二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.57 )
日時: 2012/03/03 22:48
名前: ライヤ (ID: FUCcV96u)

第四章—停止した町と航海—

「なぁ、こんな時に言うのもどうかと思うが…」

「何だ?どうしたんだよ」

「言いたいことがあるんだったらさっさと言え」

悲しみや後悔が渦巻いているこの空間で、おずおずとつい手を挙げながらアクセルが切り出すと、ムーンとグラッセがいつもより低くてとげとげした言葉を返した。
それに気押しされて、少し口ごもりながらアクセルは口を開く

「レイ…、レイシャはどこに行ったんだ?」

「は?そこにいるだろ?」

その言葉に、マーベルが何を言っているんだと周りを見渡すと、リズそっくりのあの金髪の少年の姿はどこにもなかった。

「さっきまでそこにいただろう!!?」

「ンなこと言ったって、俺が気が付いたときにはすでにいなくなってたんだよ!!」

焦ってムーンが言うと、アクセルも焦りながら気づいたらいなかったと言う。
そこで全員は同じことを思い出した。
レイシャがいなくなったことに気が付かなかったのは多分、全員が心を失ったリズのことで悲しんでいたからだ。そして、レイシャがいなくなる理由と言ったら…

「…レイシャのやつ、かなりのシスコンだからな」

グラッセがぼそりとつぶやくと、それは静かな部屋全体に響き渡った。
そう。レイシャには悪いが、あいつはかなりのシスコンだ。
全員が周りが見えなくなるほどの事をレイシャが耐えられるはずがない。

「アイズもどこかに連れて行かれちまった…。耐えられないだろう」

それだけではない、アイズもガイアとウラノスによっていなくなってしまったとカヤはつづける。

「…リズ。すぐに戻ってくるから、必ず心を取り戻して見せるからな」

グラッセは何かを決意したかのようにリズに優しく話しかけて未来のナミネにリズを預けると、立ち上がった。

「俺、リズの心を取り戻す手がかりを探してくる。それとレイシャの行方も」

グラッセがこの場にいる全員をぐるっと見回して宣言すると、当然だとばかりにムーンも立ち上がる。

「俺も行く」

「分担したほうが効率もいいだろ。レイシャたちを探した時みたいに」

すると、二人に続いてカヤとマーベルがレイシャたち三人を探した時のように分担しようと、提案した。

「そうだな。よし!絶対に見つけて帰ってこような!」

「「「おう!」」」

グラッセの掛け声に、ムーン、マーベル、カヤが力強くうなずいた。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.58 )
日時: 2012/04/11 23:05
名前: ライヤ (ID: FUCcV96u)

「リズ、必ず心を取り戻す方法を見つけてくるからな・・・」

異空の海を見つめながらグラッセは自分に言い聞かせるかのようにつぶやく。
そんなグラッセを見て、ムーンは声をかけられずにいた。
そして、ムーンの脳裏にはふと、あの時ウラノスとガイアに飛ばされたアイズのことを思い出されていた。

「(あの力は異世界にわたるための力?)」

力の正体。マーベルがこちらの世界に飛ばされてきた事を知っているからこそ思えた。

「(でも何故、あの地点でアイズを殺さずに異世界へ送ったんだ。いや、殺す予定だった・・・?)」

ムーンは考えていると、リズが助けに入ったことで予定が狂わされたのではないかという結論に行きついた。

「(だったら、何故アイズが狙われた?標的ならほかにもいっぱいいたはずなのに)」

「あの世界へ行ってみよう」

新たな疑問が浮かんだムーンの思考はグラッセの言葉で途切れた。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.59 )
日時: 2012/03/31 16:26
名前: ライヤ (ID: FUCcV96u)

グラッセとムーンが降り立った世界はレイディアントガーデンだった。

「さて、どうやって探す?」

「とりあえず、レオンたちに会いに行こう。あの人たちなら協力してくれるンじゃないか?」

「そうだな・・・ん?」

ムーンが聞くと、グラッセは迷うことなく言う。それにムーンがうなずくと、ふと端にふと何か見つけた。それはすぐに角を曲がってしまったが、黒に白、目立つ金髪に見えた。
その特徴といえば———

「「レイシャぁぁぁぁぁ!?」」

それを見た二人が即思いついたのは探すと決めた人物。ここまで早く見つかると思っていなかった二人としてはかなり焦って追いかける。
角を曲がってみると、こちらに気が付いたレイシャは逃げた。

「なんつー足の速さだ。リズ譲りか?」

「くそっ!なんで逃げるんだよ!」

追いかけようにも全速力で逃げるレイシャはドンドン離されてしまう。

「・・・見失った?」

「いや、闇の回廊で移動したみたいだな。痕跡がある」

角を曲がると、すでにレイシャはいなくなった。首をかしげるグラッセに、ムーンが冷静に分析して伝える。
闇の回廊を使われては、追いかける手段がない。いや、あるにはあるのだが、グミシップを置きっぱなしにはできない。

「カヤとマーベルに連絡しておこう」

二人は最初の目的を行うため、もう一つのグミシップで探しているであろうカヤとマーベルにこのことを知らせるために元来た道を戻ることにした。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.60 )
日時: 2012/04/11 23:01
名前: ライヤ (ID: FUCcV96u)

その頃カヤとマーベルは、まだグミシップで異空の回廊を渡っていた。

『カヤ、マーベル。聞こえるか?』

「あぁ。どうした?」

「レイシャを見つけた」

グラッセの声が聞こえてマーベルが聞き返すと、驚きの言葉が返ってきた。一瞬意味が理解できなかった気もしたが、瞬間に二人の頭をよぎったのは、こうも簡単に見つかるものなのだろうかということだ。
グラッセとムーン同様、あまりにも早く見つかったため、正直何も言えないのだ。

「本当か!?」

『あぁ。だけど・・・』

カヤが聞き返すと、グラッセが頷くが突然口ごもってしまった。そんなグラッセのことがわからない二人は頭に「?」を浮かべる。

『逃げ・・・られた』

「・・・は?」

『逃げられたんだ。レイシャの奴、俺たち見て逃げたんだよ』

グラッセが言いづらそうに発した言葉は疑うような内容で、つい聞き返すと、グラッセがはっきりともう一度言った。

「なんでレイが逃げる必要があるんだよ」

『俺が聞きたいよ』

カヤが焦って問いただすと、グラッセがため息をついた。ここでグラッセを攻めても仕方がないとわかっていても、感情が追い付かないというのがカヤの心境だろう。

「・・・情報が少ない。カヤ、一度存在しなかった世界に、城に戻ろう」

「あぁ・・・」

マーベルがこのまま捜索を続けるのは困難だと判断し、カヤに戻るように言うが、どうも上の空というような感じだった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.61 )
日時: 2012/04/09 18:36
名前: ライヤ (ID: FUCcV96u)

その頃、グラッセとマーベルをまいたレイシャは内心ほっとしていた。

「(グラ兄たち抜けたか・・・)やっぱり、今のままじゃ合わせる顔がない」

何故レイシャが二人から逃げたのか。
それは単にショックで自分が泣いている姿を見られたくないから。自分を守りたいだけで情けないとわかっており、合わせる顔がないと思ったからだった。

「情けないな・・」

泣かないって決めたのにと呟きながら自嘲するように笑う。そんなことをしていると、目の端に何かキラキラと光が入ってきた。何だろうと思ったとき、自分ががむしゃらに走ってきたため、正直周りをよく見ていなかった事に今更になって気が付いた。

「ここ、フリーズタウン・・・か?」

「その通りよ。坊や」

「ッ!!」

「そんなに怯えなくてもいいじゃない」

レイシャの周りにはたくさんの水晶などがあり、ぽつりと茫然と呟く。すると、その独り言に返事が返ってきた。その声と独特のレイシャの呼び方に焦ってキーブレードを出して構える。
相手はそれを見て、くすっと笑って怯えていることを指摘すると、レイシャは顔をゆがめた。

「ここに来たことがあるのかしら?」

「・・・ガイア」

ガイアはまるで獲物を見つけたかの様に楽しげに笑いながら、レイシャに語りかける。
リズに致命傷を負わせた事を思い出しながらレイシャはガイアの名前を呼びながら構える。

「少しぐらいお話ししたっていいじゃない」

「あんたに話すことなんてない!」

「全く、少しは女性に付き合うぐらいしなさいよ。彼女できないわよ」

一触即発というような態度をとり続けるレイシャに対して、若干呆れながらガイアは言う。
しかし、構えたままのレイシャを見て、ガイアもフレイムタガーを構えた。

「じゃあ、これで語るとしましょうか」

そういうと、ガイアがレイシャに一気に詰め寄り、フレイムタガーを振るう。それをレイシャがキーブレードで防ぎ、リベンジを繰り出すがガイアは軽くドッジロールでよけて最初の位置に戻り、間合いを互いにとる。

「俺だって・・・、俺だって何もしなかったわけじゃないんだ!」

先に動いたのはレイシャだった。ガイアに叫びながら走り出したレイシャは、まるで自分自身に言い聞かせるようにも見えた。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.62 )
日時: 2012/04/15 22:58
名前: ライヤ (ID: FUCcV96u)

レイシャとガイアの競り合いが続く。

「(おかしい・・・。本気を何故出さない?)」

そんな一進一退の攻防を繰り広げる中、レイシャは何か引っかかっていた。一度はハロウィンタウンで、二度目は存在しなかった城でレイシャだけでなく、あのリズもを負かした相手だ。
そんな奴にもう一つのキーブレード——メモリアルローズマリーを出していないのに渡り合えるはずがない。

「・・・何をそこまで怒っているの?」

再び競り合った瞬間、唐突にガイアはレイシャに問いかけてきた。レイシャはそれに無言でキーブレードを振り下ろし、高い金属音だけがこだまする。

「あ、そうか。リズ『お姉ちゃん』を傷つけられたから?」

「ッうるさい!!」

「図星のようね」

ガイアは大げさにわかったというように言う。それが図星だったレイシャは思いっきり競り合っていたガイアを押し切ってキーブレードを横に薙ぎ払うと、いったん引いたガイアがくすくすと笑った。

「でも、そんなに怒んなくてもいいじゃない?」

「・・・何が言いたい」

何かを勿体つけて、遠回しに言うガイアに腹を立てたレイシャはいつもより低い声で問いただす。
するとガイアは言っていいの?と呟いてから

「だって、坊やとあの純粋な光の心を持つ女の子は他人でしょ?」

一言。

「な、何言ってんだ!俺とリズ姉ちゃんは姉弟。他人なんかじゃない!!」

「事実上は、ね」

ガイアの言葉に心をえぐられるかのような感じがしたレイシャは、若干動揺しつつも言い返す。
しかし、ガイアはそれを見逃さず、追い打ちをかける。

「貴方にも思い当たる節があるのでしょう?」

「違ッ」

「坊や、貴方はじ」

「黙れっっ!!」

ガイアが何かを言おうとした時、こらえきれなくなったレイシャがガイアにダークインパルスを後ろに回って放つ。
ガイアの不意を突いたつもりだがそれは一瞬で、すぐに防がれてわき腹を掠っただけだった。

「?」

その時、レイシャはおかしな感じがした。

「(おかしい。普段だったら絶対に操れる量なのに)」

ダークインパルスはヴァニタス直々に教えてもらって、コントロールもしっかりとできるレイシャの得意技の一つだ。
しかし今現在、全身から闇が少量だが確実に漏れ始めている。
おかしいと思いながらふと近くの水晶に移った自分を見てみると、瞳の色が金色になっていた。

「!!なんでッ」

頭が混乱してきたレイシャは一人で呟くが、ガイアがそれを見て笑う。

「どうしたの?坊や。今の一撃でもう終わり?」

ガイアの挑発も普段操れるはずの量の闇が操れずにいるのと、リズと姉弟ではないというガイアの発言によって、レイシャにとってはどうでもいいことになっていた。

「・・・そうね。貴方にはさっき言おうとした事とはまた別の真実を教えてあげるわ」

元々言おうとしていたのはそっちだし。とガイアは付け加える。

「貴方の姉。リズティクスト・ブラックノーバディの正体。それは——」

それは、とんでもない事実を突きつけた。

「ヴェントゥスの【半身】よ」

「・・・えっ・・・」

レイシャはまるで心臓をわしづかみにされたように苦しくなって動悸が激しくなった。

「ヴェン、の・・・・半・・・身?」

「驚いた?当然ね。あたしも知った時は驚いたもの」

激しく動揺しているレイシャにガイアが言った次の瞬間、表情が一変。また獲物を狙うかのような笑い方をした。

「さて、もう十分ね」

「な・・・にが・・・」

混乱して頭が回らない。あいつは何を言っている?
そう思いながらなんとか返したレイシャに、ガイアがわからないの?と言い放つ。

「貴方は用済みよ。だから消えてもらうの」

「ッ!!」

ガイアが言うと同時に、いつの間にかレイシャの周りを8本の光の柱がかこっていた。
あたりを見回すが、逃げ場はない。焦って闇の回廊を出そうとするがそこには何も出ない。

「!?」

「無駄よ。この光の中では闇を扱うことも不可能。闇に対しての対策は万全♪」

ガイアが楽しそうに笑いながら言っているうちに、光の柱はドンドンレイシャを囲って縮小し始める。

「う・・・ぐっ」

「最後だから教えてあげる」

「・・・」

「さっき闇を操るのが不安定になったでしょ?あれは貴方の心を少しずつもらっていたからよ」

「なッ!!」

「すごいわね。ちょっとずつ奪ったのだけど、すぐに闇が心を修復してしまうの」

「(心をえぐられているような感覚、あれは本当にえぐられていたせいだったのか)」

だんだん縮まる光の中で、右手に闇で包まれた——奪ったレイシャの心の欠片をうっとりとした目で見つめるガイアをレイシャは見ていた。
そして、ガイアが告げる一言一言がレイシャの中でだんだん一つの答えに導く。

「お、前ッ・・・、目的、って」

「気が付いた?」

「・・・χブレード」

闇の心を欲し、光の心をも狙っているということは一つしかない。そう考えて静かに言った言葉に、ガイアはにやりと笑って

「——正解」

「ッッ!!」

「じゃあね、坊や・・・おやすみなさい」

ガイアは小さくなっていく光を背に闇の回廊で消えた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

フリーズタウンにレイシャの悲鳴がこだまし、そのまま光に吸収されてしまった。
後に残ったのは、停止した町だけだった。


第四章終了

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.63 )
日時: 2012/04/09 20:33
名前: ライヤ (ID: FUCcV96u)

戦闘シーンにしたはずなのに、後半ガイアが戦闘放棄してしまったorz
まぁ、取りあえずは・・・
なんとか第四章終わりましたぁぁぁ!!


レイ「よくまぁ、更新をさぼりにサボって。一か月ですカ(黒笑」

レ、レイシャ君!?君最後片言ですよ!?
てか、落ち着いてください!!!
本当にすいませんでした!!でもでも!
私ももう高3だよ!?けっこう忙しいn「問答無用!!!」
ぎゃぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

レイ「では、次はリラさんにバトンタッチします。長々と会話するこいつの小説とはえらい違いなので」

・・・相変わらず酷k(「何か言ったか?」
イエ!何も!!!(滝汗