二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜  42話更新 ( No.152 )
日時: 2010/12/18 17:59
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

42話〜精神世界の悲劇〜




「だ〜〜〜〜!!もう何なんだよこいつら!!?」

ナツが叫びながら走っている。後ろからは無数の木のモンスターが追いかけてきていた。

「しつけーな、あいつら」

「もう我慢ならねぇ!!」

ナツは振り返ると大きく息を吸い込んだ。

「ばっ・・止せナツ!!」

カムイがそれを見て必死の表情で止めに入るが、ナツは止まらなかった。

「火竜の咆哮!!!」

—ボオオォオォオォォンンン!!!!—

森の中で大爆発が起きて火柱が上がる。ナツとカムイは爆風で激しく吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたカムイはのそのそと起き上がると、近くで地面に突き刺さっていたナツを引き抜き、
顔を寄せて怒鳴った。

「馬鹿野郎!!!もう少しで死ぬところだったぞ!!!」

「ああ!!?死ななかったんだからいいじゃね〜〜かよ!!」

「そういう問題じゃねーーだろ!!」

「じゃあどういう問題だよ!?」

唸る二人をチーが必死に止めた。二人は睨み合いながらも目の前に広がる光景に注目する。
目の前には周りの木とは明らかに違うオーラを放つ大木が一本。

「でけーー木だな」

ナツが見上げながら言った。カムイは目をよく凝らして見ると、木に赤い何かが生っているのが見えた。

「見ろナツ。木にリンゴが生ってる。おそらくあれが幻のリンゴだな」

「本当か!?じゃあ、早速頂こうぜ〜〜!」

大木に駆け寄るナツ。と、途端に周りに濃厚な霧が出始めた。

「これは・・・。ナツ!!一度戻って来い!!この霧、ただの霧じゃないぞ!!」

カムイは叫ぶがナツからの応答はない。チーに頼ったが、この霧が邪魔して探知が出来ないらしい。

「ナツ!!ナツ!!!」

——————————?????——————————

「何だこの霧は。何も見えねーじゃねえか」

ナツは濃霧の中一人さまよっていた。右も左も分からないこの中をナツは我武者羅に走った。

「おいカムイ!!チー!返事しろ!!おい!!」

出る限りの声で叫ぶが応答はない。すると変わりに妙な声が周りに響いた。

『クスクス。無駄だよ、ここには今君以外の誰もいやしないんだ』

「誰だ?姿を見せやがれ」

『だってここは君の頭の中。君以外の存在が入れるわけがないんだから』

「ああ?何言ってんだてめぇ」

ナツはどこからともなく聞える声に睨む。声は更に笑いじみた声で続けた。

『そんなおっかない顔しないでよ。ここは君の頭の中だけどその頭は僕の手の中にあるんだ。
僕がその気になれば、君の頭を覗く事くらいできるんだよ』

「・・・!!何だ?頭が急に・・・!!」

突然の頭痛に苦しむナツ。と、声は更にはっきりした口調で言った。

『へ〜〜。君、ナツ君って言うんだ。フェアリーテイルのナツか〜〜』

「お前、どうして俺の名を?」

『言ったでしょ!?僕は君の頭の中を覗けるんだって。・・・ふ〜〜ん、喧嘩っ早くて楽観的、
強がりで強情っ張り。フフ・・・君みたいなタイプだと、中々女の子に好かれないでしょ〜〜??』

「・・・・・」

強がり、好かれない。そんな言葉にナツの中の記憶が蘇ってくる。

—強がりばっか言ってたら女の子に嫌われちゃうよ?—

—うっせ〜〜んだよ、リ・・・—

「うっせ〜〜よ、てめ〜〜」

記憶を消す様に頭を振った後、ナツはそう呟いた。声はクスクスと笑った。

『君自身もあまり女の子には興味ないでしょ?・・・ある一人は覗いてね』

「・・・っ!!」

ナツが苦い表情を浮かべる。立ち上がると周りの霧に拳を振り回し始めた。

「こそこそしてねーで出てこいや!!!こえーーのか!!?ああ!!!」

『もう、せっかちだな〜・・・。いいよ、出て来て上げる。ほら、君の前に!』

声が途切れるとともに辺りの霧が少し晴れ、多少視界が良好になった。
見るとナツの前の地面がモコモコと盛り上がり、そこから土に被った何かが現れた。
まだはっきりとは見えないが、ナツは目を丸くしてそれを見た。

「そんな・・・・うそだろ・・・」

ナツが後退るする。するとそれが笑い始めた。

『どうしたの?君のリクエスト通り出て来て上げたよ。しかも君の望む姿で。どう?似合ってるでしょ・・・』

土が地面にぼとぼとと落ちその姿が露わになった。

「ね、ナツ」

「リサーナ!!」