二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師 —黄金の女神— ( No.6 )
日時: 2010/05/30 18:51
名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: hi4BpH9d)

 プロローグ

 白く、輝く教会がそびえたっていた。その中に、神の像に向かって手を合わせる男が一人。
 両膝をつけ、目を閉じている。外では、子供達の笑い声が聞こえてくる。

 その時、キィ、と、教会の扉が開いた。男は顔を上げる。
 そこには金髪の少女がいた。男は微笑んだ。

「おや、おかえり。町はどうだった?」

 男が少女に歩み寄りながら問いかける。少女も微笑み返した。

「大丈夫でした。皆さん元気で、今日も笑顔で満ちあふれていましたよ」

「そうですか……。それは良い事だ……」

 男は少女の前で立ち止まると、その金色の髪をそっとなでた。
 少女は照れくさそうに笑う。男はまた微笑んだ。

「いつもありがとう。さぁ、お勉強をしてくるといい」

「分かりました……。それじゃあ、後で」

 少女はまた微笑み返すと、男の元を離れ、教会を出て行った。
 男はそれを微笑みながら見送ると、再び、神の像を見つめて、手を静かに合わせ、目を閉じた。

「どうか……どうかあの子だけは……。お守りください、どうか……。あの子をお守りください……」

 教会の中では、男の声だけが響いていた。