二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.11 )
日時: 2010/02/09 19:57
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)


 08 夢ならば




誰が、誰を撃ったの?

「な、何で、止めてよ・・・ どう、して・・・」(香澄)

頭が混乱し、自分が見た物を信じられない。
乾が、海堂を撃つなんて。
信じたくない。

香澄は、いつの間にか飛び出していた。


「乾先輩! 止めて下さい、お願いです、止めて!」(香澄)
「香澄・・・」(乾)

少し驚いたように、乾は香澄の名前を口にした。

「やれやれ、2人になってしまったか・・・」(乾)

それでも、乾は冷静だ。
香澄は、少しも冷静で何かいられないのに。

「まァ、こうなる確率は75%だったんだけどね」(乾)
「止めて下さい、その銃を、捨てて下さい・・・」(香澄)
「そう言うわけにもいかないんだよ、香澄」(乾)

こんなの、乾先輩じゃない。

「俺は、生き残りたいんだ」(乾)

涙があふれ出した。
自分は、なんて愚かだったんだろう。
“青学の人=信じられる”
こんなの、間違いだったんだ。
もう、自分が知っている“青学の人”じゃないんだ。
竜崎先生だってそうだ。
もう、自分が知っている人なんて、この世界には1人もいないんだ。
皆、初めて会う知らない人のように、変わってしまっているんだ。

だから、この人も乾であって、乾でない。

「先輩・・・ッ」(香澄)

香澄は、血だらけで倒れている海堂を守るようにして立った。
乾は、容赦はしない。
今にも、銃の引き金を引いてしまいそうだ。

「・・・ッ」(香澄)

この人に、元に戻って貰いたいのに、言葉が出ない。
冷たい瞳。
もう、何を言ってもダメなような気がする。
あんなにも人に会いたくて、誰かに会えたらいつものように笑えるような気がしていたのに。

今は、恐怖しか感じない。

「さようなら、香澄」(乾)
「・・・!!」(香澄)

壊れていく、私の心が。



パァン・・・ッ



銃声が、森に響いた。