二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- -第一章- 仮面ライダー -M- ( No.7 )
- 日時: 2011/03/08 19:46
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
-M-
仮面ライダー。
それは悪が存在する限り、時代が望む時、人が望む時、
必ず風の様に現れ、嵐のように戦い、そして朝日と共に帰ってくる。
己が信じる正義の為に、人類の自由と平和の為に戦う永遠のヒーロー。
その偽りのない完全なる正義に触れた一枚のコアメダルは望んだ。
———自分もこんな英雄の様に在りたいと。
その願いは地球の記憶とセルメダルが現われるという二つの偶然により形となった。
蟷螂 一郷、彼は一枚のコアメダルと数え切れないセルメダル、それと地球の記憶によるものだった。
彼は「仮面ライダー」となり己の信じる正義の為、人を助け、人の為に戦い、悪を打つと誓い願った。
地球と運命は蟷螂にあたえた、仮面ライダーとして戦えるだけの肉体と力を、
それが緑色のロストドライバーと一本のガイアメモリ。
蟷螂は分かっているのだ、この正義を信じる心さえも欲望だと、
どこまでいってもメダルは欲望から離れられないと分かった。
だがそれでも与えられた力と心に背くことはしたくない。
様々な運命の望んだ偶然により
蟷螂一郷という存在は生まれたのだ。
何十人もの仮面ライダーの一人となるべくして———
- -第一章- 仮面ライダー -E- ( No.8 )
- 日時: 2011/03/09 00:54
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
-E-
「フィリップと呼んでもいいかな」
蟷螂はフィリップに問いかける
「ああ、かまわない」
礼を言い蟷螂は次を話始めた。
「最初に言っておく、お前たちがおれを倒そうと思うかも知れんが出来れば最後まで聞いてほしい」
「安心しな、生憎悪ってやつには縁があってな、アンタからは悪のイメージがわかねぇ」
翔太朗はハードボイルド風にそう言ってのけ
「雰囲気はハードボイルドでも言ってることはハーフボイルドだよ、翔太朗」
フィリップが茶化し翔太朗はなんだとぉと怒り追いかける。
呆れたように蟷螂が続きを言い始める
「おれはコアメダルとセルメダル、そしてガイアメモリで出来た存在だ」
「メダルと言うとあの銀色のかい?」
本を片手に蟷螂を見定めるように眺める
「ああ、それともう一枚、色のついたコアメダル。そして『ヒューマン』のメモリがこの蟷螂一郷という存在だ」
「『ヒューマン』?聞いたことのないメモリだ」
フィリップが不思議そうに聞く。
「そうだ。おれは人間じゃない、この姿はそのメモリのおかげで保てている。それが無くなればおれは化け物と変わりない姿になる」
「そうか、だからかその妙な色をした髪は」
納得するように翔太朗は頷く。
蟷螂の髪は深緑と表現するのが一番近い色をしていた。
「それがおれの前提だ、そしてここからが本番だ」
「ここでディケイドが関わってくる訳か」
蟷螂は頷き語り始める。
「この地球には人の見えないころに幾つもガイアメモリを作れるひずみがある」
「なんだって!」
驚き翔太郎が叫ぶ。
なだめるように蟷螂は静かな声で話す
「落ち着いて聞いてほしい、そのひずみからおれは地球の記憶に触れた」
「僕と同じように」
フィリップが呟く。
「その時だった、おれは仮面ライダーの記憶に触れた、
驚くことに仮面ライダーディケイドという存在のせいでこの地球には別の世界の仮面ライダーの記憶が刻まれていた」
「他の世界の仮面ライダー?」
ソフト帽を頭から取り手で弄んでいたのをやめて聞き入る。
「そうだ、おれは最初の仮面ライダーの記憶に触れて感じたんだ。深い悲しみとそれを乗り越えるだけの意思と正義を」
蟷螂は何十年も前のこと懐かしんでいるかのようにみえた。
「最初の仮面ライダーだって」
今度はフィリップが食いついてきた。
「仮面ライダー 一号、これが最初の仮面ライダーの名前だ」
何故か照れくさそうに蟷螂は言った。
「仮面ライダー 一号」
フィリップと翔太朗が同時に呟く。
「一号の存在を強く感じて望んだんだ、この男の様な正義を持つ仮面ライダーになりたいと」
「それに地球が答えたというのかい?」
フィリップが真偽を確かめる様な聞き方で蟷螂に投げかける
「その通りだ。フィリップ、地球の本棚で検索してみるといい、「仮面ライダー」と」
なるほどという様にフィリップは両手を広げて目を瞑った。
「検索を始めよう、キーワードは『仮面ライダー』」
地球の本棚で本が次々と飛んでいくが本棚が幾つ分かほどの本が残った。
「仮面ライダー 一号、確かに聞いたことない仮面ライダーの本が何冊もある。気にとめて仮面ライダーと検索したことなかった」
「その中の仮面ライダーディケイドを読んでほしい」
「わかった」
フィリップが一冊の本を手に取る
目を開け真っ白な本に目を通す。
「なるほど、そういうことか」
一人納得するフィリップに翔太朗が
「どういうことだよ」
「つまり、ディケイドという存在は数多の世界を行き来したり一時的に橋を渡し繋げることができる、
その時、別の世界の地球の記憶がこの僕たちの世界の地球に流れ込んできた、そういうことだね」
蟷螂は静かに頷き付けたすように
「彼がいなければ、おれは仮面ライダーになることを望まなかっただろう、その点ではディケイドに感謝しなければならない」
「そうか、まぁなんにせよだ、俺には難しい話はわかんねぇ、
けどアンタが仮面ライダーってのは分かった」
翔太朗がそう言うと蟷螂は目を丸めた。
「おれが仮面ライダー?」
「そうさ、アンタにも信じる正義があって悪に立ち向かおうとしてるんだ、その気持ちこそが俺の仮面ライダーさ。
それならアンタはもう『仮面ライダー』なんだよ」
カッコつける翔太朗をみてフィリップはわざと溜息をつく風な態度をとる。
「そうか。ありがとう」
蟷螂は翔太朗に真っ直ぐな瞳で礼を言った。
「別にたいしたこと言ってねーよ」
照れくさいのかそっぽ向いている翔太朗が可笑しくて蟷螂は小さく笑った。
仮面ライダーという言葉の重みを蟷螂は知っている。
まだこんな自分が名乗っていい称号ではないと自分では思っていて止められない。
この町に未だ蔓延るドーパント退治、それが蟷螂の最初の仕事。
ここから、蟷螂の仮面ライダーとしての物語が始まる。
- -第一章- 仮面ライダー -N- ( No.9 )
- 日時: 2011/03/10 17:07
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
-N-
「おまけと言うにはいささか飛び出過ぎじゃないか?」
翔太朗が呆れた表情で蟷螂のバイクを見て呟いた。
「おれもそう思うがライダーなんだし必要ってことだろう」
本当に驚いたことだが蟷螂には住民登録から家、出身地などこの国で生きていくのに必要なものはすべてそろっていた。
もちろん免許もだ。
「サービスが過ぎると人は駄目にならないかな」
フィリップも地球の太っ腹さにあきれて笑うしかなかった。
「とりあえず、おれは自分の家とやらに行ってみる。何かあったら携帯に電話してくれ、一応だがおれもこの町の仮面ライダーだからな」
ヘルメットをかぶり顎紐をした蟷螂がハンドルを握りバイクを発進させようとクラッチを握りエンジンをかける。
「それじゃあ、また会おう」
半クラでアクセルを吹かす。
風を切るように蟷螂とバイクは走り出した。
風都にはいい風が吹く、と蟷螂は風を感じてそう思い頬が緩んだ。
この風がダブルを育てたと思うと蟷螂は嬉しさを隠しきれなくてバイクの速度を上げて風都の風を全身で感じようとした。
そんな時———
「遅い遅いッ!」
横を駆け抜ける一台のバイク。
「こらーっ!待てぇーっ!」
後ろのパトカーからやけに芝居がかった声がした。
しかし、それに気を取られるよりも先に赤色のバイクが蟷螂の横を走り去る。
「あれはもしや」
蟷螂が赤いジャケットの男の背中を見て思った。
「アクセルか」
「逃がさんッ!」
ヘルメット越しにさえ伝わる気迫。
「追いついてみな警察官さん!」
ヘルメットもせずに暴走行為を続ける青年。
「そろそろ、本気だしちゃうよぉ!」
胸ポケットから一本のメモリを取りだした。
『ドライブッ!』
ミュージアム型のメモリを喉のスロットに差し込む。
すると姿が徐々に変化してドーパントとなった。
「やはりか」
竜の声は落ち着いていた。
「ならばッ!」
腰に巻きつけられたアクセルドライバー、そして手に持つのはメモリ。
『アクセルッ!』
「———変…身ッ!」
竜の体を風都の風が包み込む。
疾風のように駆け抜けながらアクセル。
仮面ライダーアクセルはその姿を現した。
「照井竜か、気になるな」
蟷螂は呟くとアクセルを強く握り徐々に速度を上げて竜の後ろを追いかけた。
「アンタが仮面ライダーか!?」
ドライブドーパントが叫びバイクを止める。
後ろについていた竜もバイクを止め降り
「その通りだ、俺はこの町の『仮面ライダー』だ」
堂々とそして悠然と立ちドライブドーパントを見据える。
「さぁ、振り切るぜ」
モノブレードを掲げ走り出す。
ドライブドーパントも走り出し二人の剣、拳、蹴りが飛び交う。
「行くぜ、仮面ライダーさんよぉッ!」
ドライブドーパントの足についているホイールが急に回りだす。
「なにぃッ!?」
アクセルのボディーに無数の打撃が加えられる。
そのあとには大量の擦り傷の様なあとがみられ
「その程度でアクセルだぁ?遅い。遅いねッ!」
ドライブドーパントは攻撃の手をやめずアクセルに攻撃を加える。
「くっ!」
その早さにアクセルはトライアルメモリを使う暇が見いだせずにいた。
「助けは必要かな?」
蟷螂はふざけた風にドライブドーパントとアクセルに近づく。
「危ないから近寄るなッ!」
アクセルは蟷螂が近づくのを制止しようとするが防御に専念しなければならないため行動に移せない。
「一般ピーポーがッ!轢き殺してやるッ!」
ドライブドーパントがアクセルを蹴り飛ばし蟷螂に向かって走り出した。
「一般人だったらどんなに良かっただろうな」
蟷螂が嘯きガイアメモリを取り出す。
『アイン』
「残念だがお前の明日は俺が貰いうける」
再度アインメモリを鳴らしドライバーにさしこむ。
『アインッ!』
軽快な音楽が場の空気を和らげるように思えたが現われたのは無機質な鉄のかたまりの様なアインの姿。
「なんだあのメモリとドライバーは……」
アクセルが驚きを隠せずにいる。
ドライブドーパントは勢いを止めずアインに蹴りを決めようと足を前に出す。
「甘いな」
アインはその足を掴みドライブドーパントを担ぎ、腹をききてで抑えアインの周りに竜巻が起こるほどドライブドーパントを回転させる。
『ライダ———————ッ
きりもみッ
シュ——————トッ!』
アインは力の限りドライブドーパントを空中に放りなげた。
右足首の外側にあるマキシマムスロットにアインメモリを差し込みマキシマムドライブを発動する
『アインマキシマムドライブッ!』
「アイン、ライダ———————ッ
キ———————ックッ!」
空中のドライブドーパントに向かって飛びあがり右足でドライブドーパントを貫いた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドライブドーパントの悲鳴はみっともなく風都の一部に響渡った。
『ドライブッ!』
断末魔の後ガイアメモリがブレイクされた。
「うぅ、ぐっ」
ドライブメモリを使っていた青年は気を失い地に伏せた。
「貴様、何者だ」
アクセルがアインに向かい問いかける
「ただの通りすがりの仮面ライダーさ」
そう言って蟷螂は変身を解き姿を現した。
「貴様が仮面ライダーだと」
竜も変身を解き蟷螂を睨む。
「照井竜、仮面ライダーアクセルだな」
怯むことなく蟷螂は確認を取るように聞く。
「そうだ」
「事情は翔太朗とフィリップに聞いてくれ、俺には野暮用があるからな」
蟷螂はそう言うが実際は二度目の説明はめんどくさいと感じているのだ。
颯爽とバイクに跨り蟷螂はこの場を後にした。