眼を高杉にむけ、言った。
「……」
心配そうな素振りも見せず、ただぷかりと煙管を吹かしている高杉。
しかし。
「晋助様、煙管、逆ッスよ! 逆!」
来島が言ったとおり、煙管が上下反対であった。
口の所から灰が落ち、机が焦げていたのはそっとしておいてあげればいいんじゃないかな。
慌てる素振りもなくそっと煙管の向きをもとに戻した高杉に、来島は少しキュンとしてしまう。
「彼も心配なんですね、稜弥さんの事が」
武市が言う。
来島もそっと高杉に視線を向けるが、ただ高杉はぼうっと窓から外を見ていた。
数分が経ち。
高杉はいきなりすくっと立ち上がり、来島と武市の視線を浴びながら、会議室の入り口へ赴いた。
「ちょっ、晋助様、どこ行くッスか!?」
来島がそう聞くと、数秒間をおいて、高杉は
「………散歩だ」
と冷たく返して、会議室から出て行った。
「皆さん結局稜弥様が大好きなんですねェ。愛されてる花、いいですねェ」
「気持ち悪いッス武市変態」
「変態じゃないです先輩です。私達はどうしますか?」
武市がそう聞くと、来島は0,3秒で返事をした。
「もちろん、稜弥様を探しに行くッス。あ、武市先輩は着いて来なくていいッスから」
「即答ですか。いやはや私も稜弥さんはほっとけないというもの・・・」
来島は怪訝そうな顔をした。
武市はその顔に傷つく。
「駄目ッスよ、先輩はそこの侵入者を見張ってて下さいッス」
来島はビシッと指を指した。
その方向には、縄でぐるぐる巻きにされた山崎の姿が。
「侵入者なんてすっかり忘れてましたよ私」
大きく見開かれた眼は、山崎をジッと見つめた。
「私は行ってくるッスから、先輩宜しくお願いしますッスー」
そう言いながらピューッと風を切るようにサッサと出て行った来島を、武市は恨めしそうに見ていた。
■━━・・・
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.9 )
- 日時: 2009/12/04 21:06
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 高杉は俺の嫁なんだすまない( ´・ω・) 更新速度が亀だよ!
スレが消えてしまったので、ここでコメント返ししますw
■━紫陽花様
杉さんは俺らの天使( ´・ω・)
来てくれた! あーちゃん来てくれたよ!!
凄く寂しかったよー
有り難う母ちゃん、オラ頑張る(
■━梨栖様
こんばんわ、初めまして( ´・ω・)
来て下さって有り難う御座いますw
稜弥にキュンキュンしますか…、嬉しい限りです、有り難う御座います!!
高杉さんカッコいいですよね( ´・ω・)
面白いと言って頂いて光栄ですw
コメント有り難う御座いました!!
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.10 )
- 日時: 2009/12/11 17:49
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 高杉は俺の嫁なんだすまない( ´・ω・) 更新速度が亀だよ!
( ´・ω・)ちょろっと安芸るよ
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.11 )
- 日時: 2009/12/11 21:03
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 高杉は俺の嫁なんだすまない( ´・ω・) 更新速度が亀だよ!
■━━・・・六
「はーいちょっとちょっとー、ちょっと止まってーお兄さーん」
ピピーッと小さく吹いたその白いホイッスルは、とあるドS少年に口に咥えられていた。
両手を広げて〝STOP"という様なポーズで、歩いてきた稜弥を止めた。
『(……めんどくせェ奴に会っちまったなァ…)』
怪訝そうに顔を顰める稜弥は、笠を目深に被り、沖田の言う事も聞かず、肩にぶつかりながら進もうとした。
今、コイツに用はない。
俺は〝真選組"潰したい。
稜弥の頭の中は、それだけしかなかったから。
粉雪がちらついて来た午後11時。
人っ子一人居ない、車の通りが少ない道路。
真選組が攘夷取締法に基づき、夜間取締りをしていたルートに、稜弥が通ってきたので。
その職務を全うする為に稜弥を止めたのだが。
「…オイオイ、警察の言う事無視たァいい度胸してんじゃねーかィお兄さんよォ」
少々喧嘩腰になるのは頂けないが、沖田は稜弥の肩をガシッと掴んでそう言った。
『黙れ。俺ァ急いでんの。それとも何、もう俺の正体バレてたりして?』
笠を目深に被っているため表情は良く分からないが、密かに笑みを浮かべているのは沖田に分かるはずがなく。
次の瞬間には、稜弥の首元に刀が当たりかけていた。
「その通りだぜィ高杉…、攘夷取締法違反及び武器密輸容疑、ああそれと公務執行妨害、ついでに俺をイライラさせた罪で現行犯逮捕でさァ」
カチャッと沖田の刀が鳴る。
ズラズラと罪名を言っていった後、沖田は刀にグッと力を込めた。
『いやー…、本当ならテメーぶっ倒してさっさと行くとこ行こっかなーと思ってたんだけど…、気が変わったわ』
笠を取り、ブンッとどこかへ投げる稜弥。
『腹立つ顔見んのも今日でしめーにしてやる。お前を倒しても少しは手柄になるよな?』
透き通った紫の眼は、スッと沖田を見据えた。
そして稜弥は、背中の弓入れに入ってる弓を一本取り出した。
「それはあれかい? 俺を殺すって言いてェのかィ?」
笑えねェな、と沖田は真剣な顔つきになる。
次の瞬間。
目にも留まらぬ早すぎる攻防が始まったのである。
■━━・・・
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.12 )
- 日時: 2009/12/11 21:13
- 名前: 梨栖 ◆2y3JiH5/$z (ID: PxM9hGKP)
- 参照: http://いつ自分の小説消えるかと思うとちょっと怖い(・д;)
緊迫してきましたなぁ・・・(のん気な奴!
どっちも負けて欲しくない・・・・どっちも頑張れ!そして帽子屋様も更新頑張ってください^^
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.13 )
- 日時: 2009/12/11 21:26
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ( ´・ω・)高杉は俺の嫁だァアァァ!! 更新速度が亀です。
■━梨栖様
緊迫感出てますかね・・・?( ´・ω・)
負けてほしくないですねw
沖田が勝つと思うんですが( ´・ω・)(ェ
更新頑張ります、そう言って頂けるととても嬉しいですw
コメント有り難う御座いました!
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.14 )
- 日時: 2009/12/12 21:19
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ( ´・ω・)高杉は俺の嫁だァアァァ!! 更新速度が亀です。
■━━・・・七
≪ガガガガガッッ!!≫
俺が連射した弓は、相手に当たらず虚しくもコンクリートに突き刺さった。
さっきは6発ぐらい当たったんだけど、それでも気にせずに攻めてくるから、相変わらず面倒なモンだよなァ。
そんな悠長な事言える身じゃないんだけどさ、俺も。
アイツ、ていうかまァ沖田がよ。
前と戦った時より、確実に強くなってやがる。
俺になんて手も足も出なかったくせにさ。
『何、少しは修行でもしたかよ!? 大分強くなってんじゃね? 褒めてやってもいーぜ!』
俺は弓を打つ手を止めて、沖田に吹っかけた。
「テメーに褒められても嬉しくねェや!!」
沖田はそう言いながら、凄い速さで俺に斬りかかってきた。
間一髪で避けた俺は、『チッ』と舌打ちをすると、また弓矢を連射し始めた。
守っては攻め、守っては攻めの繰り返しで、なかなか決着がつかねェ。
だんだん弱っていく沖田と、俺。
傷口から噴射した血が、少しずつ積もりつつある雪を赤く染めた。
言い訳に聞こえるかもしれねェが、俺だって人間だ。
しかも、これでも女なんだよ?
攘夷一の戦闘能力だなんだって言われてるけど、そんなの周りの奴等が勝手につけた肩書きだしさ。
体力にも【限界】っつーもんがある。
それはヤツ(沖田)も同じだろうよ。
時間がどんどん過ぎていく中、それと同時に削られていく体力。
2時間半が過ぎた頃には、もう両者共に呼吸が荒くなっていた。
そんでだよ。
グジュッ!! なんて鈍い音がした。
俺の、足から。
『っぐ……、ァ…』
激痛が電流みたいに、俺の中で流れ出した。
左足に刺さった沖田の刀。
まさかのまさかで、俺が始めて負ける様な形になっちまった。
疲れからか瞬発力が衰えたのかな。
後ろに回りこまれてるのに気がつかなかったよ。
寂しく光る電灯。
飛び散る血飛沫。
痛みが俺の脳を蝕んでって、だんだん意識も朦朧としてきた。
がくん、と膝が曲がって、俺は冷たいコンクリートにしゃがみ込む。
ああもう。
何だよ、ちくしょう。
俺かっこ悪いじゃんか。
「しめーだぜィ、高杉…。あばよ」
沖田がニヤりと笑った。
そしてゆっくりと、刀を高く上げた。
ああ、なんか、バチあたった気ィすんだけど。
多分、何かこう、最近自分勝手だったからかな。
逃げたい、けど、足動かねェし?
考えてても仕方が無い。
俺は覚悟を決めて、ギュッと目を瞑った。
……しかし、なかなか衝撃が来ない。
奥でドサッなんて音がしただけだった。
俺はそっと目を開けた。
そこには。
倒れてる沖田が居て
何故かそこにいる兄貴が
ジッと俺を見ていた。
■━━・・・
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.15 )
- 日時: 2009/12/14 21:06
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ( ´・ω・)高杉は俺の嫁だァアァァ!! 更新速度が亀です。
( ´・ω・)少し安芸させてくださいね
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.16 )
- 日時: 2009/12/14 21:56
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ( ´・ω・)無様 燃え滓 はたから見てみりゃ 君の事「綺麗」と
■━━・・・八
『な、なんッ、あ、兄貴、何で…』
俺はガタガタと震える人差し指で兄貴を指しながら、開いた口が塞がらなくなっていた。
「……チッ、馬鹿げた事しやがって…」
兄貴の舌打ちが大きく響いて聞こえて、俺はちょっと傷ついた。
そんで、兄貴は俺に歩み寄ってきた。
や、やべェ。
殺されるかも、俺。
若しくは、大きく頭叩かれるかも。
でも、俺の予想は大きく外れて、兄貴は何にも言わずに手を差し伸べてくれた。
「おら、けーるぞ」
振り続ける雪とは反比例して、兄貴の手は、不思議とあったかかった。
■━━
「稜弥ざばァァァァァアア!!」
「俺らじんぱい(心配)じだんでずよォォ、グズッ、どご行っでだんでずがァァァ!!」
船に足を引きずりながらも、頑張って帰ってきた稜弥を待っていたのは、涙と鼻水で顔をグシャグシャにした鬼兵隊隊士10人程だった。
医務室で足の治療を受けている最中、ダダダンッと波のように隊士達が流れ込んできたのである。医務室に。
『ちょ、お前等、なんちゅー顔してんだよ!』
稜弥は隊士達の顔を見るなり、とても驚いた様子で言った。
ときどき、足の治療の際に起きる痛みに顔を歪めているが。
『お前等、いつも俺に手ぇ焼いてるみてェだからよ。俺、頑張って功績上げてさ、お前等に見直してもらおーとさー……』
『ま、ちょっと俺が強い事知ってもらいたいのもあるんだけど』と稜弥は後付た。
だんだん小さくなる声。
今回、稜弥は新しく出来た部下にカッコいいとこ見せたいのと、
鬼兵隊隊士達に自分が活躍できる、とても強い、という事を知ってもらいたいのとで、こんな騒動を起こしたのだが。
その稜弥の言葉を聴いた瞬間、隊士達はまたブワッと涙を流す。
「何言ってんすか馬鹿稜弥様ァァ!」
『馬鹿ってなんだよ!』
「稜弥様が強いのは、俺らが一番良く知ってるんですよ!!」
「それに、見直すどころか、鬼兵隊隊士全員、稜弥様の事尊敬してますって!!」
隊士達は口々にそう言った。
それを聞いた稜弥も、少し目に涙が溜まる。
『そ、そうだったのかお前等…、おお、そうだな、もう心配かけさせねェからな! 安心しろよ!』
お前達ー! 稜弥様ー! とそんな掛け合いをし始める。
はたから見てみれば阿呆の集団であるが、稜弥は以前には見せなかった最高の笑顔を、皆に振りまいていた。
とても過激派攘夷集団とは思えない、平和的な図であったのである。
▼
治療受け終わったあと、俺は武市とまた子に説教された。
「おてんばで可愛いのは良いですが、少々副首領としての自覚を持って…」
「そうッスよ稜弥様、もう心配したんスから」
俺はさすがに反省した。
この2人に言われたら、もう頭上がんなくなっちゃうよ、もう。
あの後から兄貴に会ってないけど、2人が言ってた。
兄貴も凄い心配してたって。
あとで、兄貴ん所に酒でも持って飲もうかな。
関係ないけど、俺の部下だった山崎? だったか。
アイツは真選組だったらしい。
でも、そんなに哀しくない。
武市が逃がしたって言ってたから、死んでないと思うし。
何より、あんなのよりもっといい部下が俺に居たんだよ。
つかもう名前も忘れそうだし。
いい部下に恵まれて、俺ァ幸せだな!
さて、仕事でもすっかな。
■━━・・・
━━オマケ
「山崎ィ…、任務失敗たァ何事じゃゴルァァァア!!!」
「うぎゃァァァ!! ちょっ、ふくちょっ、刀はっ、刀は止めてェェエエ!!!」
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.17 )
- 日時: 2009/12/14 22:15
- 名前: フルーツ (ID: JSuMRn8G)
こんばんわ^^
稜弥ちゃん(くん?)可愛いです。
なんか萌えてきましt(
更新がんばってください!
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.18 )
- 日時: 2009/12/14 22:28
- 名前: 紫陽花 (ID: f5Sjb9jT)
来ちゃったよv
ちょ、ぼーちゃ...そごたんどうなったぁぁぁぁ!!
山崎はどーでもいいけd(てめ
さっすがは、俺の嫁だねw(誰が
その文才憧れるよv
そんじゃ!紫陽花でしたっ
- Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.19 )
- 日時: 2010/02/07 19:58
- 名前: 紗菜 ◆uAcwoW6b/c (ID: mdybEL6F)
こんばんは、覚えてる・・・・かな・・・
元・胡亜の紗菜です。お久しぶり。
あ、覚えてなかったら初めましてなんですよね・・・
今でも帽子屋さんの小説 大好きだから、この通り見てます←
これからも通うのでまた一からお付き合いお願いします。