二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ☆参照600突破★  ( No.201 )
日時: 2011/05/03 11:51
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)


ワープスター。

宇宙で最速を誇るマシン、エアライドの種族に入る。

自由自在に操れるのは、星の戦士カービィだけ。

カービィの命令だけをきき、カービィの意思とつながっている。

いわば、星の戦士の分身。

カブーに守られ、秘宝に守られ、召喚される。

今から半年ほど前に、狂喜乱舞する道化師によって、粉々に破壊されたもの。

その話は、また別の話なので、今回は語らないでおこう。

星の戦士が、生まれた時から存在しているもの。

星の戦士が、戦うときに存在するもの。

道化師が、完膚なきまでに破壊した存在。

とある少女が、はじめてカービィにであったときに、はじめて目にした存在。


最後の切り札。



☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡


「〝ワープスター〟」

偉大な声。
何億年も前から、大地に存在してきたもののような、古めかしい声。

カブー。

プププランドの谷に生きる遺跡。
プププランド最古の遺跡。
ポップスターの守護者の守護者。

「マルク戦いらい、使用不可能状態にあったワープスター。まさか完全復活とは。カブーは今、驚きに満ち溢れている」

『ウフフ。だって我の力で復活させたものだ』

「ブロンテ。本当にいいのか?それは秘宝にとっての禁忌中の禁忌。〝
自然に起こったもの以外は干渉しないこと〟。これは自然に起こったことではない。カブーも承知している」

『…星の戦士カービィ。あの子になら、この星の未来を託してもいいと思えたんだ』

「秘宝ならば、生命に干渉してはならない。それも禁忌」

『我は、何億年もこの地に存在していた。誰一人として、我の存在を知らなかった。普通なら、秘宝があるなんていっても、嘘などと思われてもおかしくない。むしろ、嘘だと思うほうが正しいだろう。だけど、カービィは信じてくれた。夢を正夢と、わかってくれた。だったら、あの子に力を授けようと、そう思えた』

「カブーはブロンテがそう望むなら、それでいい」

『ウフフ。奇跡をおこすのは、やはり行動者である生命でなければな』

「カブー。ワープスター召喚」

巨大な遺跡の口から、ひさしぶりに外の空気を拝む、星色に神々しく輝く、ワープスター。

『カービィのもとに、行ってあげて』

車輪の言葉に、ワープスターは従うように、高速で地平線の向こうに向かう。

『…誰だって死にたくないよ。我だってそうだ』

車輪は、カブーの中の、不思議な空間で、静かに回っていた。

黄金色の、美しい車輪。
周りに縁どられた彫細工は、細かくて、手などでは絶対に彫れないだろう。
大きさは、小さく子供の掌の大きさほどしかない。
しかし、力の大きさは強大で、圧倒的なオーラを放っていた。

『クリスタルみたいに、我は生命に協力などはあまりできないが、少しくらいは努力しているのだぞ』

輪廻。
車輪が表すのは、輪廻。
運命を示す、秘宝。

『ごめんね、カービィ。━━━やっぱり現実世界では会えないね』

車輪は、少女のようにかわいらしい声で、悲しそうにつぶやいた。








   


Re: 星のカービィ 運命の車輪 ☆参照600突破★  ( No.202 )
日時: 2011/05/03 12:42
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)

その光景は、ビックバンだったのか。

水すら枯れた、プププ湖周辺の、えぐられて陥没した草原に、それは起こった。

カービィにとどめを刺そうとしていた、ダークゼロは、ありえない力を感じて、戦慄した。

「ナナナナナナナナナナ!!?ナナナナナナナンナノダァ!!?」

驚きのあまり、言葉すらもつれて、飛び出してこない。
なぜなら、陥没した草原の、はるか上空に、それはあったのだから。
神々しい光を振りまき。
上空を覆っていた、暗雲を追い払う。
否、追い払っているのではない。
暗雲自体が、光を避けて、消滅していく。
一瞬、空が黒い雲に渦を巻いたように見えたが、本当に一瞬で、空が晴れ渡る。
橙色の、美しい夕焼けの空。
その中で、夕日よりもまぶしく輝いている、ワープスター。

秘宝の力を受け継いだ、最後の切り札。


「ナナナナナナナナナナナナ!?ナゼダ!?ナナナナナナゼヒヒヒヒ秘宝ノエネルギーガアアアアアアソコニアアアアルノダ!!??」

秘宝は、自然に起こったことだけ、星を守る。
生命が、自らの行動で起こしたことでは、星を守らない。

この出来事は、行動で起こしたもの。

秘宝は星を守れないはず。

なら、なぜここに秘宝の力がある!!?

「ぐぅ…なんか…浮世離れ…つうのか…これは…?」

血だまりの中で、なんとか意識を保っていたドロッチェは、ほとんど機能していない体を、なんとか使用して、その光景を見ていた。

奇跡の光が、ポップスター全体に広がっていく。



☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆



「あれは…ワープスター…だよね?マルクと戦った時に壊れちゃったんじゃないの?」

アドレーヌは、光の正体であるワープスターを指差す。
遠くからでもはっきりと、確認できるくらいの光。
おそらく、プププランド…ポップスター全土からでも、この光を感じることができるだろう。

「何が何だかもうよくわからないぞい!でも、まあ助っ人登場!的な感じぞい!」

「…ひか…り…」

焦点のあわないスピンの瞳でも、その光は認識することができた。


☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

「な…なんだぁ!あれは!?」

「え!?何あの光!!」

「姉ちゃん!あれワープスターだよ!ほら!あそこに!」

フームたちも、光を目の当たりにしていた。
ブンが指差す方向には、確かにワープスターがあった。

「ワ!ワープスターがあの光をだしてるってことか!?てかワープスターは壊れてたはずじゃ…!!」

トッコリは、まぶしさの余りで、フームの背中に隠れる。

「おいおい!なんかすっげー展開じゃねえか!」

のんきなナックルジョーですら、驚いて呆然とするありさま。
戦っていたストロンたちも、戦いを中断して、空を見る。

「あれは…秘宝の力!?クリスタルが反応しています!!」

リボンが持っている、淡い色のクリスタルが、カタカタと激しく動いている。
共鳴でもしているのだろうか。

「戦いがデットヒートか…?」

「カービィ…!」

「…!カービィ!!負けないでええええええ!!!」

フームの甲高い声が、響き渡る。


☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆





『君に力を、貸してあげる。ワープスターに乗るんだ』

…ブロンテ。だよね?

『そうだよ』

秘宝がこんなことをしてもいいの?

『今回は特別。君の熱意に感動しちゃって』

そっかぁ。

『本来なら、秘宝なら潔く星と一緒に、死ぬべきなんだけどね、君になら力を貸してもいいやって思えたんだ』

…ありがとう。

『ポップスターを救えるのは、君しかいない。皆の運命を背負っているんだよ』

なんだかすごい責任重大な役柄だね。

『盗賊君と協力して』

盗賊君?…ドロッチェのことだよね。

『そうだよ。彼もまた、鍵であるのだから…』

わかった。がんばるね。なんだかさっきまであきらめかけてた自分がバカみたいに思えるよ。

『あきらめちゃダメだよ』

うん!









━━━━━━━━━じゃあ、力を与えよう━━━━━━━━━━━






空が割れる。



     力が降り注いでくる。



   痛みが引いていく。



          温かくなっていく。



 力があふれていく。




         空が割れる。




  ワープスターが、倒れて気を失っているカービィに向かってくる。



 光。



          星の光。
  




星の光が、カービィを包んでいく。


優しく、包んでいく。





 それがまた、戦う勇気を与えてくれるんだ。




 行こう。







 大切なものを、守るために。





ドクン。

心臓の鼓動がやけに、高まって聞こえる。

ドクン。

すぐそばに、聞こえる。



「バババババババ馬鹿ナ!モウ戦ウナド不可能ナ体ノクセニ!?ナナナナナナナナゼ立チ上ガッテクルノダ!!??」

ドクン。

ゆっくり。

ゆっくりと。



カービィは、覚醒した。



「ボクは…ボクは負けない!!絶対に!お前を倒す!
!!皆のためにも!星のためにも!!



  星の戦士の名にかけて!!!




だから!戦う!!!」






カービィは、立っていた。

傷だらけの体で。

だけど、その瞳には強い意思を持って。

ワープスターに乗って。

神々しく、輝きながら。









星の命運は、カービィに託された。