二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.73 )
- 日時: 2011/10/19 17:03
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
第四話(1)『リーフレット・キルケゴール』
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.74 )
- 日時: 2011/10/19 17:04
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「やっふぃー! 初めましておにーさん、みんなの可愛いリーフレット・キルケゴールちゃんでぃっす! 4649よろしくぅっ! ぎゃははっ!」
扉を開けたら、そこにはウザイくらいにハイテンションの少女がいた。
いや、少年? どちらにも見える中世的な美形の子供である。
服装は継ぎ接ぎだらけのローブをワンピースのように着こなしその下にスキニージーンズという奇妙なものだったが、そんなものも気にならないくらいに不思議と漂ってくる無邪気な淫靡さが特徴的な……じゃなくて。
「……誰だよ、お前」
今まで吹っ飛んでいた思考が戻ってきて、やっとのことで銀時はその言葉だけを発した。
待て待て、落ち着くんだ俺。
冷静になれ、お前はクールな男だ。
ハルピュイアが出て行って二時間くらいたったからさすがに気になって、エスペランサも目覚めた事だしちょっと様子でも見に行くかと立ち上がり、扉を開けたら何故か目の前に見知らぬ美少年がいて、なんか挨拶された。
……うん、わけわからねぇ。
あっれー俺ついにボケたのかなーあははー、なんて銀時が遠い目をしていると、いつの間にか少年の後ろにいたハルピュイアがちょんちょんと肩をつついてきた。
意識を現実に引き戻され、ハルピュイアに目を向ける銀時。
その目は語っていた「誰だ、これ」。
『あー……うん、とりあえずリビングの方に行ってから話すっちゃよ。向こうでも同じこと聞かれると思うっちゃし』
こちらも視線を左右にウロウロさせるハルピュイア。
彼女が連れてきたということは怪しい人物ではないようだが、それにしても滅多に見かけないタイプの少年だった。
それにリーフレット・キルケゴールという名前。
もしかして……
「お前……魔法使いか?」
銀時の質問に、ハルピュイアに続いて玄関に入っていた少年は答えた。
「魔法使い? ぎゃははっ。そりゃあ違うぜ、おにーさんよぉ……」
振り向く少年、リーフレット・キルケゴール。
その邪気のない微笑みは、しかしどこまでも淫蕩だった。
「僕は魔術師。魔法使いのなり損ないさ」
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.75 )
- 日時: 2011/10/19 17:06
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
「何で貴方がここにいやがるんですか!?」
リーフレットがリビングに足を踏み入れた瞬間、エスペランサのそんな絶叫じみた声が響いた。
他の者は皆、見知らぬ少年が入ってきたという事実と、その淫蕩な雰囲気に飲み込まれて固まっている。
そんな空気の中で、彼はなんら気にする様子もなくしゅぱっと右手を上げた。
「ぎゃははっ、久しぶりエスペランサ! つーかここじゃ斑鳩桔梗って名乗ってんだっけ? んじゃあ僕もそれに則って桔梗って呼ぶけど、アーユーオーケー?」
「なんですかその棒読みの英語は……つーか質問に答えやがって下さい。何でこの世界にいやがるんですか」
「ぎゃははっ……そりゃ勿論、僕が異世界を巡る目的っつたら一つだろ?」
「……なるほど、貴方の兄が今回の逃げ場にチョイスしやがった世界はここというわけですか」
交わされる会話は理解できない。
どうやら二人は知り合いらしいが、もしかすると同じ学校に通っていたりするのだろうか。
見た目も同じくらいだしクラスメイトかもしれない。
そんな予測を立ててみるものの、しかしそれが正解か確かめに行こうとする猛者など一人もいない。
婀娜(女性の色っぽく艶かしい様)めく美少年に至高の美少女。
こんな二人の組み合わせに突っ込んでいける勇気など持ち合わせていない。
しかしそんな全員の総意を覆す猛者が、ここに一人いた。
「おいお前、人ん家に入って来たなら自己紹介くらいするネ」
腕組みをして見下ろす少女、神楽だ。
今まで誰も破れなかった鉄の防壁(主に少年から放たれる淫蕩オーラだとか姫姉様から放たれる耽美オーラだとか)を突破し、軽々と少年に歩み寄った彼女。
そんな彼女の言葉にいま気付いたとばかりにポンッと手を打ち、少年は相変わらずどこか無邪気な艶かしさを感じさせる笑顔で周囲を見回した。
笑顔というより、小悪魔的に唇を吊り上げているとでもいうべきだろうか。
高杉の男性的な色気とは違い、こちらの少年からは女性的な色気が滲み出ている。
例え方に少々品が足りないが、喰われる側の色気といった感じだ。
「ぎゃははっ、ごめんごめん。そういやぁ自己紹介まだしてなかったや。
初めまして、おにーさんおねーさん。僕はリーフレット・キルケゴール。魔法使いじゃなくて魔術師なんで、そこんとこよろしくぅっ!!」
そんな子供っぽい上に訳のわからない自己紹介も、少年の、リーフレットの純粋な色香のせいかやけに艶めいて感じる。
吉原桃源郷にもこの色香を放てる遊女は中々いないだろう。
男であるとわかっていても思わずクラッとくる。
が、そこは全員でエスペランサの方を向いてなんとか耐え抜いた。
耐え抜いたついでに、一人の隊士がおそるおそる手を上げて質問する。
「あのー……姫姉様が魔法使いっていうのは知ってるんですけど、魔法使いと魔術師の違いって何ですか?」
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.76 )
- 日時: 2011/10/19 17:08
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「魔法使いと魔術師の違い? なんて説明すりゃあいーんだろ……とりあえず簡潔に言えば、魔法は能力で魔術は学問って感じぃ?
魔法使いっつー能力者としての才能がない奴が、必死に全力で努力してやっとなれるのが魔術師……ってなわけ。割合としては魔術師の方が少数。魔法は魔力かかるけど、魔術は魔力いらねーの。ぎゃははっ、その代わり時間かかるけどねんっ。例えば……」
そう言うと、リーフレットは地面に転がっていた今朝の朝刊を手にとり、エスペランサに向かって「刃物の類とか持ってねえ?」と手を差し出す。
エスペランサは軽く頷くと、指を弾いて鳴らし、空中に小さな魔法陣を出現させた。
彼女がそれに手を突っ込むと、中から出てきたのは意匠を凝らしたペーパーナイフ。
それを受け取り、リーフレットは逆側の手で新聞紙を広げた。
何枚か重なっている新聞紙の内一枚をエスペランサに投げ渡すと、彼女もリーフレットの意図がわかったかのようにそれをキャッチする。
「はいはい、ここに何の変哲もない一枚の新聞紙があったりしちゃいまーす! これを燃やす時、魔法使いと魔術師じゃどんな違いがあるのかを実演するからよーく見といてねんっ」
エスペランサから受け取ったペーパーナイフで新聞紙に何かを刻みながら、リーフレットは説明する。
周囲の人間は、興味を抱いたようでまじまじと二人の姿を見つめていた。
「まず、魔法使いがこの新聞紙を燃やす場合」
「……燃えろ」
長々しい呪文など唱えるまでもなく、エスペランサがそう低く呟いただけで新聞紙は真っ白な灰となった。
一瞬すぎて炎の色が確認できなかったくらいだ。
おおー!! と、周囲からの歓声があがる。
「続いて魔術師が燃やす場合! っと、ちょっくら待ってねー」
さきほど刻み込んだよくわからない模様とはまた別の模様を刻み込み、その周囲を円で囲ったりと、忙しなく手を動かすリーフレット。
一分くらいたって彼がその新聞紙にふっと息を吹きかけると、エスペランサの新聞紙と同じように一瞬で燃え尽きた。
これまたあがる歓声。
ペーパーナイフをエスペランサに返して、リーフレットは再び隊士や神楽たちに視線をやった。
「まっ、要するに魔法は魔力が必要で魔術は時間が必要ってわけ。ちなみに魔力を使う術を魔法って言って魔力を使わない術を魔術って言ったりするんだけど、そこら辺はこっちでも曖昧だから適当でオーケー! ぎゃははっ」
「じゃあ、もう一つ質問していいですか?」
ビシッと上げられた隊士の手に「オーケー何でも聞いちゃって! いえっす!」とやけにハイテンションに返すリーフレット。
飛んできた質問は、「リーフレットさんは何でこの世界に来たんですか? あと、姫姉様との関係は?」というものだった。
何気に二つも質問が含まれているのだが、そんなことは気にしないとばかりにリーフレットは答えていく。
「ぎゃははっ、桔梗との関係はクラスメイトって奴だよんっ。魔法使いの学校にいる魔術師っで僕一人だけだし、桔梗も周りとあまり馴染めてなかったから、必然的に喋る回数とか多くなったわけ。僕がここに来た理由って質問は……あー、ちょっとヘビーな内容になっちゃうけどオーケー?」
リーフレットにしては珍しく、妙に躊躇うような様子で頬を掻く。
エスペランサとハルピュイアも、どうやら事情を察しているようでなんとなく微妙な表情だ。
彼にも、果てない悪夢に苛まれたエスペランサや、生後まもなく両親に捨てられたハルピュイアのような、話すと場の雰囲気を暗くしてしまうエピソードがあるのだろうか。
そう考えると、彼のこの性格にも納得がいく。
一見ハイテンションで悩みなどなさそうに見えるリーフレットだが、その天真爛漫さはどこか嘘臭く、芝居がかって見えるのだ。
それはまるで、『リーフレット・キルケゴール』というキャラクターを舞台上で演じているような違和感。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.77 )
- 日時: 2011/10/19 17:09
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
『言っておくけど、聞いて気持ちの良いもんでもないっちゃよ。どっちかというと後味の悪さが残るだっちゃ』
暗に聞かないことを勧めているようなハルピュイアの発言に、挙手していた隊士は申し訳なさそうな顔でその腕を下げる。
どうやら聞かないという選択肢を選んだらしい。
五秒たってももう誰も手を上げないのを見て、リーフレットは口を開いた。
「まあ、聞きたきゃ僕のいない時にでも頼むよ。僕が自分で話すのも変な感じになっちゃいそうだしさ」
『ウチが話しても変な感じになるっちゃよ。……というかリーフレット、お前この世界で泊まる場所とかあるんだっちゃか?』
「んにゃ? 全然アテもねーけど。でもまあ、僕って野宿とか得意だし」
ぎゃははっ、と軽やかに笑うリーフレット。
そんなリーフレットを背景に、ハルピュイアはこれが本題だとばかりに真選組メンバーに顔を合わせた。
その瞬間、彼らの背中に嫌な予感が走る。
『さすがに万事屋にもう一人泊めて貰うわけにはいかないし、こいつをそっちに泊めてやって欲しいっちゃ』
こいつ、と指差された先にいるのは勿論リーフレット。
どうやら本当に野宿するつもりだったらしく、当の本人がきょとんとしていた。
その姿が非常に愛らしい。
愛らしいのだが、むしろその愛らしさが問題だ。
土方と沖田は目で隊士たちに合図すると、部屋の隅で円形になって作戦会議を開いた。
「どうしやす? 一人くらい泊めるスペースなんざ充分ありやすけど」
「問題はそこじゃねェだろ。見たかさっきの色気。あれは男所帯に泊めるには危険だ」
「姫姉様の場合はお美しすぎて逆に手出しする気もおこらなかったけど、あれは駄目ですよね。性別の壁がどうでもよくなりそうです」
「男であの色気はねーよ。何あれ、どうして普通なら色気の欠片も出ない動作で色気でてんの?」
「しかも男の色気じゃなくて女の色気だもんなアレ。少年から出るもんじゃねーよわけわかんねーよ」
「しかも姫姉様と違って、あの態度は確実に自分が可愛いことを理解しているタイプだ。気を休めれば負けるぞ」
こそこそと小声で話しているが、静かな部屋なので会話内容は全てダダ漏れになっている。
可哀想な生き物を見るような目で真選組メンバーを見つめる万事屋メンバー、呆れるハルピュイア、よく分かっていないエスペランサ、そして面白そうに眺めているリーフレット。
彼らの話している通り、リーフレットは自分が可愛いという自覚が多いにあったし、自分の色気が雄を興奮させるタイプのものだと理解していた。
そのまま数分ほど話し合った後、代表として一人の隊士が立ち上がると、リーフレットにビシィッと指を突きつけて言った。
「お手柔らかにお願いします!」
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.78 )
- 日時: 2011/10/19 17:10
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
「で、あのリーフレットってやつがこっちの世界に来た理由って何アルか?」
リーフレットを真選組メンバーに引き取って貰って数分後。
すっかり人口密度の下がった部屋の中で、神楽がハルピュイアにそう尋ねた。
『……だから、マジで聞かないことを勧めるっちゃよ。理由だけ聞いても神楽は怒りそうだし、そこに至るまでの経緯も聞いてて気持ちいいもんじゃないだっちゃから』
「私が聞きたいって言ってるんだから、そんなことはどうでもいいネ」
引き下がらない神楽に、ハルピュイアは辟易したような声を漏らした。
『神楽、こういう所はえらくしつこいんっちゃね……桔梗、どうするだっちゃか?』
「……リーフレットが自分のいない所でなら話してもいいと言いやがっていましたし、神楽さんが聞きたいのであればそれも良いでしょう」
最後の頼みの綱だったエスペランサがそう答え、新八に入れてもらったお茶を啜るのを見て、ハルピュイアはがっくりと項垂れた。
そして、仕方なしとばかりに口を開く。
『……あいつがなんで異世界を巡ってるかっていうと、逃亡してる兄貴を探してるんだっちゃけどね』
「……何ネ、別に後味の悪い理由じゃないヨ」
『……その兄貴を見つけたら、リーフレットは殺さなくちゃいけないんだっちゃよ』
「なっ……!?」
神楽が驚愕の表情を浮かべる。
今まで黙っていた新八が飲んでいたお茶を噴出し、銀時もいちご牛乳が器官に入ったようで咳き込んだ。
エスペランサとハルピュイアだけが、この空間の中で落ち着いている。
それからハルピュイアが語った話を纏めるとこうだった。
リーフレットの生まれたキルケゴールというのは代々魔術師の家系で、シャングリラにおける魔女狩りのほとんどを担っていた悪名高い一族。
そのとき六歳だったリーフレットと八歳だった兄は魔女狩りにまだ参加していなかった。
キルケゴール一族では十歳から魔女狩りに参加する決まりで、しかしその十歳が訪れる前に、ある一人の魔法使いによって魔女狩りは終焉を迎える。
魔女狩りに参加していた大半の魔術師たちは処刑された。
当然、もっとも残忍な方法でもっとも数多くの魔法使いを葬ったキルケゴール一族も処刑の対象になったが、しかしそこで魔法政府が困ったのはリーフレットとその兄の処分。
キルケゴールとはいえ魔女狩りに参加しておらず、かといって無事で済ませるにはキルケゴールに殺された魔法使いの遺族たちの怒りが凄い。
「キルケゴールの血は残しておくべきではない、檻に放り込んで猛獣の餌にしろ」「手足を切断して川に流せ」「生きたまま内臓を刳り貫け」。
そんな怨嗟の声の数々に、ついに何もしていない二人の処刑を決定しようとした魔法政府。
しかしそこで一人の魔法使いが動いた。
この魔女狩りを終焉に導いた張本人である、伝説の魔女シーレ・サイフェルト。
彼女はリーフレットとその兄を自分の学園に引き取って面倒を見ると言い、さすがに英雄の発言は断れないので、二人を聖マジカル学院に入学させる。
そこから兄弟二人で頑張って暮らしていく……という展開になるかと思いきや、リーフレットの兄は禁術に手を染めて捕まらない内に異世界へと逃亡。
リーフレットの兄は“第十三級魔法使い”という指名手配犯として扱われた。
そしてシャングリラには一つの掟がある。
それは『家族から第十三級魔法使いが出た場合、家族が殺害する』というもの。
そしてキルケゴールにはもうリーフレットとその兄の二人しかいない。
兄が第十三級魔法使いになったなら当然リーフレットが殺すしかなく、彼はたった一人の家族を亡き者とするために異世界を巡っているという。
『シャングリラじゃ、あいつに対する風当たりは酷いもんなんだっちゃ。口を開けば「喋る暇があったら死ね」、視界に入れば「目が穢れる、近寄るな」、ただそこに存在しているだけで「よくのうのうと生きてられるな」。キルケゴールという一族の犯した罪に対する怨嗟は、全部あいつに向かってるんだっちゃよ。
道を歩けば殴られるし蹴られるし刺されるし、それを助ける奴がいないどころか、むしろ暴力をふるわれて当然だと周囲の人間はその光景を見て笑い声を上げる。“殺したら穢れが移る”なんて噂があるおかげで殺されはしないけど、あいつ、あのローブの下は常に傷だらけだっちゃ』
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.79 )
- 日時: 2011/10/19 17:12
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「リーフレットさん……そんな人生なのに、なんであれだけ笑ってられるんでしょう」
すっかり陰鬱になった空気の中、ポツリと新八が呟いた。
その疑問にエスペランサが反応する。
「……リーフレットは、周囲の人々があいつを嫌う以上に、自分自身のことが嫌いなんですよ。大嫌いな自分が酷い目にあってるのを見ると清々すると、前に言ってやがりました」
「…………」
「あいつはね、自分が不幸だなんて微塵も思っちゃいねーんです。自分は罪を背負ってるんだから罰を受けるのは当然という思考です。だから殴られても蹴られても刺されても反抗しないし、あいつはむしろ周囲が自分を暴行しながら嘲笑っている間、傷にまみれた自分を誰よりも楽しそうに嘲笑ってやがります」
「……罪を背負ってるって、あいつ、話を聞いた限りじゃなにも悪いことしてないネ」
「ええ。でも、“キルケゴール”という一族が犯しました。……遡って何百代にも及ぶキルケゴール一族たちが犯してきた罪を、あいつは今、一人で背負い込んでやがってるんです。
そしてその償いとして、リーフレットはキルケゴールの犠牲者遺族たちの願いはなんでも聞き入れることにしています」
すっかり冷え切った緑茶をテーブルの上に置いて、エスペランサはソファーにもたれかかり天上を見上げた。
「いま被害者遺族たちが望んでいる第一の事柄は、『リーフレットが兄を殺すこと』。これはまぁ、キルケゴールの血統自体が憎い彼らにとって、その血筋を根絶やしにするにはリーフレットが兄を殺しやがるしかないからですね。
そして第二に望まれているのは、『リーフレット自身の死』です」
見上げた先の電灯の眩しさに目を細め、エスペランサは腕で瞳を覆う。
「つまりリーフレットは、兄貴を殺して自分も死ぬつもりなんですよ」
「……クラスメイトなんでしょう? 止めるつもりはないんですか?」
「リーフレットを止めるのも慰めるのも、あいつの強さに対する侮辱でしかありません。弱味を見せずに強味で魅せる。あいつと私の関係は、それでいいんです」
罪を投げ出さないというのは、一種の強さだ。
それが例え自分の罪じゃなかったところで————背負う必要のない濡れ衣だったところで、罪という十字架を背負い続ける彼は間違いなく強い。
いくら傷付いて、ボロボロになって、もう手遅れなところまで彼が行ってしまっても。
それを止められることをリーフレット・キルケゴールは望んではいない。
強くあらなければ彼は生きられないのだ。
自分が弱いと認めてしまったら、傷の痛みに耐え切れず心が折れる。
そして心が折れても、彼を支えてくれる人間は一人もいない。
むしろいい気味だと嘲笑うだろう。
だからこそ彼は自分を嫌いになったのだ。
誰にも好かれていない自分を嫌いになれば、罪を背負う自分を客観的に嘲笑すれば、傷付いてボロボロになった心を無視できる。
ズタズタになった心をさらに自分で引き裂き、弱味を切除したそれを継ぎ接ぎで無理やりに繋げる。
痛い苦しいと悲鳴をあげるパーツを、彼は意図的に無視しているのだ。
その為の、嘲笑。
心の悲鳴を隠すための、笑い声。
「なんつーかよォ……思ったより大変なんだな、魔法の国って」
「ええ。魔法の国ではあっても、夢と希望の国ではありやがりませんから」
陰鬱なまま停滞する室内の空気に関係なく、窓の外の世界では、次第に夜が更けていった。
そうして夜が、訪れる。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.80 )
- 日時: 2011/10/19 17:14
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
夜が訪れた。
窓の外を静かに眺めているリーフレットが思ったのはそんな事で、親近感の湧くそれに知らず知らず笑みが零れた。
星の一つも見えない、それどころか月の光すらも翳った夜空。
味方のいないその夜空は、自分によく似ていた。
「さっきまでは晴れてたんだけどねぇ……ぎゃははっ、雨まで降ってきた」
どこか面白そうに窓から手を突き出せば、ざあざあと降りしきる雨は瞬く間に手のひらを濡らした。
空が泣いている、なんて感傷的なことは思わないけれど。
そんな風にして外の景色を楽しんでいると、コンコン、と襖がノックされた。
こっちにもノックという文化はあるのかと感心していると、すっと襖が開かれる。
顔を見せたのは、着流し姿の土方十四郎だった。
その手には、酒の一升瓶が握られている。
「……よォ、部屋は気に入ったか?」
返事の変わりに片手を上げて応じる。
真選組の面々が使っていいと案内してくれたこの部屋は、一言でいうと少女趣味だった。
前にエスペランサが一日だけ泊まった時に使った部屋らしい。
ディズニー映画のワンシーンに出てくるような、典型的な天蓋つきベッド。
壁には大量のカボチャ型ランタンがかかっていて、中で燃える炎がゆらゆらと妖しく火花を放っている。
畳や襖を除き全て白と黒の家具で統一されており、どことなく禍々しくも神秘的な印象を与えられる。
魔女にはピッタリの部屋だろう。
リーフレットは魔女ではないのだが、彼の持つ蠱惑的な淫靡さはこの部屋を甘ったる香りがするほどに満たし、エスペランサが使っていた時とはまた違う部屋の雰囲気を作り出していた。
襖を閉めて部屋に入ってきた土方は窓際で雨に濡れているリーフレットを一瞥すると、天蓋つきベッドの白いシーツの上に腰を降ろす。
その顔を揺らめく蝋燭の炎が照らし、窓の外では雷が鳴った。
薄暗い部屋の闇を一瞬だけ駆逐する雷光。
遅れて響く轟音に混じり、土方の呆れたような声が聞こえた。
「雷鳴ってんだから、窓くらい閉めろよ。風邪ひくぞ」
「ぎゃははっ、ごめんごめん。……で、おにーさんは酒瓶片手に僕に何の用? 飲もうってんなら少しは付き合えるけど」
「ご名答だ。ちょっと聞きたいこともあるからな。ついでに飲もうと思った」
こっち来いとばかりにポンポンとベッドの隣を叩かれ、窓を閉めて大人しくそこに座る。
髪を濡らしていた雨粒が肌を伝い落ち、白いシーツに滲んだ。
仄暗い部屋の中、雨に濡れた彼の姿はどことなく不思議な色気を放っている。
「なんつーか……魔法使いとか魔術師ってやつァ美形が多いのか? 桔梗といいお前といい」
「魔法使いは基本的に美形だよん。魔術師は別にそうでもないから、これは僕がたまたま可愛い顔して生まれただけ! みたいなっ?」
「……桔梗よりは綺麗じゃねーだろ」
「桔梗より綺麗じゃねーが、桔梗より色気はあるぜぃ?」
そう言ってどこか官能的な笑みを浮かべるリーフレットに、土方は誤魔化すようにして酒瓶の蓋をあけた。
彼の色気に呑まれては負けだ。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.81 )
- 日時: 2011/10/19 17:15
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
軽々と開いたふたに口をつけて酒を軽く流し込むと、たったいま自分がわずかに飲んだばかりの酒瓶を相手に渡す。
お猪口でも持ってくるべきだったと今更ながらに後悔した。
が、相手は人が飲んだ後の酒を気にする様子もなく平然と飲み、またこちらに酒瓶を渡してきた。
飲んでは渡し飲んでは私を数回繰り返した後、タイミングを逃さないうちに口を開く。
「聞きたいことはいくつかあるから、順を追って尋ねるぜ」
「ん、りょーかい。で、記念すべき第一回目の質問は? 僕って口軽いからペラペラ簡単に喋ると思うけど」
そう言って酒を飲む彼は、しかし本当に大切なことは言わないようなタイプに見えた。
「まず、お前がここに来た理由は?」
「おにーさんたちが泊まって良いって言ってくれたんじゃん」
「ちげぇよ、この世界にって意味だ」
「ああ、そっちか」
演技がかった仕草でポンッと手を打つ。
リーフレットのそんなところが、土方のストレス度数をわずかに上昇させた。
人のペースを乱しに乱し、自分のペースは少しも乱さない。
小悪魔的、という表現が当てはまる少年がいるならば、それはこいつのことなのだろうと土方は思った。
「桔梗たちのところで追及してこなかったから、てっきり気にしてないんだと思ってたよんっ。
まあ、なんというか、人探しみたいなもんかな? 人っていうか魔術師なんだけど」
「異世界まで探しに来たくなるくらい親しい奴なのか?」
「まあ、親しいっちゃあ親しいんだろうけど……僕の兄貴だし」
ぎゃははっ……と、そこで不自然に笑い声を部屋に響かせるリーフレット。
彼は行き詰ったときに笑う癖でもあるのだろうか。
負の感情から生み出される所作は艶を帯びて見えることが多い。
異常なまでの妖艶さを纏う彼の内部は、もしかすると暗く重々しい何かで満たされているのかもしれなかった。
だからこその色めかしさ。
それはエスペランサ・アーノルドの瞳にも似た——痛ましい陰鬱と耽美を同時に内包したような——どこか倒錯した魅力だった。
魔性の少年は、その艶やかな唇から音楽のような美声を紡ぐ。
無邪気に愛らしい笑顔を浮かべて。
「まあ、色々と込み入った事情があったりなかったりなんだよねんっ。ぎゃははっ! 気になったなら桔梗かハルピュイアにでも聞いてよ。僕、人と会話するの苦手なんだからよぅ」
ぷはっ、と酒瓶に残っていた酒を一気飲みして、口の端を濡らしていた数滴を親指で拭う。
元から色鮮やかだった唇が、水気に覆われて瑞々しく光った。
空になった酒瓶をベッドに投げ捨て、リーフレットはリラックスするように上半身を後ろに倒す。
気持ち良さそうな彼を見ていると自分も真似したくなってベッドに寝転んでみた。
なんとなく左を向くと、そこには首だけ右に向けているリーフレットの顔があった。
かちあう視線。
甘ったるい瞳の奥に、彼の心は映らない。
「……話すの苦手って、お前さっきからめちゃくちゃ喋ってんじゃねーか」
「そりゃ緊張してんのさ。なんなら僕の心臓に手ェ当ててみな、すっげーバクバクしてるから」
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.82 )
- 日時: 2011/10/19 17:16
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「この体勢でそんなことしてみろ、俺がお前を襲ってるみたいになるだろ」
「ぎゃははっ、なんなら魔術で体の性別転換させようか? 物凄く可愛い女の子になれる自信あるけど」
「いい女なんざ見飽きてる」
「ひゅー、おにーさんかっくいー!」
楽しそうに叫び、足で勢いをつけてベッドから飛び起きるリーフレット。
翻った髪から、ふわりと甘い香りが土方の鼻腔を掠めた。
香水ともまた違う、例えるなら砂糖やチョコレートのように濃密な甘々とした匂い。
エスペランサの髪からも白百合のような香りがしたが、顔が綺麗なら纏う香りまで綺麗なのだろうか。
……なんてことを土方が考えていると、もぞもぞと襖の向こうで蠢く気配を感じた。
まさかと思って耳を澄ませてみれば、襖一枚隔てた場所からわずかに聞こえてくる声。
「副長とリーフレットくん、どうなってるのかな……」
「怪しい奴じゃないか確かめてくるって言ってましたけど……とりあえず大きな物音とかは響いてこないし」
「つーかよく考えたら、この向こうにある部屋って姫姉様が使ってたんだよな? その中に入れるなんて羨ましい! しかもリーフレットくんに至っては姫姉様の使ってたベッドで眠れるんだぞ!?」
「それを言うな嫉妬で死にそうになるから! ……でもさらによくよく考えてみれば、リーフレットくん男って感じのオーラ出てないから嫉妬のしようがないよなぁ」
「わかるわかる。じゃあ副長にだけ嫉妬しとくか」
「だな」
「呪いの言葉でも呟くか。いますぐコレステロール過剰で血管ぶち切れろ副長ー」
「今すぐ沖田隊長に撃たれて木っ端微塵に吹き飛べ副長ー」
「聞こえてんだよテメェらあぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!」
土方がシャウトすると同時にベッドの上にあった大きな枕が投げられ、恐るべき速度で襖にヒットした。
当然のように襖は音をたてて激しく倒れ、その後ろでヒソヒソと話していた二人を押しつぶした。
指の骨をポキポキと鳴らしながら、襖の下敷きになった隊士たちに近付いていく土方。
「誰の血管がぶち切れろって? あぁ?」
額に浮かぶ青筋。
リーフレットと会話していた時よりも、だいぶストレス度数が上がっているようだった。
「ご、誤解ですよニコチン中毒!」
「そうですよクソマヨラー! 俺達、瞳孔全開野郎を呪おうなんてこれっぽっちも思ってません!」
「テメェらのその発言がすでにアウトだボケ!! つーか泣いていい?」
「あ、すいません泣いてる副長とか想像できないんで勘弁してください」
「よおしそこになおれテメェらアァァァァァァッ!!」
うわアァァァァァ!! と叫んで逃げていく隊士二人と、それを酒瓶片手に追いかける土方。
襖の壊された部屋の中からその光景を見て、リーフレットはふわりと微笑んだ。
「ぎゃははっ……楽しそうなおにーさんたち」
かくして訪れた夜は、騒々しく荒々しく、さらに更けていった。
雨も雷も、いつの間にか止んでいるようだ。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.83 )
- 日時: 2011/10/19 17:28
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
第四話(2)『下着泥棒って懲役何年くらいなのかな』
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.84 )
- 日時: 2011/10/19 17:31
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「怪盗ふんどし仮面? なに、そのクソだっせぇ名前」
早朝。
屯所にて真選組の面々と朝食をとっていたリーフレットが聞いたのは、『怪盗ふんどし仮面』という下着泥棒についての話題だった。
なんでも綺麗な娘の下着だけを狙い、それをモテない男にばらまくという変態的な下着泥棒らしい。
下着泥棒に変態的もクソもあったものではないのだが。
目の前で焼き鮭定食に大量のマヨネーズをかけて食べていた土方が、その言葉に反応して話を続ける。
「ああ、今や江戸中の娘が被害にあってる。……それでそのうち桔梗も狙われるんじゃねーかって、隊士どもが殺気立っててな」
「ぎゃははっ、なるほどねぇ……このピリピリした空気はそのせいか」
林檎を口内で噛み砕きながらニヤニヤと笑い、周囲に視線を巡らせるリーフレット。
目に入るのは黒い隊服、隊服、隊服——それを纏った隊士たちは皆『護れ姫姉様の下着!』と書かれたハチマキを額に巻いていて、下手をすればふんどし仮面以上に変態的な集団に見えた。
巻いていないのは土方と沖田とリーフレットだけだ。
そういえば、昨日紹介された局長の近藤勲はどこに行ったのだろうか。
今朝から一向に姿を見かけないのだが。
「……近藤さんなら今頃、万事屋んトコの眼鏡の姉をストーキングでもしてるさ」
「朝食抜きでストーカーなんて無駄にパワフルだね! 僕尊敬しちゃう! ぎゃははっ、それは冗談に決まってんだけどさ。つーか仮にも警察がストーカーってそれオーケーなわけ?」
「……もう何も言わないでくれ」
疲れたように溜息を吐く土方を見て、リーフレットも浮かべる表情を苦笑いへと変貌させるのであった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.85 )
- 日時: 2011/10/19 17:33
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
頭から真っ赤なフンドシを被ったブリーフ一丁の男——怪盗ふんどし仮面がその少女を見かけたのは、いつも通りに下着を盗んだ帰りのことだった。
警察の追っかけを見事に振りまき、盗んだ娘の下着をモテない男にバラ撒いて。
今日も良い仕事をしたと民家の屋根から歌舞伎町を見下ろしていた。
そこで見つけたのだ、道を歩いていた一人の少女を。
少女は生きたアンティークドールのような姿をしていた。
まるで道徳の限界ぎりぎりにまで迫った精巧な人形、生きた気配を微塵も感じさせない。
それは少女の美しすぎる容姿にも起因しているのだろう。
その整った顔。
抜き身の刃のようであり、氷でできた人形のようでもあり、あるいはやはり気高き雪の女王のようでもあった。
冷ややかな印象を与える美貌に豪奢なゴシックロリータは酷く似合っていて、あまりにも浮世離れしたその光景にぞっとする。
ただ道を歩いているだけなのに、少女が足を動かすたびに天使の羽音が聞こえくるようだ。
(——なんだ、これは。俺は知らないうちに屋根から落ちて天国に行ったのか?)
そんなネジの抜けた考えが脳裏を過ぎった。
が、自分の胸に手を当ててみれば心臓は間違いなく動いている。
ならばこの少女は、天使よりも人形よりも美しい何かということか。
自分は今まで数々の綺麗な娘の下着を奪ってきたが、これほどまでに美しい少女を見たのは初めてだ。
彼女の下着を盗ってモテない男に配れば、一体どれだけの男たちが世界に希望を持てることだろうか。
「決めたぞ、次のターゲット……!」
あの規格外の美貌を持った少女の下着をゲットする。
ふんどし仮面はそう決意して、深まる夜の闇を駆けた。
頭に巻いたフンドシをなびかせて。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.86 )
- 日時: 2011/10/19 17:34
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
『あっれー、可笑しいだっちゃねー……』
早朝、洗濯物を取り込みにベランダに出たハルピュイアは、洗濯物の量が少ないことに気付いた眉根を寄せた。
男物のトランクスや着物などは減っていないのに、女物の下着だけが無くなっているのだ。
具体的にいえば、神楽とエスペランサの分の下着が無くなっている。
下半身が鷲であるハルピュイアは下着など使用しないから論外だ。
上半身もサラシを巻いた上からタンクトップを着ている。
「どうしたんですか? ハルピュイアさん。さっきからずっと渋い顔してますけど」
予想外の事態に唸っていると、リビングの方からひょっこりと新八が顔を出してきた。
朝食の準備中だったらしく、いつもの袴姿にエプロンとおたまをを装備している。
『いや、桔梗と神楽の分の下着が無くなってるんだっちゃよ。桔梗の分はせっかく真選組にプレゼントして貰ったやつだって言うっちゃのに』
「その発言で真選組に対する不安が大きく上昇しましたよ……というか、下着がない!? 桔梗さんと神楽ちゃんの分だけですか?」
『だっちゃ。干してた分は一枚も残ってないんだっちゃよ』
そうハルピュイアが物干し竿を指差せば、確かにそこにあるのは男物の下着と着物のみ。
その光景を見て、新聞紙で読んだ事件が思い浮かんだ。
「それ、きっと怪盗ふんどし仮面の仕業ですよ」
『怪盗ふんどし仮面? 二重面相みたいなもんだっちゃか?』
「いや、そんな格好良い感じの怪盗じゃなくて……綺麗な女の子のパンツだけ狙う泥棒なんです」
リーフレットが真選組の面々に引き取られて行った後、エスペランサは夜風に当たってくるとかで外出していた。
そのとき怪盗ふんどし仮面が彼女の姿を見たとすれば——それでなくとも、ファミレスや花見会場で彼女の姿を目撃していたとすれば。
パンツの数よりも娘の質を優先するふんどし仮面ならば、絶対にエスペランサの下着を盗もうとするはずだ。
神楽の下着はその過程でとばっちりを喰らったのだろう。
『桔梗の下着を盗むなんて……良い度胸してるっちゃね、そのどんぶり仮面とやら』
「被ってるものが間違ってます、ふんどし仮面です。どうします? 二人に事情を説明して、新しい下着でも買いに行きますか?」
とはいっても、万事屋に金銭的余裕はないに等しい。
あるいは真選組の姫姉様信望者たちに頼めば軽く福沢諭吉が何人も招集できるだろうが……。
ハルピュイアから返ってきたのはこんな言葉だった。
『こういう時こそ、桔梗に惚れてるあいつらを使うっちゃよ』
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.87 )
- 日時: 2011/10/19 17:36
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
「いいかテメェら! ふんどし仮面が現れたら即取り囲み、なんとしてでも姫姉様の下着を取り返せ!!」
「「「イエッサー!!」」」
「命が惜しい奴は立ち去れ! 姫姉様のために命を捨てる覚悟がある奴は剣を上げろ!!」
「「「イエッサー!!」」」
「それなら行くぞテメェら! 合言葉は——」
「「「取り戻せ姫姉様の下着!!」」」
満点の青空の下。
額に巻いているハチマキを『護れ姫姉様の下着』から『取り戻せ姫姉様の下着』に変えた隊士たちが、うおォォォォォ!! と野太い雄たけびを上げていた。
それに混じって腕を突き上げているハルピュイア。
場所は志村邸。
ハルピュイアの『桔梗の下着が盗まれただっちゃ』という一本の電話により、あれから三十分もたたない内に真選組の隊士たちがここに集まり、殺気立っていた。
どうやら志村妙も同じくふんどし仮面の被害にあっていたらしく、本人と近藤勲も打倒ふんどし仮面に向けてやる気をみなぎらせている。
それを木陰から眺めていたエスペランサは、隣で同じく木にもたれかかっていたリーフレットに向けて呟く。
「……別に下着くらい、魔法で新しいのを作れば済みやがる話なんですが。なんでここまで大事になっちまったんでしょう」
「ぎゃははっ、それだけ隊士たちに想われてるって事じゃんかよぅ。いーじゃんお姫様扱い。プリンセスは女の子の永遠の憧れって聞いたけど、そこんとこどーよ?」
「……ドレスあの一年を除いて毎日着られましたし、家もそれなりに大きかったですから。姫に憧れた記憶はありやがりませんね」
「なるほど、憧れるまでもなくお姫様状態だったわけか」
ふんどし仮面には全く関係のない雑談。
繰り広げられる雑談のほのぼのさに反比例するように、隊士プラス近藤やハルピュイアたちは殺気だった様子で作戦会議を開いていた。
「どうやら怪盗ふんどし仮面は、早朝や日中よりも深夜などに活動することが多いようです。視界の暗い場所で捕らえるためには罠を仕掛けたほうがいいかと」
「心配ない、それならさっき地雷をいくつか庭に埋めてきた。それより、早い時間帯にふんどし仮面をおびき寄せる為にはどうすればいいと思う?」
「囮作戦などいかがでしょう。姫姉様とはまた違ったタイプの美人を、ふんどし仮面の目撃情報が多い地帯に歩かせるんです。それで三十分くらい歩いたらここに戻ってきて、ついてきたふんどし仮面を茂みから飛び出した俺達が一気に捕らえると」
「でも姫姉様と違うタイプの美人って、いわゆるセクシー系とか妖艶とかそんなんだろ? 周りにいたっけ、そんな女」
「……妖艶って言葉に当て嵌まる奴なら、あそこに丁度いいのがいるだろ」
タバコをふかしながら土方が指差した先にいるのは、リーフレット。
「マジ?」と素っ頓狂な声をあげるリーフレットに、土方は続けた。
「お前、昨日魔術で体の性別変えられるって言ってただろ。着物はこっちで用意するから女モードで囮になってくれ。一人じゃ絡まれるかもしれないから道を歩くときには俺も付き添う」
「なになに多串くーん、随分とリーフレットに優しいじゃん。もしかしてコッチ系?」
「テメェその天然パーマをアフロに変えてやろうか!!」
茶々を入れる銀時に怒鳴る土方。
その後ろを見れば、隊士たちもこっちに「お願いします」とでも言いたげな視線を向けていた。
断る余地は残されていないようだ。
「……オーケィ、とびっきりキュートでセクシーな女に化けてやんよ」
ニヤリとリーフレットが小悪魔的な笑みを浮かべると同時に、隊士たちから再び歓声が上がった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.88 )
- 日時: 2011/10/19 17:37
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
歌舞伎町の大通りを、一人の少女と一人の男が歩く。
黒い着流し姿の男の名は土方十四郎。
そして名前のわからないもう一人は、なんとも露出的な格好をしていた。
水色のトップスは辛うじて着物の形をしているのだが、しかし丈は短くウエストがまる見えで、胸元と背中、それに脇腹の部分が大胆な編み上げになっている。
ほっそりとした腰から太股半ばまでを覆うのは、ボリューミに膨らんだミニスカート。
ミュールを履いた小さな爪先を彩るのは着物と同色のペディキュアで、色気と同時に活発な可愛らしさも醸し出されている。
鼻歌を歌いながら少女が進むたびに柔らかそうなココア色の髪が揺れて、ポニーテールのような形に結い上げられたそれは、右に左に動くたびにちらちらと白いうなじを垣間見せた。
そんな少女を見て、周囲の男からは下心むき出しの視線が寄せられ、女からは嫉妬まる出しの眼差しが浴びせられる。
美しすぎてもはや嫉妬すらもできないエスペランサと違い、この少女の愛らしさは女を嫉妬に狂わせる程度には親近感のわくものだった。
勿論それでもそこらの女とは比べ物にならないほどの美貌で、少女の一挙一動に合わせて周囲に色香と無邪気さが振り撒かれていた。
「ぎゃははっ——うん、さっすが僕だよね。顔は変わらないのに服と体だけ変わったら一気にこんな感じだよ」
隣を歩く土方に気軽に喋りかける少女。
そんな少女に、土方は「リーフレット」と、少女の——今だけ少女になっている元少年の名前を、嗜めるように呼んだ。
わざわざ解説するまでもなく、この少女はリーフレットが魔術で体を性別転換させた姿だ。
必要なものが出て不必要なものが引っ込んだだけ。
顔の造りや声質は微塵も変わっていないのに、それでもリーフレットの姿を見た瞬間、土方は吸っていたタバコをポロリと落としてしまった。
想像はついてたけど、スッゲェ可愛い。
顔にそう書いていたことを銀時に指摘されてまた口論に発展したりもしたが、それはまた別の話だ。
「で、おにーさん。そのだっせー名前の怪盗さんってどんな見た目してんの? 名前の通りふんどし?」
「いつでもふんどし頭に巻いてるわけねェだろ。きっと普段はマトモな格好だ」
「でもホラ、背後にそれっぽいファッションの人いるけど」
つぃ、とリーフレットが華奢な顎で示した先にいるのは、頭にふんどしを巻いたブリーフ一丁の男。
……なんというか、新聞紙の一面を飾っていたふんどし仮面そのままの姿だった。
都合の良すぎる展開に、思わず土方が本日二度目のタバコを落とす。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.89 )
- 日時: 2011/10/19 17:39
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
え、なに? アイツ常にあのスタイル貫いてるの? オシャレなつもりなの?
「どうするどうするおにーさん? なんか僕への視線をビンビン感じるんだけど、もしかしって僕って狙われちゃってたりぃ? ぎゃははっ、可愛いって罪だね!!」
「自分で言うか。……いや、可愛いことは認めるが」
今はそういう問題じゃない。
仮にリーフレットの下着が新たに狙われていたところで作戦通りだし、そもそもコイツはふんどし仮面の目の前で下着を脱いで渡すくらいやってのけそうだ。
後者は自分の勝手な想像でしかないのだが。
問題はこのままふんどし仮面を志村邸まで連れて行けるかということだ。
途中でこちらが怪しい動きを見せたら逃げられて、狙われているメンバーの中に新たにリーフレットが加わるだけだ。
あ、でもアイツはやっぱり下着の一つや二つホイホイくれてやりそうなオーラが……ってこれさっきも考えた?
なんて支離滅裂な思考を土方が繰り返していたら、ぎゅむっ、という効果音とともにリーフレットが抱きついてきた。
何事かと思い視線を向けると、リーフレットがしーっと唇に指を当てている。
「ほら、こうして付き合い初めみたいな雰囲気で密着してりゃあ会話も聞こえにくいだろうしぃ? このままラブホテルにでも直行しそうなオーラで志村邸に向かっちゃったりしようぜ」
リーフレットからの珍しくマトモな提案に、土方もなるほどと頷きこちらから密着した。
厳密に言えば、二人で腕を組んで歩いた。
羞恥心のある人間が街中でやれば拷問にも等しい行為である。
そんな体勢に耐えつつ周囲に頑張ってハートマークを飛ばしながら歩き、数分経過すれば志村邸前に到着。
ちらりと一瞬だけ背後を確認すれば、怪盗ふんどし仮面はちゃんと着いて来てくれていた。
内心ガッツポーズをとりつつ、門を通って敷地内に入る。
そこでは姿が見えないが、大量の隊士たちが茂みや家の中に隠れていた。
「——行くぞ、お前らアァァァァァァ!!」
足音しか聞こえない静寂を打ち破るように、響く近藤の声。
それに続いて、敷地内の至るところに隠れていた隊士たちがうオォォォォ!! と勇ましく飛び出してきた。
全員が真剣装備である。
土方とリーフレットにつられて中に入ってきていたふんどし仮面は、ここでやっと罠だと気付いたらしく、急いで屋根へと飛び上がろうとした。
が、それを最も間近で阻止する影が一つ。
「ぎゃははっ——逃がさねーぜぃ、おにーさん」
ミュールを履いた艶めかしい生脚が、ふんどし仮面の側頭部を強烈に殴打。
堅い膝からの一撃にふんどし仮面の体は吹っ飛ぶ。
そして志村邸の壁にぶつかった彼は、そのまま壁を打ち砕いてさらに室内へと飛んでいった。
崩れた壁から、パラパラ……と破片が落ちていく。
いくら古い家とはいえ、天人でもない一般人ができる芸当ではないだろう。
勇ましく向かっていた隊士たちも、口をあんぐりと開けて固まってる。
隣にいた土方が、やっとのことで質問してみた。
「……魔術師って、夜兎レベルの脚力とかあんのか?」
「いや、これは肉体強化の魔術使ってるだけだよんっ? 魔法使いでも魔術師でも使えるやつだし。ここにルーンとか魔法陣刻んでんのさ」
そう言ってリーフレットがスカートをひらりとめくり上げれば、足の付け根から太股の半ばまで——ちょうどスカートで隠れている部分に、びっしりと謎の記号や文字が描かれていた。
何の知識もない自分にはわからないが、きっとこれが肉体強化の魔術として働いているのだろう。
それにしても、小悪魔オーラを放った美少女がスカートを自分でめくり上げている光景というのはなんとも扇情的だ。
こう……下着が見えるか見えないかのチラリズム最高ー、みたいな?
なんてふざけたことを考えていたら、さきほどふんどし仮面が飛んでいった場所から何かが起き上がるような音が聞こえてきた。
慌ててそっちに視線をやれば、あちこちに打撲を負ってボロボロのふんどし仮面が、それでも必死に立ち上がっている。
その眼差しの先にあるのは、第二の囮として物干し竿に干してあった妙とエスペランサのパンツ。
片やサイドを紐で結ぶタイプの可愛らしいパンツ、片や純白フリルのみで作られたような高級感あふれるパンツだった。
どっちが妙のでどっちがエスペランサのかなんて、言うまでもない。
趣味がもろに反映されている。
「しまった、やつはまだ諦めてないぞ! 桔梗ちゃんとお妙さんのパンツを護れー!!」
「「「うオォォォォォォォォオォォォ!!」」」
再び動き出した隊士と近藤、それに神楽や銀時たち。
しかし戦闘をきっていた近藤が地雷を踏んだことにより、その動きもまた止まった。
バーン!! という鼓膜の破けるような効果音と共に聞こえてくる、近藤の「踏んじゃったアァァァ!」という悲鳴。
彼らは忘れていた。
この敷地内には、自分たちで埋めた地雷が大量にあるということを。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.90 )
- 日時: 2011/10/19 17:40
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「……銀さん、地雷しかけてたのって近藤さんでしたよね?」
「……ああ」
「その近藤さんが爆発したってことは、つまり誰も地雷の場所を覚えてないってことですよね?」
「……ああ」
「…………」
「…………」
銀時と新の間に走る、沈黙。
普段は鬼神のごとき躍動を見せる神楽と妙も、さすがに地雷と聞いては進みあぐねているようだった。
隊士たちも大将の近藤が被爆したとあって動けず、土方とリーフレットもさきほどの位置から微動だにしていない。
そんな中、一直線にパンツに向かって駆けるふんどし仮面。
「ふははははっ! 俺の勝ちだ、パンツは頂いていくぞオォォォ!!」
そのごつごつとした手が清らかな色彩を放つパンツに触れようとした、その瞬間。
「桔梗の下着に触るなんざ、いい度胸でさァ」
「申し訳ありませんが、この下着を買うのもタダじゃねーんですよ」
剣を構えた沖田と杖を構えたエスペランサが、それぞれの得物をクロスしたような形で、並んでふんどし仮面の顔面を殴打した。
二人を背中に乗せて空から降りてきたのはハルピュイア。
途中から姿を見かけないと思ったら、どうやら三人は上空に飛んでいたらしい。
地雷回避の方法として、確かに“地面に触れない”というのは最も効果的な手段だろう。
「ぶはっ!!」
悲鳴を上げて、再び吹っ飛んでいくふんどし仮面。
その先にあるのは、まるで何かを埋めるために一度掘り返されたような、そんな痕跡のある地面。
「あ——」
——ドオォォォォン!!
豪快な爆発音が、日中の住宅街に轟いた。
合掌。南無阿弥陀仏。
* * *
「いや、あの、マジすいません。街中で見かけたその子が綺麗すぎてどうしてもパンツが欲しく……」
「土方さーん、その火のついたタバコ貸して下せェ。こいつの眼球に押し付けやす」
「ヒイィッ! 勘弁して下さい!!」
縄で縛って木に吊るされているふんどし仮面。
その横でいつも以上のサディストぶりを発揮している沖田。
そして残った地雷を処理するために妙に敷地内を引きずり回され、もはや返事のないただの屍となった近藤。
木を取り囲むようにして立っている隊士や銀時たち。
それが現在、この志村邸庭にて繰り広げられている光景だった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.91 )
- 日時: 2011/10/19 17:42
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「……私のパンツなんて、別に売りやがってもそれほどの価値はねーんですよ? 金が欲しいってんなら私を恐喝でもしやがれば良かったのに」
エスペランサの唇から、恐ろしく澄んだ音律が紡ぎ出された。
なめらかに流れるようなその語調は、ふんどし仮面を包み込む、冷たく麗しい響きだった。
音楽のような……美声。
高貴なアンティークドールを思わせる貴族的な美貌は今は不機嫌そうに歪んでいて。
いくら自分の神にも創れぬ美しさに自覚のない彼女とはいえ、さすがに下着を二回続けて盗まれるというのはそれなりに不快な出来事だったらしい。
彼女の美貌は刺すように冷たい。
ただでさえ恐ろしいほどに美しい彼女。
そんな彼女にゴミを見るような目で睨まれてしまっては、天下のふんどし仮面といえど萎縮するしかなかった。
「む、無理ですよ……あなたを恐喝なんて」
「子供に暴力は振いやがらない主義だってことですか?」
「いや、そうじゃなくて……」
あなたがとてつもなく綺麗だからです。という意思を込めて、ふんどし仮面はエスペランサの全身を眺めるように視線を巡らせた。
整いすぎた美貌、自分のものとは似ても似つかない綺麗な髪。
彼女と一方的に出会ったあの日の夜、そこだけ昼間のように明るく感じられた。
そんな男なら誰もが跪きたくなるような絶世の美少女を相手に恐喝など、例え悪魔でもできるわけがない。
周りの隊士たちもふんどし仮面の考えがわかるのか、同意するようにうんうんと頷いていた。
「……まあ、いつまでも木にぶら下げてるわけにもいかねーしな。多串くん。これ引き取っとけよ」
「テメェに言われるまでもねェよ。さっき場所を吐かせたこいつの家から盗まれた下着が見付かったらしいから、これで証拠も充分だ」
「桔梗の下着は無事だったアルか?」
「……高い額縁に入れて飾られてたらしい」
土方の言葉に、神楽の軽蔑するような視線がふんどし仮面へと突き刺さった。
そこでまた同意するように隊士たちが頷いていたのは秘密である。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.92 )
- 日時: 2011/10/19 17:44
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
結局ふんどし仮面は隊士たちにパトカーで連行され、世間を賑わせていた天下の下着泥棒はお縄についた。
盗まれていた下着も返って来てめでたしめでたし。
……と思いきや、一人だけめでたしで終わらなかった少年がいた。
いや、今は少女というべきであろう。
場所はスナックすまいる。
細い体を淡い水色の着物で包み込み、ポップなデザインの玉かんざしを鳴らして働くキャバ嬢がいた。
ココア色の柔らかな髪から振りまかれる無邪気な色気と甘ったるい匂い。
そして健康的な乳白色の肌。
その少女はまぎれもなく、女モードのままのリーフレット・キルケゴールだった。
「瑠璃ちゃーん、他のお客さんからご指名入ったわよー!」
「ちょっと待っておねーさん! いま行くから!!」
瑠璃という源氏名で呼ばれ、リーフレットは慌ててソファーから立ち上がる。
それまで相手していた客たちは名残惜しそうにリーフレットの名前を呼んできたが、頬にキスの一つでもくれてやれば満足そうに倒れた。
慣れない下駄に苦戦しつつ、カランカランと音を響かせて指名された客の元へ向かう。
そこにいたのは、見慣れた黒い着流し姿の男だった。
短い髪に切れ長の双眸。タバコをふかすその姿に、彼の前を通るキャバ嬢たちがチラチラと視線を寄越している。
「……よう、瑠璃」
どのタイミングで声をかけたものかと迷っていたら、向こうから声をかけてきてくれた。
その心地よい低音は間違いなく土方十四郎。
客が知り合いだったことに若干の安堵を抱きつつ、リーフレットは土方の隣に腰を降ろした。
「来てくれたんだ、おにーさん。仕事は?」
「半日だけ非番をとってきた。……お前がこうなったのは、まあ、俺にも原因があるわけだしな」
「ぎゃははっ……うん、僕もまさか自分がこういう場所で働く羽目になるとは思ってなかったよ」
お互いに顔を合わせ、彼らはハァと溜息を吐いた。
リーフレットが何故キャバクラで働いているのかというと、その原因は怪盗ふんどし仮面騒動にまで遡る。
ふんどし仮面を捕まえる最中において、リーフレットは強化した強烈な蹴りにより志村邸の壁をぶち抜いていた。
その修理費を妙から請求されたのである。
地雷で荒れた庭の請求までされた時はさすがに反論を考えたが、それでも妙に素敵な笑顔で「テメェ吉原に売りつけるぞこの野郎」と脅されてしまえば頷かざるを得ない。
結果としてリーフレットは、志村邸の庭と家の修理代を稼ぐために妙と同じスナックすまいるで働き始めたのだった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.93 )
- 日時: 2011/10/19 17:45
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
その可愛らしさと色香を活かし、キャバ嬢として。
十三歳を雇う店側もどうかと思うが、しかしそこは彼自身も自負する愛らしい顔立ちでどうにかなったらしい。
あるいは志村妙のオススメという肩書きが利いたのか。
なんにしろ、囮作戦のときにリーフレットを推してしまったのは土方だ。
ならば彼がこうなった原因の一端も自分にあると考え、土方はこうしてスナックすまいるに足しげく通っているのだ。
「初めて見た時は優しそうなおねーさんだと思ったけど、やっぱり人を見た目で判断しちゃいけねーや。あのおねーさん総悟なんかよりよっぽど鬼畜だぜ」
「近藤さんも毎日のように自業自得でボコられてるからな。……つーか待て、お前いま総悟って言ったよな? いつの間に名前を呼び捨てするような仲になった」
「ぎゃははっ。こないだおにーさんと一緒に酒飲んだ後、大浴場でバッタリ出くわしちゃってさー。誰かを呪う方法を聞かれたから教えたらそう呼んでもいいって言われたよんっ?」
「確実に呪う相手俺じゃねーか!! つーか死ぬの? マジモンの魔術師から教わった呪いとか使われたら俺死ぬしかないの!?」
喚く土方に、リーフレットはぎゃははっ、といつも通りの笑みを浮かべた。
「だいじょーぶだって。総悟に教えた呪い、夏場の水虫が治りにくくなるとかそんなんだし」
「……いや、それも地味に嫌だろ」
ハァ、と再び溜息を吐く土方。
そしてなにか躊躇うようにちらっとリーフレットを見た後、酒の入ったグラスに視線を向けてポツリと呟く。
「あのさ……その『おにーさん』って、なんか他人行儀じゃねェか? 一緒に酒飲んだ仲だってーのに」
土方の呟きに、リーフレットは笑い声を収めてそちらを向いた。
グラスを向いている彼の視線と、リーフレットの視線はかち合わない。
「だから、まー、その……あのな。総悟が総悟なら、俺も十四郎でいいぜ」
顔をあげる土方。
よほど恥ずかしいのか、その目はリーフレットの方を向いていないが、心なし顔が赤らんでいた。
酒のせいなのか、それとも……。
数秒の間きょとんとしていたリーフレットは、彼の発言に愛らしい笑みを浮かべ、グラスに酒を注いだ。
「おう。よろしく、十四郎」
——こうして真選組副長と異世界からの魔術師は、その間にある距離を徐々に詰めていくのだった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.94 )
- 日時: 2011/10/19 19:30
- 名前: ぬこ ◆xEZFdUOczc (ID: DVd8EX6H)
うはぁぁぁぁぁ///←
リーフレット君きたあああ!
夏場の水虫w困りますねそれwとか言っておいて水虫未経験者です^p^
どこをどうやったら日本人の名前になるかわからなくて5分くらい画面とにらめっこしてました←
結局お母さんに聞いて解決しましたよ(オイ
アニホとミシンのローマ字表記後何かを……と言う方がさっぱりでした^p^;
頭悪いなぁ、私orz
光合成w
気孔とか孔辺細胞とかもうばっちりですよ!←
まだ10も更新していなく本編にも突入してませんけど聞いちゃいます?w
オオカミと嘘吐き姫。というタイトルだったと思います、多分(
うあー、土方さん可愛い←
ニコ中のマヨラーも捨てたもんじゃないですね(失礼
続き楽しみにしてます!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.95 )
- 日時: 2011/10/20 18:26
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
>>94 ぬこ様
やっと第四話までいけましたよ!
さっ、次は第五話を投稿しないと←勉強しろ
水虫は、記憶にないんですが幼稚園に入る前に一度だけあったそうですww
ナイスですお母様!((
でもせっかく分かって頂けた実名も、そのうち苗字が変わる可能性が大なんですけどねー……ちなみに前の苗字は芦川でその前の苗字は日浦でそのさらに前の苗字が支倉でしたお(`・ω・)←どうでもいい情報
大丈夫ですよ、私も中学三年生の受験生なくせに偏差値そんなに高くないですからww
そういえば、ぬこ様っておいくつですか?
もし高校生だったらこの哀れな受験生めにアドバイスを!←
あそこら辺はめちゃくちゃ分かりやすかったですよねww
逆に苦手な分野は地理です(´・ω・)
ふっふっふ……さっそくコメントしてきましたよ!←
普段デレない人がデレるとキュンキュンきますよね(笑)
はい、更新がんばりますね!
でも実力テストと期末テストが待ち構えている……orz
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.96 )
- 日時: 2011/10/20 18:29
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
第五話(1)『和の祭に洋の姫』
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.97 )
- 日時: 2011/10/20 18:31
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「祭……ですか?」
銀細工のごとく鮮やかな光を反射する銀色の髪に、宝石を思わす蒼玉の瞳。
陶器のごとく汚れのない純白の肌に、精巧なガラス細工を思わす整った顔立ち。
出会ったころは人形と見間違うほど変化のなかった表情には、僅かながらも何かに期待するような色が浮かんでいる。
本日の服装は隊士にプレゼントされた薄紫のティアードワンピース。
エスペランサ・アーノルドのその声に、坂田銀時は嬉々として答えた。
「ああ。三日後にターミナルで、鎖国解禁二十周年の祭典があるらしいんだ。よかったら行かねェか?」
「良いですが……私、浴衣なんざ持ってねぇですよ?」
エスペランサが、困ったようにちらりと和室を垣間見る。
現在エスペランサが使っている和室のクローゼット。
その中には隊士からプレゼントされた大量のドレスやワンピース——どれも数十万から数百万はするブランド物ばかり——が収められているのだが、しかし和装の類は一つもない。
前に貰った黒地に金糸の刺繍が入った着物ならハンガーで壁にかけられている。
しかしあれは数千万円もする高級品だ。
祭などという、下手をすればソースの付着や転倒によるダメージも考えられる場所に、あんな値の張るものを着用して行くのは危険すぎる。
……あくまでそれは銀時の考えで、常日頃から億単位での贈り物をされてきたエスペランサは金銭感覚が麻痺しているのだが。
彼女は男から貢がれるのが当たり前なのだ。
それでもこういう反応をとったのは、貰い物を汚したら申し訳ないと思っているからだろう。
「浴衣なァ……そういや、お前のクローゼットに洋服以外が入ってんの見たことねェわ」
ガシガシと後ろ髪を掻く銀時。
しかしよくよく考えてみれば、自分も浴衣なんて一着も持っていない。
神楽だってチャイナドレスを何枚か持っているだけで、新八に至ってはあの青と白の袴姿以外を見た記憶がなかった。
(……あれ、俺らも浴衣とか無くね?)
別に、祭は必ず浴衣で行かなければならないというわけでもないだろう。
だがしかし。
ここで自分や神楽たちが浴衣を着ずに祭に行くと言えば、エスペランサも普段着の洋装で祭に出向くだろう。
そうなれば、自分はエスペランサの浴衣姿が見られる貴重な日を逃すことになるのだ。
綺麗な銀髪、深海の双眸、純白の柔肌、華奢な四肢。
この人形のような容姿の彼女に色々な格好をさせてみたくなるのはもはや生き物として仕方がない本能と言えよう。
なにより彼女は美しすぎる。
最上級の美少女の浴衣姿など、滅多にお目にかかれるものではないのだ。
是が非でも見たい。超見たい。死んでも見たい。
そのためには、エスペランサの分のみならず自分たちも浴衣を手に入れねばならない。
そしてさらにそのためには、浴衣を手に入れるための金が必要だ。
そこまで考えたところで、銀時はふと一つの依頼があったことを思い出した。
色々と恩があるお登勢からの依頼。
内容はたしか、騒音被害を解決してくれというものだったか。
それさえ遂行すれば全員分の浴衣を買う金が手に入るかもしれない。
「浴衣なら俺に任せとけ。近所の呉服屋で買ってきてやるからよ」
取らぬ狸の皮算用。
まだ手に入ったわけでもない金で浴衣を買う算段を立てつつ、銀時はそう胸を張るのだった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.98 )
- 日時: 2011/10/20 18:33
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
「祭? へぇ、そんなのあるって知らなかった」
柔らかなココア色の髪に、そこから放たれる蕩けそうに甘い香り。
健康的な肌は乳液を含ませたコットンのような乳白色。
ここ数日ですかりキャバ嬢が板についたリーフレットは、隣に座っている男に酒を注ぎながらそう答えた。
「はい。三日後にあるんだけど……良かったら瑠璃ちゃん、俺と一緒に行かない?」
いかにもブランド品ですといったスーツに身を包んだ青年の客は、リーフレットに熱の篭った眼差しを向けて両手を掴んできた。
その勢いに、リーフレットは引き攣ったような苦笑いを浮かべた。
この客は自分が働き始めた初日から自分ばかり指名している。
そのたびに高そうな香水やら時計やらを贈られるので、仕事仲間であるキャバ嬢たちからは「いいカモができたじゃない」と羨ましがられていた。
別に自分はブランド物が欲しくてキャバ嬢をやっているわけではない。
ただ志村邸の修理費を稼ぐために働いているのだ。
だから店のナンバーワン争いだとかそういったことに興味はないのだが、たまに何人かのキャバ嬢から嫌がらせを受けたりもする。
それを心配され「気にしていない」と話すと、それがまた客に好感を得てさらに客が増え、そしてまた嫌がらせを受け——という無限ループに最近は陥っている。
(この世界じゃ僕はあまり嫌われてないって思ってたけど……万事屋のおにーさんとか真選組の皆が優しかっただけか)
女の嫉妬は恐ろしい。
よく聞くその言葉を改めて身に刻みつつ、リーフレットは客に向かって悲しそうな表情を作った。
「ごめんね、おにーさん。僕その日も働かなくちゃいけないから行けないや……おにーさんだけでも楽しんできて?」
いかにも“可憐な乙女”といったその様子に、男がだらしなく鼻の下を伸ばすのがわかる。
ついでに子猫が甘えるように身を摺り寄せればもう完璧だ。
上目遣いがちに潤んだ瞳で見つめられ慌てて男はだらしない表情のままに慰めの言葉を吐き出す。
「いやっ、ダメなら全然いいんだよ! そうだよね、瑠璃ちゃん忙しいもんね……そういえば今日もプレゼントがあるんだよ」
なんの脈絡もなく切り出してくる客に、リーフレットは「またか」と内心溜息をこぼした。
女はプレゼントを渡しておけば落ちるとばかりに、この客は毎日高価なプレゼントを渡していく。
しかもそれがよりにもよって身につけるものばかり。
貰った手前つけなければいけないとリーフレットが貰ったばかりのかんざしを挿したり帯を巻いたりすれば、喜んでいると勘違いした男はまた次の日もプレゼントを持ってくるのだ。
「はい、これ。瑠璃ちゃんに似合うと思って」
大袈裟にラッピングされた箱が渡される。
「ありがと、おにーさん」と営業スマイルを浮かべて箱を開けば、中に入っていたのは着物だった。
白地に金糸で刺繍なんて入っているせいか、どこか成金趣味のティーカップを思わせる。
しかし造りは一流の職人が手掛けているらしく、手触りから絹の光沢、さらには裁縫の精密さまで完璧だ。
リーフレットは、この着物を雑誌で見たことがあった。
ブランド名は『舞夢舞夢』。
派手で豪奢な振袖から前衛的なウエディングドレスまで、それが服ならばどのようなジャンルであろうと取り扱っているファッションブランドのトップ。
その舞夢舞夢が今年の目玉商品として打ち出した商品の一つがこれだ。
黒地に金糸の刺繍が施されたものが『黒蝶』、白地に金糸の刺繍が施されたものが『白蝶』。
安易なネーミングセンスながらそのお値段は驚きの三千万円。
『セレブと名乗るならこれを着ろ!』というキャッチフレーズと共に売り出されたそれは値段に反し富裕層に対して予想外の売り上げを見せ、今の時期に手に入れるのは発売当初より困難なはずだ。
それを手に入れて、しかもプレゼントに持ってくるとは、どうやら“金持ってそう”程度に思っていたこの客はかなりの大富豪らしい。
「どうかな……気に入ってくれた?」
ニコニコと嬉しそうにこちらを見る客に、リーフレットは思わず固まった後、なんとか営業スマイルを返した。
まさかここまでのものを贈ってくるとは。
さて、ここからどうやってこの人に帰って頂こうか……などと策を巡らせていたら、客は時計を見てハッとしたように立ち上がる。
その焦りようを見るに、どうやら何か大事なものの時間が近付いているらしい。
心の底から申し訳なさそうな表情を浮かべて、客はリーフレットに頭を下げてきた。
「ごめんね瑠璃ちゃん、今日は大切な会議があるからもう行かないと。また明日も来るからね!」
これまた高そうなトランクを片手に、バタバタと立ち去っていく客。
揺れる黒いスーツの端を見て、何故か思い出したのは切れ長の双眸をした一人の男だった。
「祭かぁ……十四郎でも、誘ってみようかな」
クスリと楽しそうに笑って、リーフレットは新しい客の元へと向かった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.99 )
- 日時: 2011/10/20 18:34
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
リーフレットが土方を祭に誘おうかと悩んでいたその頃。
真選組屯所内では、むさ苦しい雰囲気で会議が行われていた。
「いいか。祭の当日は真選組総出で将軍の護衛につくことになる。将軍にかすり傷一つでもつこうものなら俺達全員の首が飛ぶぜ。そのへん心してかかれ」
珍しく正座で真面目に話を聞いている隊士たちに向かって、真剣な表情の土方。
「間違いなく攘夷派の浪士どもも動く。とにかくキナくせー野郎を見つけたら迷わずブった斬れ。俺が責任をとる」
この日ばかりはいつも土方に突っかかっている沖田も真面目に話を……
「マジですかィ土方さん……俺ァどうにも鼻が利かねーんで、侍見つけたらかたっぱしから叩き斬りまさァ。頼みますぜ」
「オーイみんな、さっき言ったことはナシの方向で」
……聞いているわけもなく、いつも通りの調子で土方に楯突いていた。
コホンッと咳払いをし、気を取り直す。
「……それからコイツはまだ未確認の情報なんだが、江戸にとんでもねェ野郎が来てるって情報があるんだ」
「とんでもねー奴? 一体誰でェ。桂の野郎は最近おとなしくしてるし」
その“とんでもねェ奴”に対する興味が湧いたのか、改めて姿勢を戻す沖田。
そんな沖田を尻目にタバコの煙を吐き出しつつ土方は答えた。
「以前、料亭で会談をしていた幕吏十数人が皆殺しにされた事件があったろう。あらぁ奴の仕業よ。
攘夷浪士の中で最も過激で最も危険な男……高杉晋助のな」
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.100 )
- 日時: 2011/10/20 18:36
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
——そしてさらに同時刻。
とある橋の上で、二人の男が出会っていた。
片や艶やかな黒髪を腰まで伸ばした線の細い美青年。
片や派手で毒々しい着物を着た妖しげな雰囲気の男。
そのどちらもが笠を被っていることから、顔がバレると危い人間であることがわかる。
道行く人々に聞こえない程度の声量で、彼らは話していた。
「なんで貴様がここにいる? 幕府の追跡を逃れて、京に身をひそめていると聞いたが」
長髪の男——桂小太郎は、隣でキセルを加えた男にそう疑問を投げかける。
対し、女物と思しき着流し姿の男——高杉晋助は、面白そうに答えた。
「祭があるって聞いてよォ。いてもたってもいられなくなって来ちまったよ。……それに、また会いたい女がいてな」
脳裏に思い浮かべるのは、自分が初めて心から見惚れた一人の少女の姿。
綺麗な銀色をした髪に、整いすぎたこれまた綺麗な顔立ち。
体つきも酷く華奢で、声は水晶を打ち鳴らしたように美しい。
宝石も色褪せてみえる蒼玉の瞳には暗い影が揺れており、その鬱々しさがなおのこと彼女の魅力を引き立てる。
その身に纏うは、袖や裾を真っ白なフリルで飾った漆黒のドレス。
もしも神が『この世で一番美しいモノを持って来い』と天使に命じたら、天使は一秒も迷うことなく彼女を選ぶだろう。
それほどまでに美しい少女だった。
彼女が手に入るならばその瞬間に死んでもいいと、彼女を見たことのある全ての男が思っているはずだ。
「ほう、貴様が女子に熱を入れるとは珍しいな……吉原の太夫か?」
「ククッ、金さえ積んで手に入る女なら苦労はしねェんだがな……いま話題の『真選組の姫君』さ。テメェも新聞記事に出てた写真くらいなら見たことあるだろ?」
言われて、桂は高杉の想い人がエスペランサであることに気付いた。
新聞記事の写真もなにも、彼は数日前に彼女と直接対面している。
たしかにあれほど神秘的な少女なら高杉が手に入れたくなるのも無理はないだろう。
「……意外だな、お前はもっと成熟した女子が好みだと思っていたが」
会ったことがあるとはあえて言わずに、呆れたような素振りを返す。
言ってはならない理由もないのだが、何故か言うのが憚られた。
桂の発した言葉に、高杉はその艶のある笑みをさらに深める。
「好みなんざ関係ねェ。アイツはこの世の何より美しい。そして俺が欲しいと思った。だから手に入れる……それだけだ」
「相手の意思は関係ないと?」
聞いておいて、そんなものをこいつは微塵も尊重しないだろうと、桂自身が一番よく思っていた。
壊したいと思ったものは壊す、欲しいと思ったものは手に入れる。
それが高杉晋助という男だ。
「……よもや貴様。祭に何か仕掛けた挙句、桔梗殿にまで手を出すつもりか?」
桂小太郎からの質問に高杉晋助は答えない。
ただ、肯定するように口の端を歪めた。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.101 )
- 日時: 2011/10/20 18:40
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
第五話(2)『かくして祭がやって来る』
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.102 )
- 日時: 2011/10/20 18:41
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
万事屋の一角にある清潔な和室の中、豪華な衣装を纏った等身大のアンティークドールが仰向けに寝転がっている。
鮮やかな碧のドレスは極上の絹だろう。
繊細な刺繍が施され、ふんわりと広がる裾はトーションレースで縁取られている。
極細の銀糸のような長い髪は、まるでほどけた天女の羽衣。
白く透き通った頬はすべらかで、見開かれたブルーサファイアの瞳だけが、人の心をかき乱すような陰鬱な影を孕んでいた。
周囲には、高価なドレスが何着も畳まぬまま置き忘れられ、色とりどりのリボン、ヘッドドレス、ボンネットが無造作に散らばっている。
まるで、たた今まで、ここで誰かが着替えをしていたように——。
ふいに、アンティークドールの淡く色づいた唇が開く。
そして、
「駄目です……坂田さんの好みなんざ分かりやがりません」
同じ人間のものとは思えない天使のような美声が漏れた。
それから、何を思ったか、アンティークドールと見紛う少女エスペランサは、ずるずると近くにあったドレスを引き寄せていき、やがてそれで顔を覆うと、
「そもそも、男性の嗜好って何だっつーんですか……」
シルクのドレスに隠れて僅かに愚痴った。
事の始まりは三日前。
あれから『仕事に行ってくる』と書かれたメモだけを残してどこかに向かった万事屋一行とハルピュイアは、それからエスペランサだけを万事屋に残し今日まで帰って来ていなかった。
食事はあらかじめ連絡をしていたらしくわざわざ真選組の隊士たちが作りに来てくれたが(趣味を料理にしていて本当に良かったと、何故か物凄く嬉しそうに泣いていた)、それ以外では誰とも会話をしていない。
しかしこれだけではドレスの散乱した部屋で困っている理由にはならないだろう。
こうなった原因は、料理を作ってくれた隊士が帰り際に残した何気ない一言だ。
——「そういえば、万事屋の旦那ってどんな服装が好きなんでしょうね?」——
聞かれてみれば、自分にも分からなかった。
神楽に手を出していない辺りからチャイナドレス趣味ではないだろうし、普通の和装の女ならそこら辺にたくさんいる。
ならば彼は、一体どのような服装の女が好きなのだろう?
「お前を幸せにさせてくれ」と真剣な眼差しを向けてきた銀時。
そんな銀時に対し、エスペランサも無自覚ながら好意を持っていた。
だから彼が家を空けている間に彼の好きそうな服装を考えてみたのだが、結局わからずに室内にドレスが散らばるという結果に陥ったのだ。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.103 )
- 日時: 2011/10/20 18:47
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「まず、坂田さんがドレス好きかどうかも分かんねーんですけどね……」
吐かれた溜息に重なるようにして、ピンポーン、と機械的なチャイムの音が響いてきた。
どうやら誰かが来たらしい。
慌ててドレスの海から起き上がり玄関に向かうと、開けた扉の向こうにいたのは見知った少年だった。
「やっふぃー。なあなあ桔梗、今日って時間あったりしちゃう感じぃ?」
小悪魔的な笑顔と無邪気な色気を身に纏う、ココア色の髪と瞳が愛らしい少年——否、あまり変化が無いから分かり辛いが今は少女か。
仕事帰りらしくポップなデザインのかんざしを挿した彼女は、彼女にしては珍しい白地の着物姿だ。
意匠を凝らした金糸の刺繍が雅やかな一品。
彼女の趣味に反しているからきっと貰い物なのだろう。
カラーリングを黒に変えれば、前にエスペランサが隊士たちからプレゼントされたものと同じだった。
暇かと聞かれて脳裏を過るのは、銀時から貰った祭への誘い。
しかし三日も帰ってこない彼だ。
もしかしたら忘れているのかもしれない。
ならば予定を組んでしまっても良いだろうと、エスペランサは予定はないと返した。
するとリーフレットは、その言葉を待っていましたとばかりに語り始める。
「んじゃさ、僕と一緒に祭とか行っちゃわねー? ……本当は十四郎誘って行くつもりだったけど仕事らしいし」
ボソッと呟かれたリーフレットの言葉に、エスペランサは二重の意味で驚いた。
リーフレットが祭に誘おうとしたほど土方と親密だったとは。
というか、いつから“十四郎”などと呼ぶようになったのか。
「リーフレット……その、十四郎というのは……」
何故か口ごもるエスペランサ。
そんな反応に、逆にリーフレットがビックリしたような表情を浮かべた。
「え……桔梗、白髪のおにーさんのこと銀時って呼んでねーの?」
「……坂田さんと呼んでいますが」
「……マジで?」
信じられないとでも言いたげな眼差しを向けてくるリーフレット。
しかし仕方がないことなのだ。
星の数ほどの男にお姫様扱いどころか女神様扱いされているエスペランサだが、告白された経験というものはないし、それゆえ誰かと付き合った経験もない。
女神の美しさを崇拝する男がいても、女神に結婚して下さいと言える勇気がある男は滅多にいないのと同じだ。
綺麗すぎると告白なんてされない。
だから恋愛経験ゼロのエスペランサは非常に奥手である。
幼稚園児よりも奥手である。
「うっわー、おにーさん可哀想すぎるじゃんそれ……あきらかに桔梗にベタ惚れなのにさ」
今はここにいない銀時に同情するように溜息を吐くリーフレット。
愛らしい少女の見た目でその動作は、妙に艶めいて見えた。
「ベタ惚れって……娘に対する愛情みてぇなもんでしょう」
「いや、そっちの方がねーって。桔梗と話してる僕に向けられたおにーさんの視線、穴が開きそうなくらい嫉妬深かったもん」
「女だか男だか曖昧なリーフレットに嫉妬しやがるほど、坂田さんも暇じゃねーはずですよ」
「……あっ、おにーさんが僕に嫉妬してる原因はっけーん」
急に何か思い浮かんだように笑うリーフレットに、怪訝そうな眼差しを向ける。
何を言いたいのだろうか。
「桔梗、僕のことは名前で呼んでるのにおにーさんは苗字呼びじゃん? 多分それが理由」
「名前……ですか」
ビシッと突きつけられた指に、困惑気味に返すエスペランサ。
それを意に介す様子もなくリーフレットからこんな提案が飛び出た。
「向こうも桔梗って言ってんだし、そっちも銀時って呼んであげちゃったらどーよ?」
リーフレットからの言葉に、エスペランサは顔を真っ赤にして沈黙した。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.104 )
- 日時: 2011/10/20 18:50
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
——その頃、三日も万事屋をあけていた銀時たちはと言えば、平賀源外という発明家の下でのからくり修理を終えていた。
ここに至るまでに色々な苦労や騒動があったりしたのだが、それは時間の都合により割愛する。
「あー……もう夕方じゃねーか。祭始まっちまってんじゃねーの?」
「桔梗さん、もしかしたら一人で行っちゃってるかもしれませんね」
夕日の落ち始めた空を仰ぎ呟く銀時に、残念そうに反応する新八。
その後ろでは、神楽とハルピュイアが源外に文句を言っていた。
『せっかく桔梗と一緒に祭に行く予定だったのに、どうしてくれるだっちゃか!』
「そうアル! 全員分の浴衣買うって予定も台無しネ!」
「ケッ……もともとてめーらが来なきゃこんな手間はかからなかったんだよ。余計なことばかりしやがってこのスットコドッコイが」
詰め寄る二人に、源外はガチャガチャとからくりを弄りながら言い返す。
それにさらに反応して言い返してくる神楽とハルピュイア。
そこに銀時も混ざり始めたところでさすがに鬱陶しくなったのだろう。
小銭の大量に入った巾着袋を万事屋メンバーに投げつけて、源外は再び作業に戻った。
「……最後のメンテナンスがあんだよ。邪魔だから祭でもどこでも行ってこい」
年老いた彼らしい、素直ではない労いの言葉。
一気に表情を明るくした万事屋メンバーは、源外に手を振って駆け出した。
「ありがとう平賀さん!」
「銀ちゃん早く早く!」
『置いていくっちゃよ坂田!』
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.105 )
- 日時: 2011/10/20 18:52
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
「……すいません、この近くで木刀を持った白髪頭の男性を見かけやがりませんでしたか?」
祭の会場で歩いていた男は、可憐な少女の声に思わず振り向いた。
そしてそこで、今まで見てきた何よりも素晴らしい少女を見ることになる。
その少女の容姿は神を欺くほどに美しかった。
絹糸のような銀髪は背を覆うほど長く煌き、肌は陶磁器の白さだ。
暖かみを感じさせない冷涼な佇まい、桃色の唇が幻想的に光る。
蒼い瞳の双眸が見る者を刺してくる。
一度見たら最後、吸い寄せられ魂を奪われる危惧さえ感じられる。
王宮で着るような絢爛なドレス。
それは並の女ならば服に着られているような印象を与えてしまうのだろうが、生まれつきの王女くらいしか着こなせそうにないそれを、その少女は自然に纏っていた。
「……あの、聞いてやがりますか?」
その問いかけに、少女の容姿、声、オーラ、全てに魅了されていた男はやっと我に返った。
慌ててポケットに突っ込んでいた手を外に出し、姿勢を正す。
「ぼ、木刀を持った白髪頭ですか?」
意識するまでもなく言葉遣いが丁寧になる。
気を抜けば跪いてしまいそうだ。
これ以上ないというほどの美貌を前にして、まるで女神を前にしたように緊張が止まらない。
でも何も答えなくてこの美少女の気分を悪くするわけにもいかず、必死に該当者を思い浮かべた。
木刀、白髪頭。
自分の知り合いに完璧な該当者が一人いる。
「もしかして……万事屋の坂田銀時のことですか? あいつならさっき、ここら辺の近くで見かけました」
死んだ魚のような目をした天然パーマを思い浮かべてそう言う。
どうやら正解だったらしく、美少女からわずかに嬉しそうな反応が返ってきた。
次いでお礼と共に名前を聞かれたので、こんなに美しい人に自分なんかが名乗ってもいいのかとやや悩みつつ、彼は素直に言った。
「長谷川泰三って言います」
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.106 )
- 日時: 2011/10/20 18:55
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
「あ、あれ桔梗じゃないアルか?」
神楽が指差した先では。
陶磁器のように白い肌と極上のシルクの手触りがしそうな純銀の髪を持ち、海よりも深い瞳に退廃的な影を揺らした、信じられないほど整った美貌を持った少女が、屋台で射的をやっていた。
服装は、中世のお姫様もびっくりの豪華さを誇るロングドレス。
射的の屋台が似合わなさすぎるその姿は間違いなくエスペランサだ。
何やら射的に苦戦しているらしかった彼女もこちらに気付いたのか、目が合うとやっと見つけたとばかりに安堵の息を漏らした。
こちらも急いで走り寄る。
見れば、射的の屋台をやっている男は知り合いだった。
「あ、おじちゃんだ」
びしりと神楽が男の顔を指差す。
そこそこ良いメーカーっぽいサングラスに、特に整っても崩れてもいない顔。
そして体中から迸るまるでダメな男のオーラ。
幕府にリストラされてから一気に怠惰の道を走っている、長谷川泰三その人である。
通称『マダオ』と呼ばれる長谷川さんは神楽を見た瞬間に顔をしかめると、げっ、なんて小さなうめき声を漏らした。
それはまるで、貧乏人が借金取りに会った時のような形相で。
「激辛チャイナ娘……あれ、二人ともこの綺麗な子の知り合いなの?」
いまだに一つも景品を落とせていないエスペランサを指差す長谷川。
その問いかけに、神楽は何故か誇らしげに答えた。
「うちの居候で斑鳩桔梗アル!」
「姫姉様なんてアダ名もあるんですけどね。というか長谷川さん、なんで桔梗さんと一緒にいるんですか?」
もっともな疑問を投げかける新八。
長谷川は嗚呼、と思い返すように答えた。
「さっき白髪頭で木刀持った男を知らないかって話しかけられてな。で、なんか一緒に来た女の子とも途中ではぐれたみたいだから、知り合いが通りかかるまでうちで暇でも潰さないかって誘ったんだ」
「一緒に来た女の子……?」
「リーフレットですよ。何故か道中で見知らぬ男性方に話しかけられやがってたので、すぐ来やがるだろうと思って進んだらいつの間にか一人になっていました。……坂田さんを探そうと言い出したのは、あっちなんですがね」
エスペランサの話を聞いて「それはナンパっていうんですよ」などと苦笑しつつ、新八はなるほどと頷いた。
エスペランサの美貌は近寄りがたいが、彼の美貌はむしろお近づきになりたくなるタイプだ。
祭なんて浮かれた場で歩いていたらそりゃナンパの対象くらいにはなるだろう
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.107 )
- 日時: 2011/10/20 19:00
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
「……あれ、桔梗じゃねェですかィ」
声と共に射的の屋台を訪れたのは、沖田総悟だった。
ミルクティーのような髪色に爽やかな顔立ち。
しかしその内に秘めるのはサディスティック星王子と称されるほどの嗜虐性という彼は、祭の会場にいるにも関わらず相変わらずの隊服姿だった。
仕事中なのだろうか。
それにしては、左手に焼きイカを持っていたりと祭をエンジョイしている雰囲気も出しているのだが。
「沖田さん……今日も仕事してやがるんですね、毎日ご苦労様です」
こちらも相変わらずの乱雑な敬語で頭を下げる桔梗。
沖田も江戸っ子口調なので、変なのはお互い様だ。
「まあ、基本的に幕臣にゃ休みは少ないんでさァ。つーか、あのショッキングピンクは一緒じゃないんですかィ?」
ショッキングピンク、イコール、ハルピュイア。
沖田からの質問にそう脳内で方程式を導き出す。
「ハルピュイアさんは銀さん達と一緒に飲んでますよ。酔っ払いを二人きりにできないなんて言って残る限り、あの人も大概お人よしですよね」
「複数形って事は、ぎ、銀と……坂田さんはハルピュイア以外の誰かとも一緒にいやがるんですか?」
「ええ、仕事の依頼人だった平賀源外さんって方です」
なんで銀さんの名前で詰まったのだろうと不思議に思いつつも、素直に答える新八。
桔梗の表情がうっすらと恥ずかしそうに見えるのは気のせいだろうか。
そんな桔梗の様子を見てこれまた何故か不機嫌になっている沖田が、腹いせとばかりに長谷川の腕時計を弾丸で打ち抜いた。
もちろん実弾ではなく射的用のゴム弾である。
屋台に置いてあった射的用の銃を使ったのだ。
「サドが射的やるなら、私にだってやらせるネ!」
そこに何故か神楽も便乗し、長谷川のシンボルマークとも言えるサングラスを撃ち抜く。
うろたえる長谷川。
そんな長谷川の様子を顧みることなく、銀時への嫉妬によるストレスを発散する沖田とそれに張り合う神楽は、謎の雄叫びと共に長谷川のパーツを撃ち続けるのだった。
ちなみにエスペランサは、やはり一つも景品をとれていなかった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.108 )
- 日時: 2011/10/20 19:02
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)
* * *
『……行かせて良かったんだっちゃか? 坂田。あのジジイ、なんか思い詰めてそうな顔してたっちゃよ』
安い日本酒の入ったとっくりをグイッと一飲みして、ハルピュイアは隣で同じ安酒を飲んでいる坂田銀時に窺うような視線を向けた。
場所は祭会場の片隅にある庶民臭い居酒屋のような屋台。
近くに焼き鳥や焼きトウモロコシの屋台も並ぶそこは、子供よりも老人や中年の割合が極めて高い場所だった。
そんな場所では——そんな場所でなくとも非常に浮いてしまうショッキングピンクな彼女からの言葉に、銀時はタレのよく染み込んだ焼き鳥を頬張る。
「あの手の奴ァ、口で言っても聞きやしねーのさ。いざ何かしやがったら実力行使で止めてやる」
『……確かにお前は、口先でべらべら説教するよりも馬鹿ヅラ下げて暴れまわってる方がお似合いだっちゃよ』
「あれ、俺褒められてるの? 馬鹿にされてるの?」
『もちろん両方だっちゃ』
「なんかやっぱり、お前って俺に対する扱いだけ冷たいよなァ……」
銀さん泣いちゃいそう、とおどけ、安酒を飲み干す銀時。
酒に慣れていないハルピュイアが赤らんだ顔をしているのに対し、彼は素面のままだった。
祭の喧騒が響く会場内。
そこを何か大切なもののように見渡して、銀時は言った。
「道を踏み外した奴がいたら元の道に引き上げりゃあいい。清濁併せ呑むこの町は、きっとどんな奴でも歓迎するだろうさ」
それを聞いて、ハルピュイアは呆れ半分に笑う。
魔法使いや魔術師までも受け入れたこの町だ。
一度道を踏み外したものくらい、しつこいくらいの騒がしさで、この町は再び歓迎してくれるのだろう。
そんなこの町に生きるこんな男だからこそ、こうして自分は信頼を寄せているのだから。
『坂田のそういう所が……』
エスペランサの相手として認める程度には好きで。
エスペランサといる彼に嫉妬してしまうくらいには嫌いだ。
例えるなら、娘を知らない男に取られた母のような気分だろうか。
心中で認めつつも心外で認めきれない。
だからついつい冷たく当たってしまう。
……けれどもそれは、彼への信頼の裏返しだ。
ハルピュイアは、坂田銀時という男の人間性を信頼していた。
だから彼が酒の席から立ち上がった時は何も聞かず。
ゆるみきった雰囲気を放ち、しかし死んだ魚のような目に光を灯した、ゆっくり去っていく彼の背中に、ひらひらと軽く手を振った。
『——そういう所が、応援したくなったりするんだっちゃよ』
自然と人を引き込む彼の空気。
その残り香が後を引く酒場で、彼女は笑みを浮かべた。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.109 )
- 日時: 2011/10/20 21:36
- 名前: ぬこ ◆xEZFdUOczc (ID: DVd8EX6H)
こんばんわー!
支倉ですか!
初めて聞きます!
何かどれもかっこいい名字ばっかりで羨ましいです^p^
私の苗字は田がつくので何か嫌です(どうでもいい
すいません、2つ年下の中1生なのですw
テスト勉強も2日、3日前で上位無理矢理強奪する人なのです(勉強しろ
授業中もノート取らないで絵ばっかり書いてる人なのです(勉強しろ!
期末にノート提出なので友達から借りて写さないとまずい状況ですorz
テスト勉強すらまともに出来ない人ですから受験となるとノイローゼで死んじゃいそうです←
うわあ、コメ有難うございます!
偉大な方にコメ頂けるとは……!
嬉しすぎて死ねますよ!←
ギャップ萌えですね^p^
私も地理大っきらいですよ!
1年生4月の緯線経線から覚える気ゼロでした←
私は丁度二週間後に学力テストと、更に2週間後に期末がありますよorz
小説、勉強共々頑張りましょう!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.110 )
- 日時: 2011/10/22 13:25
- 名前: 山茶花 (ID: 44GDRR0m)
お久しぶりですアニホとミシン様あぁぁぁぁーっ!!!
前の掲示板でもファンだった者です、名前変えましたが!((
姫姉様が美しすぎて生きているのが辛い←
ゴシックロリータとドレスを纏った姫姉様に綺麗さと可憐さで敵う存在はいないと思っているくらいに姫姉様が大好きです愛してますむしろ崇拝してます(((
もちろんリーフレットくんもハルさんも大好きなんですけどね(笑)
というかむしろアニホとミシン様が大好きです!
どこまでもいつまでも追いかけて行って永遠のファンでいますので、更新がんばって下さいね!
マジで愛してますアニホとミシン様!
あ、あと、私は姫姉様の綺麗すぎる描写が好きなので姫姉様の描写だけ切り抜いて初めのところに集めて欲しかったりするのですが、OKですか!?
アニホとミシン様の容姿描写マジ神です!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.111 )
- 日時: 2011/10/23 10:08
- 名前: Sky ◆M7x9jXIufw (ID: a1.gBlqJ)
ハルピュイヤは相変わらずドMだけど、一番マシキャラの様な気がする今日この頃ですwwww
相変わらず姫姉様は美しぜ!!流石私の姫姉様アァァ!!
私の娘とは違ってな!←
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.112 )
- 日時: 2011/10/23 19:19
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
>>109 ぬこ様
支倉は「しくら?」とか読み間違えられて訂正が面倒だった記憶しかありませんww
いいじゃないですか、田のつく苗字!
クラスに田之上って子がいて「おお、三文字の苗字ってなんか良いね」とか思ってましたもん(笑)
まさかの無理やりですと!?
上位とかそんなの凄すぎるorz
私もいちおう平均点を下回ったことはないのですが、しかしクラスで一番とかそういうわけでもないですしねー……つーかクラスに偏差値75の怪物がいるんですが((
5教科で496点の化物がいるんですが!((落ち着け
授業態度は「ノートを取るとき以外はまるでマネキンのように動かない」とまで称されたほど良いです(キリッ←褒められてるのか?
そこまで上のランクを狙わなければ大丈夫ですよ!
ちなみに大阪にある学校の最低ランク偏差値32くらいで最高が74とかそこらなんですが、私が目指してるのは60くらいのカトリック系女子高と家から近い公立の高校です!
私に偉大な要素なんて微塵もありませんよ! あれ、自分で言ってなんか悲しくなってきた←
むしろぬこ様から頂いたコメントが嬉しすぎて私のほうがハァハァしてまs((
そのせいで方向音痴さチクショウ!←
でも歴史と公民は得意なのでそこで頑張りまする(´・ω・)
ちなみに体育とか得意だったりします?←
はい、共に頑張りましょう!
>>110 山茶花様
誰か分からないけどお久しぶりですー!!←オイ
というか何人か思い浮かんだんですけど、マジで誰ですか!?
山茶花様なら大丈夫ですよ頑張って生きて下さい!((
むしろドレスか高価なワンピースしか着たことないぜ姫姉様!←
リーフレットとハルピュイアのみならず私にまでラブコールですと!?
嬉しすぎて頭パーンッてなりそうなんですがどうしましょう(´・ω・)←
容姿描写ですか?
この時期は時間がないので、もう少し後でも良ければお引き受けいたします!
>>111 Sky様
なんやかんやでアイツが一番の常識人ですよww
エスペランサはあの一年を除いてお姫様レベルの生活してましたし、リーフレットは家があんな感じでしたから。
それならSky様は私のものという事でよろしいですk((殴
Sky様の娘さんも綺麗です全く問題ありません!
時雨ちゃんと鎖の組み合わせにはむしろ芸術性さえ感じています←
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.113 )
- 日時: 2011/10/23 19:25
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
* * *
「なあトシ、本当に良かったのか?」
「……なにが」
「なにがって、リーフレットくんに祭誘われてただろ」
祭会場の中心。
暑苦しい上に堅苦しい制服に身を包んだ近藤と土方は、警備にあたりながらも雑談を繰り広げていた。
近くの舞台上ではおしろいを塗った女たちが舞踊を披露している。
べんべんと奇妙な音を放っている楽器は、琴かなにかだろうか。
近藤からの言葉に、土方はタバコを吸いながら答えた。
「仕事が被ってんだ、しゃーねーだろ。あいつも代わりに桔梗を誘うって言ってたし。それに……」
「それに?」
言葉尻を濁す土方に、近藤はさらに問うた。
「……俺と一緒にいたら、いざという時あいつまで危険な目にあわせちまうだろ」
攘夷浪士に斬られて殉職した隊士もいれば、テロの爆発に巻き込まれて死体すら残らなかった隊士だっている。
彼らは入隊した時から死ぬ覚悟ができていた。
しかし、リーフレットは真選組に居候している身とはいえ、入隊はしていない。
仕事に無関係の彼を傷付けるわけにはいかないのだ。
大切だと思う者が自分の近くにいたら、むしろ大切であれば大切であるほど遠ざけるべきだ。
自分の周りは、いとも簡単に人が傷付く世界なのだから。
それと同じ理由で、かつて一人の女を突き放した。
「つーか、総悟の奴はどこ行きやがったんだ? 山崎の野郎もたこ焼き買いに行ったきり戻って来ねェしよ……」
無理やり話題転換する土方。
その声に被さるようにして、遠くの方から「副長ォォ!」という山崎の声が聞こえてきた。
その手に持っているのはたこ焼きの容器。
「おせーぞ、ちゃんとマヨネーズも付けてもらったんだろうな?」
でもこのタイミングで来てくれて助かった……と内心思いつつ、容器を開ける。
サイズ的には十二個ほど入りそうな容器。
その中には、たこ焼きが三つしか入っていなかった。
しかもそのすき方ですら不自然である。
まるで、誰かが意図的にたこ焼きをいくらか食べたような——。
「——山崎」
「はい!」
「正直に言え、これ喰っただろ」
「いえ、それは途中で転んだんです! 山崎退、一生の不覚……っ!」
青海苔とソースにまみれた口でそうほざく山崎に、土方の右ストレートが炸裂した。
「その口元の青海苔が一生の不覚だボケェェェ!!」
ギャアァァァァ、と会場にこだます山崎の断末魔。
一方的に土方に痛めつけられる山崎の後ろでは、近藤が何故か山崎の買ってきたたこ焼きを食べていた。
緊張感の欠片も見られない。
局長がこんなに呑気だから、副長である自分がこうなってしまったのだ。
「そうカリカリするなよトシ、今日はこれきっとなにも起こらんぞ! ハメはずそーぜ」
子供のような笑顔でそう言う近藤に、土方は胃薬を飲みたい気分になった。
そろそろ薬局に新しいのでも買いにいくかと思案しつつ、言葉を返す。
「なに寝ぼけたこと言ってんだ近藤さん。この会場のどこかに高杉が潜んでるかもしれねーってのに」
高杉晋助。
奴の手にかかって、一体どれだけの幕吏がやられたことか。
最近おこった過激なテロのほぼ全てに奴が関わったと聞くくらいだ。
攘夷浪士を名乗ってはいるが、その思想は攘夷なんてものとは無縁。
まるで騒ぎを起こすことを楽しんでいるかのよう。
そんな祭好きが、将軍も参加しているこの格好の場を見逃すとは思えない。
「お、始まったぞ!」
近藤の楽しそうな声と共に、どーんという豪快な音が響いた。
夜空を見上げてみれば、そこに咲くのは光の大輪。
いわゆる打ち上げ花火というやつだ。
江戸一番のカラクリ技師、平賀源外の見せ物が始まったらしい。
「……リーフレットも、どっかで見てるんだろうな」
呟く土方の横顔を、夜空に打ち上げられた花火が照らした。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.114 )
- 日時: 2011/10/23 19:27
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
* * *
「おっ、花火か……綺麗なもんだな」
坂田銀時は、夜空に打ちあがった花火を見てすっと立ち止まった。
ドォン、パァン、と派手な音を鳴らし、空に浮かんでは消えていく色とりどりの花火たち。
その儚き刹那の美を見て、思い出すのは魔法使いの少女。
三日も万事屋の留守を任せてしまった。
もしかすると、彼女もこの会場で花火を見ていたりするのだろうか。
「——やっぱり祭は派手じゃねーと面白くねェな」
背後に突然現れた、感じ慣れた気配。
ドン、と。
今ままでの中で一番大きな花火が、空に打ち上がった。
「動くなよ」
銀時が木刀に手をかけるのよりも、背後の人物が真剣を抜くほうが速かった。
背中に当てられる刃物の感覚。
ちらりと視線を向ければ、毒々しい蝶の舞う女物の着流し姿が見えた。
「ククッ、白夜叉ともあろうものが後ろをとられるとはなァ。銀時ィ、てめェ弱くなったか?」
「……なんでテメーがこんな所にいんだ」
声を聞いてさらに核心が深まった。
高杉晋助。
かつて自分と一緒に学び、戦い、そして道を別れた者。
今は過激派攘夷浪士として名を馳せている彼が、何の用でここにいるのか。
「ククッ、楽しみたい祭にモノにしたいお姫様が来てたもんでなァ……その二つを成し遂げてェのさ」
つまり、祭で騒動を起こしたついでに女に会いに来たということだろうか。
どこまでも自分勝手な奴だ。
意見しようと思わず口を開いたが、そこで背中に添った刃物の感覚がさらに強くなった。
「いいから黙ってみとけよ。すこぶる楽しい見せものが始まるぜ……」
どこか狂的な光を宿した瞳が、壮大な花火を写した。
その方向にいるのは、銀時が止めようとしていた相手。
「——息子を幕府に殺された親父が、カラクリと一緒に敵討ちだ」
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.115 )
- 日時: 2011/10/23 19:28
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
* * *
「へぇ……花火ってあーいうやつなんだ。僕、何気に見たの初めてかも」
乳白色の細い手のひらに握られた赤いりんご飴の上を、それよりも赤い舌がぺろりと滑った。
反対側の手にはヨーヨーすくいで取った橙色のヨーヨー。
そのどちらもさっきナンパしてきた男が代金を払ったものだ。
その金を払わせた男も、さっき走って撒いたばかりなのだが。
彼にも彼女にもなれる、今は少女だから彼女と表現すべきその人物——リーフレット・キルケゴール。
途中までエスペランサと一緒だった彼女は、現在一人で祭会場をぶらぶらとしていた。
愛くるしい顔立ちの彼女が歩くたびに周囲から熱を含んだ視線が飛んでくるが、それはスルーしている。
もう特に欲しいものは無い。
金を払わせる必要が無いなら、わざわざナンパに引っかかる必要もないのだから。
「桔梗は万事屋のおにーさんに会えたかねぇ……あーあ、つーか下駄って歩きにくっ。足だけスニーカーで来りゃあ良かったかもだねっ」
漆塗りの下駄に文句を言いつつ、カランカランと優美な音を立てて歩くリーフレット。
その姿は様になっていて、とてもじゃないが歩きにくく感じているようには見えなかった。
色々と入り組んだ事情から故郷では大きな恨みを買っている彼女。
向こうの世界の祭など当然参加できるはずもなく、こうして打ち上がった花火を見るのも初めてだった。
「なんつーか……平和だよな、物凄く」
こうして安穏な空気に浸っていると、自分の本来の目的を忘れそうになる。
逃亡した兄貴がこの世界にいると聞いてやって来たのに。
いつの間にか、この世界を楽しいと感じている自分がいた。
敵意や害意を孕まない視線を、心地よいと感じてしまう、自分がいた。
暖かい人々に触れて——ひょっとしたら自分は許されても良いんじゃないかなんて錯覚を、抱いてしまった。
それでは駄目だ。
父が、母が、祖父が、祖母が、曾祖父が、曾祖母が、さらにその前の代や先祖までもが——犯した罪を、自分は背負っているのだから。
許されてはならない。自分で許す気もない。
許されて良いかもしれないなんて希望ですら、持ってはいけないのに。
今まで貫き通してきたその決意を、来て間もないこの町が崩してゆく。
許されてはいけないのに。
「なぁ、歌舞伎町。お願いだからさ——」
ぎゅっと自分の体を抱きしめて、彼女は眩しそうに見上げた目を細める。
「——これ以上、僕を暖めるなよ」
このぬくもりを受け入れてしまえば、元の冷たさに触れるのが怖くなる。
そうなる前に。
お願いだから、冷たく突き放してくれ。
なんならゴミのように存在そのものを否定して。
そうしてくれれば、きっと自分は元の冷たい世界に耐えられる。
「……十四郎あたりなら、頼めば地獄に突き落としてくれるかな」
自分で言っておいて、彼には無理だろうと思ってしまった。
だって彼は。
こんな自分に好意を寄せてしまうほど、本当は優しい男なのだから。
あの仏頂面に隠した温かみを、自分は知っている。
知っているからこそ、彼は自分なんかに惚れるべきではないと思うのだ。
(願わくば——僕の大好きな十四郎が、僕を大嫌いになってくれますように)
自分の近くにいては綺麗な彼が汚れてしまう。
同じ空の下、お互いがお互いのことを想いあいながら、彼らは別の場所を歩く。
交差しない二人の想いを、ただ花火だけが刹那的に照らした。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.116 )
- 日時: 2011/10/23 20:31
- 名前: リーナ (ID: lTRb9CJl)
初めまして。
突然ですが、質問してもよろしいでしょうか?
冒頭の部分で、>>1プロローグ・・・とありましたよね?
そこをクリックするとその話に画面が切り替わる奴です。
あれ、どうやったらああいう風にできるんですか?
教えてください。
ご回答お待ちしております。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.117 )
- 日時: 2011/10/23 20:52
- 名前: ぬこ ◆xEZFdUOczc (ID: DVd8EX6H)
5教科で496点とかその人多分人間じゃないです←
人間の皮被った神ですよ(
450点にも届かないよおおお((
何か数学が足引っ張るんです(´;ω;`)
女子高ですか!
女子高って怖いイメージしかない←
女子ってこう……陰で悪口言ったりとか幾つかのグループにまとまって群れたりとかするじゃないですか(
そこらへん好きじゃないんですよね^p^;(お前も女子だろ
男子みたいに皆仲良く、が無くて残念です(´・ω・)
どうか息を整えてくださいw
アニホとミシン様は偉大すぎて眩しい位置に君臨している方ですから^p^
私も方向音痴ですよw
デパートとか行って良い服見つけた時、遠くにいる親を呼びにいって見てもらおうと思ったら
その服の場所にたどりつけないっていうw
歴史は先生も楽しいんでw
しょっちゅう脱線するんで(そっちか
体育ダメダメですよw
水泳しか出来ませんw水泳は中体連来年から出てみたら?とか言われましたけど趣味で習ってるだけですからねw
そんなスポーツで青春する気はさらさら無いぜ!(
マット運動とか壊滅的ですw後転できまs((ry
最近3キロ走るマラソン的授業あったんですけど見事に下から5番目(キリッ
何で給水所が無いの((
アニホとミシン様は体育得意ですか?
リーフレット君立ち位置が……。
センチメンタルううう((
土方罪な男^p^←
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.118 )
- 日時: 2011/10/24 15:49
- 名前: 月羽 ◆/tAwKh9e/w (ID: EcIJT88K)
お久しぶりですすすす((←
私の事覚えてくれていればいいなーと思いつつ、顔出してみました!
やっぱり素敵な文章力!
アニホとミシン様、凄すぎます(
姫姉様の美しさに改めて驚きながら更新楽しみにしてます^^
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.119 )
- 日時: 2011/10/25 17:14
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
>>116 リーナ様
あっ、質問ですね。お答えさせて頂きます!
リーナさまが>>1みたいなのを使えないのは、恐らく>>1と大きいほうで入力してしまっているからだと思います。
まずキーボードを使って全角から半角に切り替えた後、Shiftキーを押したまま>と入力していたときと同じキーを押して、次はShifeキーを押さずに1のキーをクリックして下さい。
言葉にするとなんか難しいですが、実際にやると簡単です!
分かりにくい説明ですいません(汗)
また分からなかったらじゃんじゃん聞いて下さいね(*^ω^*)
>>117 ぬこ様
しかもお姉さんまで偏差値73の高校に通ってるらしいから、もう溢れ出る劣等感が抑えられないorz
家族ぐるみで成績優秀って何なんだよチクショウ……うちの弟なんて体育以外オール1なのに((
私はどこまでも地理です!
実力テストの失点原因はもう九割が地理ですね←
やっぱり女子高ってそういうイメージあるんですかねー(-o-;)
いかにも『お嬢様』って感じの制服が気に入って志望校にチョイスしたんですが←オイ
重厚感のある黒と濃い赤のセーラー服は夏でも長袖だったり、襟元に十字架をモチーフにした校章が縫われてたり、学校指定の冬用ボックスコートは細工の施された金ボタンがついてたり。
着る人を選ぶようようなデザインなのでスポーツマン体型な私には似合わないでしょうがww
でも併願する公立高校のほうが本命だったり((
むしろ泥沼の底で白米モグモグしてるだけですけど何か(・ω・)←
皆さんは「今のままで充分ですよ!」と言って下さるのですが、やはりまだまだ書きたい話が表現できなかったりするのでレベルアップしていきたいですねー(-ω-)
高校、部活の掛け持ちとかできたら文芸部にも入れるんですがorz
服は弟と兼用で男物を着てますww
デパートとかもう小説くらいしか買った記憶ないですねー……。
ちなみに私の方向音痴レベルは登下校の道を覚えるのに半年かかった程度です(キリッ←
歴史は偉人を脳内でキャラクター化して遊ばせるのが好きですお((
逆に水泳がまったくできません私ww
脂肪が少なくて筋肉が多いので水に浮かない上に、息継ぎの仕方をよく忘れるんですよね((オイ
一時期は体脂肪率1ケタでしたww
マラソンは長距離なら得意です!
百メートル走とかならクソ遅いんですが、マラソン大会の十五キロとかなら先頭集団の陸上部に混じれます(`・ω・)
そんな土方さんが私は大好きですハァハァ^p^←
リーフレットは一人にすると思考が鬱方面にしか行かないよ!((
コメントありがとうございました、更新がんばりますねー!
>>118 月羽様
もちろん覚えてますともっ!!
月羽様会いたかったですよ月羽様hshs((
褒められて伸びるタイプですから(キリッ
すいません調子乗りました嬉しかったんです←
はい、更新がんばりますね!
月羽様も新しい小説とか書いたら教えて下さい!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.120 )
- 日時: 2011/10/25 17:31
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
* * *
ドォン、と。
轟いた花火よりも一際大きな轟音に、長谷川を的に射的を楽しんでいた神楽と沖田はバッと振り返った。
「ば、爆発!?」
「向こうの広場だぞ!」
「テロだ! 攘夷派のテロだアァァ!!」
聞こえてくる悲鳴。
離れた屋台側にまで流れ込んでくる煙幕。
それを吸ってしまいごほごほと咳き込みながら、新八はずり落ちたメガネを押し上げた。
出口へ出口へと殺到していく人の群れ。
その中で、神楽と沖田だけは群れの中を逆走していた。
顔に書かれている感情はただ一つ。
『祭の邪魔をするな』。
「帰りに買おうと思ってたチョコバナナ屋の親父逃げちまったじゃねーか! どうしてくれるアル!!」
「俺の祭プランに横槍を入れるたァいい度胸でさァ!」
鬼の形相で駆けて行く沖田と神楽、額には怒りマーク。
そんな二人を慌てて追いかけながら、気絶している長谷川と唖然としているエスペランサに向かって新八は言い残した。
「桔梗さんは長谷川さんと一緒に非難しておいて下さい! 神楽ちゃんは銀さんたちと一緒にちゃんと連れて帰りますから!」
瞬く間に煙の中に消える新八の後姿。
返事も忘れて固まったままのエスペランサ。
色々とあってボロボロな絶賛気絶中の長谷川。
(……とりあえず、避難しちまったほうが良いんでしょうか)
怒涛の展開に戸惑いつつも、ついでに連れて行くかと長谷川に視線を移すエスペランサ。
高級なレースでぐるりと一周した豪華なスカートが軽やかに揺れる。
自分よりも大きな長谷川をどう運ぼうかと思案していた、その時だった。
「——あ」
ビリッ、と。
身体に電流が迸ったような、そんな衝撃。
ぐらりと傾く体。
痺れて動かない手足。
強制的に閉ざされていく意識の中、一瞬だけ背後に見えた人物が握っていたのは——スタンガンと呼ばれる物体に、似ている気がした。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.121 )
- 日時: 2011/10/25 17:38
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
第五話(3)『眠れる姫君は夢を見る』
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.122 )
- 日時: 2011/10/25 18:09
- 名前: Sky ◆M7x9jXIufw (ID: a1.gBlqJ)
>>112アニホとミシン様
ですよねーwwww
エスペランサもリーフレットも現実からかなりかけ離れているので、ハルピュイヤが一番マシですよねwww
え…?いいですけど、GLですy←
時雨は問題なくとも、戦少女の夜空とか生徒会戦争の奏とか…あいつらはかなり娘と言っていいべきか迷うんですよね……(特に夜空)
あの娘達は「百歩譲って女」とPFに書かなきゃ行けないんですよね。
ホント百歩譲らなきゃ女と言うべきキャラじゃないwwww
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.123 )
- 日時: 2011/10/25 19:09
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
「お母様ー!」
色とりどりの花々が咲き乱れる景色。
丁寧に手入れされラベンダーやジャスミンは、朝日に煌き、自然そのものの壮麗さを見せていた。
そんな花園の芝生の上を、小さな子供が軽やかに駆け抜ける。
歳にすれば四歳が五歳だろうか。
この花園を所有する一族特有の、奇跡のような銀色の髪に澄んだ青空を思わせる蒼玉の瞳。
パーツの全てが絶妙なバランスで小さな顔に配置され、見る者を夢中にさせる容姿であることは確かだった。
だが、少女の持つ魅力は姿形だけに留まらず、その元気な躍動感あふれる動きと邪気のない笑顔、内側から滲み出るはつらつとした健康美にも感じ取れる。
はぁはぁと大きく息を弾ませて大好きなお母様に作った花の冠を見せて。
ああ。
あれは、私だ。
数年以上前の、まだ家族も生きていて、簡単な魔法を使い始めた。
狭い世界で最も幸せに生きていた頃の。
あれは、私だ。
「お母様!」
「あら、エスペランサ」
振り向いた優しいお母様。
もう三十を過ぎているが、慈愛の女神のように暖かく、写真で見た二十歳の頃から変わらぬ綺麗な容姿をしている。
春の木漏れ日のようなお母様の笑顔が好きだった。
この頃の私には、優しいお母様と明るいお父様、そして可愛い弟と元気な妹が世界の全てだった。
これ以上なにもいらなかった。
広い外の世界なんて知りもしなかったし、知りたくもなかった。
「お母様。エスペランサの作った冠、上手くできてますか?」
「ええ、とっても上手にできてるわ。ちょっと待ってて頂戴ね。これを終わらせたらフルーツタルトを用意しますから」
お母様は困ったような顔をして針とにらめっこしている。
病弱なお母様はよく暇つぶしのために編み物や刺繍に手を出すのだが、いかんせん形勢は劣勢である。
貴族であるが故に皿も洗ったことがないお母様は酷く不器用だ。
(お母様、糸を針に通せないのでは編み物は無理です……)
口に出してはお母様が傷付いてしまうだろうで、心の中で呟く。
「朝からフルーツタルトなんていらないです、お母様。エスペランサは紅茶とスコーンがあれば充分だよ」
ちくっと指先に針を刺して涙目になるお母様。
「それがね。エスペランサがいらなくても、ユリウスとマリアンヌが食べたいらしいのよ」
弟と妹の名前を出して微笑む。
成長期まっさかりの弟妹は、お母様の手作りフルーツタルトが大好きだ。
甘酸っぱいジャム。新鮮な果物。不器用なお母様が精一杯お作りになられるタルト生地。
着ているドレスに砂糖をこぼしてオロオロするお母様を、よく二人と一緒に影から笑って見ていた。
こんなに不器用じゃ、お父様に手作りのハンカチをあげるのはまだまだ先になるなあなんて。
このときの私は、何の前触れもなくやって来る悪夢なんて考えてもいなかった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.124 )
- 日時: 2011/10/25 19:18
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
>>122 Sky様
あ、ハルピュイヤじゃなくてハルピュイアです(笑)
バトルロイヤルとバトルロワイアル、みたいな間違いもよくありますよねww
しまった、その壁があったか!←
ならば仕方がない……うちの弟を嫁に貰ってやってください(・ω・)つ反抗期の弟
男前な女の子は大好物なので問題ありません(キリッ
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.125 )
- 日時: 2011/10/28 17:59
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
* * *
ぐらり、と、絢爛な衣装に包まれた体が傾く。
真っ黒な生地に真っ白なレースがよく映えた豪華なドレス。
パニエを内蔵したスカートのボリュームもかなりあって、どんな体勢でもふわりと花を逆さまにしたように膨らんでいた。
眩暈がするほどのフリルに彩られた姫袖から伸びるのは触れれば折れてしまいそうに細い腕。
纏うドレスのレースやフリルよりも白いその繊手からは、どくどくと、色鮮やかな血が流れ出ていた。
白と赤の鮮烈すぎるコントラスト。
その美しさに脳を揺さぶられたような衝撃を受けながら、河上万済は変装に使っていたマントを脱ぎ捨てた。
成功した。
いま使ったのは、人が気絶する限界ギリギリまで電圧を減らしたスタンガンだ。
よほどか弱い子供にしか効かないはずなのだが、どうやらこの少女にはそれで充分だったらしい。
多少の出血を伴うというデメリットもあるのだが。
エスペランサの羽毛のように軽い体が地面に倒れる前に、壊れ物を扱うような丁寧さで受け止める。
「これが、斑鳩桔梗殿でござるか……」
美しい。
その一言を何度呟いても足りないほど、美しい少女だ。
必要以上に綺麗でもはや人間にすら見えない。
晋助が惚れたという彼女は本当にこの世の生き物なのだろうか。
世界を滅ぼそうとする魔王がここにいたって、この少女だけは生かしておくはずだ。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.126 )
- 日時: 2011/10/28 18:34
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
写真で耐性をつけておいて良かった。
心中でそう呟き、河上万済は少女の体を抱いたままスタスタと歩き始めた。
移動しながらも出血した少女の腕に包帯を巻く。
彼女のことはガラス細工の天使として扱えと、晋助に念を押されているのだ。
周囲の人々はすでに逃げたのか影すらも見当たらない。
ゆえに人目を憚ることもなく一分ほど進めば、あらかじめ用意していた車が見えた。
運転席に座っているのは目立たないように変装した男。
変態ロリコンこと武市変平太は、万済に抱きかかえられた少女を見て思わずといった感じで息を呑んだ。
「それが『真選組の姫君』こと斑鳩桔梗ですか……ああ、この美しさたるや! わざわざ面倒な歌舞伎町まで来た甲斐があったというものです!!」
たっぷり三十秒ほど固まったかと思うと、一気に赤味を帯びた顔で叫び始める変平太。
自称“子供好きのフェミニスト”な彼にとって、可憐と神秘を極めた少女の姿は刺激的すぎたらしい。
あるいは幻想的すぎたのか。
とにもかくにも騒がれると色々面倒なので、さっさと車に乗り込み運転しろと目で合図をする。
サングラス越しにでも自分の意図がわかったらしい。
未だに感激を隠しきれぬ形相ながらも彼はキーを回し、どこにでもあるような乗用車を発進させた。
「しかし、うちのリーダーが心酔するほどの美少女と聞いたから覚悟はしていたものの、まさかここまでとは……。想像を絶する美しさというのは本当にあるものなんですねぇ」
「桔梗殿の写真をあらかじめ見たのは、また子殿と拙者だけでござるからな。……『こいつを連れて来い』と写真を見せられたときはビックリしたでござるよ」
色白の華奢な体つき、純銀の髪、何より印象的なのが、見た事のない絶世の美貌。
あんな素晴らしい美貌が、この世に存在するなんて。
写真を見せられたときの自分は、ただの写真だというのに、吸い込まれそうな不思議な心地を味わっていた。
そして実物はそれ以上。
彼女が自分の隣で眠っているというだけで、まるで天国にでも来たような錯覚を覚える。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.127 )
- 日時: 2011/10/28 23:06
- 名前: くろね子 (ID: NPMu05CX)
文才ありすぎっ……ファンです、がんばってください!
姫姉様やリーフレット君ってイメージソングとかあるんですか?
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.128 )
- 日時: 2011/10/29 11:03
- 名前: くろね子 (ID: ySP8nr/s)
あと、オリキャラの募集とかってしてないんですか?
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.129 )
- 日時: 2011/10/30 15:00
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=AJvPHQ3QzdQ
>>127->>128 くろね子様
すいません、オリキャラは募集してないです(-o-;)
下手に他のキャラを入れると作ったプロット通りに進行しないんですよねー……。
ちなみに姫姉様のイメージソングはALI PROJECTの『聖少女領域』です(↑のURL)
コメントありがとうございました!
これからも応援よろしくお願いしますね!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.130 )
- 日時: 2011/10/30 15:11
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
そしてリーフレットのイメージソングは鬼束ちひろさんの『罪の向こう 銀の幕』なのですが、歌詞つきの動画は無かったので申し訳ありませんが自力で探して下さい(´・ω・)
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.131 )
- 日時: 2011/10/30 16:15
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
「……桔梗殿の音楽は、高貴で厳かな賛美歌といったところでござるな」
呟き、少女に用意していた毛布をかける。
窓の外の景色はだんだんと祭の会場から外れて行っていた。
* * *
「おねーさま、きょーのぶとーかいできるドレスこれでいーとおもう?」
今年で三歳になったばかりの妹であるマリアンヌが、衣裳部屋の大きな鏡の前でくるりと一回転した。
繊細な刺繍の施されたオフホワイトシャツ。
きゅっと桃色のリボンでしまったウエストから、ふんわりと広がる同色の八段ティアードスカート。
招待された舞踏会に行くのが楽しみなのか、きゃっきゃとはしゃいでいる。
「そうですね……せっかくの舞踏会ですし、もう少し正装に近づけたほうが良いかもしれません」
当時はまだガサツな口調でなかった私がそう言うと、「えー」と不服そうな様子で再び一回転するマリアンヌ。
しかし舞踏会という華やかな場でシャツとスカートのツーピースはいただけない。
私はたくさんあるクローゼットの中から適当にドレスを見繕い、くるくると回り続けるマリアンヌに「ほら」と渡した。
薄い水色のプリンセスラインドレス、淡いカラーリングのオーガンジーを使ったドレス、高級なサテンをふんだんに用いたドレス。
いくつものドレスの中からマリアンヌが選んだのは、フリルにリボン、ふわっと広がるスカート……可愛いモチーフがたっぷりと詰まった砂糖のように甘いドレス。
それにお母様が誕生日プレゼントに下さったサファイアのブローチをつけて。
「うん、これでだいまんぞく!」
マリアンヌはとびきりの笑顔を浮かべた。
けれど、急に思い立ったように私の瞳をじっと見つめると、慌ててサファイアのブローチをルビーにつけ変え始める。
首を傾げる私に、マリアンヌはふーっと息を吐いた。
「あぶないあぶない。あおいほーせきなんてつけたら、おねーさまのひとみとくらべられちゃう」
「比べられると、なにか困るのですか?」
「こまるよ! だってどんなにきれいなほーせきでも、おねーさまのひとみのまえではいしとかわらないもん。
みずみたいにすきとおっててそらみたいにやわらかくて……ほんとーに、すてきなあおいろ。おねーさまのひとみはせかいでいちばんうつくしいあおいろだわ」
なにか誇らしいものでも見るようにして見上げてくるマリアンヌに、幼い頃の私はただ、「ありがとう」とだけ返した。
水みたいに透き通ってて空みたいに柔らかいと。
そう称された私の瞳は、今では酷く暗鬱としているのに。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.132 )
- 日時: 2011/10/30 17:41
- 名前: くろね子 (ID: x8FeCceo)
姫姉様のイメージソング聞いてきました!
姫姉様に相応しい素晴らしい曲でもうウハウハです・・・。
あと、PVに出てたドレス姿の女性って誰ですか?
リーフレット君のはこれから探してきますねっ!
ちなみに私が姫姉様のイメージソングっぽいって考えてたのはボカロの《姫ゆくアリスが駆け出す瞬間》ですねー。
リーフレットくんは《モザイクロール》とかどうでしょうか!?
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.133 )
- 日時: 2011/10/31 17:35
- 名前: くろね子 (ID: e.d4MXfK)
『罪の向こう 銀の幕』聞いてきました!
なんという痛々しい曲(;o;)
でもリーフレット君にピッタリでした!
姫姉様もリーフレット君も大好きだから是非とも幸せになって欲しいです。
あ、でもリーフレット君は自分が幸せになっちゃダメだと思ってるのか・・・それでも大ファンの俺はリーフレット君に幸せになってほしいんだっ!
というわけで頑張って下さい、アニホとミシン様!
いつまでも応援してます!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.134 )
- 日時: 2011/11/01 16:04
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=Sn1U1W3C6Cs
>>132->>133 くろね子様
『姫ゆくアリスが駆け出す瞬間』ってGUMIちゃんの曲だったんですね、名前だけじゃ分かりませんでした(笑)
モザイクロールは私も大好きですよ!
GUMIちゃんのPVは基本クオリティ高いので大好きです(キリッ
PVの女性は宝野アリカ様といって、ALI PROJECTのボーカルの方です。
その独特の局長からヴィジュアル系とも一線を画した異彩な偉才の持ち主なのです((
鬼束ちひろさんも好きなんですよねー。
好きになるアーティストさんたちがマイナーなのが悲しいのですが(-o-;)
でもレディー・ガガとかそういう最近の人もなんとなく分かるようになってきたよ!←
果たしてリーフレットは幸せになれるのか、そして姫姉様の御身やいかに!?
こうご期待!((
コメントありがとうございました!
更新がんばりますねー(*^ω^*)
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.135 )
- 日時: 2011/11/01 16:58
- 名前: 月羽 ◆/tAwKh9e/w (ID: EcIJT88K)
>>119アニホとミシン様>
私も会いたかったですよ!←
Σ今でも十分素晴らしいのに、褒めたらまだ伸びるんですか((
よっしゃ、じゃんじゃん褒めるぜ!←←
現在ピコ森の恋愛小説板で「je t´aime −君と私の違い−」という駄作を執筆中です(・ω・´)
「その男は白夜叉と呼ばれた【銀魂】」も下書き中で、それが終わったら改めて此処で書こうかなーとか思っているのでもし良かったら暇潰しがてら、覗いてやって下さい。
宣伝すいません((
ちなみに同じクラスのモデルさんは誰でしょねクイズ(←)の答えは、一番左の子です^^
美玲の名字はその子から取っていたり←
姫姉様の幼い頃、可愛いでs(ry
こんな美しくて可愛いお姉さんが居るなんてユリウス君とマリアンヌちゃん羨ましすぎる((黙
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.136 )
- 日時: 2011/11/01 17:07
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
* * *
「また子殿、桔梗殿が目覚めるまでの世話は頼んだでござるよ」
そんな台詞を帰ってきたばかりの万済に言われて、エキゾチックな顔立ちの金髪女性——来島また子は、「は?」と手入れしていた拳銃を落とした。
鬼兵隊の一時的な隠れ家として選ばれた三ツ星ホテル。
その大理石の床に直撃した銃身を拾うことも忘れて、また子は万済に詰め寄る。
「なんでまた子がんな事しなくちゃならないんッスか!」
「なんでと言われても、また子殿は鬼兵隊の紅一点でござるからな。女の面倒を男に見せる訳にもいかんござろう」
「だからって……!」
言い募るまた子に、万済は嘆息する。
斑鳩桔梗の写真を見てからというもの、彼女は自分と桔梗を比べては「晋助様は細くて小さい女が好きなんッスかー!!」と絶叫していたのだ。
いかにも『お人形さん』といった容貌に退廃と神秘が加わった斑鳩桔梗、露出的な着物や派手な金髪を好みどこか荒々しいオーラのある来島また子。
違うタイプの女同士なのだから別に良し悪しなど気にすることもないのに。
あるいは、違うタイプだからこそ気にしているのだろうか。
好きな男に長髪が好きだと言われれば、自分の短髪にショックを受けるのが恋する乙女の性である。
そんな状態の彼女に面倒見を頼むというのは酷な話かもしれない。
が、斑鳩桔梗の面倒を男などに見させては後で晋助にどんな制裁を加えられるか分かったものではない。
そこら辺の事情を考慮して、万済は再びまた子に頼み込んだ。
「お願いするでござるよ、また子殿」
「うー……あーもう、わかった! その代わり後で文句とか言っても知らないッスからね!」
「それは助かった。じゃあ、もうこのホテルの最上階にあるスイートルームに寝かせてるから、あとは頼んだでござるよ」
後ろから聞こえてくる「初めからまた子に任せる気だったんじゃないッスか!」という叫びを無視し、それを嗜める武市も置いてスタスタと立ち去る万済。
彼にはもう一つ、高杉晋助から言い渡された仕事があるのだ。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.137 )
- 日時: 2011/11/02 16:52
- 名前: くろね子 (ID: 7VttjCRw)
なるほど宝野アリカさんというのですか!
俺には絶対に似合わない格好をした人だったので気になりました(笑)
というかちっさい姫姉様が可愛すぎるっ!
今の『お美しい姫姉様』は、あの一年を体験してから生まれるのですね。
《冷めた奇跡はもっと近寄りがたくなる》って姫ゆくアリスが駆け出す瞬間の歌詞がそれっぽくて、姫姉様のイメージソングとして予測したんですよね。
元から近寄るのが恐れ多くなるほど綺麗な姫姉様に、あの一年からの凍てつくような魅力も加わってさらに近付けなくなる・・・みたいな?
とりあえず姫姉様の純潔を奪った野郎共は今すぐ丸焼きになってゴミ捨て場に廃棄されるべきだと思います←
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.138 )
- 日時: 2011/11/03 14:01
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
>>135 月羽様
むしろ今のまま成長停止したら困りますΣ(—□—;)
将来的には今の自分が書いている文章を読み直して「なにこれ下手すぎww」と笑えるくらいになりたいですねー←
やった、また美玲ちゃんに会えるんだね!((
ピコ森はそういえばずいぶんと覗いてない気がします……また勉強が落ち着いたら尋ねてみます!
宣伝は常時受け付け中ですのでジャンジャン書いていって下さい(笑)
くっ、違ったか!
私の野生の勘もまだまd(ry
そしてここ(可愛い)からどんどんああ(美しい)なっていく姫姉様((
その反転のキッカケはやっぱり魔女狩りだったりするんですよねー。
>>137 くろね子様
くろね子様どころか私にも似合わないww
友人にならああいうファッションスタイルを小学生の頃から貫いてる子がいるんですけどね……その子は甘ロリなので、姫姉様のゴスロリの参考にはならなかったり(笑)
この頃のひめねーさまはまだ純真無垢だったのさ!←
そうそう、エスペランサが暖かな美少女ではなく冷ややかな美少女に育ったのはそれが原因です。
逆に言えば、エスペランサは最悪の不幸と引き換えに最高の美しさを手に入れたんです((
姫姉様が愛されてて嬉しいですぐふふ^p^←
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.139 )
- 日時: 2011/11/03 14:55
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
* * *
「まあ、あれがベアトリーチェ故皇女の血を最も色濃く継いだお嬢様?」
「さすがは魔法界一の美女の孫娘だ。あれだけ幼いのに、もう恐ろしいまでの美貌の片鱗を見せてらっしゃるじゃないか」
「纏う金色のドレスがまるで満月のように輝いて見えるわ……」
数々の賞賛を浴びながら広間を歩く。
前を先導しているお母様もお父様も後ろを歩くユリウスとマリアンヌも、私への賞賛が嬉しいのかどこか幸せそうな笑みを浮かべていた。
当時の記憶はあやふやだから、どんな場所だったかは正確に記せない。
とにかく豪華な城だったことは覚えている。
皇帝が主催の、一部の上流貴族しか招待されぬ舞踏会の会場。
そこへ馬車で赴いた。
アーノルド家は、本来ならば皇族と名乗るべき血筋にある。
それは私の祖母が先代の皇帝の正妻だったからだ。
ベアトリーチェ・アーノルド——かつて魔法界一の美女と謳われた、今は亡きシャングリラ第五百三代目皇女。
それが私の祖母だ。
名門とはいえ貴族でしかなかったアーノルド家の娘がなぜ皇帝の正妻にまでなれたかというと、それはベアトリーチェ故皇女がとびきりの美貌の持ち主だったから。
もう物凄かったらしい。
なんでも顔を見てしまうとあまりの美しさに相手が気絶するから、初めの一回を除いて皇帝にすらも顔を見せなかったとか。
家の中や舞踏会のときも仮面で隠していたが、それでも髪や肌だけで皇帝に目をつけられて、仮面を外せばもう奇跡級の美女がそこに。
それからベアトリーチェ故皇女以外の何を見ても綺麗だと感じられなくなり、酷いときには彼女以外の全てが腐って見えてしまうようになった皇帝は、三日ともたないうちに彼女に求婚。
百人以上いた愛人たちとの関係を一気に断ち切って、皇帝は無事ベアトリーチェ故皇女を嫁に迎えたらしい。
それならば何故アーノルド家は貴族のままなのかと言うと、次代の皇女となる気の無かったお母様が自ら貴族に戻りたいと申し出たらしい。
嫁に似て見目麗しく育った愛娘の言葉を皇帝も承諾。
晴れて貴族に戻ったお母様は同じ上流貴族であるお父様とご結婚なさり、生まれた一番目の娘が私なのだ。
キリスト教の言葉で『希望』を意味するエスペランサと名付けられた私。
その私はどうやらお母様以上にベアトリーチェ故皇女に似ているらしく、少しでも外に出ればその話しか耳に入ってこない。
もっとも、本当に私と祖母が似ているかなんて、祖母が死んだ今では分からないのだが。
「エスペランサ姫、お飲み物をどうぞ」
給仕に差し出されたアップルジュースを会釈と共に受け取る。
いちおう皇族ではない幼い私が『エスペランサ姫』などと呼ばれていたのは、やはり祖母が原因なのだろうか。
本物の皇族が住まう城で姫と呼ばれるのはなんとも不思議な気分である。
そうこうして時間を潰している内に、広間ではオーケストラによる音楽が流れ始めた。
ワルツの時間が始まったらしい。
私はシルクとレースの手袋に包まれた手を差し出し、近くにいた同年代の少年にやんわりと微笑みかけた。
「一曲、踊って下さいますか?」
少年は顔を真っ赤にして手をハンカチでゴシゴシと拭いた後、恐る恐るといった様子で私の指先に触れる。
ちらりと隣を見れば、お母様とお父様も見事なワルツを披露していた。
蝶のように可憐に、ときに白鳥よりも優雅に、女神よりも荘厳に。
お母様のドレスの裾がふわりと翻るたびに、周囲の着飾った上流貴族はうっとりとした眼差しを向けた。
この分ならばユリウスとマリアンヌも楽しくやっているだろう。
さて、私もお母様に負けないようにしなくては。
三拍子のリズムに合わせステップを踏み、高貴に姿勢を正し、優雅に一回転。
少年のリードは中々上手で踊り甲斐があった。
緊張したような面持ちなのが少し気になったが、きっと舞踏会が初めてなのだろう。
お母様のワルツに向いていた視線をいくらか私たちの方を向き始め、さあここからが見せ場だと華麗さを増そうとしたところで。
バァン、と、銃声のようなものが響く。
それに次いで聞こえてくる破壊音。
水を打ったように静かになる広間。
真っ先に我を取り戻した皇帝が、玉座から立ち上がって叫んだ。
「魔術師です! 皆様お逃げ下さい!」
その言葉につき動かされるように、広間は元以上のざわつきを見せ始めた。
出口に殺到する上流貴族たち。
遠くの方から響いてくる、窓が聞こえるような音と、絶叫。
私と踊っていた少年も彼の父親に抱き上げられ、一気に出口を目指す集団の中へと消えていった。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.140 )
- 日時: 2011/11/03 19:03
- 名前: 月羽 ◆/tAwKh9e/w (ID: EcIJT88K)
>>138アニホとミシン様>
そんな風になりたいですよね。
私の方は「この時も下手だったけど、今はもっと下手になってるし!」という事にもなりそうです。←
会えますよ!((←
そして葵や陵にも会えるのでs((ry
今は「俺の出番まだかな……。復活した時は天パの出番より俺の出番が多いといいなぁ」とか言いながら塩大量にかけたプリン食べてそうです((黙
いつでもスタンバイしてるので、勉強頑張って下さい!
野生の勘ですかw
そのモデルさん、色白だし顔小さいしおまけに声も可愛いんですよねー(
姫姉様を傷つけた人には手が出そうで自分が怖いです←
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.141 )
- 日時: 2011/11/03 19:49
- 名前: くろね子 (ID: lwQfLpDF)
姫姉様のおばあさまは皇女様ですとっ!?
道理で周りから貢がれてもご自分のお美しさに気付かれないんですね。
その情報を聞いてますます姫姉様の魅力が増しました!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.142 )
- 日時: 2011/11/05 18:45
- 名前: くろね子 (ID: N/zMPjaj)
連投スマソ。
ふと思ったんですが、姫姉様は皇女の孫娘ってことはかなり高貴なお生まれですよね?
もしかして次の王位継承権とかあるんじゃないですか!?
ということは俺は姫姉様をエスペランサ皇女と呼ばなければならないのか・・・呼びてぇっ!←
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.143 )
- 日時: 2011/11/06 18:05
- 名前: なぎこ (ID: uHvuoXS8)
アニホとミシン様!あの「氷のような美貌を持つ美少女だけがゴスロリを纏う資格がある」とかほざいてたアニホとミシン様じゃないですか!!
此方でも楽しみにしてますね色々!(^p^三^q^)
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.144 )
- 日時: 2011/11/06 22:21
- 名前: くろね子 (ID: cASJvb5A)
「ほざいてた」なんて言葉使いは良くないですよ!
荒らしと間違われちゃいますから。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.145 )
- 日時: 2011/11/06 22:30
- 名前: なぎこ (ID: uHvuoXS8)
くろね子様>
あわわ、これは失礼しました><;
ご忠告有り難う御座います;これからは気を付けます
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.146 )
- 日時: 2011/11/07 11:33
- 名前: くろね子 (ID: 5SQt.OF5)
なぎこ様>
いえ、こちらも上から目線ですみません。
アニホとミシン様が好きなのでついつい口出しちゃいました><
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.147 )
- 日時: 2011/11/07 12:09
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
>>140 月羽様
そんな悲しい状態にはなりませんよ月羽様なら大丈夫です!←
でも昔書いてたイラストとか小説って、改めて読み直すと楽しかったりしますよね(笑)
なんですかその甘いのか辛いのか分からない食物ww
黒髪美人は大好物ですハァハァ(( いつまでも待ってるよ三人ともー!←
はい!
次の第四回実力テストでもう私立の併願校は決めないといけないので、偏差値もう少し上げていこうと思います。
月羽様も頑張って下さいね!
仕方ないよ、だってモデルさんだもn((ry
私も部活を引退してからはちょっと白くなってきましたけど、それでも筋肉質な体型は相変わらずです←筋トレ止めてないせいだろ
私も美玲ちゃんに何かやらかした奴がいたら鉄パイプと共に駆けつけますのでご心配なく!←
>>141->>142 くろね子様
連投問題ありませぬ(キリッ
王位継承権は主張すればあるんでしょうが、ぶっちゃけエスペランサは皇女って柄でもないですしね(笑)
なりたいと思ってない子がなっても国の存続が危くなるだけですからww
よって残念だが姫姉様をエスペランサ皇女とは呼べないのだよ!←誰だお前
>>143 なぎこ様
はっ、もしやレッドでダークなあのお方ですか!?
間違っていたらすいません、正解だったらお久しぶりです!(*^ω^*)
諸々の発言で貴方様のご気分を害してしまったことは大変申し訳なく思っておりますが、前の掲示板の話題をこっちにまで持ってこられるとさすがの私も困惑してしまいますので、ご遠慮して下さると嬉しかったりします(´・ω・)
でもでも女性限定マゾヒストな私には棘のある言葉が嬉しかったりぐへへ^p^←
こほんっ、失礼しました。
貴方様の作品も貴方様も相変わらず尊敬していますので、もしここで書き始めたりしたら教えて下さい!
マッハ5のスピードで駆けつけますので((
コメントありがとうございました!!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.148 )
- 日時: 2011/11/07 13:32
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
「エスペランサ、ユリウスとマリアンヌを見ませんでしたか!?」
ドレスの両端をつまみ上げて駆け寄ってくるお母様。
その顔の蒼白具合から見るに、どうやらユリウスとマリアンヌの姿が見えないらしい。
少し離れた場所ではお父様が人の波に逆らって二人の名前を呼んでいる。
知りません、と首を振ればお母様はなおさら焦ったような表情になった。
「お母様、エスペランサも探してきます!」
お母様からの制止がかかる前に走り出す。
フレアが足にまとわりつく走りにくいドレスも、当時から着慣れていた私にとっては極めて活動的な衣装だった。
窓が割れたような音は断続的に響き続ける。
それが実際に窓が割れている音ではないと気付いたのは、人通りの少ない廊下に出た瞬間だった。
「我が手に燦然と輝きたる孤高の太陽よ! その神々しき光の矢を以ってして我に仇名す者に制裁を!」
皇族に仕える老齢の魔法使いが、長い白髪と杖を振り乱して呪文を唱える。
その眼前にいる真っ黒なローブの集団——恐らくあれが魔術師なのだろう——は、放たれる光を俊敏な動きで避ける。
「——割れろ」
爪先で大理石の床を叩き、低い声で魔術師が呟く。
すると何の変哲もないはずの床には巨大な魔法陣が浮かび上がり、呪文を唱えていた魔法使いの身体が突如としてガラスのように割れた。
パリンッ。と効果音をたてて、破片となった魔法使いの身体は床にパラパラと散らばり落ちていく。
「ひっ——……!」
その光景に思わず小さな悲鳴を上げた。
魔術師の視線がこちらを向く。
それと同時に、私に視線を向けてきたものがもう二つあった。
「おねーさま……!」
「あねうえっ……?」
今にも泣き出しそうな声のマリアンヌとユリウスだ。
彼女らは部屋の隅で縛られていて、ピンクのドレスとブラックのタキシードには鎖が喰い込んでいた。
その鎖に斑点のようにびっしりと魔法陣が書き込まれているのを見て、あれは魔力を封じる効果のある鎖だと分かった。
魔術師が、一歩、こちらに近寄ってくる。
「わ——私の弟と妹に、何をなさるつもりですか」
ドレスがしわになるほど握り締める。
震える唇でそう話しかければ、魔術師の口元が三日月の形に歪んだ。
「このガキ二人でも大層な収穫だと思ったが、どうやら運は俺に向いているらしい。まさかあのベアトリーチェ故皇女の孫娘まで寄越してくれるとはな」
魔術師は私の質問には答えず、愉快そうに笑う。
「な、にを言って……」
「まあ、まだ俺に捕まって良かったと思えよ。キルケゴールとかに捕まってたらもっと酷かっただろうぜ。俺はあそこら辺の有名所とはなんの関わりもないただの魔術師だ」
さっきまで魔法使いだったガラスの破片を踏みしめて。
魔術師は、怯える私の額に指先を押し付けた。
「ようこそ地獄へ。エスペランサ・アーノルド」
ニィ、と男の口端が歪むのを見ながら——私の意識は遠のいていった。
目覚めたときには地獄だと知らぬままに。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.149 )
- 日時: 2011/11/07 14:00
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: Qh0QXHw.)
* * *
「斑鳩桔梗。出身地不明、血液型不明、生年月日不明、目測年齢十三歳。魔女だとの噂あり、ねぇ——」
ぶつぶつと呟きながら来島また子は資料のページをめくりつつ歩く。
スイートルームばかりの最上階。
ここの一番奥にある部屋で、気を失った斑鳩桔梗は眠っているらしい。
やはりスイートルームなだけにベッドもキングサイズだったりするのだろうか。
「ああくそ、羨ましいッス!」
がちゃりと目的の部屋の扉を開き、ふかふかの絨毯を土足のまま踏み荒らして進む。
天上には豪華なシャンデリアまで用意してあった。
「なんでガキ一人ごときにここまで金かけてるんッスか……」
愚痴をこぼしつつ、中央にある大きな天蓋つきのベッドに近寄る。
しかし、そっと天蓋を除けてそこに眠る少女を見た瞬間、また子はその美しさに息を呑んだ。
写真で顔は知っていたが、実際に目の当たりにすると、その美貌は神がかって見えた。
カーテンが閉められた薄暗い部屋に、わずかに外の明かりが差し込み、その光で柔肌が青白く、まるで夜の月のようにぼうっと輝いて見える。
髪は月光を紡いだような純銀で、それが白い肌とシーツにレースのようにかかっており、強いグラデーションを生み出している。
写真で見た海よりも深い濃青は、今は閉じられていて見えないが、すっと伸びた鼻筋も、白に引かれた桃色も、なにもかもが綺麗だった。
「綺麗ッス……」
いつもであればすぐ拳銃の手入れに移るだろうに、今回ばかりはまた子はほぅと見惚れた。
この美しい少女が、斑鳩桔梗。
きっとおとぎ話の魔女の呪いで眠るお姫様はこういう顔なのだろう。
否、ベッドに身じろぎ一つせずに眠る姿は人というよりも、どちらかといえばいつか海外の宮殿で見掛けたアンティークドールが等身大になったようで、また子はそっと手を伸ばす。
髪に触れれば、まるで最上質のシルクのようにつるりと滑って指の間からさらさらと落ちていき、肌に触れればしっとりと指に吸い付くようになめらかできめ細かい。
しかし低体温なのか、触れた肌はひんやりと冷たく、触れてもなおピクリと瞼さえ震えない様子は生気が感じられず、本当に人形かと錯覚させた。
表情もなく眠っているその姿は磁器というよりも薄いガラスでできた脆い人形のようで、自分が触れれば割れてしまうのではないかと怖くなり、また子は慌てて手を引いた。
瞳を開いたらどうなるのだろう。
写真の彼女は生き生きしていた……とは言わないが、困ったように顔をしかめる様子は、なんとか生き物に見えた。
あの恐ろしく深い濃青が開かれれば、生き物になるのだろうか。
また子は触れた手を握りしめながらじっと寝顔を見つめる。
けれどいくら見つめても、眠りが深いのか、まったく瞼が開く兆候は見られない。
触れた時でさえピクリとも反応しなかった様子から、まだとうぶん目覚めないだろうとまた子は溜息を吐いた。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.150 )
- 日時: 2011/11/07 16:47
- 名前: なぎこ (ID: 8wbSPhF3)
アニホとミシン様>
こちらではなぎこですぎこぎこ!(「・ω・)「ギーコギーコ
>大変申し訳なく〜
だとすればちゃんと彼方で謝罪をするというのが筋ではありませんでしょうか…
それとこちらは本気で貴方の分を弁えない発言が嫌でこうしてコンタクトを取っている故にマゾヒストだの何だのとふざけられても困ります。
氷のような美少女?それって自分のキャラってことですか?とか思いますし。だってエスペランサさん見てると「氷のような美少女」ですもんね…と
こちらこそ失礼しました(´・ω・`)
沢山の読者やファンを抱える人間として、自分の発言がどんな影響力を持つのかを理解していただけると幸いです。
あっちなみにおらリーフレット君好きですだ!←
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.151 )
- 日時: 2011/11/07 17:26
- 名前: くろね子 (ID: kDmOxrMt)
な、なんだか物騒な雰囲気ですけど・・・お二人ともお知り合いなんですか?
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.152 )
- 日時: 2011/11/08 16:29
- 名前: 月羽 ◆/tAwKh9e/w (ID: EcIJT88K)
>>147アニホとミシン様>
いやいや、不安しかありませn((
分かります、楽しいですよね!
初めて小説書いたのが恐らく小3、4ぐらいだったのですがその時に書いていたのがありきたりな恋愛小説でしたw
美玲ぐらいにしか分からない美味しさです←
黒髪美人いいですよね(・ω・´)
九ちゃんとか大好きです!
本当にわずかな希望しかないのですが、頑張ります←
頭も悪いくせして運動神経も悪い私はどうすればいいんですかね((
そうですよね、モデルさんだからですよね!←←
筋肉質な体に密かに憧れていたりしますw
以前腹筋が割れる為には何をすればいいか、みたいな事をやっている番組があったのですが絶対私には無理でした(・ω・`)
アニホとミシン様は頼りがいがありまs((ry
でも美玲は自分でどんどん相手を殴りにいきそうですw
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.153 )
- 日時: 2011/11/10 13:18
- 名前: くろね子 (ID: nF4l3yrg)
上げておきますねー。
リーフレット君ってギャルファッションが似合うと思います←
小説も勉強も頑張って下さい!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.154 )
- 日時: 2011/11/12 18:58
- 名前: くろね子 (ID: cTgMt2qy)
あげます(;_;)
姫姉様たちに会えないのが寂しいよ・・・でもいつまでも待ち続けます!
テストシーズンなので大変だと思いますが、色々がんばって下さい!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.155 )
- 日時: 2011/11/14 13:09
- 名前: くろね子 (ID: 60TA9nBF)
あげますっ!
受験が終わってからでも良いので、更新がんばって下さいね!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.156 )
- 日時: 2011/11/16 13:14
- 名前: くろね子 (ID: 8w1jss8J)
あげますねー。
姫姉様のことは、夢小説史上もっとも美しくもっとも高貴なヒロインだと思ってます!
あげだけだとつまらないので姫姉様へのメッセージを添えてみました(笑)
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.157 )
- 日時: 2011/11/18 17:16
- 名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: UXNmz4pg)
〜緊急連絡〜
ども、アニホとミシンでございます。
来年で高校一年生、つまるところ今年は中学三年生の私は、ただいま受験生という立場に置かれています。
数ヶ月前までは「まあ、評定も偏差値も足りるしこの高校で良いか」と私立の女子高と公立校を志望していたのです。
しかし先日、校風も制服も私好みの素晴らしい高校を発見してしまい、そこを目指すことにしました。
その高校の偏差値は60後半で、60中盤の私は努力しなければ入れません(60中盤の私が500点満点中430〜450点程度と書けば、大変さをご理解いただけるかと)。
よってもっと勉強に時間を割くために、この小説の更新は一時停止とさせて頂きます。
いつもご愛読して下さっ皆様方、本当に申し訳ありません。
必ず高校に合格して帰ってきますので。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.158 )
- 日時: 2011/11/20 09:47
- 名前: くろね子 (ID: K4YD00a4)
ま、マジですか!?
俺ショックです・・・でも絶対に来年まで待ちますから!
いや、姫姉様たちの為なら十年だって待ちます←
というか偏差値60中盤なんて頭良すぎですよ。
俺の兄貴とか成績悪すぎて定時制高校しか行けませんでしたから(笑)
俺も偏差値、最高33しかありませんしww
定員割れしてるアホ高校しか入れないですww
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.159 )
- 日時: 2011/11/22 16:05
- 名前: くろね子 (ID: Heq3a88y)
あげますっ!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.160 )
- 日時: 2011/11/24 16:15
- 名前: くろね子 (ID: 66F22OvM)
あげますね!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.161 )
- 日時: 2011/11/27 09:51
- 名前: くろね子 (ID: 4QeXy8HA)
上げます!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.162 )
- 日時: 2011/11/30 22:48
- 名前: くろね子 (ID: U.Z/uEo.)
あげますっ!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.163 )
- 日時: 2011/12/02 18:27
- 名前: くろね子 (ID: mt9AeZa7)
上げますね!
姫姉様のお姿を一度で良いから拝見したくて拝見したくて、夢の中にいらして下さらないかと願いましたがやっぱりお姿を現しては下さいませんでした←
毎日この小説を始めから読み直してます!
受験も更新も頑張って下さい!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.164 )
- 日時: 2011/12/04 16:46
- 名前: くろね子 (ID: 4QeXy8HA)
上げますねー。
アニホとミシン様の夢小説じゃないと満足できない体になってしまいました((
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.165 )
- 日時: 2011/12/05 21:47
- 名前: くろね子 (ID: Lnsp.uM2)
あげます!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.166 )
- 日時: 2011/12/06 00:12
- 名前: なぎこ (ID: IxNK9TAE)
くろね子様>
前から思っていたのですが、そんなに頻繁に上げずとも大丈夫ではありませんか?
あなたがこの方の作品が大好きだというのも解りますが、この人が運営するサイトでないかぎりこの小説カキコというサイトは他の方々も利用するサイトです。
あんまりにも上げを繰り返してしまうとすぐに他の方の作品が下がってしまうと思うのですが…
それにそう簡単に落ちきったりはしないでしょうし、このままのペースではこの人が帰ってくる前に全部のレスがあなたの上げ行為で埋まってしまうかも知れませんよ?
少しでもいいのでお考え頂けると幸いです。
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.167 )
- 日時: 2012/01/01 17:53
- 名前: 美柑 (ID: hMtE.UVn)
初めまして^^陰から激しく応援している美柑です!
いや〜相変わらず素晴らしい文才ですねェ〜。
思わず拝んでしまいましたww
それにしてもエスぺランサ様お美しい……。美人過ぎて羨ましがる事も出来ないっていうw
踏まれT((おっと、失礼w
とにかくこれからも応援していますのいで続きを楽しみにしています!
- Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.168 )
- 日時: 2012/07/02 20:19
- 名前: Libra ◆lNRfl6Ys8o (ID: TLzqUYoL)
…大分お久しぶりです。
…といっても覚えてらっしゃらない可能性のが多いと思います;;
某所で雛ちゃんと呼んで貴方を慕っていたものです。
多分ですが、明日はアニホとミシン様のお誕生日だと思い、明日はPCが開けない可能性があるので、今日書き込みをさせて頂きました。
誕生日、間違ってたら、ほんとにすみません。間違ってる可能性のが高いきが……;;
でも合ってたら嬉しいなと思ってます。心からお祝いします。
Happy Birthday!!雛ちゃん・ω・*