二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 運命の車輪 参照500突破!! ( No.191 )
- 日時: 2011/05/01 11:44
- 名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
- 参照: .http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
━━━━━━━━━シューシュー…
炭酸のぬけるような、力のない効果音。
どうやら完全に、ダークゼロはドロッチェの体から出て行ったようだ。
残ったのは、元通りに戻った、傷だらけのドロッチェだった。
「ドロッチェ!!戻ってる!?戻ってるよね!?」
カービィは、体を引きずりながら駆け寄り、必死で呼びかける。
肝心のドロッチェは、ひざまずくような姿勢で、頭を押さえてうめいていた。
「ゲホゲホ!もしもし!聞こえる!?返事プリーズ!!」
混乱のあまりで、素っ頓狂な言葉遣いになっているが、それにも構わずカービィは応答を待っている。
「…ギャアギャア騒ぐな…ゴホッ…うるさいぞ…頭に響く…」
ドロッチェのかすれた声。
傷だらけだったうえに、ダークゼロに体を乗っ取られたこともあり、目
は虚ろで、今にも倒れてしまいそうだった。
「よかった…普通のドロッチェだね…」
カービィは、ほっとする。
「ゴホゴホッ…なんだよ、普通って…」
「いや、もし暴走モードだったら困るなぁって思って」
「バーカ。今発狂モードにしたら、間違いなく死ぬし…でも、スピンのぶんならそれもアリなのか…?」
「…死ぬ。なんて言ったら怒るよ」
「…まだ死ねない。どうせならこいつ倒して、一味全員に謝ってから死ぬ」
「はい!怒るの決定!!!」
「ちっ…」
「死ぬなんて言わないでよ。お願いだから」
「…あんた、さっきまで敵だった俺に、情けでもかけてんのか?」
「ううん、違うよ。これはボクの意思だよ」
「ゲホっ……は?」
「ドロッチェ団とはお友達になりたいから」
「…何言ってんだ?正気の沙汰じゃねえぞ?」
「大丈夫大丈夫。ゲホゲホ…ボクはいつだって正気だから」
「…血まみれの奴に言われたくないな」
「ドロッチェだってそうじゃん」
「…てか、なんであんた普通に俺の名前呼んでるわけ?」
「いいじゃん。仲間なんだから」
「…俺は認めてねえぞ、そんなの」
「嘘ぉ、さっき身を挺してダークゼロの攻撃から守ってくれたじゃん」
「あれは…!…あんたが死んだら、他の仲間も死ぬから…」
「それって、ボクを信じてくれたからでしょ?」
「…」
「図に星?」
「それをいうなら図星だ。別にそんなの…してない」
「アハハ」
「…ていうか、早くあいつに決着つけないとな。俺は貧血だ」
「ボクも、早いとこ決着つけないとね」
「…このままじゃ、オレもあんたも、死ぬぞ?」
「だからこそ、だよ。ポップスターのためにも。お話できて楽しかったよ…」
「会話料金もらいたいとこだぜ…」
傷だらけなのにも構わず、長い会話をした2人は、ダークゼロに決着をつけようとする。
はじめは敵通しだった2人が、今は同じ舞台で仲間として戦っている。
まさに、ドリーム・マッチ。
「…ドロッチェ…トリプルスターが足に刺さったまんまだよ?」
「…利き腕やられた…」
ドロッチェが激痛に顔をゆがめながら、使い物にならなくなった右腕を残念そうに見つめる。
その他モロモロ、そこらじゅうの骨が折れてる。
「ここまで、ボコボコになったのは…さすがにお初だぞ…?」
そういって、足に突き刺さったままのトリプルスターを、左腕でつかんで、引っこ抜く。
「━━━━っ!!!」
引っこ抜く。
なんて、軽く言っても、結構な重労働である。
貫通していたので、抜くのにも少々時間がかかる。
何よりも、痛い。
それこそ発狂しそうになる痛みだ。
「痛ってえ…こりゃかなり堪えるぞ…あーくそ、止血するもんなんにもない…」
とりあえず、何とかトリプルスターは抜けた。
しかし、抜いたら抜いたで、血は余計にあふれる。
「ちゃっちゃと終わらせたいとこだな」
「来るよ…!」
カービィの合図と同時に、少し正面の空中に、黒いモヤモヤした煙が集まり始めている。
煙の群れは合体しており、一か所に集合していく。
煙が増えていくにつれ、本性があらわになる。
「クソ!チクショウ!ナゼ術ガトケタノダ!アリエナイ!!アリエナイ
!不条理ダ!!」
ダークゼロの正体。
言葉で簡単に表すならば、巨大な1つ目の黒い星型の化け物だ。
暗黒物質の塊、と言っても間違いではないだろう。
粉を振りまくように、暗黒物質を振りまいている。
おぞましい。
それが、カービィたちの正面にいる。
ありえないように、存在している。