二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 桜の図書館 (inzm/小説集) オリキャラ募集開始!! ( No.160 )
日時: 2011/12/24 08:09
名前: さくら (ID: z2eVRrJA)

“魔聖大戦”。その言葉が鬼沙羅の口から放たれた事には正直心底驚いたものだ。“魔聖大戦”について、知らない訳では無い。だが、逆にも幼い頃絵本で読んだ事がある位だ。こんな時にそんな無駄話をするつもりかコイツは。否、だがそうでも無いらしい。鬼沙羅の表情を伺えば真剣だ。

だが一応問うてみる。


『・・・こんな時にそんな無駄話するつもり?幾等貴女でも張り倒すわよ。』

「無駄話?それどんな冗談よ。何、知ってるのかと思ったわ。・・・・・・否、知っているはず。私が随分前に貴女に調査させたはずよ」


どういう事だ。私は知っているのか。随分前に調べた・・・?

消え掛かった“魔聖大戦”という言葉と情報を頭の中で必死に探し荒らす。すると段々と人間とは思い出していくものだ。それは此方の世界の魔族も一緒である。段々とハッキリしてきた記憶を鮮明に繋ぎ直す。



「思い出した様ね。まぁ良いわ。今日はその事について話がしたかったの」



“魔聖大戦”。それは、この世界で有名な神話に出て来る絶対願望機《アブソリュート・ディザイア》。正式名称新約聖書《ノーヴム・テスタメントゥム》、を巡って選ばれた魔族達が殺しあう遊戯ゲームである。

新約聖書《ノーヴム・テスタメントゥム》とは、持者の願いを叶える聖書の事である。手にした者の願いならどんな事でも実現出来る、奇跡だって起こせるこの聖書は、何時からか“魔聖大戦”の賞品となってしまう。

選ばれし魔族達は、最終地点と呼ばれる幻島、“失われし理想郷ロスト・オブ・エデン”に集い、戦闘可能な魔族が残り一人になるか、3ヶ月が過ぎるかがゲーム終了時となり、前者の方の残りの一人には次の“魔聖大戦”までの期間の新約聖書《ノーヴム・テスタメントゥム》保持者、管理者の権利が与えられる。その管理者には最大三つまで奇跡を起こす力が与えられ、どんな願いでも叶えられるという。但し、願いを四以上叶えた場合、管理者の身体が新約聖書《ノーヴム・テスタメントゥム》を体内に秘めておく事が難しくなり、狭間の門から姿を消すという。実際、そういう事例が確認されており、調査した結果、新約聖書《ノーヴム・テスタメントゥム》は狭間の門と同じ物質から創られていることが判明された。


私は、この時は極秘任務として出た訳なので、一般の魔族は先程の私と同じ様に、絵本として出版された童話としてしか知らないか、それ以下の無知のどちらかに当てはまる。

まさか現実の話だったなんて。



「良くもまぁ、此処までこの短時間で思い出したものね。」

『そりゃどうも、』

「そして、貴女に一つ、“魔聖大戦”の事について頼みがあったのよ」

『だから私を此処に呼んだ、と?』

「えぇ。・・・魔聖大戦は、普通7,8年置きに開催されるわ。そして、今年で43回目。・・・・・勘の鋭い貴女には、もう気付いて来ているんじゃ無いかしら?」




『私に、出場しろ、と言いたいのね?』

     「流石。この国からも数々の実力者達が出場するわ。勿論、他の国からもね。・・・その出場権を与えられた猛者の一人が、貴女なの。」




全く、無駄に緊張して来たこの思いは何処へ行ったんだ。

それに、“魔聖大戦”なんて、言って見れば只の戦争に過ぎない。戦争と言う事は殺し合い。殺すのは、仕事として戦争に狩り出た事もあったので言葉に動じたりしなく、逆に手馴れしているものなので、血が騒ぐ。あ、悪い意味でだ。別に殺すのが楽しいとかそういうのじゃないから。其処は勘違いしないで頂きたい。


「もう、この時点で貴女の出場は公認されているの。まさかとは思うけど、出場破棄はしないわよね?」



「貴女がこの国について嗅ぎ回っているのは情報として此方に入りきっているのよ。もう一度言うわ。







                        まさかとは思うけど、出場破棄はしないわよね?」



ニタリ、妖しく笑う鬼沙羅の微笑みが、今の私の記憶に鮮明に残った。






 08G.( 選択権の無い選択。 )