二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ナビ・ルナ&ムスビ ( No.328 )
- 日時: 2011/12/14 16:53
- 名前: ルルにゃん ◆8/MtyDeTiY (ID: 86FuzJA.)
莉々にいつみが話しかけていたころ。スネリがルナに話しかけていました。
「ここだわ。ここから妖怪のにおいがする。悪しき者ではないことは確かだけれど、妖怪がここを訪れたのは本当のようね。このお店も要注意よ。」
ルナはそれを聞き、慎重な面持ちで店の中に入っていった……。
マワルと呼ばれていたその猫がルナのチョーカーに手を触れました。
「やっ……。」
ルナは第3の目をつぶされるのかとも思って、逃げかけましたが、マワルの手がルナに触れたとたん、ルナの心にサビ猫の声が響いてきました。
『安心していい。』
たった一声だったけれど、ルナはそれで安心しました。
その言葉ではありません。ルナを安心させたのは、タイがルナに話しかけるときに似ていた、というただそれだけのことでした。
やがて、チョーカーがハラリと取れました。その瞬間、ルナの身体に激痛が走りました。
「うっ。」
思わずルナはその場に倒れこんでしまいました。
何だろう、この感覚。自分が生まれ変わるみたいだ——。
ハッとすると、自分の毛が白銀になっているのに気がつきました。訳が分からず、ゆっくりと立ち上がろうとして、恐ろしいことに気がつきました。
駆け寄ろうとしていたスネリが、ゆっくりに見えたのです。
それはすなわち、自分がうず目になっている、ということで。
(どうしよう。いっそ、話したほうがいいのかな。)
ルナは考え、そして——。
「わたしの目を見ても驚かないでね。」
玉ちゃんの返答を聞き、思い切って前脚をどけたのだった。
- Re: ナビ・ルナ&ムスビ ( No.329 )
- 日時: 2011/12/15 17:06
- 名前: ルルにゃん ◆8/MtyDeTiY (ID: 86FuzJA.)
いつみたちが驚いているのが見えました。スネリももっけも、違う意味で驚いています。マワルは、うんうんとうなずきました。
「その妖怪は言っていたよ。『うなじに3つ目の目があって、それを開眼させると目が赤くなって、わたしのようになる』と。」
「じゃあ、その妖怪は!!」
ルナが顔を輝かせて問うと、マワルは「いかにも。」と微笑みました。
「君は確かにその妖怪の娘だと見える。よかろう、いまこそあの預かり物を渡すときだ。」
そう言い、マワルは奥のちいさなたんすからCDケースくらいの大きさの箱を取り出しました。厚さは5㎝ほどです。
「あけてごらん。」
ルナは興味津々で、言われるとすぐにふたを取り、中をのぞきました。
お母さんは、自分に何を残しておいたんだろう?妖怪として一人前になり、この世界をも治めるための何かだろうか?
しかし、そんなルナの予想に反し……。
「何……これ?」
中から出てきたのは、金と銀のまったく同じ形をした鈴でした。その形は、月の形をしていました。
- Re: ナビ・ルナ&ムスビ ( No.330 )
- 日時: 2011/12/18 20:12
- 名前: ルルにゃん ◆8/MtyDeTiY (ID: 86FuzJA.)
「これは!!」
わたし、玉ちゃん、莉々、そしてムスビはそろって声を上げた。
金と銀の、珍しい形をした一対の鈴。それは、天猫と巫女がつける、特別な鈴なのだ。
それをルナちゃんが持つということは。
「ルナちゃんは、巫女……ウマリなんだね。だから、この世界に来ることができたの?」
わたしが聞くと、ルナちゃんは箱の中の鈴を見つめたまま、
「わたしがいっちゃんたちと同じ巫女?」
と、ただくり返すだけ。
「でも、分からない。わたしが巫女だとしたら、わたしの天猫は誰なの?」
「それも、君のお母さんが言っておったよ。白い毛並みをした、『スネリ』という名の猫だとね。」
「スネリが!?」
「わたしが!?」
ルナちゃんとスネリさんは同時に叫んだ。
「スネリさんが天猫?ルナちゃんは……巫女?そんな、偶然っていうか、妖怪の香りだかで出会ったのに、同じ巫女なんて。」
莉々も驚いたように言う。
そこで、わたしは思い出した。いつかに、紅璃ちゃんが言った言葉を。
「巫女同士は発している気に同調するから、ひかれ合う。紅璃ちゃんが、いつかに言ってたよね。」
少し、沈黙があった。それはそうかもしれない。紅璃ちゃんはわたしたちを裏切ったのだから。
「そうなのかもしれないわね。もっけさんが落ちたのも、もしかしたらわたしたち巫女が3人も集まっていたからかもしれないわ。」
玉ちゃんが言うと、みんなうなずく。
「ところで、わたしにはどんなチカラがあるのかな。」
ルナちゃんが話題を変えると、マワルさんがそれに答えた。
「それはわからないものさ。自分の正体を知って、鈴を持ったらおそらくそのうち目覚めるときが来るだろう。君のお母さんは巫女として優秀だったようだ。」
「えっ!レンメイ様が!?」
もっけくんが驚きを隠せないように叫ぶ。それはそうかもしれない。妖怪兼巫女なら、驚くだろう。
「ああ。自分で言っていたからね。さあ、これでここに来た妖怪のことは分かっただろう。目覚めは、時を待つしかないのさ。目覚めたら、その4人と活動するといい。今日は早く人間界に帰るといい。」
「はい。あっ、どうやって帰るんでしょう??」
ルナちゃんが言うと、わたしたち4人は顔を見合わせ、うなずいた。
「いつもは巫女のチカラを使うけれど、もっけくんは巫女でも天猫でもないからね。ちょっとだけ、ルナちゃんの妖怪のチカラも使ってもらって。いい?来たときと同じように、異世界開通符を出して。」
「分かった。」
わたしは、マワルさんを振り返った。
「ありがとうございました。」
「いや、なにもすごいことはしていないよ。」
わたしはもう1度、マワルさんに頭を下げた。
「じゃあ、いっくよー!!」
莉々の声を合図に、わたしたちは唱えた。
「七色の翼を持つ、太陽の神・ビンヌスゥイ、白い光の羽を持つ、太陽の神のもうひとつの名・マジャバニ、銀の光の尾を持つ、月の神・マチヌシュラー、元の世界へ帰したまえ。ティルリ・ディルリ・タスマーリー。」
「異世界開通符、急々如律令!!!」
次の瞬間、わたしたちは虹色のトンネルに吸い込まれた——。