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Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと黒影の亡霊 ☆番外編2☆ ( No.363 )
日時: 2013/03/01 10:38
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)

第5章 異変を感じたミジュマル…その正体は?

(ストーリーモード:ミジュマル)

その頃、街中が寝静まった時刻…深夜2時ちょうど。バンの部屋でベッドの中に入って爆睡していた。
バンも気持ち良さそうにして寝息を立てている。その時…何か物音が聞こえた。

『カタッ…』

眠そうに目を擦って起きた僕は不思議そうに見上げた。
机の上に置いてある通信機が鳴っているかと思ったが…どうやら、違ったらしい。

「ミジュ?」

首を傾げていると、窓の外に何かが飛んだのを見つけた。寝ているバンを起こさないようにしつつ、慎重に腕の中から抜け出す。
机の引き出しを梯子にして上り、そこに着くと…窓から何か見える。ソッとカーテンを少し開けて見た。

「…ミジュ!?」

鳥ポケモンに乗っている、謎の男…確か、Lと言ったか。ちょっと厄介なことになりそうだ。
Lは僕の姿に気付いて、窓の前まで近づいてきた。まるで、僕を付け狙っている…そんな感じがした。

「やっと見つけたよ…ミジュマル」

冷たく言い放つLの姿を見て、何も言えないで居る…それが嫌だった。
いつも優しくしてくれるバンのところが良い…僕の面倒を見てくれるし、遊び相手をしてくれた。

「ミジュ、ミジュミ、ジュマ!」

お前なんかに攫われるもんか、僕はバンのところにいるつもりだ。Lがいると余計に嫌になる。
そう思って言ったつもりでいた…その時、後ろのベッドから眠そうな声が聞こえた。

「んぁ…ミジュマル、机の上で何やってんだぁ?」

後ろを振り返ると、眠そうに目を擦りながら起きたバンの姿…僕が居ないことに気付いて起きたらしい。
バンに言おうと思ったその時…Lが窓の前に居ることを思い出す。恐怖と憎しみが沸いてきて、何も言えない。

「ん…?」

眠そうに欠伸するバンはベットから降りて、机の上に居る僕のところまでやってきた。
ふと、カーテンが少し開いていることに気付いて閉めた。バンの優しいところは変わっていない。

「ミジュマル…さっきから窓の外を見て、どうしたんだ?」

バンは苦笑しつつも、誰もいないって言ってくれた…今、話しても大丈夫なのか。
彼に言ったら…Lに殺されてしまうかもしれない。その恐怖と不安が渦巻いてきて、ビクッと怯えた。
そんな僕の様子を見たバンは溜息をつきながら、優しく抱きしめる。僕の気持ちを察したのか、無言で何も言わなくていいというしぐさをして頷く。

「話は朝になってから聞くよ。今日はゆっくり寝ような」

バンの優しさに触れていくことで、不安が解消されるかもしれないと思った。
しかし、彼に言っても分かるはずがない…昨日はあんなことがあったから、何も言えないでいた。
朝になってから、話すことで気を紛らわせればいいと思うこともあった。けれど、バンがいるから安心できたのも大きい。

***

翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえてくる。カーテンの隙間から太陽の光が差し込まれていた。

「ミジュ…」

眠そうに起きたのと同時にカーテンのかかった窓を見上げる。
昨日、Lと再会するなんて思わなかった…バンに見られなくて済んだから良かったけど、どうしようもない。

「ミジュ…」

元気のない僕を気遣ってくれるのも、バンがいて当たり前の日常だ。
でも、バンはまだ爆睡しているせいで気持ち良さそうに寝ていた。
彼を起こすのも気が引けた…昨日のことで怒らなければいいと思っていた僕はバンを見つめている。

「……」

何も言えないで居た…その時、眠そうに唸りながら起きたバンは僕を見て、頭を優しく撫でてくれた。

「おはよ、ミジュマル…」
「ミジュ…」

不安そうに見つめていた僕の頭を撫でていたバンはゆっくりと上半身を起こして、眠そうに欠伸した後に両手で抱きしめた。

「ミジュマル…昨日のことで話したいことがあるから、ちょっと良いか?」
「ミジュ…」
「よし、そうと決まれば…あそこに行こうか」

机の方を指差しながら言うバンに従って、大人しくしていた。
案の定、何をされるか分かったもんじゃないと言いながらも思わず苦笑した。
机の上に僕を置いたのか、バンは両手で翻訳機能ヘッドフォンを耳にセットする。

「さて、ミジュマル…昨日のことなんだけど…何かあったのか?」
『Lに会った…』
「L? 誰なんだ、そいつは?」

Lという人物に聞き覚えがなかったのか、バンは腕を組みながらも首を傾げた。
確かによく考えれば、バンたちは異世界で起きた出来事を知らない。

『僕らが居た世界はイッシュ地方なんだ。僕たち、そこに住んでいたんだけど…』
「住んでたことだけは分かったけど、そのイッシュ地方で何が起きたのか?」
『うん…イッシュ地方に存在する最初のポケモン…僕とポカブとツタージャの3体。その3体を付け狙う悪者がやってきたんだ』

イッシュ地方で起きた出来事を話しながら、バンに詳しく説明した。
僕の話を聞きながら、眠そうに頷いて聞いてくれた。バンは気になったことを思い出したのか、僕に問い詰めた。

「じゃあ、Lというヤツがポケモンを攫った悪者なんだな?」
『うん…でも、昨日の夜に見たんだ』
「見たって…まさか、窓の外に居たのは------------』

Lだということを示唆する…そこまで追い詰められているということを察したのか、バンは考えあぐねていた。

「そこにいたのが、Lだとして…そこに現れたなら、厄介なことになるかもな」
『うん…そいつが鳥ポケモンに乗ってたから、間違いないよ』
「昨日、ミジュマルが声を出してたから珍しいなって思ってたんだけど…そういうことだったのか」

バンは腕を組みながら納得したようで、何かが起きようとしていることは間違いなく読み取れた。
その時、部屋のドアを開く音がしたのと同時に振り返った僕とバン。

「おはよう、バン! それにミジュマルまで…」
「ポカッ!」

ハルとポカブがやってきていたことに驚きを隠せなかった。
バンはミジュマルを見て、思わず溜息をつきながらもハルを見た。

「ああ、おはよう…」
「何、そのテンションの低さは…2人して、何を話し込んでるの?」
「ハル…お前、昨日の夜に不審な人物とか見かけなかった?」

バンがハルに問い質していることから察する限り、部活の帰りとかに見かけたかもしれないということだ。

「そういえば…見かけたような気がするけど、その時にポカブが珍しく怯えきってたからなぁ」
「ポカブが怯えていた?」
「うん…ポカブを抱えながら歩いていた時に鳥ポケモンみたいなのに乗っていた男の人を見て、急に怯えだしたの」

その台詞を聞いた僕はバンと顔を見合わせる。ちょっと厄介なことになってきた。
やっぱり尋常ではないことが伺えたので、嫌な予感が的中した。

「やっぱり、そういうことか…」
「どういうことなの、バン?」
「昨日の夜、ミジュマルがカーテンの隙間から少しだけ窓の外を見つめてたんだ」
「その窓の外に何かがいたってこと?」
「いや、何かがいたんじゃなく…誰かがいたってことになる」
「ええっ!? じゃあ、まさか…」

ポカブを抱えながら、ミジュマルを見たのと同時にハルは目を丸くして驚いた。
やっぱり、ポカブが見たのも…Lだったんだ。つまり、Lは僕たちを追いかけてきたということになる。

「ああ…。そいつの正体については、ミジュマルに聞いた」
「何か分かったの?」
「うん、そいつの名前は…L。ミジュマルとポカブがいたイッシュ地方というところにやってきた悪者なんだ」

Lという人物に聞き覚えがないのか、ハルも同感だった。
ポカブは不安そうに僕とバン、ハルを見つめている。どうやら、人違いではないことを示していることから考えると…Lがこの世界に来ていることは間違いないようだ。

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと黒影の亡霊 ☆番外編2☆ ( No.364 )
日時: 2013/03/01 11:34
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)

Lが来ていたことを示唆するのは、バンの言葉だった。それが決め手に欠けるとは限らない。
彼が居ることを察したのか、僕とポカブは不安そうに見つめていた。バンは腕を組みながら、ハルと顔を見合わせる。

「Lというヤツのことが気になるな…。直井さんとかなら知っていそうかもしれないし…」
「でも、Lが居ることを知らせるのも気が引けちゃうし…。直紀にも連絡しといた方が良いんじゃない?」
「そうだな…。何か変だったよな、ツタージャも様子がおかしかったと言ってたからな」

ツタージャの様子がおかしい…ということは、Lに関する事だろうか。
ポカブも、僕もちょっと引っかかった…ツタージャは冷静なところがあるのに、それに関しては敏感だったのか。

「じゃあ、Lというヤツがいるってことは…」
「そいつがミジュマルたちを攫っていった…ということになるな、それにヒロたちのポケモンも一緒に飛ばされたのか?」

チコリータ・ワニノコ・ヒノアラシの3体は確か、ジョウト地方のポケモンだったはずだ。
ジョウト地方でも何か起きていたのか…あるいは、Lがやってきたことによって飛ばされた可能性が高い。
よく考えてみたら、Lは僕らを占めようとして誘拐するつもりでいたということになる。

「Lがこの世界に来ていたのは、何か企んでいるということか?」
「いや…それは有り得ないわ。でも、何か気になるところなのは確かよね」
「ああ、そうだな…。仮にLがこの世界に来てもおかしくないはず…」
「うん…ポカブに関しては、ちょっと難しいところもあるし…。ねぇ、ミジュマルはどうすんの?」

ハルが僕を見つめながら、心配そうに気遣ってくれることが伺えた。
それに対し、バンは両手で僕を抱えながらも笑って頷いた。そうだ、僕にはバンがついてくれている。

「ミジュマルは俺が守る。Lに攫われないようにすることだけが俺たちの使命なのかもしれないな」
「そういうことだったら、私もポカブを守るわ。空手で叩きのめしてやるんだからねっ!」

ハルは両手でポカブを抱きしめたまま、右足を上げてキックを披露した。
バンはコクリと頷きながら、満足そうにして見つめた。僕も全く同感だったし、頼りになる仲間が居たことに感謝している。

「でも、問題は…」
「直紀を呼び寄せるかどうかってことね…」

2人で話し込んでいたその時、部屋のドアを開いたのと同時に直紀がやってきた。
直紀は話の展開についていけないのか、ツタージャを抱きかかえていた。

「あれ…話しこんでたのか。いったい、何の話?」
「直紀…お前、昨日の夜に不審な人とか見かけなかった?」
「えっ…不審な人?」
「そう。昨夜、ミジュマルとポカブがそいつを見かけたって言うからさ…。ツタージャはどうなんだ?」

バンは直紀とツタージャに優しく話しかけながら、すぐに問い詰める。
直紀は少し考え込んでから、何か思い出したようでツタージャを見て頷いた。

「そういや、あっちゃんと一緒に歩いていた時に何かが飛んでたなぁ…」
「何かが飛んでた…それって、もしかして!」

バンは僕の方に向いて、何もかも辻褄が合うことを示そうとした。もしかして、鳥ポケモンだったのか?

「やっぱり、ミジュマルとポカブが言ってたとおりだ」
「へっ? バン、どういうことだよ?」

直紀はツタージャを机の上におろして、僕と肩を並べるようにしてくれた。
バンは腕を組みながら、何か考えあぐねていた。さっきから僕とポカブを交互に眺めて考え込んでいる。

「3匹のポケモンがこの世界に飛ばされたのは、恐らく…。Lの仕業だ」
「Lの仕業ですって!?」

ハルが突っ込みながら、思わず声を上げた。直紀はLが何者であるかと言うことを知らない。
バンは直紀にLのことを分かりやすく説明しながら、僕たちを指差して話した。

「Lはイッシュ地方で、ミジュマルたちを攫っていったヤツなんだ」
「えっ…そいつは、この世界に来ているのか?」
「ああ。ミジュマルが居たイッシュ地方は…異世界だということになるんだ」
「つまり、異世界との繋がりができてしまった…ということだな」
「そういうことだ。でも、ミジュマルたちを付け狙うのは…どうしてだ?」
「その事について調べるのもありじゃない?」
「調べてみても、何か分かるはずじゃないしなぁ…」

3人で話し込んでいたら、母親がバンを呼ぶ。その声が聞こえたのと同時に朝飯を食ってくると言って、部屋を出た。

***

朝の出来事から数時間が経過して、夜12時ちょうど。部屋のベッドで寝ていた僕は微妙な音に気付いて起きた。

「ミジュ…?」

机の上にある通信機がけたたましく鳴っている。僕はバンの頬を叩いて起こす。
バンは眠そうに目を開け、寝惚けたまま見つめる。僕の様子を見て察したのか、ゆっくり話しかけた。

「ん…? あ?」 
「ミジュ、ミジュミ!」
「どうしたぁ、ミジュマル?」
「ミジュ、ミジュミジュマ!」

机の上にある通信機の音が漏れていることに気付いたのか、バンは眠そうに上半身を起こした。
机の前までやってきて、椅子に座りながらも僕を抱えたまま呟く。

「おかしいな…寝る前に消しといたはずなのに…。どういうことだ?」

バンは両手でヘッドフォンを持ちながら、耳に当てる。ヘッドフォンを操作しながら、画面を見つめた。
すると、何か通信が入っていることに気付いた。バンは首を傾げながら、応答ボタンを押す。

『あっ、やっと繋がったわ』

画面にテレビみたいな映像が現れて、いきなり驚く。僕はその画面に映った女性が誰なのか分かった。
イッシュ地方のカノコタウンに住むアララギ博士だった。こんな時間に通信してきて、どうしたんだろう。

「うわっ、画面に女の人が映ってる…。これ、ビデオチャットのようなものですか?」
『ええ、そうよ。まだ自己紹介してなかったわね、私はイッシュ地方のカノコタウンというところに住んでいるアララギ博士よ。よろしくね』

その台詞を聞いたバンはミジュマルを見て、イッシュ地方であることに違いないと納得した。
バンもアララギ博士に向かって、すぐに自己紹介した。

「初めまして。俺は山野バンって言います。こちらこそ、よろしくお願いします」
『バン君はどこに住んでいるの?』
「はい。トキオシティのミソラタウンに住んでます」
『トキオシティか…。ミジュマルたちはそこに飛ばされたみたいね』
「はい。どうやら、飛ばされたみたいですね」

バンは僕を抱きしめたまま、アララギ博士に向かって答える。アララギ博士は僕たちに向かって言い放つ。

『バン君…。Lという男には気をつけて』
「えっ…。そいつ、男だったんですか!?」

その台詞を聞いたバンは目を丸くして驚いた。Lは男だった…確か、そんな感じがしたのを覚えている。
なぜ、アララギ博士がバンに通信をかけてきたのか分かってきたような気がした。

『ええ、Lの正体について調べまくったわ。そしたら…意外なことが判明したの』
「意外なことって…いったい、何ですか?」

アララギ博士が言う、意外な事とはいったい?
Lのことがついに明らかになるまでは時間がかかる可能性が高まる。果たして、その真実とは?