二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 雲はただ孤高に自由気ままに。 【REBORN】 ( No.20 )
- 日時: 2010/08/20 22:56
- 名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)
——全力で僕を探してみなよ。
格好良く言ったアイツは、家を飛び出して以来、帰ってきていない。
—Maind,09— 近未来×過去未来
「刹那様!?一体何処におられるのですか!?」
屋敷の中で、そんな声が響き渡っていた。
そして、部下の一人が呟く。
「あれから、終崎様は何時も屋敷を抜け出す・・・一体何処へ行かれたのですか・・・」
頭を抱えながら。
◆
真夜中の道を歩く浴衣姿の少女。
彼女は、別に何をするわけでもなく、フラフラと夜道を歩いていた。
足取りは軽く、跳ねているようでもあった。
「お前が終崎刹那・・・終崎家の党首か」
自動販売機の裏からそんな声がした。
彼女は止まって、その自動販売機に向かってボタンを押す。
お金を入れて、ジュースを買う真似をした。
「例のブツはこの通り持ってきてやったぞ」
渡されたのは、一つの大きな封筒だった。
封筒を開けて、その中にある紙を見て、彼女はニッと笑って見せた。
「やっと見つけた・・・」
そんな風に、呟いて。
◆
「マジで何とかしてくださいよ雲雀恭一様!」
半泣き状態で終崎家の部下は雲雀恭一のところに現れていた。
「何があったの?」
「あれから十年!卒業してから八年!終崎刹那様はッ・・・ボスは、どれだけ警戒レベルを上げても難なく脱出してしまうんですよ!」
「帰ってきたんだけど、お茶はないのか?」
「って刹那様!何時の間に!?」
部下がバッと後ろを見ると俺は立っていた。
(アレから、十年。長い時間だったな)
俺は雲雀の父さんの向かいに座って、封筒の中身をさらけ出す。
「コレ、一体何?」
「アレから十年・・・継承式が終わって俺が指をくわえて待ってると思っていたんですか?」
俺がニヤッと笑うと恭一さんはハハッと楽しげに笑った。
部下は真っ青になっている。
「ハッ。勝手に出て行くから悪いんですよ。俺の情報操作力と情報収集能力を舐めないでいただきたい」
「僕も少し甘く見てたよ。君が此処までやるなんてね」
「愛した人間ならば探さないわけにもいかないでしょう」
俺は黒い笑顔を向けた。
その笑顔に真っ青になる部下達。
「さぁて、終崎家の人間と組織の全てをかけて、乗り込んで見ますか」
「・・・え゛」
部下が全員真っ青な声を発した。
彼女は——俺は、
ハハッと楽しそうに笑った。
(愛した人間だもん)(地の果てまで追いかける)(勘弁してくださいボス!)(全力でボンゴレに乗り込むぞ!)(ヒィー!)
- Re: 雲はただ孤高に自由気ままに。 【REBORN】 ( No.21 )
- 日時: 2010/08/20 23:54
- 名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)
「と言うわけで乗り込んできました☆」
「って刹那久し振りに再会したと思ったら殺しに来たの!?その武装装備!」
終崎の体には大量の銃器がぶら下がっていた。
最早体中が埋め尽くされるほどに。
「あぁ・・・・・・・・・・・・一応」
「何その長い間!?」
ツナは相変わらずの突込みを繰り返した。
俺はハハハッと笑ってみせる。
ちなみに此処はボンゴレ内装部だ。
「だって、凄く暇だったんだもん☆」
「・・・終崎さん、一体何があったんだ・・・orz」
「雲雀様が居ないからですよ。頭が可笑しくなられたんです!」
「あ〜成る程」
(ずいぶん前に雲雀さんに聞いた事があったな。終崎さんの口調はもともと僕をモデルにしてるって・・・)
俺は苦笑する。
と言うか、もはや腹が痛くなると言うレベルに達していた。
「ッて言うか早く雲雀さん呼んできて!このままじゃ本当に終崎さん頭が可笑しく成っちゃうよ・・・」
するとだだっ広い廊下の向こう側からその当の本人がやってきた。
「刹那・・・?何で此処に・・・ってコレ、何事?」
「雲雀さん!ちょうどいいところに!早く(ピー)して(ピー)しちゃってください!じゃないと終崎さん可笑しくなりますよ!」
「その前に君の脳内が可笑しいよ」
雲雀恭弥は溜息を吐いた。
そして刹那に近づいて抱きしめる。
きつく、強く。
「雲雀・・・!」
「全く、君何してるの?僕を追っかけて此処まで——ボンゴレの内装部まで来たわけ?」
「だって待ってられなかったし!」
「ハイハイハイ。ホラ、部屋に行くよ」
「うん」
満面の笑みで答えた。
部下達はやっと帰れると思って、それぞれが解散していった。
◆
「・・・特に刹那格好いいよねぇ」
「刹那は君でしょ」
「だから!ガンダム00なんだって!」
「(本当に頭大丈夫なの?この子)」
すると終崎は息を吸って吐いた。
「やっと落ち着いた?」
「・・・落ち着いた」
体育すわりをした刹那の姿が無性に可愛く思えた。
「(うっわ僕絶対に馬鹿だ)」
「バカップルでしょ、ソレ言うなら」
「(え、今口に出てないんだけど)」
「それは超直感があるから大体は判るんだよ」
「・・・」
僕は諦める。
彼女の髪は十年前より伸びて、切っていない事が判った。
適当に髪を結んだりまとめたりしていて、浴衣には似合わなかったが、顔の作りや声は全て昔とまんま同じだった。
「・・・刹那、何でそんなに変わってないわけ?」
「それなら綱吉だって同じ。俺達の血統は結構時が止まったままになるらしいんだ。呪われてるかもな」
冗談で言ったつもりだったらしく、刹那はあははっと笑った。
だけど僕は———。
僕は、刹那を抱きしめた。
「・・・雲雀?」
「・・・呪われてる、何て言わないでよ・・・」
◆
抱きしめられたとき、かすかに香る血の匂い。
隠しきれて居ない裏社会の存在。
俺は顔を歪めた。
(仕方ない、のか)
俺はそんな風に思いながら、雲雀の腕を解いた。
「ゴメン。無理矢理で。仕事なのに、さ」
「・・・何言って———」
「もう十年前の「 愛 」って言う形の無い物だったし。もう色褪せてもいい頃だし」
「・・・!」
———もう、今の状況に巻き込みたくない。
「何言ってるんだ!」
——ガッ
「!」
俺は体を壁に押し当てられる。
激痛が背中に走った。
肩に手を置いた雲雀のつめが食い込む。
「———僕は、こんなにも愛しているのに」
「——————雲雀?」
俺は、雲雀の目を見た。
虚空を見たその目には、何も映っては無かった。
俺の事だけ、映っていたけども、嬉しくない。
「何で!?僕は、僕は・・・ッ」
「雲雀、大丈夫。冗談だから」
俺がそういうと雲雀の目に光が宿る。
「本当に?」
「うん」
俺がうなづくと、雲雀は少しだけ冗談っぽく笑った。
(俺は、Drシャマルという医者のところに行く事にした)