二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *・.D-Gray-man.・* ( No.7 )
日時: 2010/10/07 23:22
名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)

第Ⅰ夜


ここは黒の教団本部の食堂。
今日もいつも通り、話し声が聞こえる。

「なーアレン。いっくら成長期だからって食いすぎじゃね?」

食堂の一角の机で赤毛の青年は半ば呆れながら言った。

「うるさいれすよ、ラビ」

アレンと呼ばれた白髪の少年は目の前いっぱいに置かれているのは料理長ジェリーの料理。
アレンはその料理をもっしゃもっしゃと食べている。
ラビと呼ばれた赤毛青年は涙ぐみながら「オレの方が年上なのに…。」と、ピザに齧りつきながら言った。
そんなラビの前に座っているのが艶やかなショートカットの黒髪の持ち主、リナリー・リーだ。
今は聖母の様な実に優しい微笑を浮かべているが、たちまち喧嘩になると容姿に似合わず、愛の鉄拳をお見舞いする子だ。

「それよりも。」
(それよりも!? オレ、それよりも扱い!?)

アレンはキリリと斜め前の人物を睨みつける。

「なんで僕が神田なんかと一緒にご飯食べないといけないんですか?」
「オレもお前なんざと食いたかねーよ。」

神田は蓮根の天ぷらを飲み込み終わってから言った。
アレンの額には血管が浮かび上がる。

「大体、他の机に行けばいいじゃないですか。」

確かにそれは全くの正論だ。
そうではあるのだが…生憎全ての机にファインダーとエクソシストが群がっていた。

「ねーんだよ。空いてる机が。あったらそこで食ってる。」
「じゃあ床で食べればどうですか?」
「……刻むぞ。」

そんなこんなで口喧嘩になる。
と、そこに能天気な声が割り込む。

「ハロー♪」
「大体モヤシ。そんなに飯広げたら他の奴が食えねえじゃねえか。どけろ」
「ヤですよ。そんな。ジェリーさんが作ったこの素晴らしくおいしい料理を床に置くなんて恐れ多いです。」
「ざけんじゃねえぞ。」
「ねえねえーー?♪」
「あーもう、キミの戯言には聞き飽きました! あ゛−−−−−−」
「チッ」
「ちょっとぉー?」
「?」

アレンは今更ながら、神田の後ろの人物に気がついたようだ。

「あ、伊織さん」
「ハロー! ボンジュール? やっと気付いてくれたー」

伊織、楠木伊織は小さく手を振った。
お河童の黒髪が小さく揺れる。つぶらな瞳は細められる。

「あー! 伊織さーっww」
「伊織ちゃん!」

テーブルの皆がやっと気付いた、という風に驚きの声をあげる。

「…って量多くねえさッ!?」

ラビは伊織の周りに浮いている料理の数々を見て叫んだ。
そこには、カレー、春巻き、からあげ、うどん、卵焼き、マーボー豆腐、カルボナーラ、ミートパイ、パフェ、フライドポテト、ハンバーガーといった品々。
驚くのも無理はない。

「伊織さんのイノセンスって、そんなに浮かせられるんですね。」
 
アレンは口にラーメンを押し込みながらポツリと呟いた。といってもその銀灰色の瞳はラーメンにしか向いていない。
当本人伊織はニカッと笑って、指の先から出てきた純白の羽根をつまむと、
「アレンのも持ち上げたげる。」
と言って笑った。

綺麗に笑った。