二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- -第一章- 仮面ライダー ( No.2 )
- 日時: 2011/03/05 23:09
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
-第一章-
仮面ライダー
「せいやァーッ!」
オーズのカマキリソードはカマキリヤミーを切り裂きセルメダルへとカマキリヤミーは消え去る。
その時誰一人として気付かなかった、カマキリヤミーが一枚のコアメダルをようしていたことを———
その一枚のコアメダルは回収される運命だった。
だがそれを運命は許容しなかった。
コアメダルを持ったタカ缶が誤作動を起こし途中で缶へと戻り一枚のコアメダルは海に落ちた。
気付けば海の底へと沈み暗い海底に埋もれていく運命だったのだ。
しかし、まるで神の恵みの様にそのコアメダルに数え切れないほどのセルメダルが降り注ぐ。
セルメダルとコアメダルが重なり化学反応の様に何かが起ころうとしていた。
そう、すべては偶然の産物。
オーズの度重なるコンボによる技はほんの少しだが地球にダメージを与えていたのだ。
そんなことは誰一人として気付かないし知らない。
だが確かにそれはあった。
かつて風都と呼ばれる町にも同じモノがあったのだ。
【地球の記憶】。
ガイアメモリを作るのに必要だったそれが海の底にもあったのだ。
そのコアメダルの下に歪があった。
もしかしたらかえられぬ運命だったのか、運命は非情にもまた一人、いや。
何と言えばいいのだろう。
あえて言うなら、運命は望んだのだ。
更なる仮面ライダーを———
- -第一章- 仮面ライダー -K- ( No.3 )
- 日時: 2011/03/05 23:40
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
-K-
美しいほどに広がる広大な海、そして太陽の輝きによって光っているかと錯覚する様な砂浜。
その砂浜と海の間に一人の男が倒れていた。
服装はカッターシャツにスーツズボン。
まるでどこかの会社員の様な格好だ。
気がついたのかゆっくりと立ち上がり海の水にぬれた服をみて溜息をついた。
「人間になり下がった———。いや、望んだのか」
男の手の中には薄い緑色をしたUSBメモリーの様なものと右側にだけそのUSBを差すスロットルのついた何かを握っていた。
「これが、ガイアメモリ。そしてロストドライバー」
継ぎ接ぎされた様なガイアメモリと緑色をしたロストドライバー。
「おれもこれでなれるのか」
不格好なガイアメモリを握り締め海の方を向く。
果てしない海は地球の青。
はたして緑は地球の何なのか、何になるのか。
そう男は思っていた。
数々の戦士たちの勇士を記憶した、決して勝てぬだろうという戦いにも身を投じ、勝ってきた勇者たちの背中を見たのだ。
記憶と言う媒体であれ、それを『正義』だと感じるのになんら不思議はなかった。
この男は感じたのだ。
『正義』を貫けるだけの力とその姿を———
何一つ迷いなく、男は形に持ったドライバーを下腹に押し当てる。
すると左側から何かが出てきて男の腰に巻き付きドライバーの右側に先端が差し込まれた。
男はもう片手に握りしめたメモリにあるボタンを押しこんだ。
『アイン』
メモリーから声が発せられる。
そして———
「———変身」
メモリーをドライバーに差しこむ。
『アイン!』
ドライバーを開くと軽快な音楽が流れ風が男を包み込む。
風がやむと男は全く別の異質な体をしている。
緑色と茶色をした独特なカラーリング。
右手には皮肉にも自らを倒したオーズのカマキリソードと似たような武器がある。
しかしそれはオーズと違い鉄の様な印象を受け、試しに握ると刃が露出しクナイの様な位置に刃が出る。
左腕には何もなくただ無機質な茶色の腕。
『正義』を語るには遅かったわたしにはふさわしい滑稽な姿だと男は自嘲した。
だがその姿には誰もがこう思うだろう。
かつて風都を救った英雄の面影を———
仮面ライダーという風都のヒーローの姿を思い浮かべるであろう。
- -第一章- 仮面ライダー -A- ( No.4 )
- 日時: 2011/03/06 23:22
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
-A-
「翔太朗、変身だ」
フードコートを着込んだ青年が左手に持ったガイアメモリのボタンを押すと
『サイクロンッ!』
音声が発せられた。
それに便乗するように
「ああ、フィリップ!」
黒いソフト帽を被った青年は右手に持ったガイアメモリのボタンを押す。
『ジョーカーッ!』
フィリップと呼ばれた青年がベルトにサイクロンメモリを差し込むと意識が途絶えるように倒れこむ。
メモリのささっていなかったはずの翔太朗のドライバーにサイクロンメモリが現われた。
翔太朗もジョーカーメモリをドライバーにさしこむ。
「変身!」
『サイクロン!』『ジョーカー!』
軽快な音と共に翔太朗が風に包まれその姿を変える。
仮面ライダーダブル。
この町の人々はそう呼ぶ。
この町を守るヒーロー。
「さぁ、お前の罪を数えろ!」
左手を向け、異形の存在ドーパントに投げかけるその問いはドーパントを激怒させた。
「ふざけるなっ!何が仮面ライダーだっ!この町はおれのモノだっ!」
ドーパントが驕り叫ぶ。
先に動いたのはドーパントだった。
異常な速度での動きによる蹴りがダブルを襲う。
その瞬間だった。
「手始めには丁度いいか」
一人の男がダブルとドーパントの間に立ちふさがった。
「おい!あぶねーぞっ!」
翔太朗が口にした時はすでに遅かった。
ドーパントの攻撃は男を襲う。
「ヒャッハァ!」
常人なら間違いなくついていけないスピード、パワー。
蹴りが男の頭を捕えた。
————が、その蹴りは男の拳に遮られ意味をなくしていた。
「なにぃ!」
ドーパントは驚きを隠せない。
それに対してフィリップは
「実に興味深い」
右手を顎の当たりに持って行きそれを広げて表現する。
「語るは正義、信じるも正義、望むのは———」
男はドーパントを投げ飛ばし距離を取った。
そしてどこからともなくロストドライバー掲げる。
「あれはっ!」
翔太朗が驚き
「ロストドライバー!」
フィリップが叫ぶ。
「だが色が少し違う」
「ああ、緑色だな」
違う色のロストドライバー。
それは一体何を意味するのか。
男のロストドライバーが腰に巻きつけられる。
「おれは今———
正義を貫き通す『仮面ライダー』となるッ!」
咆哮の様なそれは男の譲れぬ決意の表れだった。
『アイン』
手の中のガイアメモリから発せられる特質的な声。
「———変身ッ!」
ロストドライバーにガイアメモリをさすと
『アインッ!』
男もまた風に包まれその姿を変容させた。
「あいつも、仮面ライダーなのか?」
翔太朗が驚きを隠せないように言うと男はダブルを見て呟いた
「お前がダブルか———。うらやましいな」
次の瞬間走り出す。
ドーパントは予想だにもしていない展開に動揺し男の動きに耐用出来ずもろに蹴りを胴に受ける。
「グゥッ!」
腹を押さえ倒れこむドーパントを見て男は追撃をかけるように距離を詰める。
その途中ドライバーからメモリを抜き右腰についているマキシマムスロットにメモリをさしこむ。
待機音をかき消すようにドライブを起動させる。
『アインマキシマムドライブッ!』
男の右手の刃がオーラを纏う。
「メモリブレイクだッ!
———アインオーラスラッシュッ!」
男は叫びドーパントの胴体を二分する様に一閃、切りこみメモリブレイクした。
「ぐわぁぁぁぁぁッ!」
ドーパントになっていた男の叫び声が聞こえると体からメモリが排出されて壊れた。
『チーターッ!』
これがブレイクされたメモリの断末魔であった。
完全に出番を持って行かれたダブルは茫然と立ち尽くし、変身を解く。
「アンタ一体何モンだ?」
翔太朗が突っかかるように男に歩み寄る。
「おれは———」
そういいかけた男は言葉を詰まらせた。
「どうした?」
「いや、おれの名前は蟷螂一郷(とうろう いちごう)。仮面ライダーに憧れるただの男さ」
蟷螂が立ち去ろうとすると。
「ただの男な訳ないだろう?」
立ち上がったフィリップが挑発的に言う。
「一体君はなにものだい?それにその緑色のロストドライバー。僕の母さん、いやシュラウドはもういないはず、どうやってそれを手に入れたんだい?」
蟷螂は振り返り目を細めて冷酷に言い放つ。
「知りたいか?」
その眼の鋭さに負けじとフィリップも言い返す。
「興味深いとだけ言っておこうか」
溜息をつき
「わかった、別に口止めされている訳でもないからな」
メモリをしまい込み蟷螂は口を開いた。
「全ての原因、その男の名前は—————、門矢 士。仮面ライダーディケイド」
蟷螂の口から放たれた言葉に驚く二人。
「ディケイドったら」
翔太朗がフィリップに確認を取るように聞くと
「ああ、あの時の仮面ライダーだ」
フィリップは頷く。
「実際には原因なだけだ」
蟷螂はロストドライバーを服の内側に入れて両手で軽く服に着いたほこりを払う。
「それじゃあ、話そうか」