二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■08 「Lio Crossing」 ( No.13 )
日時: 2011/03/17 09:22
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)


 ■08 「Lio Crossing」



 「ん……いっだぁ……って何やねんこれ! ものっそいベトベトなんやけど!」

 目を覚ましたらしいリオは、自分の服を見て愕然とする。さっきかけられたポーションは乾いていたはずなのに、その黒いセーターはまた、水を吸ってじっとりと湿っていた。それになにやら甘い匂いもする。
 リオは仰向けの姿勢から上半身を起こし、辺りをきょろきょろ見渡す。自分の右側に、茶髪の青年が腰を下ろしていた。

 「あ、起きた! さっすがポーション、回復するのが早いな!」

 「ああ、これ、回復薬……って、こんな甘ったるい回復薬やこあるかい! ジュースやろかけたん!」

 寝起き一番のノリツッコミもキレが良い。確かにバッツがかけたのは飲料のポーションだが、回復薬、というのはあながち嘘ではない……かも、しれない。だが、リオの額にはバッツに押されまくったせいで赤く腫れたたんこぶがまだ残っていた。リオは額をさすり、「痛っ」と涙目になる。

 「お前、誰だ? どこから来たんだ? ……まさか、カオスの奴じゃないだろうな」

 バッツの横に立ち、不機嫌そうに腕を組んだジタンがたずねる。訝しげな表情をあらわにして、何かあったらいつでも攻撃できるぞ、といったような殺気が、その背中から上っているのはリオでも感じ取れた。



 ……短くてごめんなさい。

■08 「Lio Crossing」 ( No.14 )
日時: 2011/03/17 09:23
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
参照: は! ぴ! つ! り!


 ■08 「Lio Crossing」



 わずかに、というよりは明らかに怒気をはらんだジタンの声。
 リオは立ち上がって服の埃を払い、ポーションでベトベトになったセーターを絞る。それからちらりとジタンを見て、

 「ちゃうよ?」

 と、言った。「あんたでしょ万引きしたのは!」とでも言われた後に返せば確実に犯人決定であろう台詞。ジタンは無言で剣を構え、同時にリオはホールドアップ。何を思ったのかバッツはにこにこ笑い出す。

 「いやだからちゃうって! あんた等はこんなひょろひょろの悲しい青年に刃を向けるんですか!」

 必死に弁解しつつ、リオは二人を観察する。
 ーー十四、五歳くらいか。目付きだいぶ悪いな。装備とか動き方、喋り方を見てる感じやと多分ドロボーとかそんな感じ……え!? 尻尾!?

 「おいおいジタン、無闇に人を疑うのは良くないぜ?」

 「………………」

 ジタンは剣を下ろす。だが、その瞳は依然訝しげなままだ。
 ーーこっちは、体格的に俺と同じくらいやな。底抜けに明るい性格……まあ、演技やろうけど……靴の底めっちゃすり減ってる……よう歩いてる? こいつも旅人かなんかやな。