二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 桜の図書館 〜イナズマイレブン〜 ( No.99 )
日時: 2011/08/17 16:03
名前: さくら (ID: Rn9Xbmu5)
参照: 私はKARAではなく少女時代派です。テヨンとソヒョンがGOOD!!

序章


——02——




「虹彩さんっ!!ギルバットさんっ!!大変なんです!!!






                      ———……、村がッ!!!」



『・・・は?』



私が師を務める道場に現れたのは、私の使い魔“虹女神アルカンシエル”。通称“シエルア”。

そして、彼女の突然の思いもよらない発言に、頭が回らなくなった。



「兎に角、大変なんです!村が、襲われているん・・・虹彩さんっ!」

『ギル、日向を此処(道場)から出ないように見てなさい。シエルア、案内して』



シエルアの説明よりも早く、私の身体は動いた。

ギルに日向を見ていろと言うと、シエルアに其処までの案内をお願いすると、シエルアが私の手を掴んだ。

私の腕を両腕で必死に抱えると、いつもは聞かない、真剣な声で私に叫ぶ。その声は本当に必死で、私の腕を抱える腕にも、徐々に強さが増してくる。



「こ、虹彩さん、駄目です!!私は虹彩さん達を逃がそうとして・・・。駄目です!!行っては!」

『黙りなさい!!私が案内してと言っているの!もしそれでも案内しないと言うのなら、私はお前の手を振り払ってでも、案内無しに村へ行くわ!』



するとシエルアは、諦めたのか、瞳に滲んだ涙を浮かばせ「、はい・・・。」と言いながら私を案内し始めた。






































シエルアに案内されながら、村の中心部へと急ぐ。

此処“ボルケイノヴィレッジ”にある道場と、住居などがある中心部の距離は、何故か相当なまでの距離がある。しかも、その間に川が流れており、小さな村、と言っても道場までを合わせると相当な大きさの村になるのだ。

道の所々に火山岩や瓦礫も落ちていて、酷くやられているんだと実感する。

そして、息を切らしながらやっとの事で着くと、其処には眼を疑う様な光景が広がっていた。





『—————・・・・・・ッ、!?、何、これ・・・ッッッ!!!』





破壊された家、燃えている木々、その下に倒れている人々、そして、普段は群れで生活しないのに、異常なまでの数のモンスター、《マハー・ヴァイロ》と《ジュテー・ヴァイロ》。その真ん中に居る、黒に近い深緑色のローブを被った、魔女。

幼い子どもから老人まで、悲惨な状態で死んでいる皆。其処には、私の道場へ通っていた子ども達まで居る。



「お、お姉ちゃん!!虹彩お姉ちゃん!」



『・・・・・ルマッ!?』


「助け・・・・・ッ、」



———バタッ、



「助けて」そう言おうとしたのか、最後の一人、隠れていた少女、ルマは私を見つけ近づこうと身体を見せた瞬間、背後から刃物の様な物が飛んできて、背中を貫かれた。

咄嗟にルマが倒れた後に背後を見ると、其処には《ジュテー・ヴァイロ》が牙を光らせていた。その《ジュテー・ヴァイロ》の抜けた牙は忽ち新しい牙が生え、埋まった。

さっき、ルマを貫いた刃物のような物、それは《ジュテー・ヴァイロ》の牙だったのだ。




そして、その目が私を捉えると、戦闘態勢に入る・・・と思い、構えようとしたが、一項に攻撃してくる様子が無い事に目を見開いていると、其処にシエルアが到着した。




「ハァ、ハァ、・・・。間に、合いませんでしたか・・・。私が気づいた時にはまだ数名・・・、」

『・・・もう、数名どころか一人も、残ってないわ。最後の一人も、さっき私の目の前で、殺された、』

「えっ!?」




何故このモンスター達は、私達に警戒しないのか。攻撃してこないのか。《マハー・ヴァイロ》、《ジュテー・ヴァイロ》の“ヴァイロ系”はとても警戒心が強く、他のモンスターや魔人達を捉えると、攻撃してくる事で有名なモンスターだ。なのに、何故私達には何も攻撃してこないのか。


これは何か可笑しい。普段群れで行動しないのに、異常な数のモンスターがこの狭い村に集まり、村を襲っている事。そして、急に村に飛び込んできた私達に警戒しておらず、攻撃をしてこない事。


すると、中心に居た魔術師の女と、目が合った。


その女は、私と目が合うなり、ニタリと嫌な笑みを浮かべるや否や、深緑のローブの中から剣を取り出し、攻撃を仕掛けて来た。






『(あ、あの剣!“紅月”!)』

「———はァッ!!」



剣を振り上げる魔女を、軽く交わし、腰に手を当てる。するとアクシデントが起こった。

今来ているのは道着=武器をもってない。

何時も持ち歩いている拳銃と刀は道場に置いてきた。ならば楽器をと思うがそれも駄目。“ラミティ”も同時に道場に置いてきたのだ。

こうなると、極限的に不利な状況になる。

次々と襲ってくる剣を交わしながら考えて来たので、ギリギリで交わすほどまで動きが鈍くなっていた。

その時、“紅月”は私の腕を掠った。鮮血が少し飛び散る。それを見るなり、魔女がさっきの嫌な笑みを浮かべた。






だが、武器が無いからと言って私が負けるような事は無い。








剣術や楽器が無くても、武術は仕える。それに魔法を組み合わせれば、かなりの戦力になる。




『———はっ!!』

「・・・・ッ!」




交わしてきた衝動で、回し蹴りを出す。見事命中し、魔女と距離を置く。


一瞬で身体に魔力を貯め、一気に駆け出す。



『咲武術“火炎桜”!!!』


「ぅあッ!!!」



燃える桜、火を纏いながら落ちて来る花弁の様に、連射した蹴りとパンチが魔女を捉える。

魔女は突き飛ばされ、“紅月”が私の近くに落ち刺さった。

そっと“紅月”を地から抜くと、同時に鞘が私の方に投げられてきた。





「お見事です。“虹桜女帝”、“戦場の堕天使”七瀬虹彩。」

『何で、私の名前、』

「必然的にですよ」

『いや答えになってねーよ』

「あらあら、たまに口が悪くなるのは変わりませんね」



“どう言う意味?”と問い返すと、“忘れて下さい”と答える魔女。

私、あの魔女にあったことあるのか?

だが、覚えてないので、余り深い意味は無いのだろう。


「それでは、帰るとしますか」

『ま、待ちなさい!!この村は、貴女がやったの!?』

「・・・私であって、私で無い」


魔女が小さく呟いた言葉は、消えるどころか、私の耳にはっきりと残った。



「《Transfer》!!」



———シュンッ



魔女と村を襲っていたモンスターが一瞬にして消えると、残されたのは、私とシエルア、“紅月”。それと今日、地図から消えた小さき村の残骸であった。