二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: D.Gray-man 寄生された右目 ( No.499 )
- 日時: 2012/07/25 13:25
- 名前: 有栖 (ID: vDb5uiaj)
第34話 空っぽな——
僕は、すぐにシロから降りて、カードの種類、「冬」を取り出しあたりを凍らせて2人だけのステージにする。
それから、氷で形どった剣を抜き取った。
「さぁ、始めようか」
「今度こそは、絶対逃がさねぇ」
先にルギアが攻撃をしかけてきたのでそこをよけて剣を振りまわす。
だが、双剣ではじかれ防御態勢を取る。
「へぇ、片目隠れてる割りには、前回より速くなってんじゃねぇか。少し、双剣とのシンクロ率あがったか?」
「おかげさまで」
「っと。っぶね」
ルギアに余裕は、ないらしく話をしても一言で終わりにしてしまう。
ちょっと付き合ってやろうか。
一度、ルギアと距離を取りにらみ合う。
後ろを取るか、取られるか。
「「行くぞ」」
最初に攻撃するのを成功し、相手が防御態勢を取る。
俺は、そのまま前へと押し込める。
それを見たルギアは、一旦しゃがんで横にどっちロールして俺の脇を狙う。
すぐに反応して剣を縦に持ち防御する。
その剣を弾きもう一度踏み込む。
俺の作ったステージで金属音が響く。
その時、すごい勢いで何かが結界にぶつかる音がした。
それと同時に氷で形どった壁がくずれ始める。
「やっべ、伯爵。ここまでやるかよ。」
「あ、おい!逃がすかよ!!」
「逃げはしねぇよ。場所を変えるだけだ。」
ルギアがついてきているのを確認して、シロを呼び背中にのって場所移動。
ルギアもクロを状態変化させついてきた。
周りをみると、巨大なアクマの塊が2体。それぞれが強力な一撃を放っている。
「すっげ。あいつちょっとじゃ壊れねぇぞ」
「よそ見してんじゃねぇよ!」
どうやら、クロから降りてこっちに向かってきてたらしくかすり傷を負う。
「シロ…敵の接近に気付いてんならスピードあげろよ」
「(……)」
可愛くねぇ奴。
「まぁいいや。少し攻撃も落ちついてきてる。さぁもう一度再会しよう」
ふと、桜が見えたような気がした。
冬桜か…?それとも今は春なのか…?
あぁ、季節の感覚が狂ってやがる。
はやく、壊さないと。ハヤク、もっと早く。
「僕には、時間がないんだ。お前を壊せばそれで終わるんだ。」
「何いってやがる」
アクマの塊が1体壊される。
「冬桜 スノウ・クレイシス」
カードを2枚取り出しそれぞれの特徴を導き出す。
雪が舞い桜が踊る。
そして、僕が歌う。
雪が閉じ込め、桜が囲む。僕が止めを——…
「リっくん」
トドメヲ—
「リっくん!」
「———っ!伯爵!?」
バッと伯爵の方を見ると、何かを始めるから来なさいとでもいいそうな顔でこちらを見ていた。
「………」
ルギアを無視してすぐに伯爵の元へ向かう。
一瞬だけ自分の意識を手放していた。危なかった。
すごく危なかった。後もう少しで——
——殺してしまう所だった。
「冬桜 スノウ・クレイシス」
一瞬何が起きたのか分からなかった。
急に、雪が現れて俺を閉じ込め桜が攻撃しようとするのを止めている。
意味が分からなかった。
最後に、何も抵抗できなくなり壊される、そう思った時すぐにリクトは、どこかへいく。
正直いって危なかった。
もう少しで殺される所だった。
「——っ あれは?」
嫌な予感がして伯爵の方をみると何か黒い膜みたいなものが包んでいる。
それは、威力をましでかくなっていき、近くの建物を崩壊させてゆく。
「一体なんだってんだよっ!」
そのまま意識は遠くなる。
結局、こうなるのかよ。 結局。こう、なるのかよ。
ごめんなルキア。奇麗なままの体で目覚める事が出来なくて。
俺は、最悪な奴だ。
『まだ、終わってない』
『!?』
- Re: D.Gray-man 寄生された右目 ( No.500 )
- 日時: 2012/07/25 14:07
- 名前: 有栖 (ID: vDb5uiaj)
「オギャァ オギャァ」
「——産まれましたよ。貴方の赤子です。とても元気な女の子」
「私に…見せて?」
看護婦は、今産んだお母さんらしき人に赤子をみせる。
お母さんは、その子を見て微笑んだ。
「ほら、貴方。新しい命が産まれた。今、何をしているの?速く帰って来てね。」
「名前は、何にするんですか?」
「名前? そうね。私のルキと貴方のアを取ってルキア。」
お母さんは、ルキアをあやしながら言った。
お父さんも今、この場にいないのにも関わらず話しかけるように。
数日たって、赤子もお母さんも無事退院。
お母さんは、久しぶりに家へ帰宅。
「ほら、ルキア。ここが私達の家よ」
ルキアは笑う。母も笑う。
—奇妙な右目を持って生まれてきた—
「たとえ、ルキアの目が赤くたって私は気にしないわ。だって大事な大事な私の子供ですもの。」
だけど、そんな幸せな日々も長くは続かなかった。
そう、隣の人から苦情が来たのだ。
『貴方のとこの子が呪われているからこっちまで被害をうけちゃったじゃないの!前より風邪をひきやすくなったのよ!!』
『私の子供が貴方の子供に怪我されたといってるんです。もう、外に出さないでいただきますか?気持ち悪い。』
『もう、ここから引っ越して下さい!迷惑です!!』
次々と。次々と。
ついには、隣の家の人が母が留守中に鍵をこじ開けて中に入りその子供をいじめる始末。
そのたびに家の中は荒れ、子供は泣いていた。
母もどんどんやつれてきていた。だけどくじけなかった。
決して、諦めなかった。
でも、駄目だった。母の内なる心が外へとでてしまった。
—ずっと親から虐待を受けてきた—
「お前みたいな子供が産まれてきたから、こんなことになってしまったじゃない!」
「なんでこんな子が産まれて来てしまったの!?」
そういいながら殴るなり叩くなりひどかった。
「泣くな!お前が泣くとまた隣の家から文句いわれるだろ!!」
—殺されかけたこともあった—
「お前なんて産まれてこなければよかったんだ!」
ついには、包丁を取り出し、ルキアの少し長い髪を持ち上げ首元に包丁を突き付ける。
—たまに記憶も消えていた—
でも急に髪を持ち上げるのをやめて包丁を安全な所へと吹っ飛ばす。
「なんで、私可愛いルキアの髪を持ち上げて包丁なんて持っていたの?」
「正気か。お前は、今俺を、俺の体を殺そうとしたんだぞ」
「貴方は、ルギア…ルギアの方ね…ごめんね。ごめんなさい。気付いたら包丁を持って暴れているの。気が付いたらルキアを壊そうとしているの…」
「………」
「許してくれないわよね。だって、ルキアの大切なもう一人の自分だから。」
「………」
「いいわ。いいの。それでいいの。憎んでくれて構わない」
「別に憎んでる訳じゃない。お前という存在が悲しすぎるんだ。」
「……ありがとう……ルキアは、ルキアは今なんて思っているの?」
「……怖い。コワイ。もうここにはいたくない。逃げたい。どこか、遠くへと。言葉にするならこんな感じだ」
「そうね…私、まだまともに言葉を教えていないもの。でも、貴方が消えたら又…」
「………あれに戻るな。不思議なことだ。あぁ本当に。」
「逃げてもいいわ。今すぐにここから逃げて欲しい。これ以上いたら私は自分の手でルキアを殺してしまう。」
「俺には、どうにもできねぇんだ。悪いが自分で頑張ってくれ。」
「……頑張ってみるわ。でも、また殺してしまいそうになったらまた出て来てくれる?」
「お前が言わなくても出てくるさ。俺の体だ。」
「ありがとう…ありがとう…ありがとう…」
「いつだって危険な時は、無理矢理出てきてやる」