二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: テニスの王子様〜適当に妄想したのを書く編w〜 ( No.16 )
日時: 2010/09/24 18:53
名前: 白石空樹 (ID: xr1in99g)

新しいお話。これは個人的に好き。
これは長い長い。


「…なにしてんの?」


中庭がよーく見えるこの教室の窓。

窓枠に布団干しのように体を預ける九州男児に声をかけた。


「んー?」


体をこちらに向けた。

が、窓から離れない。

私は彼から時計に目を移した。

時刻はとっくに4時を過ぎていた。

微妙な時間だな。


「白石ば待っと」

「ふーん」


彼はまた中庭のほうを向いてまた布団干しのように体を窓枠に預けた。

何見てんだろう。

ちょっと気になり、彼の隣の窓をのぞいた。


「修羅場たい」

「修羅場?」


中庭に目を移すとイケメン白石くんと美女と美女その2がいた。

ああ、おっけーわかった。

白石をめぐって女の戦いをしてるわけ。


「モテる男はつらいばいね」

「…」


人の事いえないだろう。


「由梨さんは彼氏作らんと?」

「うーん、今は受験に専念したいから…まあ、恋愛は高校でいいや」

「ふーん、」


あ、

と千歳が声を上げるもんだから、わたしも中庭を見た。

そこには美女と美女その2が醜い女の掴みあいが始まった。

あーらー

白石くんはどうすればいいのかわからずオロオロしてる。

美女と美女その2は白石くんのことを忘れて髪を引っ張り合い、ひっぱたき合い、暴言を吐いたりといろいろヤバい。


「白石ばオロオロしっとっとね」

「…」


千歳はクツクツと笑ってる。

あ、

美女が白石くんの手を引っ張った。

美女その2がそれにキレて白石くんのあいていた手を引っ張った。

あー

白石くんの引っ張り合いが始まった。


「千切れそうたい」

「え、」


千歳はまたクツクツと笑う。

あ、

白石くんがわたしたちに気がついた。

ポカーン、と口を開けてわたしたちを見てるもんだから、隣にいた千歳が声をあげて笑いだした。

すると白石くんの顔がどんどん赤くなっていき…


≪————ッ!!≫


美女2人に怒鳴った。

美女2人は驚いて白石くんを見る。

何言ったのかな。


≪————けど、———から…!≫

≪でもっ———て!!?≫

≪そうよッ!————の!?≫


あー会話はがほとんど聞こえない。


「なんか白石怒っとね」

「だね」


と、


「え?」


白石くんが怒鳴ってわたしたちのほうを指差した。

美女2人も振り返る。


「……」

「…」


千歳がそっと起き上がる。

あ、わかった。

きっと千歳にキレてるんだ。

見るな!的な。

でもちょっと違うようだ。

美女2人は白石くんにすがりつき始めた。

けれど白石くんは首を振ってずっとこちらを見つめている。

あ、わかった。

早く帰りたいんだね。

でもちょっと違うようだ。

白石くんはこっちをとっても優しい目で見てる。


「お前さんもモテモテたい」

「は?」


千歳はゆっくり微笑んで私の頭をなでる。

ワケがわからずじっとしていると中庭から大声。


≪千歳ふざんけんなやー!!≫


中庭に視線を移すと眉を吊り上げた白石くんが千歳に怒っていた。

美女2人は驚いてこっちを見てる。


「おー、怖か」

「だね」


白石くんは美女2人になにかを言ってまたこっちを指差す。

そして次に聞こえてきたのは…


≪由梨のことが好きなんやッ!せやからオレんこと諦めな≫


「は?」

Re: テニスの王子様〜適当に妄想したのを書く編w〜 ( No.17 )
日時: 2010/09/24 18:53
名前: 白石空樹 (ID: xr1in99g)

長かったから二つにわけただけですよーだ!

なんだって?

いまさり気なく告白が聞こえたような。


≪あ、あんな平凡少女のどこがいいのよ!≫


えー全部聞こえてますけどー

千歳はクツクツと笑ってる。

白石くんはわたしをじっと見つめて叫ぶ。


≪平凡ちゃうで!由梨はあんたらと違うで。めちゃめちゃ気配り上手やし、ま、たまに馬鹿で鈍感で、おっちょこちょいやけど!≫


え、それ褒めてんの?


≪でもそないなとこが好きやねん≫


まじか。

白石くんは美女らにそう吐き捨てこっちを見た。

隣でまた布団干しのように窓際に取り掛かる千歳。

そして


≪好きやっ!!≫


そう叫ぶ白石くんから目を泳がす。


「お前さん、答えなっせ」

「え、なんかやだよ」

「どぎゃんして?」

「なんか恥ずかしい…!」


中庭にいた生徒たちがこっち見てるし、

しかも何気にテニス部も見てる。

公開告白じゃん。


「早う返事せんと、白石ば恥ずかしいばい」


そうだ。

ここでわたしが返事しなかったら白石は公開失恋だ。

わたしはまた白石くんを見た。

真剣そのものの目に圧倒される。

すると千歳が起き上がった。

そして、中庭まで聞こえる声で言った。


「早く返事ば言わんとここから突き落とすたい」

「え!!」

≪は!?≫


ふざけんな千歳!

という声に千歳がクスッと笑ってわたしを担ぎあげた。


「ぎゃっ!」


それと同時に耳打ちされる。


「え、はあ!?ちょっと、わたし死んじゃう!」

「だいじょうぶたい。白石が受け止めてくれるっと」


そう言って千歳はわたしを窓の外へ出す。

千歳がわたしの脇から手を離せば完ぺきに死ぬ。

中庭からも悲鳴が上がる。


「白石!」





そんなに好いとうなら助けてみ?


その言葉を合図にわたしの体は宙を浮く。

いや。

引力によって地面へと落下する。


うそ、あいつマジで落としやがった!!


落ちていくのがとてもゆっくりだ。

わたしを見下ろす千歳は手を振ってるし。

耳には中庭の生徒の悲鳴が入る。


ああ、あたし死ぬのか。


そっと目を閉じたときだった。

ポスっと誰かに受け止められた。


あ、天使?


そっと目を開くと。

綺麗なやわらかい色素のうすい髪が視界の端にある。

それから聞こえてきたのは



「千歳あとで覚えてろ!!」



あれ、わたしまだ生きてた。


「だいじょうぶか?」

「え…白石くん?」

「ったく……まあ、千歳には礼という名のお仕置きをしとくか。」


白石くんはそっと微笑んでこう言った。


「好きや」


その言葉に目を見開く。

すると耳を通るのは小春ちゃんと一氏くんと謙也くんの絶叫。

白石くん越しから見える四階の窓には千歳が拍手して笑ってる。


「…返事は?」


中庭にいた女子や男子までも拍手をするもんだから。


「う、うん…わたしも」


そう答えないといけない気がしてきた。


え、ってかなにこれ。

わたしただ。


人の修羅場みてただけなんですけど。



白石くんが中一からずっとわたしに好意を寄せていた事を知るのはその二時間後。