二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師 —黄金の女神— ( No.13 )
日時: 2010/06/03 19:00
名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: MO5pRcbX)

 女性はエドワードの左腕を力強く掴んでいる。エドワードはその力に抵抗できない。
 何も言わずに進んでいき、エドワードにも何も言わない女性に、エドワードは腹がたった。それに、なぜエドワードが連れて行かれるのか、それさえ分からないのだ。

「離せよ! このババア!」
「ババア……?」

 女性は、エドワードの腕を上にあげた。エドワードの身体が宙に浮く。腕が痛むので、エドワードは顔をしかめた。
 
「っ……! いてぇよ! 離せ、このババアーッッ!」
「……訂正を願います」

 女性は言うと、エドワードを思いっきり地面にたたきつけた。ガハッ、と、エドワードの口から胃液が出る。

「もう1度。訂正を願います。こう見えても、ババア、ではないので」
「知るか、ボケッ!」
「……生意気な錬金術師ですね」

 女性はそう言うと、仰向けになって倒れているエドワードの首をつかんだ。エドワードの目が見開く。
 そして、女性の手をどかせようと、両手で女性の手をつかんで、持ち上げようとした。が、女性も女性だ。やはり力が強く、エドワードは勝てない。

 だんだんと息ができなくなっていく。エドワードはありったけの力をこめた。だが、女性の手はピクリとも動かない。

「おや、おとなしくなりましたか? ……エドワード・エルリック様。少々、おとなしくしていてください」
「この野郎……っ!」

 エドワードは身体の力が抜けて行くのが分かった。だが、エドワードはあきらめない。両の手を勢いよく合わせた。
 そして、地面に手をつけた。その瞬間、地面から針のような物が何本も突き出た。だがそれは、女性の腹を少しかすめただけだった。

「抵抗する力が残っているとは……。心外です」
「あんまりなめんじゃねーよ。バ・バ・ア!」

 女性はエドワードをきつく睨みつけると、両の手を合わせた。エドワードは息をのむ。

「なっ……! てめぇも錬金術師か!」
「えぇ。まぁ、知らないと思うけど、私は朱麗の錬金術師。まぁ、たぶんこの目の色だからだと……ね!」

 そう言うと、女性は地面に手をついた。すると、エドワードの足が、身動きができぬよう固定された。
 エドワードは舌うちをすると、手を合わせ、左手を機械鎧<オートメイル>の右腕に重ねる。次の瞬間には、エドワードの右腕は刃物化していた。
 
 そして自分の足を固定しているものを切り刻んだ。

「錬成陣なしの錬成……。手にも、どこにも錬成陣は描かれていない……。そして、右腕と左足の機械鎧<オートメイル>。あぁ、そう。鋼の錬金術師殿、貴方……。罪を犯したんですね」
「……放っとけ! んじゃあ、てめぇはなんだってんだ!」

 すると、女性は微笑んだ。エドワードは女性を鋭く睨む。

「私はこの手に錬成陣が描かれている。ほら」

 女性は、エドワードに両の手の平を見せた。そこには、黒ペンで描かれたような感じの錬成陣が描かれていた。
 エドワードは、へぇー、と、鼻で笑うかのように言った。

「さてと。どうして私が貴方を連れてきたか、分かる?」
「オレもそれが聞きたくってな」

 エドワードは頬をつたった冷や汗を拭って、女性に向かって笑って見せた。
 女性は、フン、と、鼻で笑った。

「鋼の錬金術師。貴方を、ルフォードの町に行かせるわけにはいかないんですよ」