二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケモン 都市伝説 ( No.1 )
日時: 2010/03/06 17:11
名前: 優 ◆SEImz8RY4U (ID: uI/W.I4g)

短編『森の洋館』

森の洋館は以前、ウラヤマが少年時代に住んでいた屋敷であった。そこでは父とその妻、少年であるウラヤマとウラヤマの叔父。父の右腕となる執事。そして養子である女の子の6人が住んでいた。
女の子は元気で頭が良く、いつも父、妻や執事や叔父にかわいがってもらってた。ウラヤマは自分より頭が良く、自分以上に愛情を注がれている女の子が嫌いであった。あまりにも可愛がるので、全く外へと連れ出して貰えず、文字通り「箱入り娘」であった。いっつも女の子の周りだけに家族が居る。独りぼっちのウラヤマ。
女の子の部屋のベットの中にケムッソを沢山入れたり、女の子の靴の中にビッパの糞を入れたりして、女の子を泣かしていた。が、いっつも女の子が泣いたら飛んできて女の子を宥める母。顔を真っ赤にして息子を怒鳴りつけて女の子に謝れと言う父。ウラヤマは叱られ、怒られ、愛情が余り注がれなくなり、孤独が付いてくる。
ウラヤマの行ったイタズラは女の子に対しての嫉妬。両親の目を自分に向けるための行為。
幼い少年だったウラヤマにできる精一杯の自己アピールであった。そんなウラヤマを唯一理解し、慰めてくれるのが執事である。いつもベットの上で泣き崩れているウラヤマにそっと手をやり、ウラヤマに対して優しい言葉を言い、父母が女の子に向ける優しい笑顔と同じくらいの笑顔で言う。
「大丈夫ですよ」
執事は必要時以外に意見を言える立場ではないので、ウラヤマの心境を両親に言える訳がない。いくら執事が優しくしてもウラヤマの嫉妬は積もる一方。

嫉妬が積もりに積もった数年後のある日

ついに溜まりに溜まった嫉妬が頂点に達し、ウラヤマは台所の洗面所で毒を水に溶かして口に含もうとし、コップを傾けた。それを夕食の準備をしようとしていた新入りに見つかり、初めて執事に怒られたウラヤマ。
初めて執事に殴られたウラヤマ。
執事は目から涙を流しながらウラヤマに抱きついた。既に流れた涙の倍の量をウラヤマは流した。
執事は泣いてるウラヤマの顔を上げようと、ウラヤマの顔の表を向けたらそこには真っ青な顔のウラヤマの顔が有り、口元で
「ごめんなさい」
そう小さく呟いていた。
執事は驚いた。あの毒水を含む所を阻止したと思ったら少々遅れていたのだ。急いでウラヤマを台所に残し、自分の部屋がある2階の部屋へと急いだ。どくけしがある場所にない。いつも机の中に入れてたのに今日は無い。
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして。
混乱している執事の部屋へと入ってきたのは女の子であった。
「あの、もしかして、探しているのはコレですか?」
女の子は右のポケットからどくけしを取り出した。
「はい!それです!それを貸してください!急いでるんです!」
女の子は口元を気持ち悪いぐらいにニヤけさせて、どくけしを床へとたたき付けた。
「えっ?」
執事は動揺した。どうして?なぜ?
女の子はナエトルをモンスターボールから出し、くさぶえで執事を眠らせた。バタッと倒れて、うつぶせになり寝ているのを確認した女の子は、スッとナイフを取り出し、執事の喉へとナイフを向け、力を加え、ゆっくりと、、傷から血が出てきたのを合図に、女の子はナイフへ与える力を強めて、新入りの首を突いた。首の筋肉が裂けて飛び出る血飛沫。その血は部屋中に飛び散り、窓、床、扉、本棚、女の子の顔や服、ウラヤマの書いた執事の自画像までもに血がとんだ。刃物から伝わる肉を切る触感。それに女の子は快感を感じた。床に溜まる血の池。首から滴る血の滴。皮膚から感じる血の温度。ナイフが首を貫いたのを確認すると、執事の部屋から予め盗んでおいたナエトルをモンスターボールに戻し、女の子は笑顔を再び作り、台所へと走って向かった。
台所の前へ向かった女の子は、さっきと同じように鏡の反射を利用し、台所の中を覗いた。
そこには顔が青色になり倒れているウラヤマの姿は無く、誰も居ない沈黙があった。女の子は台所の扉を開けて、ウラヤマが倒れていた場所へと向かった。やはりそこにはウラヤマの姿は無く、コップだけが落ちている。ゴミ箱の中へと目を向けると、そこにはどくけしが入ってあった。度胸が無くなったときの溜にポケットの中に入れておいた毒消しだろうと女の子は推測した。逃げられてしまった。きっとこの部屋での出来事を見られてしまったんだろう。今から急いで探しても見つかるわけがない。女の子はウラヤマをゆっくり探すことにした。
箱入り娘である女の子がこの森の洋館に住んでいると知っている人間は、この洋館に住んでいる人間と女の子の両親以外に居ない。女の子は外の世界へと出た。数歩歩いて振り返り、数年ぶりに洋館を見る。
数年ぶりの外の世界
数年ぶりの外の空気
数年ぶりの外の自然
数年ぶりの外の景色
洋館の中には死体が4つ寝ている状態にある。
女の子は自分が居た痕跡が残らないよう、2階のいちばん右の部屋へと向かい、荷物を全て運び出し、ハクタイにある空家へと運んだ。女の子はそこで生活し、ウラヤマを探しつつ、ポケモンを育てていった。執事から盗んだナエトルをパートナーとし、3年の月日が経った。ポケモンマスターになったらウラヤマの居場所を探すのはいとも簡単に見つかるから。女の子は偽名で生活しつつ、ウラヤマを探してた。ウラヤマを殺したいという欲をポケモン育成に回したことによって、爆発的にトレーナーとしての実力を上げて今ではハクタイシティのジムリーダーをやっている。


後々、森の洋館には、ゴーストタイプのポケモンが住むようになり、
台所には、少年の毒を治そうとする執事の霊が
2階には、部屋から逃げだそうとする女の子の霊が
少年の書いた執事の自画像。その目に塗られた執事の血
ゴミ箱の中に捨てられた毒消しがある……。


End