二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 雲はただ孤高に自由気ままに。 【REBORN】 ( No.18 )
- 日時: 2010/08/20 20:54
- 名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)
俺の覚悟の炎は、心の闇が作り出している。
—Maind,08— 「 零と壱 」
「燃え上がれ、俺の心の闇」
静かにそう呟いて拳に炎を燃やす。
心の闇という炎。
俺の炎は心境の変化で変わる炎。
ソレが———俺の炎だった。
癒す為の炎は、優しき心になれば簡単な事だった。
怒りを込めればザンザスという沢田と戦っている相手の憤怒の炎にだってなれるだろう。
そして、俺のこの黒き炎は。
「心の闇の炎・・・最もコノ世界では、灯せる人間は俺しか居ないだろうが・・・」
俺は、拳に炎を再び灯して、空に飛ぶ。
雲雀とは先程分かれて別行動だ。
グラウンドに降り立つと二つの炎がぶつかるのが見えた。
淡い色のオレンジと、真っ赤な怒りが篭った炎。
俺は顔を歪める。
昔の俺と同じ・・・一度だけだった。
怒りを込めた炎を使ったのは。
それは凄く醜いもので——悲しい物だった。
俺は、歩き始める。
◆
「刹那・・・来るな!」
俺は力いっぱいに叫んだ。
「ハハァ!」
——ズドドドドッ
遠慮の無いザンザスの放った炎の弾丸が刹那に向かっていった。
俺は目を見開く。
「刹那!」
——ゴアッ
刹那は拳に灯した炎で土煙を払った。
無傷で平然と経っている刹那。
感情は無感情だった。
「憤怒の炎、お前が憤怒の炎なら俺は「 零の炎 」だな」
「零の、炎だと?」
地面に降り立ったザンザスが顔を歪めた。
「俺の心は今、無だ。零になっている。零だからこそこの炎は生まれる。だから「 零の炎 」とでも言うだろう」
「刹那!逃げろ!」
俺はザンザスが銃口を向けると同時に叫んだ。
「カスが!灰になれ!」
炎の篭った弾丸は、当たらなかった。
刹那は全てを避けて、空中に浮かんでいた。
「何!?」
「俺は手出しはしない。コレは沢田綱吉の戦いだからな」
そういって刹那はトッと、地面に降り立ってザンザスを見据えていた。
「それに、この炎を無事に操れるか未だに不安だしな・・・」
そういって拳から炎を消して、死ぬ気化を解いた刹那に、俺はうめいた。
◆
その後は、良く覚えていない。
あの炎は体力よりも精神力を必要とする炎のようだった。
頭がクラクラして、最後に見たのはザンザスが喚き叫ぶところだった。
過去の事を話し出すザンザスに、俺は無意識的に抱きしめていた。
判らなかったけども。
俺は、目をゆっくりと閉じた。
◆
俺は悲痛のように叫んだ。
老いぼれの事、過去の事、全てを。
怒り狂った言葉に、終崎と言う女が歩み寄った。
ゆっくりと、優しく俺の体を抱きしめたアイツは、ゆっくりと目を閉じ、気を失った。
沢田綱吉も同時に倒れこんだ。
その後、だったか。
沢田綱吉側の雲の守護者が、終崎を抱きとめて、背中に負ぶって運んでいった。
(終崎刹那、か。覚えておくか)
俺は、老いぼれと似た、あの暖かさを感じながら、目を閉じた。
◆
刹那は僕の背中で目を覚ました。
「・・・ザンザスは」
「もう全て終わったよ。あのボス猿ならボンゴレの組織の人間に連れて行かれたらしいよ」
「・・・そう」
「刹那」
「何?」
僕は少し口ごもる。
「いや、何でもないよ」
僕はソレだけを言うと、終崎家の——刹那の家まで来て、刹那を運んであげた。
◆
「・・・クフフ、雲雀恭弥、お久し振りですね・・・」
「・・・六道骸。その姿でしゃべらないでくれる?気色悪い」
家に戻った僕は、クローム髑髏の体でしゃべる骸に顔を歪めた。
「仕方が無いじゃありませんか。僕は今、力をフルに使えないんですから」
「・・・で、何」
「そう警戒しないでくださいよ。いえ、只、キューピットになってみようと思いましてね」
「ハァ?」
六道骸の口からキューピットなんて言葉が出るなんて・・・僕は吐き気がした。
六道骸は「失礼ですね」、と変わらない顔で言った。
「雲雀恭弥。貴方本当に判らないんですか?ハッキリ言いますけど君、終崎の事がすきなんでしょう?」
「・・・」
僕は無言で答えた。
「・・・ハッキリ言いなさい」
「・・・好きだよ。多分・・・」
「多分って何ですか。本当、貴方は恋愛にはうといんですから・・・」
「君は恋愛ってした事あるの?」
「無いですよ。ですけど一応そんな感情は持った事くらいあります。貴方は無いんですか?」
僕はそんな六道骸の言葉に、無言で答える。
「・・・本当、貴方達ハッキリしなさい。好きなら好きとハッキリ彼女に言いなさい。早くしないと他の男に取られたりしますよ?」
「・・・判ったよ。好きだよ。愛してるかは判らないけど、大事だし、好きだし、将来的には———」
・・・って僕は何を言っているんだ。
「コレも愛のお陰ですかねぇ・・・。クフフ。ならその気持ちを早く言いなさい。雲雀恭弥」
「・・・ハァ・・・」
クローム髑髏・・・否、六道骸は霧になって消えていった。
僕は明かりを消して、目を閉じることにした。
- Re: 雲はただ孤高に自由気ままに。 【REBORN】 ( No.19 )
- 日時: 2010/08/20 21:25
- 名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)
次の日、枕元に一通の手紙が置かれていた。
その手紙には、パーティー・・・つまりはヴァリアーと言う暗殺組織討伐のお祝い招待状の様な物だった。
俺は遠慮なく行かせて貰うことにして、服を着替えた。
山本の家は知らなかったが、地図が書いてあった俺はそれにしたがって歩き始める。
「此処、か」
寿司屋だったのか、アイツは。
俺はガララッと和風じみた玄関の戸をあけた。
「お、終崎。来たか!」
「お祝いだ!早く飲め!」
「俺、未成年だから飲めないし。・・・って雲雀。お前まで何で来てるんだ?」
「・・・別に、用がなかったから」
雲雀はムスッとした顔で佇んでいた。
(そりゃあコレだけ人が入れば、な)
俺は苦笑しながら雲雀の隣に立った。
「・・・ねぇ、刹那」
「ん、何?」
「刹那、僕と結婚してくれる?」
「ぶっ」
全員がお茶を噴出した。
俺も呆然と雲雀を見た。
山本のお父さんまで持っていた皿を落とした。
「・・・結婚って俺、未成年なんだけど」
「あ、間違えた。・・・僕と付き合ってくれる?」
俺は額に手を当てる。
顔が熱くなるのが判った。
「ソレ・・・普通堂々と言う事か?」
「・・・駄目なの?」
可愛く言われると凄く・・・って、何考えてんの。
俺はぐるぐる回る頭で状況を何とか把握する。
「・・・いいよ、好きだし。俺も雲雀の事。それに気付いたの数日前、なんだけど」
「・・・」
すると周りからどわっと歓声が巻き起こった。
「おめでとう、刹那!」
「おめでとうございます雲雀さん!」
俺達はそんな風に祝杯をされた。
俺は少し溜息を吐きながらも、雲雀の手をギュッと握っていた。
雲雀の手は、ものすごく熱く、顔が真っ赤になっていたことを知る。
(始まるのは、十年後での物語)