二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.92 )
日時: 2011/04/06 19:45
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)

第9章  銀灰色の望み 前編


ドコ!ドコ!!ガガガガガガ!!

鈍い音。
鈍器と鈍器で殴りあっているような音が聞こえる。
それも激しく。

プププ湖。
プププランド唯一の湖。
昨日の火事で、周りの草は焼き払われてしまっている。
そして、カブーの遺跡にいくさいに、必ず通る場所でもある。


「いくぞーい!!」

低くて野太い声が響く。

その数瞬あとに、ドゴッ!と、再び鈍い音が生まれる。
デデデ大王。
プププランドの自称大王…。

「なんだぞい!お前の実力とやらはそんなものなのかぞい!?」

「…うるさい。ただ、そのハンマーが当たったら痛そうだから」

不機嫌そうな声。
ドロッチェ団リーダー、ドロッチェ。
宇宙を旅する盗賊団のかしら…。

この2人が、プププ湖で戦っていた。
デデデは、湖に足だけつかり、ドロッチェは湖の上を浮遊している。

「逃げてばかりではつまらないぞい!」

デデデは楽しそうに笑う。
本当に愉快に笑う。

「俺はあんたとは戦うつもりは、ないんだよ」

ドロッチェは、デデデとは反対に、うっとうしそうに睨む。
本当に憂鬱そうに睨む。

「おいおい、戦いっていうものは楽しむためにあるんだぞ?ははは!」

巨大なハンマーは、うなるように振りかぶられる。
デデデは高く跳躍する。
ドロッチェに向かって、狙いをつける。

「でりゃあ!!」

「あんたは力まかせすぎなんだよ!!」

ドロッチェはハンマーを、杖で受け止める。

ドカ!ドカ!!ドカ!…

再び、鈍い音の打ち合いになる。
デデデはハンマーで打ちかかり、殴る。
ドロッチェは杖でさばき、防ぐ。

「く…」

「どうしたどうしたぞい?そんな疲れきったような顔して…」

「は!目の…錯覚だっ!」

バチン!!

ドロッチェは杖を、ハンマーから振りほどき、

「いいかげんにしろ!!」

星を3連発で放った。

「!」

デデデは、その飛び道具におどろく素振りも見せず、ハンマーを立てのように構え、防ぎきる。

バチャ!と大きな音を立てて、デデデは湖の浅瀬に着地する。
巨体はもうビチョビチョに濡れていたが、そんなこともものともしていなかった。

「ははは…やっぱりショートレンジ戦は苦手と見えるぞい。お前に肉弾戦は向いてなさそうだもんな」

「…っ」

ドロッチェは表情をわずかに曇らせた。
疲れているのか、息が少しだけ荒い。

「体力ぎれかぞい?まあ、かれこれ2時間くらいやってるからな」

デデデは飄々な態度でドロッチェに言う。

「は?俺はあんたとは戦いたくないんだよ。てか、いいかげん遺跡に行かせてくれよ。あんたのせいで一歩も進めないんだよ」

「ぐわはははははは!!」

デデデは少々下品に爆笑する。

「一歩も進めない?そりゃわしが足止めしてるからに決まってるぞい」

「…!…なんなんだ一体…!この星のやつらはどんだけ戦い好きなんだよ…!」

「がははははは!!ポップスターは戦い好きの星なのかもしれないぞい!」

「…不都合だ…」

ドロッチェはギリリと歯をかみしめる。

「それよりも、進む足を止めているのはお前の方ではないのか?」

「…は?」

「わしはもうだいたい把握したぞい。お前の策も、目的も」

「…なにを」

「お前は相当なる甘ちゃんだということぞい」

「!…」

「その作戦だと、お前は間違いなく死ぬぞ」

「あんたに心配されるほど、俺は落ちぶれてない。…ここの秘宝だけなんだ…!ここの秘宝じゃないと…ダメなんだ…!」

「願い…盗賊団はやはり欲深いぞい」

「あんたに言われたくない」

「うるさいぞーい!」

「全てが終わったら、あんたのコレクション全部いただいていく」

「な…なんだってぞーい!?…まあ今はわすれておこう…トホホ」

「てか…あんたは戦えないんじゃないのか?」

「ん?」

「戦えないバカな自称大王って噂で聞いたんだぞ。なんであんたこんなに強いんだよ」

「(こいつ、わしのすばらしい活躍を知らないのかぞい!)…ぐわははは
!!わしは最強なんだぞい!プププランドの危機はわしが止めるんだぞい!プププランドはわしの物なんだぞい!他のやつに邪魔されたくないぞい!プププランドのためならわしは頭をフル回転させるぞい!」

「あんたも十分強欲じゃねえか…」

ドロッチェは呆れたように言うが、自分の策をデデデに見抜かれたことにおどろいている。

「ぐわはははは!!わしは強欲だぞい!!」

「自覚してるし…」

「…それにしても、お前の怪我は、メタナイトにやられたのかぞい?」

「!」

ドロッチェの体は傷だらけだった。
簡易治療はしたのか、包帯やらガーゼなどが体中についている。

「怪我人はおとなしく寝てるぞい!」

デデデはハンマーを大きく構え、突進する。

「あんたが寝てろ!」

ドロッチェは、アイスレーザーを構える。

「プププランドはわしの物ぞい!コソ泥鼠!」

「秘宝は俺が手に入れる!バカな自称大王!」

ゴオオオオオオオオ!!!

激しい音とともに、アイスレーザーから氷の光線が放たれる。

「お前の技はもう見切りがついてるぞい!」

「あまい!」

デデデは、自分に向かってくる光線をジャンプしてかわそうとする。

「!?」

しかし、できなかった。

「あんたを攻撃したくなかった!もう戦うのは仮面の騎士でうんざりだ!もう…ここで終わりだ!!」

デデデの両足ともが、浅瀬の水とともに、凍りついていた。

「ハンマーを振り下ろしても痛い思いをするだけだ!
たたき割れないようにさっきまでエネルギーダメてたんだからな!」

「…!だから最後の切り札のこれはさっきから全然使ってなかったのかぞい!?」

「そういうことだ!だから…俺の邪魔をするな!!」

凍り付いてしまった足元は、全く動かせない。

「あんたもおとなしくしてくれ!!」

ドロッチェはどなりながら、杖を振りかぶり、デデデに向かって殴りつけようとする。

「ぐ…!お前みたいなひよっこの腕で…わしを倒せると思うなぁああああああ!!」

デデデは吠えつつ、凍りついた足を砕こうとする、しかし無駄だった。

「終わりだ!自称大王!!」

勢いよく振り落される、星が刻まれた杖。
デデデはあがくように、目を見開いて、ハンマーを構える。
足が動かないことで、バランスは極度に悪い。
少しでも勢いで負けたら、勝負もついてしまう。
どちらにしろ
結果しか残らない。


「デデデええええええええええ!!!」

耳が痛くなるくらいの絶叫。

赤いハチマキをしっかりしめた、カービィがデデデの
目の前に現れた。
ドロッチェの杖を、両手で受け止めている。

「!?」

「カ…カービィ…」

「待たせてごめんね!どりゃあああ!!!」

掛け声とともに、繰り出すこぶし。

「バルカンジャあああああブ!!」

強力な威力の技は、杖の柄の部分にみごとにクリーンヒットした。

「がっ!」

ドロッチェは杖がくらった衝撃をそのまま受ける形と
なり、弾き飛ばされるように湖に水しぶきをあげて落ちる。
















Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.93 )
日時: 2011/04/06 20:28
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)

「ふー…遅くなってごめん。デデデ。ここで引き止めていてくれたんだね」

ファイターをコピーしたカービィは深く深呼吸する。

「わしはこいつらをボコボコにしてやろうと思ったんだぞい。そうしたら、迷ってプププランドをうろついていたら、たまたまこいつに遭遇したんだぞい」

「ありゃりゃ…運だったのか」

「ていうか、お前はなにをしてるんだぞい」

「なにって、かくかくしかじか(省略)にきたんだよ」

「ははーん…あいつらを止めるってことかぞい」

「そういうことです。陛下。」

メタナイトが、デデデとカービィのすぐそばに舞い降りた。

「ふむふむ…これはすっごいバトルになりそうだぞい!」

「もー!大王!危ないじゃん!今マジで危なかったよ!」

アドレーヌも走ってやってくる。

「うむ?アドレーヌ?お前来てたのかぞい?」

「失礼ね!ちゃんとしっかり来てますよ!ほら!氷壊すから!」

「この4人の遠征隊パーティで勝負かぞい。ワドルドゥ達はいないのかぞい?」

「ワドルドゥたちは、レン村長の家に攻め込み中です。やつらの弱点はもうつかんでいます。ご安心を」

「ぐわはははははは!!わしだけに王手をくらわせてやったぞ!」

「うまいこと言うねー大王」

「とにかく、ドロッチェ達を遺跡に行かせないことが目的!」

「…どうなってる…?…やられちゃったとか?」

「いや、それはないだろ」

会話が終わると同時に、湖から、ドロッチェがでてきた。
赤い帽子とマントが、水に濡れたせいかさらに赤みを増していた。
表情は、非常に悪く、カービィたちを鋭い瞳で睨み付けている。
濡れ鼠とは、まさにこのことだ。

「くるぞ…!」

メタナイトの合図で、一同は戦闘モードになる。

「やつはロングレンジ戦では無敵の強さだ。ショートレンジ戦にもちこむぞ。カービィ。足は平気か?」

「大丈夫。リボンの薬で絶好調だよ」

「薬の効果は永遠ではないぞ。気をつけろ」

「了解だよ!」

「アドレーヌ!陛下!この作戦は2人がキーマンですよ!」

「イエッサー!あたしにまかせて!」

「作戦…?何のことだかわからんが…まあいいか…でも、こっちは4人
であっちは1人。勝負は目に見えているぞい!」

「…本当にいい加減にしろよ…」

ドロッチェは濡れた体を浮遊させる。

「そろそろ黙っててもらいたいんだよ。あんたら。俺の目的を邪魔しないでくれ…!」

「ボクたちはプププランドを守るために行動を起こしてるんだ!」

カービィは、言う。

「あんた…結構な怪我させたのに…まだかかってくんのかよ…」

「君を止めるまではね!」




『あの盗賊団は悪い奴らじゃないよ。ただ最悪の未来の鍵にされちゃうだけ』




(ブロンテの言う通りだとボクは信じたいよ!)



カービィは強く思った。



「これで…決着をつける!」

ドロッチェは高らかに片腕を挙げ

「ドク!スピン!こい!!」

メンバーの名前を呼んだ。

その直後に

スピンと、…メカちっくなクラッコが現れた。

「ク…クラッコおおおおおお!?」

カービィはびっくりして叫ぶ。

「あ!あれロボットよ!誰かが操縦してるんだよ!」

アドレーヌはあっけにとられながらも、招待を見破る。

「援軍…か」

メタナイトは冷静に言う。

「ぐわははは!これは楽しめそうだぞい!」

デデデは愉快そうに笑う。

「団長…大丈夫ですッチュか?」

「ああ…」

「さっきの戦い…どうして呼んでくれなかったッチュか?」

「…悪い。それはあとで…」

心配そうなスピンを、ドロッチェは笑ってごまかすような態度をとる。

「ドロッチェ。奴らのデータは把握できたぞ」

メカクラッコの操縦者。
ドクは年寄口調で言う。

「ありがとよ。…2人とも。殺さない程度でいけ。遠慮はするな!」

「了解!」

ドロッチェ団に一同は、戦闘態勢をとる。



ドロッチェ・スピン・ドクVSカービィ」・メタナイト・デデデ・アドレーヌ



戦いの火ぶたは切って落とされる。