二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.8 )
- 日時: 2010/02/09 19:30
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
05 悪夢
香澄の願いとは裏腹に、誰もが口をきけずにいた。
誰もが・・・信じられずにいた。
それでも、竜崎先生は淡々と説明を続けた。
「BR法は本来は中学3年生を対象に行われるが、今回のBRには関係ない」(竜崎)
「・・・ここにいる全員が参加者だ」(竜崎)
「せ、先生・・・」(香澄)
香澄は竜崎先生に呼びかけた。
だが、竜崎は冷たい目で香澄を見た。
もうそれは、昨日までの竜崎ではなかった。
選手を温かい目で見守っていた、あの目ではなかった。
香澄の頬を、涙が伝った。
「香澄・・・」(桃)
「ワケ分かんねェ、何なんだよ! こんな首輪取ってやる」(日吉)
氷帝の日吉が、反発した。
跡部は、首輪をさわろうとする日吉を見て、イヤな予感がした。
・・・そう言えば聞いたことがある。
BR法では首輪を無理矢理外そうとすると・・・
「止めろ、日吉」(跡部)
跡部の忠告も聞かず、日吉は自分の首輪を無理矢理引っ張った。
「オイ、俺様が止めろっつてんだよ」(跡部)
日吉は無視して、首輪をいじった。
竜崎は止めようともしなかった。
古びた教室に、「ピピピピピピピッ」という音が響いた。
「な、なんだよ、この音・・・」(向日)
「ひ、日吉ッ」(宍戸)
宍戸が日吉を止めようとした、ちょうどその時だった。
今までに聞いたことがないくらいの大きな爆発音が鳴った。
日吉の姿は・・・もうなかった。
ボロボロで血まみれの氷帝ユニフォームが残っているだけだった。
それは・・・“死”を意味していた。
「ひ、日吉・・・」(長太郎)
長太郎の顔から、血の気が引いていく。
1年の頃から一緒に頑張ってきたチームメイトが・・・今、目の前で死んだ。
イヤ、知っていて止めなかった竜崎に殺されたんだ。
「日吉———————————!!」(跡部)
跡部が叫ぶ。
どんなに叫んでも、日吉からの返事は、もう二度とない。
「ババァ、テメェ知ってて・・・知ってて何も言わなかったのかよ!」(跡部)
跡部は竜崎を胸ぐらを掴んだ。
同時に氷帝メンバーも、竜崎に詰め寄る。
それでも、竜崎は動じなかった。
「アイツのように死にたくなかったら、おとなしくしていろ」(竜崎)
そう言った竜崎の顔は、もう人間の顔ではなかった。
そして、その竜崎に逆らう者も、この悪夢を受け入れられない者も、いなくなっていた。