二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  VSドロシア開幕間近! ( No.268 )
日時: 2011/07/12 18:04
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

第十二楽章 死願の追複曲カノン


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ドロシア・ソーサレスという人物を聞いて思い浮かべるあれこれ。

絵画の魔女。幻想の魔女。絵画をつかさどるもの。絵が得意。絵しか描けない。それ以外の行動は、凡人以下の能力でしか行えない。ただし、絵については、おそらくこの世で最も極めている。客観的に見れば、絵に関しては頂点にすでに到達している。絵の天才。美しい。美貌。神秘的。ひどく儚い。今にも消えてしましそうな透明感を持っている。綺麗。満月のような瞳。黒いドレス、黒い帽士しか着ない。水色の艶めいた髪。聖母のような笑顔が似合う。優しい。慈悲深い。かなり天然。大人びていて、子供じみている。嬉しくなるとはしゃぐ。にこにこ。ふわふわ。想像力豊か。話すことは得意ではないが、嫌いではない。世間に疎い。一度集中したら、切れるまでは自分の世界に入り込んでしまう。『箱庭』の主。『箱庭』の創生者。『箱庭』に長い間暮らしている。強い魔力を持っている。相当な魔法の使い手。魔法の絵筆大切に持っている。人恋しい。人を愛したい。人に愛されたい。誰かに見てもらいたい。とある魔女を愛した存在。とある魔女に愛された存在。とある魔女を殺しかけた存在。とある魔女を閉じ込めた存在。

呪いを背負った化け物。
怨念を受けた魔物。
殺戮衝動を詰め込んだ怪物。
気味の悪い汚いクリーチャー。

はるか昔、●●●だった、哀れな存在。

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  VSドロシア開幕間近! ( No.269 )
日時: 2011/07/12 19:00
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode


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「どろ…しあ…」

グリルは、長い間あっていなかった、ドロシアを見て、震えた声を発する。
瞳も、少し潤んでいる。

こんな、状況で、会いたくなかっただろう。
なぜなら、彼女と星の戦士は、戦わなければならないのだから。

「…」

ドロシアはグリルはちらりと見て、すぐに目線をそらした。
一瞬懐かしさの表情を滲ませたが、冷静な表情に戻した。

自分の戒めているようにも、捉えられた。

「あなたが、ドロシア?」

カービィは、おぶっていたグリルを、そっと床におろす。
アトリエの冷たい床に、足を下したグリルは、うまくバランスがとれず、よろめいてカービィに支えられる。

「ええ。私がドロシアよ。この『箱庭』の主」

ドロシアは、にこりと微笑む。
美しい笑みではあったが、作り物の芸術品のように固かった。

「はじめまして。星の戦士カービィ。会いたかった。そう、とても…」

ドロシアは部屋の真ん中で動こうとしない。
まるで、ここは自分の領域と言わんばかりに。
カービィはすでにその領域に踏み入れている。
もちろん隣にいるグリルもだ。
室内の空気は、ひどく冷たい。
『箱庭』の温度は、春のように暖かかったのに、ここだけは冬のように冷え切っている。
デデデ城で感じたものと、全く同一。
やはり、あれはドロシアだったのだ。
カービィは確信した。

「貴方の噂はかねがね聞いているわ。聞いているといっても、この空間は世間から絶縁状態だから、調査して知ったって言ったほうが適切ね」

「あなたは…いったい…」

カービィは冷や汗を流す。
そして、思わず後ずさりしてしまう。
痛いくらいに感じるのだ。
殺気を。

決して恐ろしいわけではない。
ただ、ひどく驚いたのだ。
ここまでの殺気を出せる人物を、カービィは一人しか知らない。
殺戮中毒の殺戮趣味、破壊中毒で破壊趣味のマルクとほとんど同じ…否、それ以上。
マルクは一種の精神崩壊者であったがゆえだ。
グリルは、とある呪いのせいであると言っていた。

その呪いは、これほどの怨念を生むものだったのか。
今、優雅にほほ笑んでいる絵画の魔女の中に、いったいどれほどの破壊感情が詰め込まれているのだろうか。
そして、それをどれほどの間、抑えてきたのか。
我慢、してきたのか。
常人なら、おそらくこの部屋にすらいられないだろう。

吐き気がする。
溜まりに溜まった破壊衝動が、もう誰にでもわかるほど、もれだしている。
それは嘔吐したくなるような衝動—————

カービィは、思わず口を押さえてしまう。
グリルは、ガタガタと激しく震えている。

「ド…ドロシア…!」

舌を噛んでしまいそうな、危うい発音で、グリルはドロシアの名前を呼ぶ。
ドロシアは答えない、その代わりに悲痛そうな表情を向けた。

「貴方はなんで、プププランドの皆の…あんなことしたの?」

カービィは、震えるグリルを守るように、強く支える。

「…うふふ」

ドロシアは嬉しそうにに楽しそうに愉快そうに、悲しそうに笑った。

「やっと…きてくれた…」

「…?」

「私は待ってた…貴方ならきっと、来てくれると信じてた。仲間や故郷のために、命がけで戦う…強いものを—————ずっと待ってた…」

「なんで…」

「私は、貴方にとっては、仲間やふるさとを恐怖に陥れた、卑劣で最低な悪者」

「!!ドロシア!駄目!!」

ドロシアが語る言葉に、グリルは突然火がついたように叫びだす。
しかしドロシアは言葉を止めない。
カービィは疑問と焦りの中、その状況にいた。

「悪者は裁かれなければならない。悪者は咎められなければならない。悪者は罰されなければならない—————」

「駄目!やめて!ドロシア!!」

「私は悪者になった。プププランドという貴方の大切な場所や仲間に許されないことを犯した」

「嫌だ!ドロシア!ドロシア!!」

「私は、貴方を呼び出すためだけに、それほどの罪をしでかした。だから、貴方は私を裁く権利がある」

「いやああああああああああああああああ!!!」

グリルの絶叫が響き渡る。
そして、絵画の魔女は、言った。



「私を、殺してちょうだい…—————」