二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 異世界の危機 〜魔光石編、開始!!〜 ( No.287 )
日時: 2011/06/01 22:14
名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)

5 災い

衝撃的な言葉を聞いてしまった。元の世界には戻れない…と。
最初に聞いたときは理解ができなかった。何が何だか分からなかった。

食堂から姿が見えないように、身をひそめ、いわゆる盗み聞きをしていたのは、マネージャーの音無春奈と雷門夏未だった。守たちの様子がおかしいと思い、円堂たちには先に行かせ、二人はここまで来たのだ。

音「元の世界に戻れないって…」
雷「どういうこと…?」

二人が驚かないはずなどない。自分たちの世界に帰れないのだ。見ず知らずの国に連れてこられるだけでも不安だらけだ。それに、この世界は魔法をつかう、このまま帰れなくなってしまえば、どうなってしまうのか。考えれば考えるほど、気が遠くなりそうになる。幸い円堂たちがいてくれただけでも、心強い。この時、円堂たちがいてくれたことに感謝した。
しかし、一体どういうことなのか。

音「私たちはどうなるですか!」
雷「音無さん、静かに、話が始まるわ」
音「す、すみません…」

再び、二人はそっと耳を傾けた。
食堂からは、小さいがヒロトの声が聞こえる。





風介「どういうことだ?」
ヒ『正確には、円堂くんたちが元の世界に戻るには、あるアイテムが必要なんだ。』
夏「魔光石……ですか?」
ヒ『あぁ、でもその魔光石がなくなっている』
リ「そんなはずはないよ!!だって、円堂たちがこの世界に来たのはまだ五日も経っていない、それに魔光石が奪われること自体がおかしい話だ」

魔光石——冬花の世界では、特殊の魔力が秘めている石のことだ。魔光石は八種類存在する。魔力と同じ「火・水・風・雷・氷・地・光・闇」があり、本当はフェアリー王国の監視のもと、保存されている。もちろん膨大な魔力があり、あのエイリア石よりも遥に強い力がある。
まず、魔光石が盗まれるということはない。厳重な警備のところをいくつも通らなければ、保管されている場所にはたどり着けない。冬花であっても、入るには検査が必要だ。それがなくなったというのだ。

ヒ『皆もわかってると思うけど、確かに姫は次元を移動できる力がある。でも、姫一人の魔力じゃあ、あの大人数を元の世界まで運ぶことは不可能。もし、移動中に魔力がなくなれば……』
秋「次元の狭間に取り残されて、二度と戻ってはこれない…」
ヒ『そう、だから、魔光石に頼る必要がある』
守「悠也さんはダメなのか?」
ヒ『いくら悠也さんの魔力があっても、無理な話だ。それに移動先は指定できない』
修「異次元転送機械も移動先の特定は無理だな……」
夏「パラレルワールドは数えきれないほどあるから、そこから円堂くんたちを元の世界に戻すことは不可能に近いね…やっぱり魔光石がなかったらダメね…」

周りの雰囲気が暗くなった。これからどうやって円堂たちを元の世界に戻すべきか、それは考えているだけでも無駄だった。魔光石がなければ話にはならない。

ヒ『あぁ、でも魔光石は盗まれたのではないのだと思う…』
秋「魔光石の伝説ですか?」
ヒ『本当かどうかは分からないけどね』
守「魔光石が一万年に一度、災いを起こすあの伝説か?」
春「ただの都市伝説でしょ?それに伝説と魔光石の行方は関係なくない?」
茜「でも、こんな話も聞いたことがある…」
晴「どんな話だ?」
茜「うん、この前依頼であるおばあさんに会ったの……」

Re: イナズマイレブン 異世界の危機 〜魔光石編、開始!!〜 ( No.288 )
日時: 2011/06/01 22:12
名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)

茜の話によれば、数か月前、まだアルティスが現れる前の話だ。

依頼のため、ある国に向こう途中に森の中に住んでいる一人の老人に会った。
どうも、人間とは思えない雰囲気だ漂っていた。頭にフードをかぶり、顔がよく見えない。
その老人は茜を見ると奇妙な話を始めたのだ。

「来るぞ、来るぞ……魔光石の災いが……」
「あの、お、おばあさん?」
「魔光石は人間の醜い心に憑りつく。魔光石の光が強いほど、憑りつかれた人も強くなる…気をつけろ、異世界の住民が心を奪われる前に、魔光石を永遠に封印するのだ…さもなければ、この世界は暗闇に閉ざされる。誰もが深い眠りに入り、二度と起きることはないだろう…」
「ま、魔光石のことなの?」
「気をつけろ、異世界の住民を守るのだ」

そのあと、茜の前から老人は光に包まれ、消えた。
残されたのはお化け屋敷の様な小屋と老人が被っていた紫色のフードだけだった。





春「ななな、何それ!!おおお、お化け?」
修「幽霊なんていねぇよ」
春「だだだ、だってぇ〜」

春奈が体をガタガタと震わらせ、涙目になっていた。オカルトの話が春奈は大の苦手なのだ。

晴「茜、どうして今まで言わなかったんだ?」
茜「ごめん!魔光石って聞くまで思い出せなかった!!」

茜が頭の上で両手を合わせ、頭を下げた。

夏「だとしたら、それは予言かもしれないわね…」
守「異世界の住民……円堂たちの事だろうな…」
ヒ『うん、それにつじつまが合いすぎている…』
玲「ヒロト、魔光石はどうするんだ?」

ヒロトは一時黙り込み、脳をフル回転させ、答えを導き出そうとする。
だが、よい考えは浮かびあがらなかった。

ヒ『今はその予言に頼るしかないね、どうにかして居場所を探さないと……でも、予言通りだとしたら……』
アツヤ「次は円堂たちが危ないな……」
守「あぁ、だが、これは約束だ……俺は死んでもあいつ等は守りきる」

守がそういうと、夏未たちも小さくうなずいた。

ヒ『あぁ、頼んだよ。俺はこのことを嵐さんに報告しておく』

ヒロトは立ち去る前にもう一度その場にいる人たちの顔を一人ずつ見つめた。皆、澄んだきれいな瞳をしている。一切の迷いがなかった。
そして——

ヒ『いつまで隠れているのかな?君たち』
音「うそ!?ばれてる!?」
雷「抵抗しても無駄のようね、出ましょう」

そこへ姿を現したのは音無と雷門だった。

ヒ『盗み聞きはよくないなぁ〜』
音「す、すみません…どうしても話が聞きたくて…」
玲「今までの、全部聞いていたのか?」
雷「えぇ、魔光石のこと、それと……円堂くん、つまり私たちが危ないってこと」
守「コソコソしやがって…」
雷「コソコソしていて悪かったわね。私たちはこうでしか貴方たちの本当の話を聞けないでしょうからね」

小さく呟く守に、雷門は一歩も引かずに対抗した。

ヒ『聞いちゃったならしょうがないかな?でも、ことはあまり大きくしないでね。町の人がパニックになるから』
音「でも、キャプテンたちには本当のことを伝えたいんです。キャプテンたちが混乱しないためにも…」
ヒ『言われなくても、そのつもりだったよ』
音「そ、そうなんですか…」

音無はさっき聞いていた話が頭の中を駆け巡り、少しおどおどしていた。
そんな様子の音無にヒロトは優しく声をかけ続ける。

ヒ『うん、だから円堂くんたちにはそう伝えておいて、手間も省けたし助かったよ、えっと名前は…春奈と同じかな?』
音「音無春奈です。それでこちらが雷門夏未さんです」
ヒ『じゃあ、音無さん、円堂くんたちのところへ行っていいよ。もうどうせ話すことないし、また何かあったら話すね』
雷「行きましょ、音無さん」

雷門は音無の前を通ると、食堂を出て行った。あわてて音無も一例をすると、雷門を追いかけ、その場を後にした。

ヒ『玲奈、俺たちもそろそろ行こう』
玲「命令するな」
ヒ『はいはい、またね、皆』
晴「あぁ」

ヒロトと玲奈がいなくなった後、その場はやはり重い空気に包まれていたままだった。

夏「これ以上考えても無駄、今回の事件に関しては、これでおしまい!守たちはちゃんと帰ってきたんだし、もっと明るく行きましょ!!ナタク達は残念だったけど…」
春「わ、私が…」
修「もういい、それ以上は考えるな。もう終わったことだ」
春「でも…」
茜「今回の罰は、円堂くん達の護衛でしょ?今からやらなくてもいいの?」
守「あいつらはどこにいるんだ?」
リ「河川敷にいるよ、たぶんボール蹴ってる」
守「サッカー、か……」

守は暗い表情でそうつぶやき、食堂を出て行った。

夏「ほら行くよ、この依頼は絶対に成功させなきゃ」
秋「依頼じゃなくて、罰…」
夏「細かいことはいいの!!早くいくよ!!」

夏未が修也と春奈の手を無理やり引っ張り、河川敷に向かって歩き出した。



この一歩が新しい物語そして





























——恐怖の始まりの幕開けでもあった。