二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 偽善者狂想曲 / 曖昧フィーリングス ( No.254 )
- 日時: 2010/10/15 21:27
- 名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
- 参照: http://2.syawa.net/nicotter/watch/sm10812092
( 偽善者狂想曲 )
「大丈夫、」
曖昧な思想を勝手に抱いて歩いて、それに縋っていきて。結局、何が生まれたっていうんだ。なにか得たものでも、あるというのか? 何が大丈夫なんだ、大丈夫じゃないに決まっているだろう。
結局私は偽善者で、偽善者すぎて、愚かで。私はお前のことを好きといった。恋愛感情として好きだといった。これも、見せかけの愛だというのか。ただ私は自らの自己満足のために、それだけのためにお前を放そうとしないだけなのか?
「大丈夫だ、リュウジ」
そうじゃない。そうじゃないはずなんだ。そうじゃない、そうじゃない。確かに私はリュウジのことが好きで、小さい頃からまるで姉弟のように過ごしてきたけれどその時に感じたいたモノとはまた違った、新鮮で煩わしい感情。
ようやく気付いて、ようやく伝えて。だから、見せ掛けなんかじゃない。違う、はずなんだ。
嗚呼もう、曖昧な私なんて死んでしまえばいいのに。何が大丈夫だというんだ。エイリア学園は崩壊してしまって、その後どうなるかわからずに不安で泣いているヤツに向かって大丈夫、なんて。私に何がわかるというんだ。この先に待ち受けていることも、恐らく降りかかるであろう世間の批判も全て全て、私は何もわかっちゃいない。
結局、どうなるというんだ。ただ、気休めにしかなってない。否、気休めにもならない。私は、どうすればいい? 偽善者じゃないのなら、言えるだろうに。リュウジを安心させる言葉が、言えるだろうに。
「だから、自暴自棄になるな」
自暴自棄になんて、なっていない。これもそれも、私の思考が曖昧だから。曖昧だから、こんな安っぽい言葉しか掛けられない。それに私は、自暴自棄なんて言葉大嫌いなのに。
自暴自棄という言葉に気持ちを押し込むな。探しているのは、確かな気持ちだろう。曖昧じゃない、はっきりとした気持ち。なのに自暴自棄だとのたうって、うやむやにぼかしてしまう。曖昧じゃない気持ちを求めているのなら、そんな言葉に頼るべきじゃないのに。
大嫌いな言葉を、リュウジへ捧げて。結局、私の愛は偽善なのか。私は偽善者で、自らの自己満足のためにリュウジを利用している? 探しているのは、曖昧じゃない気持ち。私のこの気持ちは結局、曖昧なんじゃないか。
「私が、守るから」
偽善者が、愚かな言葉を吐いた。
/ギゼンシャカプリチオ next.
- 色彩円舞曲 / 続き / 曖昧フィーリングス ( No.255 )
- 日時: 2010/10/15 21:49
- 名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
- 参照: http://2.syawa.net/nicotter/watch/sm10812092
/next. ( 色彩円舞曲 )
「れい、な」
腕で涙を拭って、ずっと顔を伏せていたリュウジが顔を上げた。そして不器用に、微笑んでみせた。不器用だけれど、屈託のない、柔らかい笑み。幼い頃に何度も見た、いつもリュウジが私に向けてくれていた温かい笑顔。
「あり、がと」
——私の探す気持ちは、あったのか? 見つからないから、私は諦めたのか? リュウジのことを好きでいるのをやめたのか? 気持ちがわからないから、曖昧すぎるからと諦めたのか? あれだけ、無責任な言葉をぶつけておいて。あれだけ、好きと言って置いて。私は何がしたいんだ?
リュウジはこんなに私のことを信頼してくれているというのに。私はリュウジのことを欺いて、曖昧にはぐらかして、それで終わらせるというのか? 私が探す気持ちは、どうなったんだ。
霧散? もう、消えた? そんなの、聞いてみればいい。自分自身に聞いてみればいい。本当に私は、リュウジのことを好きなのか。曖昧じゃなく、はっきりとした形で伝えることができるのか。
目を閉じて、自分の胸に聞け。それできっと、答えは出る。長い間燻っていたずっとずっと伝えたかった言葉が、想いは、探していた答えは。——今、ここにある。
「絶対に守るから」
リュウジが、幸せであれるように。私が絶対に、守ってみせる。果たしてこれは、偽善なのか? 結局偽善者の私が開き直っているだけで、一時の張り切りにすぎないのか?
——否。たとえそれでも、お前がいなくなったら私は変わってしまうだろうから。きっと別のイキモノになって、ずっとずっとお前のことを探し続けるだろうから。
曖昧な私は、もういい。もう、追い出してやった。偽善かどうかなんて、関係ない。“守りたい”という想いさえあれば、それでいい。だって私はもう、見つけたから。
長い間心の奥で燻っていた、胸の奥の方で待っていた想いを、見つけたから。もう、目は逸らさない。
もしこの気持ちが偽善だとしても。それでも、どうでもいい。
見つけたから。私はこの確かな想いを、リュウジのことが好きだという想いを、見つけたから。
自暴自棄という言葉は、大嫌いだ。でも多分、一番自暴自棄になっていたのは、私だったんだ。
/イロドリワルツ fin.