二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 桜の図書館 (inzm/小説集) オリキャラ募集開始!! ( No.130 )
- 日時: 2011/08/24 12:52
- 名前: さくら (ID: Rn9Xbmu5)
- 参照: 南沢先輩が足りない!
序章
——03——
あの後、私はこれ以上村の残骸を見て居たくなくて、黙って道場に帰った。
『日向。貴方は、私と一緒に家に帰ろうか』
「え、村の方は?」
『大丈夫。大丈夫だから、ね?』
「・・・うん、」
『シエルア。私、確認したい事があるの、』
「分かってます。でも、何で急に・・・、」
『・・・あの魔女、層移動する時に、胸元の刺繍が見えた』
「———・・・まさかッ!!??」
『そう。・・・あれは、王都の、国家のマークが刺繍されてたわ、』
「なら、国が?」
『・・・この国が、関係しているという事よ』
衝撃の事実に、目を丸くするシエルア。
私だって、声が震えている。
まさかあの魔女が、国家の軍の魔女だとしたら、上からの命令で村を地図上から消した、としても充分に考えられる。
此処は一旦、帰って色々と調べてみる他無いだろう。
「では、今すぐに?」
『いいえ。・・・まだ、やる事があるんじゃない?』
「———はいっ!!」
日向に、この現実を見せるのはまだ早い。
なので、ギルに事情を話し、日向を見てもらう事になった。
私とシエルアは、また村へ戻る。
やはり、変わらない悲惨な姿の村。
普通の、一般の魔族なら、激しく嘔吐を繰り返すであろう、この状態に村に私が一切反応を示さないのは、一つだけ理由がある。
———こういう状況に、慣れているから、である。
理由はまだ伏せておく。
私はパッ、と右手を肩まで上げた。
一瞬で魔方陣を展開する。
それは、蒼い、魔方陣だった。
眼を瞑る。
『宝水の精霊≪アモルフィス・フェアリーズ≫を召還!!』
腕を魔方陣に付け、上、下、右、左、斜め、上と動かす。
すると、蒼い魔方陣を素早く閉じ、中から出て来たであろう精霊達に告げる。
『辺りの火を消しなさい』
*
それから、≪アモルフィス・フェアリーズ≫達が消した火を見る。
この精霊達にとっては、火消しなど、魔法無しで出来る技である。たったの3,5秒で辺りの火は水の前で消えた。
そして、こう告げる。
『さて、火も消えた事だし、瓦礫を魔法で動かして、皆の墓を作るわよ!!』
「はい!」
私は、指で瓦礫を退かし、消滅させてゆく。
シエルアは、動かなくなった村の人達が入る穴を、掘っている。
先程召還した≪アモルフィス・フェアリーズ≫達も、手伝いたいと言って来たが為、手伝ってもらう事にし、手分けして墓を掘ったり、瓦礫をどけたり残りの作業をして貰った。
そして、皆で村の人達を墓に入れ、見送った。
墓作りは、魔法ではやりたくない。それが私の考えだった。
魔法には頼りたくなかった。
自分の手で、見送ってやりたかった。
近くに居ながら、助けてやる事すら出来なかった自分の無力さに、無性に腹が立ち、涙が一粒、私の腕に毀れた。