二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス -奇特な存在- ( No.78 )
- 日時: 2011/04/28 19:17
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: MlJjY9/z)
「おや、鬼無里ちゃん。 君から僕のところに来るなんて、どういう風の吹き回しだい?」
日か沈み、生徒が下校した闇に包まれた箱庭学園の体育館の天井で、鬼無里は安心院と対峙する。 その横にはやはり、不知火も居るが、彼は特にそこにいるだけなので気にしなくていいか……。
「いや、ボクとしてはよくもまあ、あんなあからさまに悪平等【ノットイコール】を5人も送り込んできたな……と思ってさ。 安心院さん、貴女は生徒会長を甘く見すぎていると思うよ?」
「僕が? 面白いことを言うね、今日面談を下らしいけど、誰も彼女達を悪平等【ノットイコール】とは分からなかったそうだけど、まさか後になって分かるとでも言うの? それじゃあ、手遅れだ」
安心院の問いは、的を居ている。 だが、
「いや、ボクの考えでは、彼女達……黒神めだかに洗脳されちゃうよ? 主人公に不可能はないし、最後は……自らの信念に沿った勝ち方をするからね。 染められる前に対策を……考えた方が良い」
鬼無里はポケットを探り、ガトーショコラを取り出すと安心院に投げ渡した。 自分はポケットから板チョコレートを取り出し、齧りつく。
「こっち(チョコレート)の方がよかったかな、安心院さん? でもこれ、あんまり甘くないよ」
そのチョコレートのカカオ成分の表示を指差し、鬼無里は再び齧りつく。 カカオの割合はおよそ6割。 これは、相当苦い。
「おや、知らないうちに鬼無里ちゃんも甘党卒業したのかな?」
「いや、何か無性に食べたくなって。 前にも述べたとおり、ボクの人格は一瞬だけで、統一されていませんからね。 私程気まぐれで、不規則な人間は居ませんよ」
その言葉に、安心院は静かに微笑むと、
「そのようだね。 で、君の用事はそれだけなわけないよね。 何が、目的で僕のところへ来たの?」
安心院の問いに、鬼無里は特に気にした様子も無く、
「さっき貴女が球磨川さんを襲いに言ったようですが、止めた方がいいですよ。 確かに、彼は大嘘憑き【オールフィクション】が無ければ戦力は皆無に等しいですけど。 我輩としては球磨川の周囲に居る人間の行動の方が気になる。 常識とやらに沿うのか……はたまた非常識な爪弾きされる行動に出るのやら。 ボクとしては……非常に気になるところだ。 常識に従って馬鹿げた行動を起こせばそれはそれで楽しいし、キナさんとしては非常識な行動に出てもらった方が学べる部分も多くある。 まあ、私の考えでは、非常識極まりない行動に出るでしょうから。 見所は多いかもしれませんわ」
長々と統一性の無い一人称と口調で返し、その場を後にした。
「そうだね、鬼無里ちゃん。 君は学ぶんだったら、僕は定めるよ」
- Re: めだかボックス -奇特な存在- ( No.79 )
- 日時: 2011/06/09 21:10
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xr1in99g)
「ところで、球磨川禊を襲いに行った様だが……生徒会の庶務として、止めなくていいのか?」
いつの間にかそこにいた鬼矢が、鬼無里に何か企んでいるような表情で言う。 だが、鬼無里は特に面白いことがないように、
「球磨川先輩をなめちゃ駄目だよ、鬼矢君。 大嘘憑き【オールフィクション】を持っていなくても、彼は不死身だ。 心配要らない。 体を刃物で串刺しにされようが、頭に弾丸を打ち込まれようが、スタンガンで焼かれようが、硫酸で焼かれようが……爪を剥がされたとしても、生き返る。 バケモノ染みた弱者だよ? 食べるかい?」
それが死ぬと思うの? とでも言うように、鬼矢と安心院に言い放つ。 それも、確信を持って。
ついでに、鬼矢にポケットから取り出したその苦いチョコレートを投げ渡す。
「ねえ、僕【ノットイコール】、そう思うだろう?」
「鬼無里ちゃん、今度は悪平等【ノットイコール】にでも変異したのかい? 本当に、君は気まぐれだ、僕では扱いきれそうにないよ。 僕【ノットイコール】」
「いや、安心院さん。 ボクは特に、悪平等【ノットイコール】に完全になったつもりはありませんよ。 あくまでボクは原点【ゼロ】ですから」
鬼無里はいたずらに微笑むと、その場に溶ける様にして消え去った。
「で、君は何の用だい? 鬼矢くん、君は僕と肩を並べるような異質だけど、何事かな? 今回も僕と敵対しようって言うの? 前回は僕に負けたんだから、諦めた方がいいよ」
安心院の挑発に、鬼矢は薄ら笑いを浮かべ、
「俺が諦める? 知らないな、この退屈を紛らわすことが出来るなら、俺は面白くなることを何だってやるぜ?」
「おやおや、相変わらず血の気が多いんだから。 じゃあ、賭けようよ。 球磨川君が、悪平等【ノットイコール】にやられるか否か。 おっと、能力の使用は厳禁だよ」
安心院は鬼矢の要望にこたえ、賭け事を持ちかけるが、鬼矢は面白くないように、
「主人公の横の奴はな、一度負けるんだよ。 負けて、リベンジして、勝つ。 それがバトル漫画の鉄則だ」
頭を掻きながら言い放つ。 今までの話の流れから行くと、そうなるか。
「じゃあ、そうだね。 僕【ノットイコール】が勝つ側に能力を一個賭けよう。 君は球磨川君が勝つほうに賭けるんだよね?」
「ああ、当然だ」