二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】 夢を叶えようか ( No.10 )
- 日時: 2011/12/12 20:15
- 名前: ジェクロ (ID: ubJFnUz6)
「緑の野菜はおいしいな〜、特にキュウリがおいしいな〜」
寝室におかしな歌が響き渡る。
声は女の声だが、誰の声か分からない。
銀時はうるさくて目を覚ますと、そこには見慣れた風景に見慣れないものがあった。
「あ、やっと起きた、てか寝癖ハンパねぇな」
銀時は起き上がると、昨日会ったばかりの男——神咲緑が、女声で変な歌を歌っていた。
そして、その周りに大量の植物が生えていた。
「おい緑茶、何してんだよ」
「見ての通り、植物栽培だけど」
「何で生やしてんだよ、てか何で生やせるんだよ」
「生やせたからに決まってんだろ」
緑は、できたてのキュウリを採り、そのまま食べる。
その横には、できたてのキュウリが大量にあった。
「てか、何で声が女の声なの? お前オカマなの?」
「オカマじゃねーよ、俺は女だよ」
「…………は?」
4:……あの、もうどっちでもいいです。
万事屋の居間。
「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇえ!? 野原さんって女性なんですか!?」
居間に新八の声が響き渡る。
机にはご飯と味噌汁と魚が並んでいた。
「全然気づかなかったアル!」
「良く言われてます、茂茂さんは俺を男として育ててきましたから」
緑は、さっき寝室で育てたキュウリを味噌汁につけて食べる。
彼女曰く、つけキュウリらしい。
それを見た三人は、一瞬固まったが、不味そうではないので、特に気にせず朝食を食べ始めた。
「さっきの話の続きなんですけど、茂茂さんって……」
「茂々さんは、俺の義父です、徳川茂茂と言って、今の征夷大将軍です」
そう言った瞬間、三人は箸を落とす。
徳川茂茂……このかぶき町、いや、この国全体を治める偉い人。
何度か会った事があるが、会ったら必ず茂茂が悲しい結末が起きる。
「倒れているところを拾ってくれたんですよ。
最初は自分は天人だから、嫌がってたけれど、慣れたらそういう感情とかなくなりました」
そう言った瞬間、三人は次は茶碗を落とす。
だが、なぜかご飯はこぼれなかった。
「あっ……天人だったんですか!?」
「はい、あれ、分かりませんでした? 髪の色で見分けれるはず……」
「あ、本当ネ! 私、髪が黒色じゃないアル!」
そういえば、神楽ちゃんは夜兎だったよね。
新八は普通の地味な人間だから黒色だし。
銀時の髪は——
「銀時の髪は白髪だしね!」
「ちげーよ! 地毛だよ! 白髪で天パだったら最悪な主人公じゃねーか!」
「違うのか、ツマンネ」
「つまんねって何だよ!? テメェ! そもそも髪の色なんか関係ねーし! 黒髪の天人だっているし!」
あ、そうなんだ。
そう思った瞬間、突然玄関が吹っ飛び、炎に包まれた。
「おはようございます、銀時様、神楽様、新八様、家賃を回収しに来ました」
玄関には、たまがいた、たまが持っていたモップから、炎が出ている。
四人の頭は、いつのまにかアフロ状態になっていた。
……普通に尋ねようよ……普通に……。
「家賃、ピッタリだよ、たま、ご苦労さん」
「ありがとうございます、お登勢様」
お登勢はお金を茶封筒にしまう。
そして、袖のポケットにしまいこんだ。
「で、緑茶だっけ? 新しく上で住む奴」
「違います、緑です、神咲緑です」
絶対に銀時が教えただろ。
まぁ、他の二人が言っても、結果は変わらないけど。
緑は客が座るソファに腰掛けた。
「そうかい、私はお登勢って言うんだよ」
「そうですか、よろしくお願いします」
お登勢と軽くあいさつをすると、隣から猫耳を生やした人間が現れる。
……つーか、これ人間?
「初メマシテ雑草サン、私キャサリン、オ前ヨリ先ニ住ンデルカラ、言ウ事聞ケヨ」
「そうですか、残念ながら俺は片言は聞けませんので、何言っているのか分かりません」
キャサリンは「ンダト! コノ雑草ガ!」と暴れ始める。
だが、たまの火炎放射により、強制的に止まった。
「すみません、神咲様」
「たま、違うネ! グリーンの本名は、ゴット・グリーンと言うアル!」
……え?
いやいやいや、違うよ神楽ちゃん、俺ゴット・グリーンじゃないよ!?
「了解しました、ゴット・グリーン様」
「あの、了解しないでください」
緑は、自己紹介をし、軽く話した後、外へ出ることにした。
銀時達は、めんどくさいため、行きたくないと言ったので、一人で出ることにした。
彼にとってかぶき町は初めてなので、迷わないように歩く。
しっかし本当に広いなぁ……。
いつも家の中から眺めていたから、感覚マヒしてんのかな。
しばらく歩いていると、地面に座って、顔を隠している人がいた。
こんな都会に、こんな人がいつのは珍しいと思った緑は、その人の前で足を止める。
なんだろう、このロンゲの人。
お坊さんかな。
「お坊さんじゃない、桂だ」
…………。
「あの、心読まないでくれませんか?」
「ああ、すまない、何か声が聞こえてから、つい」
……なんで心読めるの? 銀時もだけど。
てか、あの髪、カツラだったんだ。
「カツラじゃない、桂だ!」
……あの、もうどっちでもいいです。
緑がそう思った瞬間。
こちらに向かってバズーカが撃たれる音がした。
「かーぁぁぁぁあああつーぅぅぅぅうううらーぁぁぁぁああああ!!!」
声とともに爆発音が鳴り響く。
そして、煙の向こうには、黒い服の集団が現れた。
「年貢の納め時だぜィ、桂とその仲間」
その……仲間って……俺!?
そう思った瞬間、桂と言う男は、全速力で逃げ出す。
それにつられて、緑も走り出す。
いや、走り出してしまった。
「待てィ!!」
黒い服の集団は、いっせいにこちらへ向かって走り出す。
……つーか俺……完全に巻き込まれてるじゃん!?
- Re: 【銀魂】 夢を叶えようか ( No.11 )
- 日時: 2011/12/07 14:38
- 名前: ジェクロ (ID: ubJFnUz6)
「かーぁぁぁぁあああつーぅぅぅぅうううらーぁぁぁぁああああ!!!」
クリーム色の神の男は、容赦なくバズーカを撃つ。
かぶき町は爆発音に包まれた。
て言うか、何なのアイツ等! 町を滅ぼす気!?
5:「まず食べ物を武器にすんなぁ!!」
「おい! そこのロンゲ! これ完全に俺巻き込まれてるし! どうすればいいんだよ!」
「ロンゲじゃない! 桂だ! そもそもお前がついてくるからだろう!」
「うるせー! 俺はまだ死にたくねーんだよ!」
2人がもめている横に、バズーカが撃たれる。
桂は軽々とかわすが、緑はギリギリかわす。
て言うかなんで桂って言うロンゲは慣れてんだよ!?
「ロンゲじゃない、か」
「うっせー! テメーは黙ってろ!」
まず心を読むなよ!
走り続け、少しペースが遅くなる。
すると、『ベチャ』と変な音がなった。
なんだろうと、足元を見てみると——あんぱんがあった。
「……へ?」
黒い服の集団の方を見てみると——
ミントンラケットを持ってた男が、大量のあんぱんを投げていた。
えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??
なぜにあんぱんんん!?
ミントンラケットを持った男は無表情で「ヘイ、ヘイ」と投げている。
しかも、すごく正確に。
「おい! ロンゲ君! なんであの人、あんぱん投げてんの!?」
「知らん! あんぱんにトラウマがあるからだろう!」
「いや、あったとしても、無表情すぎるよ!? まず食べ物を武器にすんなぁ!!」
走っていると、足にあんぱんのあんこが飛びはね、足につく。
汚ッ!! 俺、甘ったるいものは苦手なんだけど!?
てか何でミントンラケット持っんの!?
後ろに気ををとられすぎた瞬間。
前からもバズーカがうたれたのが分かった。
「なっ!?」
「うわっ!!」
二人はギリギリにかわす。
そして、かわした後、前をみると、やはり黒い服の集団だった。
その先頭にいた男は、タバコを足で踏み消し、腰の刀を抜く。
「うろちょろ逃げてんじゃねぇよ、桂と緑の髪の男が」
……それ完璧俺の事だよね?
俺何かした? 悪いことした!?
そう思った瞬間、黒い服の集団達は、腰の刀を抜く。
そして、一瞬にして二人を囲んだ。
「ちょ!? な、刀なんて無理無理無理」
「お前、そんな事言うとは……もしかして侍じゃないのか?」
「そーだよ!? 俺は善良な一般人だよ!?」
「桂とつるんでる奴はだいたい変なことに絡んでやがる可能性がたけぇ」
「俺ァ、土方が死んでくれたら別にどうでもいいですぜィ」
「関係ねーだろ!!」
完全に囲まれてる。
てか、町のど真ん中で何やってんの? 俺等。
てかこいつ等誰だよ、ロンゲ君も何で追われてんの?
「知らないのか?
俺達は武装警察真選組、そしてお前の隣にいるのは、攘夷志士の桂小太郎だ」
……は?
——……
てか何で心読めるんですか?
は? お前がしゃべってただけだよ。
……マジで?
- Re: 【銀魂】 夢を叶えようか ( No.12 )
- 日時: 2011/12/12 20:16
- 名前: ジェクロ (ID: ubJFnUz6)
「真選組って……警察ですよね? こんなハデにやっちゃっていいんですか?」
「警察だからいいんでィ」
いや、普通駄目じゃね?
6:キュウリの塩漬けでも作ろうかな。
ヒュウ、と風邪が流れる音がする。
数分の沈黙、だが緑は半泣きしそうな顔をしていた。
そして桂は、ゆっくりと刀を抜いた。
「いけー!」
土方と呼ばれた男が合図をすると、真選組は一気に攻め始めた。
桂は目を細くする、緑は死んだ目をしていた。
何!? 何でいきなりバトルするの!?
何で戦かわなきゃいけねぇの!?
それ以前に俺、何かやった!?
とりあえず、この場から逃げるため、この囲まれた所から逃げることを先にする。
ほぼ全員、桂の方を襲っているため、緑の存在に気づかない。
緑は四つんばいになって、こっそりと抜け出した。
……何とか逃げ切れたけど、ここで逃げたら、何かまた追われそうになるしなぁ……。
まぁいいや、ロンゲさんの活躍でも見守っておこう。
桂を見守って一分後、飽きたらしい。
暇なので、緑は自分の手を地面につけ、離すと草が生える。
これぞ——緑の能力だ。
緑の能力は草木を生やす能力ではなく、種に栄養を分ける能力を持っている。
自分の肌に種を無限に埋め、その種に栄養をあたえ、草木の成長を速くする事ができるのだ。
あーあ、暇だなぁ……、キュウリの塩漬けでも作ろうかな。
緑はキュウリをもぐもぐと食べ、また新しく作り始めた。
てぁ、すげーなー。
真選組とか、攘夷志士とか、茂茂さんに色々聞いたことあったけど。
これ、一種の戦争じゃん。
そんな暢気な事を考えながら、キュウリを育てる。
そして、家出する時に使うと思って持ってきたミネラルウォーターの中に、家からとった塩を大量にかける。
その中にキュウリを大量に入れ、ペットボトルをふった。
キュウリの塩漬けって作ったことないけど、漬ければいいよね。
……うまそうだな。
緑はヨダレを垂らしながら、ペットボトルをふる。
すると、ボン、と大きな音が鳴り、周りは煙に包まれた。
「はっはっは! さーらばー!」
桂は煙弾的な物を投げた後、光の速さで去っていった。
……てか、捨て台詞悲しいな。
緑はペットボトルの中のキュウリを取り出し、もぐもぐ食べる。
「俺にも一本キュウリくだせェ」
「あ、はい、どうぞ」
緑はクリーム色の髪の男に、キュウリを一本渡す。
そして、無言でもぐもぐと食べていた。
普通、色々と疑問が浮かぶが、めんどくさいため、緑は考える事をやめた。
「おい、一番隊はここの周辺を探せ、奴はまだ近くにいるはずだ」
「副長! 沖田隊長がいません!」
「んだと? さっきまでいやがったのに……、総悟は俺が探しておく、お前等じゃ先に行け」
「ハイ!」
真選組の人は、土方の指示通りに素早く動き始める。
ただし、緑の隣にいる人意外。
て言うか、何で皆気づかないの?
キュウリ食ってるから?
緑と沖田と呼ばれた男は、二本目のキュウリを食べていた。
しかも、体育座りで。
「オイ、総悟、テメー何日向ぼっこしてんだ」
「日向ぼっこじゃねぇですぜィ、この人捕まえてんでさァ」
「嘘ついてんじゃねーよ」
冷静にツッコミをした後、土方は煙草に火をつける。
……てか、上司に向かってよく嘘つけるね、この人。
沖田はキュウリを全て食べて、立ち上がった。
「土方さん、今日はついてますぜィ」
「何言ってんだ、桂は逃げられるし、その仲間は——」
そこまで言った後、土方は緑の顔を見る。
桂とともにいた緑の髪の男。
逃げたと思ったが当たり前の様にここにいる。
「ほら、ついてるじゃないですかィ」
「そうだな、そこの緑の男、ちょっと屯所まで行こうか」
「……へ?」
そう言った瞬間、二人に腕を捕まれる。
……これって……もしかして俺、捕まるの!?
嘘ォォォォ!?
そして、引きずられながら、屯所へ連れて行かれた。
- Re: 【銀魂】 夢を叶えようか ( No.13 )
- 日時: 2011/12/12 20:18
- 名前: ジェクロ (ID: ubJFnUz6)
「あの……すみません、さっきから言ってるんですけど、俺あのロン……桂さんと初対面なんですけど」
「それを確かめる為にきたんでィ、ここに書いてある通りに書いてくだせィ」
目の前にあるのは、個人情報を書く紙。
名前、住所、性別、出身……。
てか、俺、万事屋の住所分かんないんだけど!?
7:「女が全員、胸があると思わないで下さい」
とりあえず、分かるところは書き、分からないところは適当に書く。
二人が見守っている中なので、変な事はあまり書けない。
書く気もなかったが。
て言うか真選組がこんな事していいの?
俺、茂茂さんの義理の息子なんだけど、しかもかなりレアな天人だけど!?
……ここに茂茂さんに付けられた名前を書いたら、腰抜かすよね、この人達。
そんな事したら、家に戻されるからやらないけど。
……ま、嘘はつかない人間になれって、茂茂さんに言われたから、とりあえず本当の事を書いておくか。
緑はしぶしぶ書き始めた。
「……できました」
緑が紙を差し出すと、沖田は取り上げるように取る。
嘘なんて一つも書いてないからね! 本当だからね!
心の中でそう信じた。
「神咲……? スゲェ名前だな」
「ゴット・グリーンじゃないですかィ」
……思ったんだけど、ゴット・グリーンって何?
神の緑って何、流行ってんの?
「土方さん、嘘臭ェ情報が結構あります」
「本当だな、しかし嘘にしては堂々とした字で書くな」
……いやソレ、一番自信ある奴なんだけど!?
何!? 変なところあった!?
しばらくして、土方は、バン、と大きな音をたてて紙を机の上にだす。
赤いチェックが付いているところが、三、四個あった。
「赤いチェックがあるところは、疑問があるところだ」
「ま、俺達の質問に答えてくれれば、捕まる可能性は少なくなるでィ」
緑の顔に笑顔が戻る。
そして、二人は質問し始めた。
「えーと、まずテメー女じゃねぇだろ」
「……は? 俺は完璧な女の子です」
「嘘つけィ、お前胸ねーだろ」
「女が全員、胸があると思わないで下さい、声も女声にしろと言ったらできる、立派な女です」
そう言って「あーあーあー」と女声を出す。
それを見た土方は、一様女と認めた。
「次は——、出身に『Green』って書いてあるんだが、こりゃ何処の星だ? テメーの頭ン中か?」
「知らないんですか? 『Green』は木だけでできた星です、珍しい星らしいですよ」
「で、アンタはそこの星から来た天人って事ですかィ?」
「はい、育てられたところは地球ですが」
二人は半信半疑で聞く。
その結果、スルーする事にした。
……酷くね?
「とりあえず次、電話番号だが……1192-1192って何だ」
「あ、それは嘘です、鎌倉幕府の年号です、電話番号忘れました」
「そうですかィ」
沖田は面倒になったのか、電話番号の欄を赤いバツ印をつける。
……よかった! それだけでいいんだ!
「最後、住所が万事屋ってどう言う事だ?」
「万事屋の住所が分からなかったからので、万事屋と書きました」
「本当に住んでるんですかィ?」
「はい、依頼としてです、大量のお金渡したら住んでくださいとお願いされました」
土方は少し考える。
長い沈黙の後、紙を内ポケットに入れた。
「最後に聞くが、テメーは桂の事知らねーんだな」
「はい、今日知りました」
「そうか」
何かを納得した後、土方と沖田は部屋から出て行こうとする。
「ちょ、どこ行くんですか?」
「テメーの住んでるとこ行って来るんでさァ」
——は?
どゆこと? ソレ。
- Re: 【銀魂】 夢を叶えようか ( No.14 )
- 日時: 2011/12/12 20:41
- 名前: ジェクロ (ID: ubJFnUz6)
『万事屋銀ちゃん』のドアの前に、警察らしき人間がいる。
武装警察真選組の副長、土方十四郎、隣には一番隊隊長、沖田総悟。
そして、その後ろには、手錠をつけられた緑がいた。
……なんで手錠つけられてんの? 俺。
8:てかこんなデカイ犬いたんだ。
ピンポーン、とチャイムが鳴る。
すると、まるでいないかの様に音が消えた。
「御用改めである、真選組だ、さっさと開けろ」
だが無反応。
しかし、銀時達のヒソヒソ話が、うっすら聞こえてくる。
(おい新八、なんか面倒くさい奴が来てるんだけど、帰らせてくんない?)
(嫌ですよ、銀さんが言ってください)
(やだよ、やりたくねーよ、神楽、行ったら酢昆布やるから行って来い)
(嫌アル、会いたくないネ)
(んだよ、使えねーな、誰か行けよ、オイ)
ヒソヒソ話が完全に聞こえる。
もはやヒソヒソ話ではない。
……つーか、どんだけ嫌われてんの? この人達。
しばらくすると、ヒソヒソ話から押し付け合いになってくる。
待つのが疲れた沖田は、何かを用意し始める。
「おい、総悟、何してんだ?」
「何って、見りゃ分かるじゃないですかィ、バズーカですぜ」
「ちょ!? ここ壊す気ですか? ついさっき直したばっかなんですけど!?」
「大丈夫でさァ、これは実弾じゃないといいのにな」
「えぇ!? 実弾なんですか!?」
緑は必死に沖田を止める。
その会話が聞こえたのか、ドタドタと走る音がする。
そして、大きくドアが開いた。
「ワンッ!」
……は?
目の前には、犬と思えないほど大きな犬がいた。
「ワンッ!」
……いや、「ワン」って言われても。
てかこんなデカイ犬いたんだ。
「……オイ神咲緑、なんて言ってんだ?」
「いやいやいや、分かりませんから、あとなぜにフルネームなんですか」
「俺には分かりやすぜ、『死ね土方』って言ってんでさァ」
「嘘つけ」
土方は冷静なツッコミを交わした後、とりあえず中に入ろうとする。
その瞬間、
土方の頭を丸ごと食べられた。
——……
沖田さん……でしたっけ?
なんですかィ?
犬の言葉……分かるんですか?
…………
(あれ、ノーコメント!?)
- Re: 【銀魂】 夢を叶えようか ( No.15 )
- 日時: 2011/12/13 20:11
- 名前: ジェクロ (ID: ubJFnUz6)
「ちょ、土方さんだっけ? 大丈夫ですか!?」
「よくやったネ、定春」
「これで副長の座は俺のモンでィ」
少しは心配しろよ。
9:「ちょっと捕まっちゃって」
土方は、定春という犬の口から、何とか抜け出す。
見事に血がダラダラ流れていた。
そんな状態でも、スタスタと中へ入っていく。
……新八君、片付けお願いします。
俺、絶対やりませんから。
そう思いながら、緑はノコノコと進む。
土方はイライラしていたのか、居間の前にあるドアを思いっきり開けた。
「おいテメェら! 人食う犬なんざ買ってんじゃねぇ!」
血まみれの土方は、ほぼ半ギレしていて、ゼェゼェと息切れしていた。
そりょ食われたら苦しくなるよね、二酸化炭素しか入ってないもんね。
「ちょ、土方さん、大丈夫ですか!?」
「大丈夫なわけねーだろ、血まみれだろーが」
「本当ネ、マヨネーズ肌にケチャップがいっぱいついてるアル」
「おいおい勘弁してくれよ、お前はマヨネーズで十分キャラ立ってるだろ」
「うるせぇ! テメーは黙ってろ!!」
苛立ちを抑えるように、タバコを取り出し火をつける。
そこで持っていたのは——マヨネーズ型のライター。
本当に好きなんだ、マヨネーズ。
て言うかどこで買ったんですか、ソレ。
そんな暢気な事を考えながら、緑はソファに座る。
新八は、いつもの習慣なのか、何も言ってないのにお茶をだす——が、ある事に気づく。
「あの、野原さん、その手錠なんですか?」
「あ——……ちょっと捕まっちゃって」
「グリーン、何したアルか!? もしかして食い逃げアルか!?」
「大丈夫です、食い逃げじゃありません」
神楽は無理矢理その手錠を外そうとする。
だが、外れる気配はない。
「神楽ちゃん、外そうとしてくれるのは嬉しいんだけど、あの、凄く痛い」
そんな事を話していると、土方は思い出すように言う。
「その事についてだが、神咲緑は、攘夷志士の桂のヤローとつるんでたため、一度捕まえた」
「んで、俺たちもつるんでんじゃねーかって事か?」
「ま、そういう事だ、元々くせぇ奴等だから、この際聞くのが早いと思ってな」
土方は大きく息を出す。
それとともに、煙が部屋中に広がった。
……臭。
てか、聞きに来ただけなんだ、それなら。
「聞くだけなら、手錠外してくれませんか?」
「駄目でさァ、手錠がなくなったら面白みが無くなりやす」
「それだけの理由なら外してくださいよ!」
だが沖田は無視し、黒い笑みでこちらを見る。
そんな沖田を見て、緑は諦めたように溜息をついた。
……銀時、もう早く言ってくれない?
お茶飲めないの辛いんだけど。
それを察したのか、銀時はしかたなく話し始めた。
「知らねーよ、ヅラ輝彦なんて聞いたことねぇ」
……あの、ヅラ輝彦じゃないよ、てか誰だよソレ。
頭輝いてんの?
「そーアル、ヅラヅラ太なんか知らねーヨ、だから帰るヨロシ」
神楽はハエを払うように手でシッシとふる。
てか、のびのび太みたいに言うなよ。
「はら、知らないって言ってるじゃないですか、早く手錠を外してくださいよ」
「あれ!? 僕の意見は!?」
「同じだと思うので、どうでもいいです」
新八が激しい突っ込みをするが、緑はとりあえず無視する。
すると、土方の携帯から、着信音が鳴った。
「んだぁ?」
『副長! 大変です! 実は——』
あせった声が部屋に響く。
土方は「分かった」と言い、立ち上がった。
「総悟、仕事だ、さっさと行くぞ」
「分かりやした、あとこれ、おみやげでっせ」
沖田は机にせんべいを置く。
神楽はそのせんべいをかぶりついた。
……やっと帰った。
そう思って安心した後、せんべいを食べようとする——が、
それを食べてうずくまった神楽がいた。
「か、神楽ちゃん!? 大丈夫!?」
新八が心配して神楽に駆け寄る。
神楽はかすれた声で言った。
「か……」
「か?」
「辛ェェェエエエエ!! アイツ激辛せんべい置いてきやがったネ! 殺してやる! 絶対に殺してやるゥゥゥウウウ!!
ぱっつぁん! 水! 水くれェェェエエエエ!!」
そう言って神楽は半泣きで台所へと走っていった。
——……
あの……野原さん。
はん、何ですか?
手錠……。
……あ。