二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.352 )
日時: 2011/08/24 17:41
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

それでは、前から言っていた番外編書きますか!!

リズ「はいはい…ところでこの番外編シリアス強くね?」

まぁ、何たってロクサスが主人公のお話ですから☆(関係ねぇ!! by一同)

特別番外編—過去と今の七日間—

—俺の夏休みは、後七日間で終わる—


【Day1】—再び帰ってきた夏休み—

「あぁ———ッ!!!このままじゃ宿題終わらねぇ———ッ!!!(涙」

「俺もだぁ!!!」

トライライトタウンの何時もの場所では、赤髪の少年とトンガリ頭をした少年が叫んでいた。
頭が悪い代表者—グラッセとハイネだ(どう言う意味だぁ!! by二人)
そんな彼らを、シーソルトアイスを食べながらムーンとオレットは呆れており、ピンツとロクサスとナミネは苦笑している。

「自業自得だろ、どうせハイネの場合は宿題なんか後からやるって言って手をつけてなかっただけだろ?」

「うるさいぞリズ!!そう言うお前はやったのかよ!!?」

そんな中、リズがうちわで顔を仰ぎながらそう言うとハイネは逆切れをして聞く。
そう言えばリズって宿題やっているとこ見た事ないなと、ロクサスは思っていると彼女はため息をはいて宿題を広げた。

「す、すげぇ…!!全部埋まってる!!?」

「ここ私も分からなかったのに、すごいわリズ!!」

「流石だな、コイツ授業サボっているクセに頭はいいからなぁ…」

「喧嘩売ってるなら買うわよ、グラッセ(黒笑」

するとリズの宿題は見事に全部埋まっており、ハイネが呆然としながらその真実を受け止められずに居るとオレットは感心しグラッセも苦笑しながら実力を認めると少女は黒さを解放する。
普段リズは馬鹿全開な事しかしないので、ドアホだと思われがちだが頭はいい方だった。

「リズは頭がいいんだな、是非教えてもらいたいよ」

「そう?ナミネの方が頭はいいんだからナミネに聞いた方が『た、大変だもんよ———ッ!!!』…?」

そんな彼女に感心し、ロクサスが是非とも教えてもらいたいと言いリズがナミネの方がいいと思うと言おうとした瞬間—事件は起きた。
何と珍しく慌てたライが、入ってきたからだ。

「どうしたんだよライ、お前が来るなんて珍しいな」

「今はそれどころじゃないもんよ!!サイファーとフウが突然現れた敵に襲われているだもんよ!!」

これにはムーンも驚き何かあったのかと思うと、ライはかなりパニック状態になりながら教える。
それを聞いた途端、リズ、グラッセ、ムーン、ロクサス、ナミネの目が鋭くなった。

「ハートレスかしら…それともアンヴァース?」

「…ノーバディの可能性もある、そこに案内してくれ」

そしてナミネがどんな敵だろうと考え、ロクサスがまさかとは思うが自分の『仲間』かもしれないので戦える5人はライの案内によりその敵の出現場所に行く事になった。

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.353 )
日時: 2011/08/25 17:30
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

「く、クソ…!!」

「我、無念…」


ライの案内どおりの場所に行くと、言ったとおりにサイファーとフウが倒れていた。
そして二人の周りには、俺の配下ノーバディ—サムライがいる。

「サムライ!!?何でお前が…!!?」

「どうしてロクサスの配下が…」

「二人とも、危ないッ!!!」

これにはロクサス自身も驚くとナミネも疑問を感じ首を傾げていると、リズが真上にキーブレードを投げる。
するとそのキーブレードは、ガッキンという音が響き彼女の元へと戻る。

「—チッ、相変わらずいい勘してるな」

「誰だ!!?」

そして謎の声がし、リズが警戒しながら再びキーブレードを構えると背丈が高い黒コートを着た男が地上に降り立つ
—闇に包まれた黒いキーブレードを二本持ちながら

『キーブレードが二本…!!?』

「キーブレードを二本使えるのは、リズとロクサスさんと父さんだけなハズなのに…!!」

これには全員が唖然とし、グラッセは他にも二刀流の使い手がいる事に驚き信じられないと言わんばかりの顔だ。
しかしリズだけは一瞬顔を歪めると、構えを解いた事に気が付かず

「…お前は、何者なんだ…?」

『—俺はお前だ、お前と同じ者…』

もちろんそれに気が付いていないロクサスも男に問い詰めると、男は笑ったかと思いきや謎の言葉を残し—闇の回廊を出す。

「逃げる気か!!」

「別に俺は戦う意思は無い…じゃあな」

「待ちやがれ——————ッ!!!」

それを見てハイネが叫ぶと、男はそう言い残し闇の中へと入る。
次の瞬間、叫びながら走ってくる少女存在に気が付かず

『光よッ!!!』

『リズッ!!?』

すると回廊が閉じる寸前に、何とリズは闇の回廊に飛び込んだ。
光を纏いながら消えていく少女の名を呼ぶが、それは闇と共に虚しく消えた。



—それから、数時間後—

「あの馬鹿…!!」

「リズが無謀なのは今始まったことじゃない、それにアイツならきっと大丈夫だから帰って来るのを待とう…」

それからその後、あの場所にいても仕方ないのでサイファーとフウを大人に任せ何時もの場所に戻るとグラッセは頭を抱えながらリズに対して切れる。
あれほど無茶はするなと言っていたのに、またしても彼女が無茶をしたからだと全員が分かっている。
だけど今は怒っている場合ではない、リズの帰還を待つ事が出来る事なんだとロクサスは自分に言い聞かせつつ彼を宥めた。
あの謎の男が言っていた『俺はお前だ、お前と同じ者…』と言う言葉を気にしながら


—夏休み終了まで、後六日—

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.354 )
日時: 2011/08/27 14:26
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

答えとは意外と身近な所にある—
金髪と栗毛の少女リズは、今正にこの状況がそうだと悟った。

「なるほどねぇ…そう言う事なら協力するよ」

「サンキュ、じゃあまずは頼めないか?これを…」

【Day2】—気分転換—

「—この、重ーい空気は何だッ!!」

「少しは空気読んでよ、ハイネ…」

何時もの場所では、頭を抱えながら去年と同じ発言をしたトンガリ頭の少年—ハイネがいた。
理由は言わずとも、リズが行方不明の件が原因である。
そんな彼にオレットが呆れながら、落ち込んでいるメンツを指差す。
グラッセはリズに手出したらあの黒コートの奴たたじゃおかねぇ…と言いながら身体中から炎や氷と言った魔力が無意識に溢れ出ており
そんな彼の怒りを静めるために、何とか宥めつかせようと愚痴を聞いてやりつつもリズの事が心配で何時もより落ち着いていないムーン
昨日の男の言葉が気になっているのか、自分の世界に旅立っているロクサス
闇の力を集中させ、リズの居場所を特定できないかとこちらもヤバい目でいるナミネ
この四人は特に酷く、どうにか出来ないものかとオレットは悩んでいたのである。

「なるほどな…ところでピンツはどうした?」

「大人たちと一緒にリズの行方を捜索するために、今日は来れないって…」

それを聞き納得するとピンツがいない気が付き聞いてみると、どうやら彼も彼でリズを探しているらしく頑張っているようだ。
それならやる事は決まった、何処からストラグルソードを出すと

—バシーン!!!


「あだっ!!?」

「うわっ!!?」

「いてぇっ!!?」

何とも言い音を立てて上から、グラッセ、ロクサス、ムーンの順番で殴った(ナミネは女の子なので殴らない)
その光景にようやく正気を取り戻した(?)ナミネがポカーンとしていると、頭を抑えている男三人を仁王立ちでハイネが見つけ

「だーっ!!これだから重い空気は嫌いなんだ!!ピンツはリズを見つけるために大人たちと頑張っているんだぞ!!」

「!!」

アイツが頑張っているのに俺たちは何もしないでどうするんだと言いたげにスグラブルソードを突きつけると、グラッセはハッとする。
同じくムーンとロクサスも自分の世界から帰って来て、そうだと自分の行いが馬鹿らしくなる。

「なので今日は2班に分かれて行動する!!1班はグラッセにムーン!!お前らはピンツに合流しリズの捜索を手伝え!!」

「「わ、分かった!!」」

そんな彼らに微笑みハイネはグラッセとムーンにそう言うと、彼らは即行ピンツの家へと向かう。
残ったのは、ロクサスとナミネ、そしてハイネ自身とオレット

「そして俺たち2班はバイトだ!!」

「「「—は?」」」

残ったメンツに振り返り、次はどんな指令を出すのかと思いきや—何故かバイトだった。
これには三人ともあっけた声を出すと、ハイネは頭をポリポリかきながら

「そりゃあ俺だってリズの捜索をしたいけど、俺たちはリズが見つかって帰ってきた時のサプライズをするのだ」

「サプライズ…?何のだよ?」

どうやらリズが帰ってきた時のためにサプライズを考えているようで、何をするのかと聞くと彼はニヤッと笑い

「—海に行くのだ!!リズは海が大好きだろ?だから俺たち8人で海に行って遊ぶ金を溜めるぞ!!」

「海…!!素敵だね」

何と彼は皆で海に行くために、捜索を任せて海に行くためのお金を貯めようとしたのだ。
その案にナミネはとても嬉しそうに承諾し、オレットもハイネらしいわねと苦笑する。

「それに去年はいけなかった事をかねて!!焼きそばを買う事も考え今日1日中バイトするぞ!!」

「…ッ!!」


二人の様子に満足したのか、ロクサスも見てもう一つの目的を言うと彼は酷く驚く。
それも覚えていたんだ、俺だけが覚えていた偽りの記憶を…
そう思うと何だか目元が熱くなって泣きそうになるが、あえて笑って分かったと言う。
それから何時もの場所から四人は去り、1日中8人分のお金を貯めるために街中を走り回ったのは言うまでも無い。
それから数時間後多少セコい手(ロクサスがクライドだののシステム)を使っていたが、何とか貯められた。


—夏休み終了まで、後五日—

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.355 )
日時: 2012/04/14 14:35
名前: リラ (ID: 4HN4VOsr)

「ただいまっ!!」

『リズッ!!?』

ずっと心配していたってのに、そいつは相変わらずの能天気な顔で勝手に消えて帰ってきた。
自分は人の事を心配したりほっとけないクセがあるくせに、自分の事となると何も省みないバカが—

【Day3】—おかえりとおめでとう—

8月27日—その日はグラッセの誕生日で、何よりも彼にとっては楽しい時間になるハズだった。
しかし、それはリズが行方不明になった事で哀しい時間となると思いきや

「いやー大変だった、闇の回廊入ったせいで具合は悪くなるし黒コートの男を返り討ちにするのも一苦労だったわ…」

「それはお前が勝手に追いかけたせいだ、このバカが!!」

何と朝一番乗りでグラッセが何時もの場所に行くと、リズは笑顔でソファーに座っており抱きついてきた。
一瞬呆然としてしまったが、リズがここにいるという事実が嬉しくてすぐに抱き締め返した。

「全く…本当に心配したんだからな、無事でよかった…」

「グラッセ…ごめんね」

取り合えず何時もどおり怒り狂い文句を言いながらも、自分の身を案じてくれた大切な人にここまで心配をかけたのは申し訳なく謝ると無事に戻って来たんだからいいと首を横に振る。
そんな彼に本当に迷惑かけちゃったなと思いつつ、あっとリズは何か思い出したのかソファーに置いていた白い袋から何かを出す。

「何だそれ?」

「…誕生日プレゼント、グラッセだって今日で15歳でしょ」

おめでとうと言いつつ、恥ずかしいのかリズは顔を真っ赤にして手渡す。
白い袋から出された箱かあらは自分が好きな甘い匂いがして、すぐに中身が分かった。

「フルーツタルト…俺の大好物か」

「…私、お菓子作りしか得意じゃないから」

「いや嬉しいよ、ありがとう…そしておかえりリズ」

その中身はリズお手製のフルーツタルト、グラッセが微笑むとこんなものしか用意できなくてごめんねと俯かれ慌てて彼女の頭を撫でる。
そしておかえりと優しく言いながら抱き締めると、リズもその暖かな温もりに身体を委ねた。
—何時もの場所の入り口で、中に入る事を戸惑っている二人の存在に気が付かず

「………入りずらいな、というか邪魔できないな」

「盗み聞きしてる時点で、ダメな気するけど」

「仕方ないじゃん、来たら二人が何かイチャついているし」

何時もの場所の入り口でため息をはきながら、ロクサスとナミネは苦笑していた。
お前(貴方)は幸せになる道を選んで—俺たちのように悲劇の道は辿っては欲しくないからと二人揃って考えながら

「さてと、仕方ない…邪魔が入らないようにサムライ頼んだぞ」

『御意』

でも俺たち以外の人物が来る事も考えられるので、やむ終えずロクサスは自分の配下を呼ぶと見張りをさせる。
そしてそこから、二つの影は消えた。
自分たちも折角だからデートでも行こうかと…
明日、自分に起こる異変に気が付くことも無く

—夏休み終了まで、後四日—

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.356 )
日時: 2011/08/28 11:38
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

「時間が…!!?」

「止まったッ!!?」


一度ある事は二度ある—それは紛れも無く真実だと思った。
それを、二人の少年と少女は体験してしまった。

【Day4】—再び起きた悲劇—

「野朗どもぉ!!今日は夏休み恒例のストラグル大会じゃあ!!!絶対ボケサイファーを打ちのめすぞ———ッ!!!」

「「おぉ———ッ!!!」」

「いや、サイファーだけじゃ無いから…俺たちだってお互い戦わなきゃいけないからな?」

夏休み終了まで後四日を切ったこの日は、毎年恒例の街で一番強い強者を決めるストラグル大会だった。
予選を勝ち抜いたリズ(暇だから参加した)、グラッセ、ハイネと俺ももちろん参加しており俺以外の三人はサイファーをブチのめす事しか考えていないようでちょっと怖い(目がヤバいから)
そして、今年は去年と違い予選を勝ち抜けるのが六人だったので敵が多いと言うのが難点だった。

「お互い決勝に行く前に当たっても恨みっこなしよ!!私も本気で行くから☆」

「「「(お前だけとは当たりたくねぇよ…)」」」

ロクサスがそんな事を考えていると、リズが今回は久しぶりに本気を出すと宣言されなおさらリズとは戦いたくないと大会に出場する三人は心から思ったそうだ。
誰がリズの最初の尊い犠牲者になるのやらと考えていると、弁当を持ってきたムーンとオレットが来た。

「よぉ!!お前ら気合入ってるな」

「今日は私とムーンでお弁当作ってきたから頑張ってね!!」

「お弁当ッ!!?」←

目の前にムーン&オレットのお弁当を置かれ、リズの目がキラッと光る。
そう、料理がかなり上手いムーンとオレットの弁当
女の子なのに食い意地が汚いリズは、すぐに気が付き目をキラキラさせたと言う訳だ。

『—そろそろストラグル大会を開始しまーす!!選手のリズ、グラッセ、ハイネ、ロクサス、サイファー、ソラは私の所まで来てくれ!!』

『—え?』

するとアナウンスが掛かり選手が全員呼び出されると、ふとここにいるハズがない名前を呼ばれ全員が首を傾げる。
何だが嫌な予感がしつつ、皆でアナウンサーのところまで行くと—奴がいた。

「リズ!!ロクサス!!ナミネ!!それにグラッセやムーンも!!ハイネたちも久しぶりだな!!」

「…出たトラブルメーカー…(涙」

奴—光の勇者であり、リズたちにとっても超迷惑人と言うトラブルメーカーことソラも出場しておりある意味終わったなとリズ頭を抱えるとグラッセにドンマイと慰められる。
だが忘れてはいけない事がもう一つ、ムーンとロクサスはもう一つの最低な奴に目を向ける。

「久しぶりだな、ナミネ、リズ、グラッセ」

俺たちの憎いとも言える相手であり、ソラの保護者兼親友の—闇の勇者リク

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.357 )
日時: 2011/08/28 16:53
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

「リク…」

「やっぱり、ソラがいるとリクもいるかぁ…」

「悪かったな」

怒りと憎しみを露にしながらムーンがその名を呼ぶと、リズも頭を抱えながらため息をはきリクがツッコミを決める。
その横では、グラッセもリズと同様に頭を抱えながらあーとうな垂れておりソラだけは周りの空気が何故変わったのか理解出来ず見渡している。

「どうしたんだよ!!いきなり俺が来て空気が重くなったような」

「アンタが重くしたんだよ、アホ勇者(スパッ」

「リズ…一応俺の父親だからその辺にして(涙」

そして能天気にそんな事を言うと、リズが少々切れキーブレードを構えようとするとグラッセが止める。
リクもリクで空気を重くして済まないと告げると、ソラと共に去ってしまった。

「チッ、仕方ない…サイファーを倒すがてらロクサスの兼も兼ねてもう一肌脱いでやるか」

1人の少女がそうボソッと呟いていた事を知らずに…
大会は幕を開けた。

「ルールはここにいる全員が分かっているだろうからあえて言わないよ、その代わりフェアプレーでな」

「「「「「「分かってるよッ!!!」」」」」」

まずはアナウンサーがそう言うと、早く決勝戦をやりたいのか出場者六人は同時に叫ぶ
その剣幕に押されたのか、アナウンサーは対戦相手を伝えすぐさま試合をする事にした。

第一回戦 リズvsソラ(シード権組)

第二回戦 ロクサスvsサイファー

第三回戦 ハイネvsグラッセ

「つまり私かソラ、どちらかは勝てばそのままシード権で決勝に行けるって事ですね」

「ああ」

「よっしゃ!!リズを倒して決勝行くぞーッ!!」

どうやら一回戦で戦うリズとソラはどちらかが勝てば決勝進出となるようでかなりいいトーナメント戦だった。
リズが聞くとアナウンサーは頷き、ソラは元気に絶対勝つと宣言する。
その発言を、リズの事をよく知っている者たちは終わったなと思っているのを知らず

「ふぅん、その自信何処まで持つかしら?…悪いけど早く事を終わらせたいからとっとと倒れてもらう」

「?リズ何か言ったか?」

「何でもないよ、それよりもそろそろ私たち試合だからグラッセは下がってて」

そんなソラを何処か遠い目でリズが見つめ何か呟くと、グラッセは首を傾げる。
だが何でもないと言われ、それ以上は追求せず彼は戻った。

「第一回戦!!トワイライトタウンでは知らぬ者はいない少女!!リズと街で一番強いと言われたソラ!!試合開始!!」

「手加減はナシよ、本気で掛かってきなさいッ!!」

「その言葉、後悔するなよ!!」

アナウンサーが二人の名前を呼び、試合開始の合図を告げるとリズがストラグルソードを構えソラにそう叫ぶと彼は走り込んできた。

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.358 )
日時: 2011/08/28 22:06
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

「………………」

「ロクサス…?」

「ロクサスさーん?(汗」

リズとソラが恐ろしい戦いを始めた時、再び思考状態に入ったロクサスをナミネとグラッセは呼んでいるのだが応答が無い。
二人が戦い始めてから皆の応援に来たアクセルが呼んでも、効果は同じ

「ロクサスは何か考え出すと、自分が納得するまで何しでかすか分からないからなー?」

「そんな物騒な事言うなよ!!俺たちの実力だけじゃ止められねぇだろ!!(滝汗」

そしてアクセルに相談して見ると何とも物騒な事を言われ、ムーンは切実に何かしでかなさい事を願う。
だがそう願っている時こそ、彼は何かをするのであると誰も気が付かなかった。
ちょうどその時、リズとソラの戦いに決着が付いたから

「—やったわね♪」

「うぅ…」

もちろん勝ったのはリズ、その下では踏み潰されてはいないが蹲っているソラがいる。
どうやらこの勝負、リズが圧勝したようでソラは反撃する暇さえ無かったようだ。

「ッ…まだだ!!」

「はぁー、まだやるって言うのかね?本当にバカな奴なんだから」

だけどソラもソラで諦める様子が無く、もう一度立ち上がってくるのでリズは呆れもう立てない様にしてやった方がいいわねと判断しストラグルソードを構えなおすが—

『そこまでッ!!時間が切れた時点でこの勝負は終了だ!!』

「「ッ!!」」

アナウンサーが二人の間に入ってきて、試合を止めた。
これにはリズも舌打ちしつつも反則負けになる訳には行かないので仕方なく下ろし、ソラもストラグルソードを下ろす。
その様子にアナウンサーは微笑み、試合の結果を告げた。

『—二人のボールの数は…リズが150個!!ソラが50個!!よってこの勝負リズの勝ちだぁ!!』

—ワァァァァァァァ!!!!!

アナウンサーがリズの勝利を完全に告げると、周りは歓声に溢れソラは負けちゃったと苦笑する。
そんな中、折角勝ったのに勝利の歓声を浴びずに戦いの舞台を去ろうとするリズを見つめる。

「待てよリズ!!俺お前と握手してない!!」

「…アンタがそうしたくても、私が握手をする義務は無いわ」

それで何とか握手だけでもしようと手を伸ばすが、あっさり言葉で拒絶され軽くショックを受ける。

「…私がこれからする事を見ても、アンタはそんな顔を出来るかしら」

そんな言葉も呟かれていたが、リズに拒絶された事を落ち込んでいるソラが聞いている訳が無かった。

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.359 )
日時: 2011/08/28 22:23
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

それから第二回戦と第三回戦は順調に終わった。
ロクサスに負けたサイファーが去年と同じいい訳をしていた以外は←
—そして、決勝戦に進むロクサスvsグラッセの試合が開始される前の昼

「おいしー♪やっぱりオレットとムーンの料理は格別だね!!」

「ああ、二人ともいいお嫁さんになれるんじゃないか?」

「ちょっと待てグラッセ、今明らかにおかしい部分無かったか?」

ムーン特製の卵焼きとオレット特製のコロッケを食べながらリズがそう言うとグラッセも同じくと言わんばかりに食事する。
そんな彼の発言にムーン本人だけはツッコミを決め、ある意味合ってるんじゃないと笑われる。

「俺は嫁じゃねぇ…(涙」

「冗談なんだからそこまで気にしないの!!」

「全くだ、変なところで真面目だよなムーンは」

嫁と言われた事が予想以上に堪えたらしくムーンがガチでヘコんでいると、親友兼仲間のリズとグラッセが頭を撫でながら機嫌をとる。
そんな光景をまるで親子みたいだなと、一同は微笑ましく見守っているともう一つの問題に目を向けた。

「わーッ!!ロクサスジュース零れてる!!(汗」

「しかも口か何か魂見たいので出てる!!ナミネ元に戻すぞ!!」

相変わらずボーとしながら思考状態に入ってるロクサスに、ナミネとアクセルが必死にフォローしている。
そんな状態で彼は試合に出てあのサイファーを余裕でブチのめしているのだから、なおさらすごいと言える。(ちなみにサイファーはそれを『ボーとしてるんじゃねぇ!!チキン野朗!!』と言ったが逆にやられた)

「ロクサス何でこうなっっちゃってるの…」

「お前がいなくなった日に、あの男から何か言われたみたいでな…何言われたのか聞いてるんだけど答えてくないし」

どうしてそうなっているのか状況が分からないリズは首を傾げながら聞くと、グラッセが出来る限り答えため息をはく
とにかくロクサスが何を言われたのか分からない以上、こっちも何も出来ないのである。

「ロクサスー!!父さんー!!いい加減正気に戻れー!!!」

「ごふっ!!?」

それを見かねたのか(?)リズは再びため息をはくと、お得意の跳び蹴りを決めロクサスを正気に戻した。
これにはその手があったかとムーンが感心するが、残りのメンツ唖然

「生き返った?」

「ああ、すごい目覚めた…サンキュ」

それで何時もの笑顔でそう聞かれると、何が何でもそう答えるしか無いだろう。
未来でどんな教育したんだと若干思いつつ、昼は終わりとうとう破滅の時間が迫っていた—

【Day4】が予想以上に長いので続きは明日書きたいと思います。
それでは、次回をお楽しみに!!

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.360 )
日時: 2011/08/29 21:41
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

…何故か眠い!!
何だこれ、疲れてんのか!!?

リズ「私が知るか!!お前の事だから夜更かしでもしたんじゃねぇーの?」

残念ながらそんな事してません!!
Day4の最後まで更新したら寝る…(予想以上に用事が出き、Day5と6は明日更新します)


「準備はいいか?グラッセ」

「何時でもいいですよ!!掛かって来い!!」

その後、昼が終わりロクサスとグラッセの試合が始まった。
そして、お互いの覚悟を確認していざ勝負と駆け出そうとすると—

「—今よ、サムライ、ダスク」

『『御意』』

突然見知った声がそんな事を言うと、ノーバディであるサムライとダスクが現れ空き地中を混乱させる。
これにはいくらロクサスやグラッセでも、試合を一時中断させその声の主へと目を向ける。

「リズ!!?何でいきなりこんな事を…!!」

「待てグラッセ!!リズの目を良く見てみろ!!」

声の主—ノーバディたちに命令したリズに問い詰めながら近寄ろうとするが、ロクサスが止める。
どういう事だと聞こうとするが、目を見ろ—それで分かった。
リズの瞳には、まるで何時もの綺麗な青い瞳が濁り切っており洗脳されている術式が露になっていた。

「操られているのか…!!一体誰がこんな事を!!」

「俺だ」

魔法のエキスパートのグラッセはすぐに気が付き、誰がやったんだと声を荒げるとその前の前に闇の回廊が現れる。
その中から現れたのは、もちろんリズを連れ去ったあの時の男

「お前ッ!!」

「あの時の…!!」

少しは想像していたがまさかここまで当たるとは思わずロクサスは驚きつつも警戒する。
グラッセもグラッセで、リズを傷付けた犯人として余計警戒している。
しかし男にとってはそれは想定済みだったかのように手を空へと掲げると—全てが止まった。
街の風も、人も、建物も、時間も、ロクサスとナミネ、そして男とリズ以外の時が全部
これはまるで、仮想のトワライトタウンでの出来事と同じだった。

「時間が…」

「止まった…!!?ここは現実のトワイライトタウンなのに…」

思わずロクサスもそう呆然と呟くと、ナミネが彼の言いたい事も含め絶句する。
それを当たり前の反応だろうなと男と洗脳されたリズはそう思っているのか、ただ笑っているように見えた。

「何がおかしいんですか!!?」

「待てナミネ!!キミまで慌てないでくれ!!」

それを怒り気味にナミネが聞き返すと、冷静になれとロクサスは彼女の前に手をかざす。
俺の行動に多少驚いたのか、ナミネは目を見開いたがすぐに納得してくれた。

「…アンタに聞きたい事がある、アンタは自分の事を俺(ロクサス)と言ったよな?だとすればアンタの正体は限られてる」

「…この短時間でよく気が付いたな」

その様子に笑顔でありがとうとお礼を言うと、ロクサスは本題に入りこの数日間悩んだ答えを男に告げると—彼はフードをとった。
そこから現れる見事な栗毛と青い瞳を見て、未来では自分はこうなっているのかと苦笑してしまう。
男の正体—未来のロクサスは笑顔でこう告げた。

「間に合ってよかったよ、今の俺の『夏休み』に」

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.361 )
日時: 2011/08/29 22:09
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

「今の俺の夏休み…?」

「それってどういう事なんですか?」

謎の男—もとい未来のロクサスがそう告げると、何故彼はこの時代にいるとかのツッコミは無しで疑問に思った事を聞いてみる。(もうそう言う問題は気にしない様にしているのもあるが)
すると、未来のロクサスは笑顔になり

「—キミの夏休みを見届けに来たんだ」

「「—はっ?」」

それは何とも下らない理由で、ロクサスとナミネはあっけた声を出してしまう。
その様子に、相変わらず面白いなと未来のロクサスは笑い答えてくれた。

「この世界…もとい俺が少年時代の頃に干渉するはずの無いリズ、グラッセ、ムーンという存在により俺たちを含む皆の未来はかなり変わった」

「…本来、俺はハイネたちと会う事は二度と無いハズだったもんな」

「私も学校とかに通う事は無かったシナリオだったんですもんね…」

未来の俺の言うとおり、この世界の起こる出来事は本来未来にいるべきのリズたちの干渉によりかなり変化してしまった。
その中に俺が再びハイネたちと過ごす時や、ナミネたちが学校に通うと言うシナリオは無かったはずだった。
なのに、その未来がかなり変えられた以上もしかしたら何か異変でも起きたのではないかと不安になってきた。

「…もしかして、それで未来に不都合な事でも起きたんですか?だから俺たちに…」

「いや、未来はかなりいい方向に変えられた…それはとても感謝しているよ」

まさかと思い不安な事を聞いてみると、別に不都合な事があったわけではなくほっとする。
そんな俺を未来の俺は優しく見つめ、頭を撫でる。

「そして俺が再び夏休みを過ごすと言うシナリオも存在していなかった…だから来たんだ、今の俺がどんな夏休みを過ごし終えるかを」

「今の俺が…」

どうやら俺がどんな夏休みを過ごしているのか気になったらしく、彼はこの世界にやってきたようだった。
それに思わず感心しつつも、俺は未来の俺に答える。

「俺は…元から考えていたんですけど夏休みの最終日に『            』に行く予定です」

「ッ!!ロクサス!!?」

「…随分唐突な行き場所だな、でも今の俺はそこで何をしたいのか何となく分かった」

今は誰にも言いたくなかったけど、前から考えていた事を言うとナミネは驚き未来の俺も少々目を見開きながら納得してくれる。
そして俺は、この方法を実行するために必要な力を持つナミネを見る。

「頼むナミネ…悪いけどその日、俺に付き合ってくれ」

「…分かった、それがロクサスの覚悟なんだね」

それならトコトン最後まで私も付き合うよと承諾してくれると、再び俺はありがとうと微笑む。
俺たち二人を黙って見ていた未来の俺も微笑み、闇の回廊を開いた。

「それなら俺も安心した、俺は本来いるべき時間へと帰ろう…お前は変わったな、いい方向に」

「…ああ、大事な親友や友達、そして仲間のお陰さ」

そしてその闇が消えると同時に時間が動き出し、俺とナミネ以外の全員がハッとする。
その近くでは恐らく洗脳を解かれたのか、リズも眠っている。

「ロクサス!!リズ!!」

「平気さ、それよりもリズを…やっと洗脳から解かれたんだ」

「ああ!!ありがとう…」

それを見てようやく正気を取り戻したグラッセが駆け寄ってくると、倒れているリズを指差す。
俺が洗脳を解いたんだと彼は解釈しており、お礼をするとリズを姫抱きし救護班へと運ぶ。
ロクサスとナミネが、何か呟いている事に気が付かず…
そんな彼を、リクとソラ、そしてアクセルが不信な目で見つめているのを知らず

「…大丈夫、俺は1人じゃないんだから」

「ええ、今度は私が貴方を守って見せるから大丈夫だよ」

その後、決勝戦出場者のリズが倒れたと言う事と、俺とグラッセの体調がよくない事から大会は9月上旬辺りへ変更となりスクラグル大会は急な異変により今年は延期となった。
そして明日は—約束の海にいく日であり、俺が覚悟を一段と強める日だ。

—夏休み終了まで、後三日—

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.362 )
日時: 2011/08/30 21:56
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

—もしかしたら、俺はもう二度と帰って来ないかもしれない。
でも、もう決めたんだ…もう一度真実を受け入れると
だから、お前に俺の思いを託す。

【Day5】—約束の海—

「海だぁ——————ッ!!!」

「ぬわっはははッ!!野朗ども遊ぶぞ今日はぁ———ッ!!」←

トワイライトタウンの真夏の海を見て叫ぶのは、ハイネの早速キャラ崩壊状態のリズ
これを見て、二人の保護者的存在のオレットとグラッセは涙目と呆れた顔をしていた。

「テンションが上がると相変わらず壊れるなリズの奴…」

「…何か、家の娘がごめん(汗」

「…ムーンたちって、本当に苦労が絶えないのね…」

そしてその後を歩いていたムーンが頭を抑えながらため息をはくと、ロクサスが代わりに謝罪しナミネが苦笑しながら告げた。
今日はリズが行方不明になっている間に貯めたお金で、八人は海へと来ていた。
去年は色々とあったので海には来れなかったから来年は必ず行こうと言う理由もあるが、約束を守るためにも来ていた。

「海♪海♪そうだ!!グラッセどうせだから競争しない?」

「え!!?い、いいよ!!俺はムーンたちとゆっくり昼飯の準備でも…」

海に来たらやる事と言えば一つと、どちらが早く泳げるかと競争しようとリズが誘うが何故かグラッセは挙動不審になりながら断る。
それにはちゃんと理由があった、リズの水着姿を見ながら泳げる自信なんて彼にあるハズがない(別名グラッセは、リズコン)
とにかくリズの事が大好きな彼にとっては、生殺しな行為なのだろう。
だが相手は天然のリズ、そんな思いに気が付くわけが無い。

「えー…折角、グラッセと競争するの楽しみだったのに…(涙目&ションボリ&上目遣い」

—バダンッ!!!

挙句の果てにはトドメを指して来た、突然何かが切れた後がするとグラッセが目を回して顔を真っ赤にさせながらシャットアウトしている。
どうやら純粋な少年には、キツかったようです。

「えッ!!?ちょ、グラッセーッ!!?」

『(ご愁傷様だな…)』

もちろん何も気付いていないリズは慌ててグラッセの頬をペチペチ叩く
そんな仲微笑ましい二人を、殆どの人間が呆れた目で見つめていた。
そして同時に天然って怖いと、同時に思ったらしい。





「ムーン」

「どうしたましたロクサスさん?グラッセなら相変わらずそこで伸びていますよ?」

それから数時間後、未だに目覚めないグラッセはパラソルが飾っているところまで移動させ、ロクサスは昼食の準備をしているムーンに話しかけていた。
彼はてっきり自分がグラッセの容態を聞きに来たんだと思っているのかそう答えられ、真面目だなと苦笑してしまう。
だけど今伝えたいのは俺の明日の決意、誰かに俺の思いを教えておかなければならないから

「違うんだ、ムーンに伝えたい事があるんだ」

「俺にですか…?」

それで用件を伝えようとすると、ムーンに不信がられてしまった。
それもそのハズ、ロクサスは基本的何かを伝える時はリズかアクセル、そしてシオンやナミネと言った親友メンツであった。
そんな彼がわざわざ自分に何かを伝えに来るは、おかしいと無意識に感じ取ってしまったのだろう。

「そんなに大事な話じゃないよ、ただこれを持っていて欲しいんだ」

「?アイスの棒が七本…?」

用件—アタリと書かれたアイスの棒が八本渡され、ムーンはまじまじとそれを見つめるとこれをどうしろとと考えていると

「明日、俺はナミネと違う世界へ行って来る、それでもし一日経っても戻らなかったらそれを俺の友達に渡してくれ」

「任務ですか?別にそれぐらいいいいですけど…」

ロクサスの用件は一日経っても戻らなければ、この棒を皆に渡してくれと言う事だった。
その時は、任務を任されたんだとムーンは勘違いし承諾してしまう。
それを見て、ロクサスはありがとうと俺をしてくる。
このアタリの棒がどれだけ重要な意味をもたらしているのか、俺には気が付けなかった。
その意味を知っているのは、ロクサス自身だけ
明日—世界が崩れる、一人の少年の心と共に

—夏休み終了まで、後二日—

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.363 )
日時: 2011/08/31 17:27
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

—哀しくても苦しくても…もう大丈夫だから
俺は確かにあの時消えてしまったけど、俺の思いは皆の中で生きていたから平気だったんだ…
それは今も同じなんだよ?

—私は弱かった、今よりも弱く何も出来なかった。
大切な人も守れず後から後悔しかしなかった私だけど、今度はキミを救ってみせる。
キミの痛みごと受け止めて、一緒に背負うからもう一人で苦しまないでね?

【Day6】—断ち切る過去と今の思い—

「「「ロクサスとナミネが昨日から寮に戻っていない!!?」」」

何時もの場所から響いたハイネたちの声は、何とも衝撃的な事だった。
それを報告したグラッセとアクセルは頭を抱えながら、済まないといいたげに頷く。
事の始まりは昨日からだったのだ、海から帰った夜トワイライトスクールの寮ではグラッセが今日来た水着の洗濯をしていると荷物を纏めたロクサスが部屋から出て行こうとしていた。

『ロクサス?どうしたんだこんな夜中に…』

『ああ、ちょっとアクセルの部屋に泊まりに行くんだ…だから今日は俺が帰ってこなくても部屋の鍵締めていいよ』

『分かった、楽しんで来いよ!!』

もちろん変だなと思ったグラッセは聞いてみると、少々慌てながらアクセルの部屋に泊まりに行くと言われ何だと納得する。
アクセルの部屋なら何も問題は起きないだろうと判断したのもあるが、その怪しい様子にすぐ気が付くべきだった。
そして今日、朝食を食べる時にアクセルを見かけアレ?と思った。

『アレ?アクセル、ロクサスはどうした?』

『は?ロクサスならまだお前の部屋で寝てるんじゃねぇのか?』

『—はっ?』

昨日ロクサスが泊まりに言っているのならてっきり朝も一緒だと思い聞いてみると、帰って来たのは予想外と言ってもいい答え
これには首を傾げていると、向こうも状況が分からないのか聞いてくる。

『何だ?何かあったのか?』

『…昨日、ロクサスの奴アクセルの部屋に泊まりに行くって言って帰って来なかったんだが?』

『…………………』

グラッセがそう言った瞬間、アクセルは沈黙し彼もつられて沈黙する。
それは長かったのか短かったのか分からない、でも俺たちの顔は真っ青になっていき

『『ロクサス——————ッ!!!!!!?』』

行方不明になってしまった少年の名前を同時に叫んだ。
最近行方不明になる人が多いなと、若干思いつつ…(例:リズ)

「その反応だと、ハイネたちのところも行ってないのか…」

「あのバカ、何処行ったんだ…」

それで今に至っており、グラッセは収穫ナシかとうな垂れアクセルは親友の事をバカ呼ばりしながら呆れている。
次に言われるオレットの言葉さえ、聞かれなればこの程度で済んだのだが

「あのね…この状況で言うのも何だけど—実は、ナミネも寮に帰って来てないの」

『何ィィィィィィッ!!!!!?』

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.364 )
日時: 2011/08/31 20:26
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

ナミネとロクサスが帰って来ていない—この二人にはかなりの共通点があるので今回の行方不明な件に関わっているのは確実だろうと断言できる。
だからこそ何故—二人は行方不明になっているのかが分からなかった。

「あのバカップル…!!どうして子供(リズ)と考える事が一緒なんだ…ッ!!!」

「それがあのブラックノーバディ一家だ、何でも一人で背負い込んで色々と起こしてくれるな…(呆」

思わずこの親にしてこの子ありだとグラッセが切れていると、アクセルがもはや半分呆れ半分諦めながらそうツッコミを入れるとなおさらグラッセはウガー!!と吼える。
その前に、ここにリズとムーンがいない事に誰も突っ込まない事を気にした方ががいいですよ?

「はっ!!俺とした事が…つかリズの奴、何処に行ったんだよ!!?」

「ムーンと一緒に『今日は天気も良いし格闘技の練習でもするか♪』って言いながら組み手してるぞ?」

「自分の親が行方不明なのに危機感ゼロッ!!?アイツ本当に俺と同じ14歳かッ!!?」

そして何処からの天の声(?)の助言により、ようやくリズがいない事に気が付いたグラッセが親友の居場所を聞くとサラッとピンツが答えアクセル同様お得意のツッコミが決まる。
前半はともかく後半の疑問はもはや考えてもムダな気がしたので、すぐに本題に戻るが

「それにしても…本当に何処に行ったんだ?ロクサスさんたちは…今日で夏休みは後二日だってのに…」

「—夏休みは後二日…?」

とにかくせめて残りの夏休みはゆっくり遊ぼうと思ったのに…とグラッセが怒り気味に愚痴を零すとアクセルはその単語に首を傾げる。
そう言えば、ロクサスの奴こんな事言ってたな…

『夏休みか…俺は7日間ぐらいあればいいな』

—7日間、それは余りにも彼らしくて思わず苦笑していた事を思い出す。
それで分かった、彼は…

「架空のトワイライトタウン…?」

「ッ!!」

まさかとは思うがぽつりとアクセルがそう言うと、グラッセははっとした。
この7日間は…ロクサスにとっては大事な日であり、苦痛の日…彼の性格上そこにいるのは確定だ。
そうと分かれば、行動は一つ…二人の身体は勝手に動いていた。

「俺たち、幽霊屋敷に行って来る!!」

「お前ら絶対来るんじゃねぇぞ!!?」

速度を上げる魔法、ヘイスガを唱えスピードをパワーアップさせグラッセがそう叫ぶとアクセルも続いて叫ぶ
俺たちの予想が正しければ、幽霊屋敷を通じて行ける世界—ロクサスのトワイライトタウンがあるから

Re: キングダムハーツ タイムトリップチルドレン!! ( No.365 )
日時: 2011/08/31 20:55
名前: リラ (ID: I69Bg0jY)

「——————ッ!!!」

「ロクサスッ!!無理しないで…ッ」

そして一方、グラッセたちが必死に探しているロクサスとナミネは彼らの予想通り架空のトワイライトタウンにいた。
そしてここはロクサスが全ての記憶を思い出したルームであり、リクとディズへの憎しみを暴走させた場所であった。

「ハハッ…何度見てもこれは苦痛だな」

「ごめんねごめんね…ッ、私の力で何とか出来れば…」

そんな中、彼はあの時の記憶が再び蘇り顔を抑えているとナミネが異常に心配し涙目になっていたと言う訳だ。
ナミネが余り記憶の力を使いたがらないのを知っているロクサスは、ナミネが何とかしようとする事を望んではいなかったが

「大丈夫だよ、それよりも…ポットルームへ行こう」

「…うん」

ポットルーム、その場所を聞いて彼女は余計顔色が悪くなる。
そこは最も今のロクサスを苦しめた場所であり、『彼』が目覚めた場所でもあった。
そこへの扉がもうすぐあり、そこまで辿り着くと—彼は迷いなくそこを開けた。
次の瞬間—広がるのは、白い空間とその空間の真ん中にある花柄のポット

「………ッ」

—その光景を再びこの目で見る事になるなんて思わなかった。
そんな事を考えていると—記憶が蘇る。

『嫌だッ!!俺の心は俺の物だ!!!』

『………………』

あの時—ディズに吐かれた暴言によりヤケクソになりながらキーブレードを振り回して叫ぶ俺
そんな俺を、まるで道具を見つめる目で…無言で俺を見るディズ
そして、キングダムチェーンがポットに当たるとポットが開いた。
その中にいるのは—俺が探していた答えを持つ者、茶髪をツンツンさせた少年

『ソラ…』

茶髪の少年—ソラの名前をロクサスは呟くと、怒りと哀しみと涙が全部混ざって無くなっていく感触がした。
ああ…これが俺の求めていた答えの末路なのか…そんな思いを感じ
その瞬間、薄れる己の姿と光—ノーバディが本体へと帰る優しい光

『…羨ましいよ、ソラ』

お前にはこれからを過ごせる時間がまだ沢山あるんだ—俺はお前に吸収されて消えるのに
自分勝手な思いだって分かっている、ノーバディが存在してはいけない者だという事も分かっている。
それでも、彼が羨ましかった。

『—俺の夏休み、終わっちゃった』

だからせめて—これだけは言わせてくれよソラ
そう最後の言葉を呟くと、彼は光の彼方へと消えた。

「うっ…うあああああああああああッ!!!!!!!!」

過去を全て再びこの身で感じ思い出すと、ロクサスの心は耐え切れなかったかのように泣き出す。
本当は怖かった…寂しかった、苦しかった、泣きたかったんだ!!でも俺は出来なかったんだ…!!!
ナミネもいるというのに何とも情けないと自分でも思いつつも、涙は止まらなくて彼は泣き続ける。
ナミネはそんな気遣いをしてくれる彼を、優しく抱き締めた。

「ロクサス…キミはもう十分頑張ったよ、だから今は泣いて…沢山泣いて私と過去を乗り切ろう?私はどんなロクサスでも大切な人と言う立場は変わらないからね?」

例え自分の言葉が、今の泣きじゃくっているロクサスに聞こえなくてもナミネは伝える。
キミは一人じゃないんだよ?私やアクセル、シオンやリズだってキミが大好きなんだよ?と言う今の思いも乗せて

—少年の夏休みは、少年が決めた道により終わりを告げる。
過去のように、誰かに決められたシナリオを歩まず…

—過去があったから、今の自分がいる…
それは酷く皮肉で、真実なのだがそれにより彼はかなり変わった。
強く、前向きで、逃げる事を止めた彼の姿に…
そして日にちは変わる…
彼の過去には存在しなかった【Day7】が…



—おわり—
これでロクサス編は終わりです。
後日に、架空のトワイライトタウンに向かうアクセルとグラッセ編を書きたいと思いますのでそれまでお待ちください。