二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN日常】Distance【ネタとキャラ募集】 ( No.198 )
日時: 2013/03/08 19:50
名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: mYaacdZq)
参照: http://p.tl/FKt8

参照3000超記念
#零「月に揺らめく狼二匹」


7月のある日。

太陽がじりじりと地面を照らしつけ、アスファルトから、熱気が跳ね返ってくる。うだるような暑さに人々はクタクタだが、蝉だけはひたすらに求愛—ひたすら鳴いているだけだが—していた。

—お前、このままだったら高校ヤバいぞ、どこも行けないぞ?

ユナの脳内では、先刻の二者面談の担任の言葉が反芻されているのみで、後はただ、早く帰りたいという思いのみだった。

如月ユナ、15歳、中学3年生。現在、絶賛迷走中。



3日前、6時間目のホームルーム。この時間は、二者面談に向けての準備をするということらしい。

まず、進路についてのアンケートを配られたのだが、まだ何にも進路について考えていなかったユナは、隣の席の笹川了平という男子のアンケートをチラ見しながら、少し写して誤魔化した。3回近く「極限」と書いた気がする。

そしてその後、学校生活についてのアンケートを配られた。これまた面倒なアンケートだな、写したろか、とユナは考えていたが……。また笹川のアンケートを写す気にはなれなかった。しょうがないから、自分の意見で書くことにした。

『学校は楽しいですか?』

初っぱなからズケズケ来るなあ、と考えつつも、ユナは4段階評価の「そう思う」(ランクは1番上)に丸をつける。
設問は64つあった。これは面倒だと踏んだユナは、全部同じとこに丸してやらぁー! と言わんばかりに、適当に丸を書いていく。

しかし、問題を見ていなかったのがマズかったようで……。

Re: 【REBORN日常】Distance【参照3000超】 ( No.199 )
日時: 2013/05/12 16:55
名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: uiVbj.y2)
参照: http://p.tl/FKt8

参照3000超記念
#零「月に揺らめく狼二匹」(続き)

放課後、第3相談室。

個人面接なので、先生はユナを含む数名に、放課後残るようにと言った。ユナはほとんど聞いていなかったので、帰りのホームルームが終わった瞬間に帰ろうとしたら、笹川に「今日は面接ではないのか」と言われ、引き止められた。

なんでお前がそんなこと知ってんだよ、とユナは思った。が、どうやら笹川も、放課後は面接で残るらしい。その時一緒に名前を呼ばれたってだけ。それだけのこと。

「極限に面接だー!!」

燃えている笹川を尻目に、ユナは第3相談室へと向かった。第3相談室ってどこだっけ、廊下の突き当りの奥の部屋だったっけ?



第3相談室には、既に何人か教室の前で先生を待っていた。皆男子だった。

「如月嬢じゃねーか」

その中の一人が声をかけてきた。名前は忘れたが、かなりチャラい頭髪をしており、制服もかなり着崩している。要は、調子に乗っているってこと。

「今日は何やらかしたんだぁ?」

ニヤニヤと笑みを浮かべながら、そいつはユナに質問してきた。ユナは「お前こそ何やらかしたんだ?」と聞き返したが……。ユナも、大概調子に乗ってるよなと思われてもしょうがないような、ギャルっぽい見た目と生活態度。

「面接だー、面接」
「俺ら優良だから」

そこにいた野郎は皆、そう言って笑った。誰が優良だよと思いつつ、ユナは「ま、私もだけどさ」と言って笑った。

「しっかし如月嬢、妹に似ないよな」

初めに話しかけてきた男子が言った。唐突過ぎるその発言に、その付近にいた生徒全員に苦笑いした。通り過ぎていっただけの生徒ですら、クスリと笑い出す始末。

「急に何だ」

ユナはふてぶてしく答える。本当に急である。しかも結構失礼なこと言ったぞ、今。
というか、「妹に似ない」って言うより、「姉妹そっくりじゃないよな」っていう方が自然な気がする……。

「いやさーこの間、俺、見たんだよなー。妹嬢」

人の妹を妹嬢と呼ぶのってどうなの、と言いそうになったが、黙ってユナはそいつの話を聞いていた。

「超かっけーな!! 妹嬢!! 楽器吹いてるのとかマジサイコーじゃん?!」

そいつは、急にテンションハイになった。私の妹の話で。何だコイツ……。

「だよな!! マジかっけーよな!!」
「イケメンだな!! 彼女になってくんねーかな?」

イケメン、かっけーといった褒め言葉が飛ぶが、女子にとってそれらの言葉は、全くもって嬉しいと思わない。しかも、イケメンだから彼女にしたいって、何でそういう発想になるんだろう? 
あ、バカなんだね、彼らは。

「ユウはやらん。少なくともお前たちには」

ユナは毅然とした態度で言った。野郎どもから「いや、お父さんかよ」というナイスなツッコミが飛んできた。

「つーかアイツ、おっさんだけど?」

ユナがそう言った途端、野郎どもから野次が飛んできた。野次を飛ばすときが一番怖い。こやつらの場合。とも考えたが、ちょうど先生がやってきた頃なので、ユナは先生に軽く会釈をした。会釈の理由は、特にないです。

「お前もなかなかのオッサンだろ!! ハゲ!!」

そう言って叫んだ男子共だったが……、その叫びはユナではなく、

「ほほ〜う」

最近、ちょっと(本人申告)抜け毛に悩んでいるという……、


「上等だ……表へでろ、お前ら」


学年主任であり、我らの担任の先生へと飛んでいってしまっていた。