二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 雲はただ孤高に自由気ままに。 【REBORN】 ( No.16 )
日時: 2010/08/20 17:02
名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)

制御不能、全ての警戒レベルが急上昇致します。
制御不能。緊急システムを作動いたします。



—Maind,07— 制御不能


頭の中が真っ白になる。
体の自由が利かない。
まるで自分の意思とは反対に、自分の本能が相手を殺せと言わんばかりの。

思い出すのは——殺した人間の言葉。


                                 「    」


何度、言われた事か。
俺は、目をゆっくりと瞑った。





「刹那!」

狂ったように戦い続ける刹那に、僕は何度も叫んで止めようとする。
だけど声は聞こえないらしく、ナイフを振るう。
ナイフはティアラの天才から奪ったものだ。
無理矢理ワイヤーを引き千切って、そのナイフを使用している。
額にはどす黒い炎が灯っている。

「刹那!」
「シシッ・・・冗談じゃねぇ、コイツ・・・」





「刹那!?」

俺はモニターを見て叫んだ。
額に死ぬ気の炎らしき物が灯っている。

「ドカス。アイツは終崎と言ったか」
「・・・ッソレがどうした」
「終崎と言えばボンゴレの分家の様な家柄じゃねぇか・・・あのカス、炎を制御できずに暴走してやがる!」

目の前でザンザスはあざ笑った。





「制御が出来ない、ですか?」
「あぁ・・・突発的に、いや、偶然に起きた「 覚醒 」だからな。暴走しても可笑しくはねぇ」

傍観席でリボーンは説明をする。
自我を忘れた刹那は、いまだ戦っていた。

「ですが、死ぬ気化ならこの拙者にも出来ました」
「違う、そういうことじゃねぇ。刹那には、初代ボンゴレの血が色濃く受け継がれているんだ。無理矢理覚醒すれば暴走しても可笑しくはねぇ」
「・・・強すぎる力ゆえに、か」
「あぁ・・・」
「だ、だとすれば大変ですよ!このままじゃ味方さえも殺しかねません!」

バジルはあせりながらそう言った。

「(だが、逆にその炎を操れるとすれば、凶器になりうる)」


——ボンゴレに不可欠な、な。





目の前が真っ暗になって行く。
白から黒へと移り変わる世界に、俺は目を細めた。
微かに聞こえる声に、俺は耳を貸す。


                                『——だが、——には』


「・・・あぁ」

だんだんと景色が固まっていく。
そして、見えたのは———。





                                  「葬式の、時だ」

Re: 雲はただ孤高に自由気ままに。 【REBORN】 ( No.17 )
日時: 2010/08/20 17:32
名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)

「まだ、あの子には早いのでは?」

「それにあの子は血が通っていても、子供だ」


そんな大人たちの声が聞こえる。
葬式の泣き声が聞こえる声と混じったその声に、俺はギュッと持っていた熊の人形を抱きしめた。

「それに、あの子は一体誰が引き取るんだ?」
「私はゴメンよ。あんな「   」な子供の世話なんて」


「   」。


同じ言葉が繰り返される。
耳を防ぎたくなって、俺は顔を俯かせた。
そのときだった。

「俺が引き取ろう」
「・・・終夜様のお兄様・・・」
「ですが一体お家はどうするのです?」
「終崎家の本家にしよう。もともとあの子は終崎家の血筋を引き継ぐ者。それに今まであそこで育ってきた。あそこのほうが安心するだろう」

そういってその人は俺の頭を撫でてきた。

「これから俺がお前の父親だ」
「・・・俺、「   」だよ?いいの?」
「自分で自分を否定するような言葉は吐くな。それはお前の父親を愚弄しているのと同じ事だ」
「・・・」

俺は、ギュッと、熊のぬいぐるみを抱きしめた。
幼いながらも、俺は感づいていた。
終崎家次期党首になるということは———。
命を狙われて、自分が頂点に立つという事。
だから、

「俺に障るな」

君を避けたんだ。





真っ暗な世界。
だんだんと白が薄れてゆく。
段々目を瞑りたくなってきた。


                                 ——目を瞑るな。


「・・・」

薄っすらと、目を明ける。


                             ——君を待ってる人間が居るでしょ?


「・・・」
『刹那!』

雲雀の声が聞こえた。


                            ——さぁ、君は戻らなければいけない。


「・・・貴方の名前は?」


                                ——「     」


そこで、景色がいっぺんに壊れだした。





「刹那!」

刹那が急にボォッとした目つきになった。

「刹那!」
「・・・雲雀」

刹那が言葉を発した。
僕は目を見開いて言葉に耳を貸す。

「雲雀、俺、戦うよ」
「え?」



——ボォォッ



無駄に燃えていた炎が、優しい炎へと変わる。
どす黒く濁った色の炎は、純度の高い炎へと変わっていく。

「・・・守りたいんだ」
「・・・」

グッと刹那が拳を握り締めた。


「戦うよ」


僕に表情を向けた時の刹那の顔は、優しい表情だった。





「・・・!レオンが・・・」

レオンが光りだす。
球体になったレオンの中から、光があふれ出し、遂に何かが飛び出して終崎の居るところへ光は向かっていった。
一斉に俺達は巨大モニターを見上げる。


「・・・グローブ・・・!」


そこには、終崎がボンゴレの紋章のロゴが入ったグローブを装着された右手を握り締めて、淡い黒い炎を両手に宿した姿があった。