二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: コードギアス〜空回りのルルーシュ〜 ( No.3 )
- 日時: 2010/12/29 09:14
- 名前: 蘇る秋刀魚 (ID: AsGC03V/)
—4月20日より—
一大行事、入学式が一段落しルルーシュは、まだ幼さの残る新入生の軍団をじっくりと観察していた。といっても、観察対象は女子に限るが。
「あれぇ?ルルーシュって年上好きじゃなかったっけ?」
横からにゅっと出てきたのは、同じ学年のリヴァル・カルデモンドだった。
「口出しは無用だ。年下は好きじゃないが、万が一、好みのヤツがいたら見逃しはできないだろう。」
「ふーん。相変わらずだねぇ。あっ、あの子なんかどう?」
「おいっ、ちょっ」
リヴァルは足取り軽く、新入生たちのもとへ歩いていき、振り返った女子生徒を連れてきた。
『どうよ?』
今にも吹き出しそうになりながらリヴァルはルルーシュの耳元でささやく。その女子生徒は、なんというか、俗っぽく言えば中の下という感じだった。
「いや、あの、君を呼んだのは俺ではなく、こいつだ。話があるようだぞ。」
「え・・」
もじもじする女子生徒。
「おいっ、何言って・・・」
落ち着きを取り戻したルルーシュは、あわてるリヴァルを背に大ホールを後にした。
(やれやれ、年下ってのはよくないな。おっと、大事な用事を忘れるところだった。)
生徒会室に入り、自分のバッグと大きな紙袋を抱える。
幼馴染の枢木スザクはブリタニア軍の軍使である。ハードな仕事と学校を行き来するスザクのために、ルルーシュは毎週1回ほどささやかな差し入れを持っていくのが習慣となっていた。
トーキョウ租界からブリタニア帝国はそれほど遠くなく、歩いて15分ほどで大きくそびえたつ帝国軍ミッションセンターが見えてきた。
自分が皇子で、それを隠しこの国に立ち入るということに罪悪感はそれほど感じない。今は平和だ、そんなこと気にしてどうする、と、彼は思うようになっていた。
受付を済ませ、スザクのいる32階へのエレベーターを降りた時、物静かそうな女性がこちらへと歩いてきた。
ルルーシュは思わず顔を引きつらせた。やがて女性はこちらに気づき、目を伏せた。それもそのはず、今朝ルルーシュが告白し見事にフラれたのが、このひと、セシル・クルーミーなのだから。
すぐに忘れるルルーシュでさえも、半日経つか経たないかの時間では傷は癒えない。
セシルはためらいながらも、こちらへと歩みを進めてきた。