二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  ♪参照1000突破♪ ( No.248 )
日時: 2011/07/08 20:52
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

ドロシアは怖いんだと思う。
自分でコントロールできないほどの大きな力を、身に持っているんだもん。

ドロシアは、嫌なんだ。
殺したくないんだ。
ドロシアは…本当に心優しいだよ?
だって…僕ちんを受け入れてくれたぐらいなんだよ?

僕ちんはドロシアが大好きなんだ。
えへへ…ちょっと照れちゃうけどね。
ドロシアはねぇ、僕ちんのお母さんみたいなの。
僕ちんの本当のお母さんは、とっくに離れちゃったから…
あんまし好きじゃなかったし。
だから、ドロシアは僕ちんのお母さんなの。

大好きな家族なの。

あ!あとね!僕ちんの魔法!ドロシアが教えてくれたんだよ!
すっごいでしょ!
僕ちん強かったでしょ!
だってドロシアが鍛えてくれた魔法だもん!

…ドロシア—————





グリルが指をさすのは、階段の上。
つまり、最上階。
グリルが言うところの、ドロシアとの出会いの場所らしい。
カービィの背中の傷は、グリルの魔法で少しだけ治癒されている。

「…ごめんよ…怪我させちゃって」

「ううん。こっちこそ殴っちゃったりもしたし…」

カービィはわかった。
グリルは、本当は優しくて素直な女の子だということを。

「それにしても…カービィちんの能力はすごいね。なんでも吸い込んじゃうんだね」

カービィのことを、『カービィちん』と呼ぶようになった。
これは、グリルがカービィを信じた証だろうか。
カービィは、友達になれたみたいで嬉しかった。

「コピー能力っていって、技の特性をそのままそっくり使うことができるんだ!」

「ふぅん…でも、ドロシアには、通用しないと思う」

「どうして?」

「…カービィちんの言うところの『技の特性そのままそっくり』っていうのは…無理だと思う。ドロシアの魔法には、特性なんてないから」

「え?」

「カービィちんが絶対にドロシアを殺さないって誓っているからこんなこと言うんだよ。あんまり傷つけてほしくもないんだけどね…ドロシアの魔法は全て『絵画』だから。カービィちんは『絵具』とかならコピーできると思うけど、『絵画』はさすがにコピーできないでしょ?」

「『絵画』?」

「ドロシアの魔法は、実体化を何よりも得意としているから。…詳しくはわからない。僕ちんはドロシアと手合せしたことないから」

「てっきりしてるのかと思ってたよ」

「ドロシアが危険だからって。…もっと早く気付けていればよかった」

「自分を責めても仕方がないよ!行動あるのみさ!」

「…ありがと」

カービィは、立つことがやっとの状態のグリルをおぶうような形で、階段をゆっくりと上がっている。
先ほどまで敷かれていた赤いじゅうたんは、音もなく消えた—————

ドロシアとの決戦は、もうそこまで迫っていた。

「…カービィちん」

「なに?」

「今僕ちんがおんぶされてるのは状況が状況だからね」

「へ?」

「だから!カービィちんが僕ちんのホウキ圧し折ったのが悪いんだからね!!だから甘おんぶされてるのはしかたないんだからっ!!」

カービィの傷にあたらない程度の状態で、カービィとグリルは密着している。
それは、能天気なカービィはともかく、グリルにとっては相当恥ずかしいことなのだろう。
現にグリルは顔を真っ赤にして、カービィにはわかりずらいことをわめいている。

「?どしたの」

「あーもー!カービィちん鈍感!!…違う!意味が違あああう!!」

自分の言った言葉のミスに、かなり恥ずかしくなっているグリルを、カービィはよくも分からなく見ていた。

「もう!いいや!カービィちんの馬鹿!ろくでなし!とうへんぼく!」

「グサッとくるようなこと言わないでよ〜…」

グリルの悪口3連コンボが、カービィにヒットする。
口が悪いのは、どうやら元の性格のようだ。


Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  ♪参照1000突破♪ ( No.249 )
日時: 2011/07/08 20:50
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

リラくまさん なんか名コンビになっちゃいましたねwww気が付いたら「なんかめっちゃ仲いいじゃんこいつら!」って自分で思いました。

このような状況下で出会ってなかったら、こいつらもしかして親友になれたかもですwww

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  ♪参照1000突破♪ ( No.250 )
日時: 2011/07/08 21:14
名前: 猫科の犬 (ID: L1jL6eOs)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

満月の瞳さん

確かにそうですね!ww

そういえばカービィは♂だったけか?あんまよく性別がわからないけどまぁそういうことにしておこうww

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  ♪参照1000突破♪ ( No.251 )
日時: 2011/07/09 18:21
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

「ねぇ、グリル」

「なに?お間抜けカービィちん」

幻覚でブロックが頭に直撃した感じがした(笑える意味で)。

「だ、だからお間抜けは…」

「要件をどうぞ?カービィちん」

グリルは口厳しいが、何となく親しみやすい。
人との付き合いもよさそうだ。
プププランドに来たら、きっとみんなとうまくやっていけるだろう。

「グリルは…もし…もしもこの『箱庭』が住めない状態になっちゃったとしたら、どうする?」

「…」

「あ!ごめん!今出す話題じゃなかったね!」

「—————僕ちんはそれでもきっとここに残る」

グリルは落ち着いた声で、静かにカービィに言った。

「ドロシアがいるかぎり、僕ちんはどこにもいかない」

「そっか…」

あまりにも決意がこもった言葉で、それ以上カービィは何も言えなかった。
もしも、グリルが望むなら、プププランドに連れて行くことは十分可能だった。
…まぁ、どうやってこの『箱庭』から脱出すればいいのかはわからないが…

でも、グリルがそれを強く望んでいるのなら、それを揺るがすようなことはしたくない。

「カービィちん…カービィちんはまだドロシアにあったことないんだよね?」

「うん」

ようやく長い階段を登り終え、強い気配は圧倒的にひどくなってきている。
廊下の奥へと向かう。

「ドロシアはね!この世界で誰よりも美しいの!とっても綺麗なの!カービィちん一目ぼれしちゃ駄目だよん!!」

グリルは、赤くなった瞳をきらめかせ、ドロシアのことについて熱狂的に語った。
カービィドロシアという人物は、いったいどんな人物なのかと考えたが、さっぱりわからなかった。
しかし、グリルの説明を聞いて、『すっごく綺麗な人』ということはわかった。
名前の発音からして、おそらく女性だろう。

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  ♪参照1000突破♪ ( No.252 )
日時: 2011/07/09 17:55
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

リラくまさん カービィは男ですwwwうちの小説では男ですwww

性別不詳ですからねwww

女の子ではないような気がするからなんとなくwww

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  ♪参照1000突破♪ ( No.253 )
日時: 2011/07/09 18:32
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

「カービィちん」

少しだけ表情に影をおとし、ひどく切なげに、グリルは言った。

「ドロシアとお友達になってあげてくれる?」

「え…」

「ほら!ドロシアってずっとここにいるじゃん!だから僕ちん以外に友達がいないんだって」

「そっか…うん。ぜひお友達になりたいね」

「そう言ってもらえて嬉しいよ!ドロシア喜ぶぞぉ!」

「(グリルは、本当にドロシアのことが好きなんだ…)」

カービィは、嬉しそうに笑うグリルを見て、心から思った。

「(ドロシアのために…一人で長い間頑張っていたのか…)」

たった一人で—————

どれほど悲しくて、つらかったことだろう。
押しつぶされてしまいそうな心で、ずっと—————
今も後ろで明るく笑っている彼女。
どれほど…どんな思いで…

「グリル」

「ん?」

「ボク達も友達だよ」

「…」

「…やだ?」

「ううん…ちょっと感動しちゃっただけ」

「?」

「僕ちん…ドロシア以外の友達初めてなの」

「あれ?ドロシアはグリルのお母さんじゃないの?」

「ドロシアは友達でお母さんなの!」

「ややこしいね」

「ややこしくていいの!ドロシアはドロシアなんだから!」

…うーん。










いったんきります

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  ♪参照1000突破♪ ( No.255 )
日時: 2011/07/10 19:02
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

「カービィちん…ここ」

グリルの声で、カービィは足を止めた。
気が付いたら、もう廊下の奥にたどり着いていた。

「…大きな扉だね」

廊下の一番奥に、ひときわ大きな扉が、カービィを待ち構えるように立っていた。
とてつもなく強い—————邪気を感じた。
ひどく汚れた、冷たい気配。

「デデデ城の時と…同じだ…!」

間違いない。
ドロシアはこの中にいる!

「ここはね、後から聞いたら、ドロシアのアトリエなんだって。僕ちんたまたまそこからきたみたい」

「ずっと、ドロシアはここにこもっているの?」

「うん…」

「そっか…」

「カービィちん…僕ちん…ドロシアのためと考えたら、カービィちんのほうにつたほうがいいのかもしれないけど…だからといってドロシアを敵として見れない…!」

グリルは、苦しそうな表情をする。
彼女は迷っているのだ。

「大丈夫!グリルは…うーんそうだなー…中立ってことで!」

「?」

「グリルはどっちの側にも立たなくていいよ!そのほうがいいもん!」

「ありがとう…カービィちん」

「ドロシアは殺さない。約束だよ。できれば…戦いたくないんだけどね」

「うん…。僕ちんはそれを信じてるね」

「じゃあ…行くよ!」

ギギィ…と、長い間開かれていなかったような、低い音がして、ゆっくりと扉が開閉していく—————

















「待っていたわ。もう一人のお客様」


閑散とした広いアトリエの真ん中に

ドロシアが微笑んで、孤独に立っていた。

ひどく美しくて、儚くて—————





まるで、絵のようだった—————