二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス -奇特な存在- ( No.89 )
- 日時: 2011/06/25 10:45
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: Wp/04zaT)
『球磨川先輩がいい奴になってしまったので〜えぇ〜……マイナス13組は暫定的に私が指揮を執りますよっと』
ゴーストバベル、マイナス13組教室にて。 黒髪の女が、過負荷の生徒たちを前に公言する。 もちろん、彼女もまた、過負荷。
そして、これと言ってとりえも無ければ、目立つ生徒でもなかった。
『そうですね〜……まずは球磨川先輩のマイナス13組への奪還とぉ……どうします?』
だが、しゃべり方だけはどうも球磨川以上に球磨川だった。
「じゃあさ、じゃあさ! 皆不幸計画なんてどうだ!」
雲仙冥利ほどの背丈の男が、彼女に向かって発言する。
いや、背丈がではない。 年齢が正しくそれだった。
『そうだな、過負荷にとっての最初の目的にして最終目的は常識人の作者にとらわれることなくこの学園の人間を不幸にする事だ。 だから私たちは常識人の作者から、非常識な作者の書く駄小説へと踏み込んだわけだが……』
彼女は少し考え込む。 周囲の生徒たちには、彼女の言葉が何を意味しているかなどさっぱり分からない。、
作者どうこう。 球磨川先輩なら分かったのかな? などと思いつつ、彼女の結論を待つ。
『じゃあ、こうしよう。 私の 嘘の王【キングライア】で、生徒たちの本音をひき釣り出せばいい。 そうすれば誰もが他人を信じられなくなるさ。 さて、今後の活動についてだが……』
彼女が言葉を続けようとしたときだった。 教室のドアのノック音。
『だれだい?』
教室に入ってきたのは、黒髪の女。 それもかなり賓乳で、赤い右目が特徴的。
『ああ、思い出したよ。 君は等々力 盾子だったっけ? 私に宣戦布告でも死に来たのかい?』
彼女は長い髪を揺らしながら、盾子へと歩み寄る。 もちろん、彼女の能力の内容は強烈だ。
一歩歩み寄れば、その視界に写る景色が回りだし、二歩目には、足元の感覚すらない。 三歩目には、その場に居た全員の意識が飛んだ。
だが、この場に居た人間全てを現実に引き戻した。 彼女からすればたかがそれだけの事に過ぎない。
球磨川が、現実を虚構にするというのなら、彼女は虚構を現実にする。
そしてさらに言えば、虚構となった現実を、再び虚構とすることも出来る。 その面だけを見れば、その力は球磨川以上に禍々しかった。
「遅い」
だが、盾子にはそれが……通用しない? どうなって……!
左目は閉じられて居る。 が、右目は……義眼か!
『へえ、視界に私……禊月祓除の姿が視界に捉えられていなければ、私の能力は通用しない……。 気づいた奴は初めてだよ』
「そう、知らないな」
禊月は右目の義眼を注視する。 そのときだった。
足が浮かび上がる感覚に見舞われたのは。
『なッ……嘘!』
「いや、君の能力を入れ替えた。 嘘の王【キングライア】とやらも、もちろん私のほうに移行した」
- Re: めだかボックス -奇特な存在- ( No.90 )
- 日時: 2011/06/25 20:24
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: Wp/04zaT)
『「そう、仕方が無い。 嘘の王【キングライア】を奪われたのでは私に勝ち目は無い。 殺すがいい」』
能力を奪われた事を己で認識した直後、禊月の態度が一変した。
明らかに、この戦闘を投げ出している。 だが、その両手に握られていたのは球磨川の持つ巨大な螺子を連想させる大きな楔。
そして、その表情は好戦的に微笑んでいる。
「何を考えているのかな? 私に能力を奪われているはずだけど……」
『そうだとも。 私は君に能力の一部を奪われているのだよ。 よって、君は私の能力の一部を扱える。 それが私に戻ってくるかどうかなどは分からないが、私のとる行動はただひとつ』
手に持っていた楔が、巨大な螺子に変化する。 それはまさに、球磨川の持っているそれだ。
『君を螺子伏せる……それが最もな選択肢だと考える。 私の能力はそのような嘘の王【キングライア】のみではない。 もう二つ三つ……持っているのだよ……凶悪な力を。 ……お見せしよう』
禊月はその手に持っていた螺子を、球磨川ヨロシク盾子に投げる。 だが、それは途中で空間に吸い込まれるかのようにして、次々と消えていく。
明らかに、物理攻撃では部が悪いが、禊月は冷笑する。
どれだけ時間がたっただろう。 もうそろそろ一時間……構成取引【フェアトレード】の効果が切れる頃だろう。
盾子は、自分の腕時計を眺める。 その間にも、禊月の無駄な攻撃は続いていた。
そして、それは前触れも無く訪れた。
盾子の体が突如の苦痛に悲鳴をあげ、前のめりにひれ伏す。
『ようやく嘘の王【キングライア】が解けたようだな、君。 どうだ、今までのツケが回ってきた気持ちは』
苦痛の根源は、何てこと無いものだった。 無数の螺子と、楔。 それが体の至る所に突き刺さり、血を噴出している。
だが、その痛みと、螺子、楔は一瞬の内に消失する。
『まずは、 老少不定【オールドインデフィネト】。 では、どうしてやろうか……?』
禊月が、勝ち誇ったように何をするか考えていたそのときだった。 先の盾子と同じように、床に足を着き、倒れこむ。
そう、彼女もまた、自分の知りえぬ内に、多大なダメージを受けていた。
両手両足が、床に打ち付けられ、身動きが取れない。
「さて、どうするんでしたっけ? 禊月さん。 私、話し合いに来ただけなのですが……?」
盾子が、禊月を見下ろし言い放つ。
- Re: めだかボックス -奇特な存在- ( No.91 )
- 日時: 2011/07/06 12:06
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: Wp/04zaT)
『それでは皆さん、マイナス13組のHRを始めたいと想いまーす。 級長は暫定的にこのボク。 球磨川楔が勤めますね〜!』
一体何があったか、分からない人も多いだろう。
順を追って説明するとすれば、HRを禊月が始めたところで、盾子が来た。 そして、禊月が攻撃を仕掛け、返り討ちに会い、今に至る。
帰り打ちにあった後のところが、なぜか抜けている。 そして禊月の存在は、確かに存在した。 だが、実際は存在しない。
『そうですね、ではまず、ボクの兄、球磨川禊を以下にして連れ戻すか。 それを考えまじょう。 問答無用、その足りない頭を使って考えろ!』
『彼女』が言い放つ。 彼女は、球磨川楔。 つまり、球磨川禊の、双子の妹である。 そして、表向きの生徒としては『禊月』という女子と言う認識が最も広い。
そして彼女の力は、真赤な嘘【イミテーション】。 そして、もうひとつ。 完全裁犯【パーフェクトトリック】。
今回の意味の不明な現象は、後者の能力が関係している。
『あー、えーとさ、字幕チョット黙って。 そうだ、仕切りなおそうよ。 もう一回最初から』
一時中断。
再開。
『それでは皆さん、マイナス13組のHRを始めたいと想いまーす。 級長は暫定的にこのボク。 球磨川楔が勤めますね〜! それではまず、ボクの兄を奪還するに当たり、皆さんでいいアイデアを出し合いましょう。 何かいいアイデアは浮かびましたか?』
彼女の言葉に、白髪の男が挙手。
『ハイ! そこの君! 名前はえーと、百済クン! 何か良い案は浮かんだかな? ハイ、却下です!』
楔は彼の話を聞く前に、彼の意見を終了させた。 だが、彼女はきちんと人の話を全て聞いている。
その奇怪な現象の招待は、彼女の持つ二つの過負荷にある。
一つ目真赤な嘘【イミテーション】。 これは、球磨川禊で言うところの、大嘘憑き【オールフィクション】にあたるスキル。 全てを虚構にする大嘘憑き【オールフィクション】に対し、彼女の真赤な嘘【イミテーション】は、現実をスキップするスキル。
そして二つ目の過負荷。 これが、この不思議な現象に深く関わっている。 完全裁犯【パーフェクトトリック】は、安心院の腑罪証明【アリバイブロック】の強化版。
つまり、
『そうですね、ボクは何時でもどこでも好きなときに居られて、相手の考えも好きな状態。 ボクが、兄を連れ戻してくるのが最もいい案ですね』
そういうことである。
- Re: めだかボックス -奇特な存在- ( No.92 )
- 日時: 2011/07/06 15:37
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: Wp/04zaT)
「さて、安心院なじみ。 貴様が七億人居るのであれば、もうひとつ聞きたい」
黒神めだかが、風呂を出て服を着るのに軽く苦戦している安心院に話しかける。 今しがた、彼女たちは「胸襟を割って」話し合ってきたところ……だそうだ。
黒神めだかの言葉に、安心院はその質問の概要を察し、
「鬼無里ちゃんの数だろ? 彼女の数は、悪平等【ノットイコール】と違って少ないよ。 今、恐竜が居るかもしれなくて、それがUMAと呼ばれているのと同じくらい、彼女は希少だぜ。 そうだな、悪平等【ノットイコール】に対して、彼女の人数は分からない。 でも、どうだろうね、僕【ノットイコール】にもなっていれば、異常【アブノーマル】になっても居れば、過負荷【マイナス】にも、普通【ノーマル】にも、彼女は存在する。 そういうのをひっくるめると、僕【ノットイコール】の数を圧倒するどころか、人類みんな原点・可能性【ゼロ】だぜ」
その言葉は、つまるところ誰も彼もが、原点であり、可能性だといっているということだ。
確かに、納得のいく答え。 ただ、安心院の推測でしかないその堪えには、少々信憑性に欠けるところがある。
「つまり、私も、貴様も、原点・可能性【ゼロ】だと言いたいのか?」
「そういうこと。 ただ、僕に限ってはそれは無い。 原点が既に僕【ノットイコール】だし、可能性じゃなくて僕がたどるのは運命だぜ。 そういう意味では、君たちを遥かに下回る」
「私は貴様を下に見るべきだとは思っておらんよ、安心院なじみ。 実際、人類の全てが原点・可能性【ゼロ】だったとして、貴様がそれに当てはまらないはずがあるまい。 何事には可能性は付き纏い、原点はみな等しく同じだ。 悪平等【ノットイコール】も例外なくな」
- Re: めだかボックス -奇特な存在- ( No.93 )
- 日時: 2011/08/04 13:05
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: B1rykyOu)
「完全神経衰弱【パーフェクトメランコリィ】……? 何それ、私は早く球磨川先輩の後追わなきゃいけないんですけど。 赤青黄さん。 ハンティングに私は参加してませんよぉ……」
黒神めだかと、安心院なじみの会話とほぼ同時刻。 鬼無里皇は保健委員長赤青黄の足止めを喰らっていた。
明らかに、鬼無里は信用してもらえていない。 なぜなら、生徒会の人間だったからだ。 地からづくで押し通ってもいいが、さすがにそれはまずい気がする。
彼女は、悪平等【ノットイコール】だ。 安心院さんにボクの居場所が知れれば、チョット面倒な事になる。 今も、出多良目【ラッキーアイ】による幸運分析で面倒くさいルートを全てスルーしてきたところだった。
が、調子に乗ってそれを解除した事が間違いだったらしい。 いっそのこと、外壁をよじ登った方が楽だったかもしれない。
「分かった、それをやるから早く通してよ」
「鬼無里ちゃんが、どうも不穏な動きをみせてるのよね」
特殊性……±ゼロ【インビジュアルティ】の教室にて、会議が行われていた。
それを仕切っているのは、学級委員長。 幸神 祀である。
協議内容は、鬼無里の不穏な動き。
現時点で、彼女の行動は±ゼロの取るべき行動ではない。 むしろ、あまりに不審を極めた不審。
生徒会に手を貸し、完全な人間を作るフラスコ計画に、明らかに逆らっているのだ。 ±ゼロの行動意義とは、まるで間逆……。
これを敵と見ず、何と見るか。
「皆さん、こんな私に意見を述べて下さい。 私ごときが纏められるわけがないだろうケド……」
ただ、その協議に時間はかかりそうである。