二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   †二人のBishop†  【di[e]ce】 ( No.2 )
日時: 2010/04/25 14:15
名前: 奏汰 (ID: 63Ha3w2c)

第壱話 始まりは唐突に過ぎないもの



「志臣。用意しなさい」


いつもの母さんの声。
でも、そこには影があった。


「…母さん。どこに旅行に行くの?」


少し戸惑いながら尋ねてみた。


「……旅行じゃないわ。もう、おウチには戻らないの」

「どうして?」


窓の外を見てる母さん。
少し震えているのに僕は気付かない振りをした。


「っ……」

「母さん?」


堪える様に泣いている母さんを見て僕は哀しくなった。
—泣かないで…母さん。


「着いたわよ、志臣。降りなさい」


そう言われて僕は車から降りた。
目の前には大きな門。
門の向こう側には、僕のウチに似た様な大きなウチ。

門の前には、黒い服を来たおじさんが5人。

母さんは、その黒服のおじさんと話している。
時折、母さんが泣いてる気がした。


「それでわ、志臣を宜しくお願いします」


母さんが車に乗った。
僕も小走りで車に駆け寄ると、黒服のおじさんが僕の体を押さえた。

そして車は僕の事を気に止めずに行ってしまった。


「待って、おいてかないで!母さん!!」


振り切ろうとしても大人の力には勝てずに門を閉められた。

僕は…母さんに捨てられたの?



母さん…——