二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 雲はただ孤高に自由気ままに。 【REBORN】 ( No.6 )
日時: 2010/08/19 18:38
名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)

気付かない感情と感傷。



—Maind,03— 見知らぬ感情


朝、父さんが居た。
俺は父さんの居間まで来て、お茶をすする。

「・・・刹那」
「・・・何?」
「雲雀恭弥とは関わっていないだろうな」
「・・・関わって、無いよ」


(・・・何でお互い、仲が悪いんだ)


俺は、そんな事を思いながらお茶をすすった。

「刹那。お前は時期党首になるべき運命だ。判ってるな」
「・・・判ってる」

だから、命が狙われるわけで——。
俺は、グッとその言葉を押しとどめた。
父さんの居間を出て、俺は自室に戻り、一つのナイフを取り出した。
そのナイフには黒曜石が嵌っている物だった。

「・・・母さん」

俺は顔を歪めた。





「・・・」


(一体僕はどうしたんだろうか)


今までの僕なら——人間が嫌いで、何時も一人だったのに。
何故、昔の幼馴染が来ただけで——。

「・・・」


(刹那の事ばかり考える。イライラする)


訳の判らない感情に僕がイライラしていると草壁が応接室に入ってきて、僕の異常に気付いたらしい。

「委員長、どうされたんですか?」
「・・・草壁」
「ハイ」
「・・・ある人がもしも家の事情で対立してて、その子の事を思うと、凄く胸が苦しくなるコレって、病気かな」
「(委員長、何故気が付かないんですか・・・)・・・ある意味、病気ですね」

草壁の返答が聞こえて、僕は頭を抱える。

「(と言うか、相手は一体誰で・・・?)」
「草壁、少し一人にさせてよ」
「あ、ハイ。判りました」

草壁はソソクサと応接室を後にした。
僕は一人で、しばらく考え込んでいた。


「・・・恋の予感だな」

「ハ?何言ってんだよ急に」


家庭教師はニッと望遠鏡をのぞきながら笑った。





廊下をブラブラ歩いていると俺は向こうから来る同クラスの山本と眼が合った。

「お、終崎じゃねぇか。どうしたんだ?」
「いや、別に。特に用事はないからブラブラしてただけで」
「ふぅん。そうだ、終崎。お前って野球できるか?」
「野球・・・」

思い出したのは母親の無理矢理すぎる危険なデスマッチ。
俺は顔を青ざめて。

「・・・悪いけど野球には物凄いトラウマがあるんだ」
「・・・そっか。なら仕方ねぇな」

苦笑しながら去っていく山本の背中を、俺は見ていた。




(雲は次第に陰っていく)

Re: 雲はただ孤高に自由気ままに。 【REBORN】 ( No.7 )
日時: 2010/08/19 19:59
名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)

「・・・ッ」


判っていたんだ。


時期党首になるという事実を知った時点で、己の手が血に染まることくらい。
何時も、殺した人間の事を思い出して目が覚める。
屋上で眠っていた今でも、冷害ではない。
自分の手を見て、真っ赤に染まった自分の手を思い出す。

「・・・ッ」
「刹那」
「!?」

俺はバッと後ろを見た。
枕元には雲雀恭弥が座っていた。

「ある意味ホラーだから。そこにいると余計目覚めが悪い・・・」
「君、うなされてたよ。悪い夢でも見たわけ?」

そういわれて、俺は顔を俯く。

「関係ない」
「関係ない分けないよ」
「ややこしい」
「・・・ねぇ、話してよ。僕に全部」
「何で俺が?」
「・・・拒否権は無いよ」

理不尽すぎる。
そこも相変わらずと言えば相変わらずだけども。
俺は髪をぐしゃぐしゃとかき回した。

「で、何の夢見たわけ?」

俺は少しためらってから、言葉を発する。



「・・・殺した人間」



そこで、雲雀恭弥の顔は固まった。
当たり前と言えば当たり前だけど。
俺はハァッと溜息を吐いて立ち上がる。

「もういいだろ。俺、帰るから」
「・・・一緒に帰るよ」
「・・・俺とお前が帰っていくところを見たらまず組織の人間が煩いんだよ。俺だけで帰る」
「組織の人間組織の人間って、君にはソレしかないのかい?」


(・・・風紀しかない人間に言われたくない言葉だな)


俺はギリッと歯軋りをした。

「・・・お前が巻き込まれる」
「僕が弱いと思ってるの?」
「きっと殺される」
「ヘェ、弱いと思ってるんだ」
「・・・そんな事は無い」

俺はハァッと溜息を吐いて、諦めた。

「・・・判った。一緒に帰ればいいんだろ?」
「うん、行くよ」

そういって俺の手を、雲雀は引っ張った。


「アレって雲雀さんと終崎さん?」


その時、偶然廊下を通っていた沢田綱吉は二人を見て呆然としていた。

「手をつないでるのな」
「十代目、早く帰りましょう」
「あ、そうだね・・・(雲雀さん、なんだか浮かない顔してるけど・・・)」

そんな事を、通りすがりの彼等は思っていた。





玄関まで来ると俺は靴を履き替える。

「ホラ、早く乗って」
「・・・中学生だよな、俺等」

目の前にあるバイク、カタナを見て俺は呆然とそう答えた。

「僕には関係ない事だよ」


(常識を簡単に覆す中学生だな、コイツ。というか国さえも壊しそうで怖いな)


俺はそう思いながら受け取ったヘルメットを被った。

「後ろに乗ってちゃんと僕に捕まってて」
「ん」

俺はバイクに乗って、雲雀にしがみついた。

「(何、この感じ)」

雲雀は赤く成り出す顔を、必死で隠してバイクを発進させた。

Re: 雲はただ孤高に自由気ままに。 【REBORN】 ( No.8 )
日時: 2010/08/20 08:52
名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)

「此処だよ、有難う」
「・・・うん」

家に着いたとき、俺が雲雀のバイクから降りると雲雀はなぜか寂しそうな顔をした。
俺が首をかしげながら門の前に居ると、


「刹那様!こんな時間まで一体何処に・・・」


ソコで部下の言葉は止まる。
多分、いや、絶対的に雲雀を見て固まった。
俺はダッと走りだして、雲雀の手をつかんだ。

「逃げろ、雲雀!バイクに乗ればお前なら楽に逃げれるだろ!」
「!?」

俺は雲雀をバイクに乗せて走るようにそう言った。

「刹那———」
「いいから帰れっつってんだよ!」

俺がそういうと雲雀はバイクを発進させた。
俺は溜息を吐いて前を見る。

「・・・刹那様、雲雀恭弥と関係を持ったのですか」
「・・・」

俺は顔を歪める。

「貴方は終崎家時期党首なのですよ!何故関係をもたれられたのですか」
「・・・アイツは友達だ。別に友好関係くらい持っても良いだろう」
「貴方は、終崎家の次期党首です。対立している雲雀家とは絶縁されている家柄——」

そこで、何かが壊れる。
その部下に掴みかかって、俺は叫んでやった。

「俺は終崎家の人間である前に!俺は一人の人間で中学生だ!家柄なんて・・・もう嫌なんだよ!」
「刹那」
「!」

俺が後ろを振り返ると、ソコには父さんが立っていた。
俺は睨みつける。

「家柄家柄って・・・何で終崎家党首って事でそんな掟に縛られなきゃいけねぇんだ!」
「なら、縁を切れ」
「!」
「終崎家の縁を切れと言っている」

俺は、歯軋りをする。

「・・・切ってやるよ。こんな掟ばっかりの家・・・!あの葬式の時もそうだったじゃねぇか・・・!」

俺はそういって家とは反対の方向に走り出した。

涙が、頬を伝った。