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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: LILIN ( No.5 )
- 日時: 2011/05/29 11:35
- 名前: そう言えばこしょうの味しらない (ID: LMtRhfuT)
「そんな、って。EVAは世界でまだ三機しか作られてないんじゃないの?」
「あぁ、確かに。公ではそうなっているな……」
彼はそこでまた言葉を区切る。表情は真剣そのもの。
「あんな怪獣みたいなのを、ねぇ。どんだけ物好きよ」
もし彼が言うことが本当ならば、一大事だ。だって…
「3rdチルドレンという逸材も、まだ発掘できてないのに……」
「おや。ちょっと、焦らせちゃったかい?」
私の声色の変化を確認するかのように、彼が尋ねてくる。それに私はできるだけ楽観的な部分を答えにする。
「そんなことないわよぉ。逆に面白くなってきたわ」
こういう物事ってのは複雑になればなるほど面白みも増すものだしね。
「ほ〜う。それが戦う女の目なのか」
「他に。向こうで引っかかったことは?」
「そうだなぁ。あとはないなぁ………よしっ完了」
「直ったの?」
「あぁ、新品同様さ。これでまだ葛城とつながってられるな」
「Eメールボックスに入っていたあんたのアドレスなんて一度も使ってないわよ?」
「それでもっ」
そして、彼は私の顔を見るなり、
「つながっているという喜びは、人を寂しくさせない……だろ?」
ニコッ。そこでまた微笑んでくる。今度のはとてもじゃないけど直視はできなかった。
それから彼は入り口に向かって、扉の前へ。
「それじゃぁ。俺は仕事あるから、これで……あっそうだ」
扉の前でコロンボのように立ち止まった彼は振り向くなり、その続きを淡々と話す。
「奇妙と言えば、最近アメリカで大規模な献血授業が行われているらしいぞ」
「……確かに奇妙ね」
「あんまり仕事ばっかしてると、そのうち貧血になるかもな」
そう言って彼はそのまま部屋を後にした。
「大きなお世話よ」
一人残された指揮官室での一言はあまりにもあっさりしすぎだった。潤った血がたりないのかしら。
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