二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: テイルズオブザワールド ( No.33 )
- 日時: 2011/11/18 23:09
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
「あ!!エミルお帰り!!ついでにヴァイズも」
アジトに着くなりいきなり現れた女の子。栗色の長髪、頭の左右に白い造花の髪飾りをつけている彼女は、
エミルが目に入るなり、帰ってきたヴァイズへ早々挨拶を済ませて、彼に抱きついた。
「ちょ!・・・・マルタ!!くっ付かないで〜〜〜〜!!」
「俺はついでかマルタ?相変わらずだぜ」
エミルは恥ずかしがるようにマルタを引き剥がしにかかり、
ヴァイズはそれに慣れた様子で対応した。
「何だこいつ?」
「あれ?お客さん??」
マルタはそこでようやくカインたちの存在に気が付き、エミルから離れる。
エミルは顔を真っ赤にして息を整える。
「私、マルタ。よろしくね、二人とも」
「俺はカインだ」
「私はルイ!!よろしく」
自己紹介が終わると、間にエミルが入ってきて言った。
「マルタ、この二人がユーリさんたちが言ってた二人だよ」
「??・・・・・エミル、さっきとキャラ違わない?」
「え?」
ルイがエミルの喋り方を気にして質問した。
「確かにな。さっき俺を襲って来た時はもっと荒々しい感じだったが、
今は・・・・・なんというか・・・・・」
「・・・・・ひ弱そう?」
カインの言葉にルイがもしやと言う感じで答えると、カインはそれだと指を立てる。
「う・・・・・・・」
その言葉にエミルはショックを受けたのか、へこんでしまう。
それを見てマルタが機嫌悪そうな顔で二人に詰め寄った。
「ちょっと〜〜〜〜!!『今』のエミルをそんな風に悪く言わないでよね!!
確かに『今』のエミルは気弱で臆病だし、『もう一人』のエミルの方が強く見えるかもだけど・・・・」
—グサッ!!グサグサッ!!—
「『今』のエミルはそれ以上に優しくて格好良いんだから!!!」
「・・・・・どうせ僕は・・・僕は」
マルタは最後の最後に良い所を言ったが、それまでに傷付きすぎたのか、
もう膝を抱え込んで一人でぶつくさ言い始めてしまった。
「はうあぁ!!エミル、落ち込まないで!!ほら、二人も謝ってよぉ!」
「十中八九原因はお前だと思うんだけどな。で、『今』だとか『もう一人』だとかって何だ?」
「うぅ・・・・、僕戦闘何かで気持ちが昂ると人格が変わっちゃうんです」
エミルがまだ凹み気味だが、よろよろと立ちあがると、質問に答えた。
「あ!よく見れば目の色も違う。さっきは赤っぽかったのに今は緑」
ルイがエミルの目を覗き込むように見つめる。それにエミルは顔を赤くして目を逸らした。
「・・・・・ところでエミル。さっきはどうしていきなり襲って来たんだ?」
話を一度区切り、ヴァイズがエミルが問い掛けた。
それにエミルも一度頷き、気持ちを切り替えて話を始めた。
「ヴァイズが出かけてる間に、この町にバルボスが来たんだ」
「バルボスって軍の第四隊隊長のか?それがこの町に?珍しいな」
「うん。『攻勢に転じる為に力を集めてる』とか言ってたよ。
それで力にならないんだったら、町を襲うって言って・・・・・・。
その時も見せしめにって、少し町を荒らされたんだ」
「そうか。そんなことがあったんだな。
それにしてもテルカが攻勢だぁ?何かあったのか?」
ヴァイズが考え込む仕草を見せる。テルカは他の国に比べると戦争に対して積極的ではなかったはずだ。
それが攻勢に転じたと言うことは何かあったに違いない。
「結局テルカも他の国と同じってことだろ?くだらねぇ」
カインはそう吐き捨てる。ヴァイズからテルカは戦争に消極的と聞いていたのに、この姿勢。
「カイン氏。そう言いたい気持ちはわかるが・・・・・・・」
「邪魔するぜぇ!!」
ヴァイズの言葉を遮って登場したのは巨漢で、貫禄のありそうな老人だった。
「・・・・ドン・ホワイトホース。まさか、王の右翼と名高いあんたが来るとはな」
ヴァイズが頬に汗を流しながら言った。それだけ、この人物が大物だってことはカインたちも分かった。
それにドンは、うわはっはっは!豪快に笑った後続けた。
「そんな大層な名前で呼ぶんじゃねぇよ。背中が痒くなるぜぇ。
この間はバルボスの阿呆共がやんちゃしたらしんでな。代わりに俺がその時の礼と答えを聞きに来たってわけだ」
「・・・・・・義に適った奴もいるんだな」
意外な人物にカインが呟くと、ドンはカインの方に顔を向けると、怪訝そうな表情を見せた。
「んぁ?おめぇさんは・・・・・・」
「??俺を知ってるのか」
「まさかおめぇさん、アゼールとシューナの子か?」
「!!父さんと母さんを知ってるのか!!?」
カインが目を丸くしてるのを見て、ドンが嬉しそうに笑った。
「知ってるも何も、アゼールの野郎は俺のライバルだったからなぁ・・・・・。
と、言っても俺は何時も勝てなかったがな。うわはっはっは!!」
昔を思い出すように楽しそうに話すドン。
「あいつは心身ともにつえぇ奴だったぜ。それを支えたシューナも強い心を持ってた。
おめぇさんからはそんな二人の力がはっきりと伝わってくるぜ」
「・・・・・・」
まさかこのような人物が自分の両親と繋がりがあるとは思わず、
カインは言葉を失ってしまう。
「っとぉ・・・、こんな話をしにきたんじゃねぇや。で、どうなんだ?
バルボスの奴はちゃんと言わなかっただろうが、俺らは別におめぇさんたちに前線へ立てって言ってるわけじゃねぇ。
俺ら全部隊が攻勢に出ている間、守備をおめぇさんたちに任せてぇってだけだ。どうだ?」
「・・・・・俺はこの町を守るだけだぜ。他なんて知ったことか」
エミルの口調が強気な物へと変わっていた。目が赤くなっているから、もう一人のエミルってのが出てきたのだろう。
「ああ、それでいいぜ。他の町の奴らには既に承諾は取ってあるからな。
後はこの町だけだったんで、安心したぜ。じゃ、俺らが留守の間この国を任せたぜ!」
ドンはそう言い放ち、また豪快に笑いながら、カインたちから去って行った。
- Re: テイルズオブザワールド ( No.34 )
- 日時: 2012/01/02 17:42
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
「嵐の様な爺さんだったな」
ドンが去った後カインがそう呟くと、それにヴァイズが乗ってきた。
「そりゃ、このテルカじゃ伝説の人物だからな。
デリスが送り込んだ五百の魔物を一人でなぎ倒したなんて噂も立つほどだ」
「・・・・・・そんな奴が従うテルカの王ってのはどんな人物なんだ?」
カインが見る限り、あのドンと言う人物が誰かに付き従うような性格には見えなかった。
「名前はデューク・バンタレイン。圧倒的な統率力とカリスマで王になったが、素性はよく知られてねぇ。
いろいろ噂は立っているが、どれもあやふやなものばかりだよ」
ヴァイズはそこで話を区切ると、一旦アジト内をざっと見渡した。
「随分と人気が少ねぇな。他の連中はどうしたんだ?」
アジトにエミルとマルタ以外誰もいないことを気にかけるヴァイズ。
それに対しエミルが思い出したような表情で言った。
「そうだ。話そうと思ってたことがあったんだ。実は・・・・・」
そこからエミルの話をまとめるとこうだ。数日前に突然謎の光がテルカの城に降りたと言う。
それでテルカ軍がよからぬことをしているのではと思ったエミルたちは、数人を城に潜入させていると言うことだ。
それ以外のメンバーはレジスタンスの定時会議に出ているらしい。
「あの光がテルカの城に?」
その時にはすでにアジトを出ていたヴァイズだが、その光は見ていたらしく唸っている。
「なるほどな。それでか。で、誰が言っているんだ?潜入なら・・・・・しいなは行ってるだろうな。他は?」
「ロイドとジーニアス。後コレットの四人だよ」
「あの仲良しトリオとしいなか。無事に見つからねぇで戻ってこれるとは思えねぇな・・・・・・。
仕様がねぇな。俺が見に行って・・・・・・って、おい!どこ行くんだカイン氏!?」
話を聞いてヴァイズが発とうとした時、それよりも先にカインが扉付近まで歩いていた。
「光は城に落ちたんだろ?だったら俺の目的はそこにあるんだ。邪魔すんな」
「邪魔ってなぁお宅。一人で突っ走ってオーブを取れると思うのか?」
「!!・・・・・何で知ってるんだ?」
まだヴァイズにはその話を何もしていないのに、その話を知っている事に驚くカイン。
その表情を見て笑みを浮かべるヴァイズ。
「お前たちの事はユーリたちから聞いてんだ。旅の目的もな。
それを知ってるからエミルたちもその光が城に落ちたことを懸念して、潜入させてるんだ。
精霊があの城の中にいるなら、その力を軍が何かに利用してるかもしれないからな」
「・・・・・・・」
「一人で突っ走んなよ。安心しろ、行くなとは言わねぇよ。
ただ、俺もついてくぜ。先に潜入してる仲間が気がかりだしな。
それに城の構造詳しい奴がいた方がお宅らにとっても都合いいだろう?」
「・・・・・分かった。じゃあ道案内頼むぞ、ヴァイズ」
何かを観念したような顔で呟くカイン。
「ああ、任せろ。エミル、もししいなたちから連絡あったら俺たちにも教えてくれ」
それに笑顔で答えるヴァイズ。そしてエミルのほうに顔を向けるとそう言った。
「うん、分かった。ヴァイズたちも気をつけてね」
エミルはその申し出に頷くとそう言って手を振って、三人を見送った。
——————————テルカ城城内——————————
「言って来たぜぇ!!」
大声をあげそう言うドン。目の前にはガラス窓から外を眺める男性が一人。
「そうか。どうだった?」
「ああ。了承してくれたぜぇ!これで全部の町をし終えた。
これで心置きなく出陣できるなぁ。なぁデューク」
「・・・・・・・・」
デュークと呼ばれた男は何も言わず、ただ黙って外を見続ける。
それにドンは一つ小さなため息を吐いた後、思い出したように言った。
「そういえば、その町でアゼールとシューナの子に会ったぜ。カイン・・・・とか言ってたかなぁ?」
その話題になると、デュークはちらりとドンの方を見た。
「・・・・・ほぅ。あの二人の子・・・・生きていたのか」
「ああ。俺も初め見た時は驚いたが、あれは間違いねぇ!」
ドンが嬉しそうに笑ったのを見て、デュークも僅かに笑みをこぼす。
「ふっ・・・・・。運命とは不思議なものだ」
だが、そこまで言ったところで再びデュークは何か考え込む表情に変わる。
「だが、あの二人の子どもと言うことは、そのカインという者も・・・・・・」
「・・・・・・・ああ、おそらくな。気付いていねぇみてぇだが・・・・・」
それにドンも何か知っているような口ぶりで乗る。
「・・・・・で、どうすんだ?」
ドンの言葉にデュークは暫く考えた後、口を開いた。
「たとえ本人にその気がなくても、一%でもその可能性があるのならその芽は摘んでおかなければならない。
ましてや、本人も自覚していない不安定なその力。暴走しない確率は低い。インヴェルも狙っているだろう。
・・・・・・皆に通達しろ。カインと名乗る者がいたら、その者を・・・・・・・・抹殺しろ」
——————————デリス城城内——————————
「どうしましたダオス様。ここのところずっと何かを考えていらっしゃるご様子」
一匹の魔物が王座に悠然座るダオスの表情を気にして質問した。
「・・・・・・・おい、貴様」
「はっ・・・・・は!失礼な物言い、申し訳ございま・・・・」
「もしテルカ、インヴェルの他に我々の野望を邪魔する者がいるとしたら、どうする?」
消されると思った魔物はすぐさま謝るが、それを気にした様子も無く、
ダオスはその魔物に質問した。魔物は少し詰まったが直ぐに、
「勿論、そのような輩はすぐさま滅ぼすべきです」
そう言った。だが、ダオスは更に神妙な顔をして言った。
「だが、そやつが我々の野望達成に近づけさせる可能性のある者だとしたら、どうする?」
「ダ・・・・ダオス様?一体何故そのような質問を・・・・・・・。
もし万が一その様なものがいても、その者が我々に協力して下さるかは定かではありません。
むしろ牙を剥く可能性の方が高いと思われます」
「・・・・・・確かにな」
魔物の言葉にダオスはまだ納得した様子は見せないが、言っていることは一理あると思い頷いた。
「そのような者がいるのでしたら、手下どもにそのものを抹殺するように命令を出しておきましょうか?」
「・・・・・・ああ、よかろう。全魔物に伝えておけ。こ奴を見つけたら抹殺するようにな」
そう言って見せた映像は、青い髪に青い瞳。さらにスラリとした体型をした人物。
そう、その人物は正にカインそのものであったのだ。